暴れん坊将軍 III →暴れん坊将軍 III 表紙
80〜99話
夫婦そば危機一髪!/め組の半次郎の天国と地獄/隠密、二十年目に帰る/死んだ男を待つ女!/いなせな新さん大奥を斬る!/少年は見た、将軍を!/花嫁の父は殺人者!?/地獄を見たかオウムちゃん/誰がために母は泣く!/悪霊の城の花嫁/吉宗、初春の大江戸裁き!/狙われた四人の目撃者!/地獄で仏のおやこ唄/幼きいのち なみだ旅!/女ふたり 許されぬ夢!/春遠き お捨屋敷の女/新之助が愛した女/対決!三人の白頭巾/ひとりぼっちの夢飾り/花咲ける忠臣一代!
第80話「夫婦そば危機一髪!」
備中松影藩主が急死、世子もさらわれ行方不明。ここへ御家存続を盾に殿の隠し子と言い「千代丸君」なる自分の子を据えようとする貝原典膳、窮した家老はかつてお家を退転した蕎麦屋の伊平(伊予守に相貌酷似)を影武者に据えてしのごうとする。だが典膳の手いち早く反対勢力を削ぎ事を運ぼうとするとき、新さんが乱入し成敗。
ロケ地、松影藩主急病は嘘と話すじい、二条城清流園。伊平に土下座し影武者役を乞う家老、今宮神社合祀摂社前。ラストのお庭逍遥、枳殻邸印月池畔。
第81話「め組の半次郎の天国と地獄」
半次郎、あそびのあと酔っ払って寝込んでいて火事場に駆けつけられず。飛び火で蔵を焼いた商家からめ組に賠償請求、いたたまれず飛び出した半次郎は金を稼ぐため幇間修行に。一方、朱鞘組なる愚連隊に入り無頼の徒と交わる大身旗本の若い殿様・須坂源之丞に嫁した紀州藩家老の娘・お菊は心通じぬ夫に不満を抱き役者遊び。この二人が不満分子に利用され魔手に陥ちかかるが、新さんと忠相の働きで須坂は改心、裏で糸を引いていた元御蔵奉行・栗林兄弟は成敗される。
ロケ地、お葉にめ組を出ると言い置き半次郎がゆく、嵐山公園中州舳先〜中州北岸(桂川堰堤バック)〜中ノ島橋。お城の庭で半次郎の仕儀について話す上様トリオ、大覚寺宸殿前白州。朱鞘組が陪臣に突っかかるのを見、止めに入る新さん、仁和寺参道(金堂バック)〜九所明神。須坂邸、相国寺大光明寺(門・北塀・石庭・くぐり戸・北塀通用門)。お菊が幇間・半次郎に裏を返す屋形船、大沢池上。お菊の動向について庭番の報告受ける新さん、相国寺渡廊(法堂東側のほう・バックに方丈)。須坂と抜きつれる新さん、刀装の三つ葉葵見て平伏の須坂、相国寺法堂前疎林。ラス立ちの西方寺、仁和寺御室桜林(バックに塔と観音堂)。事後、須坂夫婦をお城で引見の上様、大覚寺宸殿前白州。
第82話「隠密、二十年目に帰る」
新さんが斬りあいから助けた老人は二十年も草として尾張に潜んでいた公儀隠密だった。世の変遷を嘆き、放置した家族にも受け入れられずクサる老人を思いやる上様、執拗に襲い来る尾張の秋葉衆、「草」の持ち帰った家宣公の将軍職に関する書付を巡り大騒動。しかし世を震撼させかねぬ文書は、これを封じてきた尾張の付家老により灰となる。
ロケ地、老忍を伊賀組屋敷のあった小石川戸崎町へ連れて行ってやる新さん、南禅寺僧堂坂。娘の家を訪ね憤然と席を立った老忍・蔀十三郎が佇む夕刻の水辺、広沢池東岸。蔀の心情を思い考え込む上様、枳殻邸(案ずる忠相と田之倉の背後に漱枕居、庭番に蔀の監視を依頼する上様、侵雪橋上)。尾張藩下屋敷、大覚寺大門。蔀の回想、名古屋城は本物、お墨付きを納めてある本丸巽の蔵は大覚寺蔵。
*尾張忍・秋葉衆の一人に福ちゃん。刀を構えてのアップあり・但し覆面してるから目だけ。
第83話「死んだ男を待つ女!」
三年前大川に身を投げ死んだはずの男が江戸に舞い戻る。偽金つくりに関わり妻子をタテに脅されたもので身投げは芝居、佐渡の金を横流ししていた元佐渡奉行があぶり出される。
ロケ地、男の妻子が住む蜆河岸、広沢池東岸(渡し場演出)。お城の庭でお蝶の様子を忠相に話す上様、彦根城玄宮園(ラスト散策も同所)。神社へ参るお蝶、上御霊神社(本殿、本殿裏手)。
第84話「いなせ新さん大奥を斬る!」
厳格な大奥年寄・宮路が昔産み捨てた子の件で中年寄・岩橋に脅される。宮路の子・大助は養母を助けるため刃傷沙汰を起こしお尋ね者となっていた。大坂から出て来た大助を巡ってどたばたと大騒ぎの挙句岩橋と背後にいた大目付が上様に断罪され、母子も和解し大団円。
大助役はネイティブの大阪弁で悪態をつきまくるわ、宮路を探る新さんは町人に身をやつし「新公」なんて名乗って賭場で壺振りに色目を使われるわと騒がしい展開。賭場には福本先生もいたりして(新さんに殴られてのけぞり)。
ロケ地、大奥御廊下をゆく宮路、相国寺方丈北廊下〜前廊下(岩橋を叱るシーンでは法堂大屋根をバックに決める)。開かずの間で殺された侍女の件で犯人は忍者と報告の庭番、裏方丈庭園。大助の成長を知らせる文を読む宮路(回想)、放生池天界橋。ラスト、金つばを大奥に持ち込んで宮路に怒られる田之倉、方丈前廊下(バックに法堂の大屋根)。二人のやりとりを笑う上様が弓のお稽古の庭は方丈白州(唐門を背負う、そのうしろにはにあからさまに「描いた」お城が)。
第85話「少年は見た、将軍を!」
病の父のためお濠の鯉を狙う少年、他の鯉では駄目な根拠は、植木屋の父がお城の松を手入れした際見た丸々と太った鯉の記憶。
偶然少年と知り合った新さんは城中に招き鯉を取らせてやるが、この際使った不浄口の抜け道が盗っ人どもに目をつけられ親子は脅されてしまう。背後にはお役御免を恨む元作事奉行、最後は留吉の孝心が将軍に賞され大団円、留吉は新さんの正体に気付いているオチつき。
ロケ地、鯉にからむ江戸城の濠や橋に彦根城各所(大手橋、堀端、櫓前)。め組の衆が留吉のため鯉を釣ろうとする池辺、大沢池堤下汀。江戸城天守閣に姫路城(西の丸からのビュー)。留吉を招じ入れる城内の濠は永観堂放生池(新さんと留吉が鯉とりの橋は弁天の祠へ渡る橋、田之倉のじいが見張りの衛士を遠ざけるのは阿弥陀堂へゆく橋)。
第86話「花嫁の父は殺人者!?」
人も羨む仲の良い松永父子に暗雲が垂れ込める。ふとしたことから父の実子でないことを知った加代は出生を調べるが、事実を知る老人が何者かに密殺されるなど物騒な展開に。見聞した事柄から父は実の両親を殺した一味ではと疑いを持つ加代、しかし事実は御用金供出を断った商家を惨殺し猟官運動の資金に当てるという藩主の悪辣を諫止し得ず、殺されかかった幼児を連れて逃げ今まで育ててくれた父なのであった。
そして再び加代の命を救うため藩主の前で切腹しようとする松永、思わず止めに入った加代ともども始末されかかるところへ新さんの扇が飛んでくる。
ロケ地、生家・植松のことを聞き回る加代、坂道や墓地不明。松島藩邸、大覚寺大門(駕籠がゆくシーンで参道も)。松島藩士の一人を呼び出し詰問する新さん、大覚寺五社明神。藩士は有栖川に飛び込んで走って逃げる。上野寛永寺へ墓参に赴く藩主・有馬右京太夫、仁和寺二王門(松永が待つ墓地は不明)。これを新さんにツナぐ庭番、大覚寺護摩堂。ラス立ちは仁和寺御室桜林〜参道〜塔前〜金堂。
第87話「地獄を見たかオウムちゃん」
長崎奉行・大河内兵部が人参座の頭取・日野屋と組んで唐人参の値上げで大儲けを企み、嗅ぎつけた前任者の遊佐まで殺してしまう。無為の息の遊佐は飼っていたオウムに犯人と人参の隠し場所を覚えさせ死ぬ。遊佐の死は病死と繕われるが、跡継ぎの息子が上様に目通りの際このオウムを献上、深刻で設定も細やかなのに、珍鳥のせいでお笑いまじりのどたばた話に。
上様の座敷から聞こえる「じい!じい!」の呼び声に駆けつけた田之倉はそれがオウムの仕業と知り怒って駕籠を打擲、鳥を逃がしてしまう。これが拾われ病で沈みがちの薬種問屋・若松屋の娘のもとへ届けられ癒しのコンパニオン・アニマルに。しかし人参の値のことで掛け合いに来た日野屋にオウムが「大河内様!人参!コンニチワ!」と喚くのを聞かれてしまう。秘密が露見するのを恐れた大河内たちはあの手この手でオウムを取り戻そうとするが悉く失敗、しかしオウムと引き替えでなければ人参を卸さぬと言われた若松屋は病人の難渋を思い苦悩の末娘に詫びつつ鳥籠を持って日野屋へ。ここへ新さん登場、誰何されるがオウムの「上様!上様!」の声で気付く大河内…。断罪に大河内たちは言い逃れようとするが、鳥の「天神様!人参!大河内様!コンニチワ!」でバレバレなのであった。
ロケ地、オウムが拾われる神社、吉田神社参道石段。江戸城の庭は彦根城玄宮園(竜臥橋、池畔)。若松屋の侍女が新さんに主人の苦悩を告げ助力を願う、梅宮大社神苑汀。日野屋が人参を隠してある鈴ヶ森天神、吉田神社竹中稲荷(参道、本殿)。
*ラス立ち福ちゃん入り
第88話「誰がために母は泣く!」
世を拗ね阿片に溺れ中毒となり、挙句アシがつくからとバイヤーに消されかかる無役の若い御家人、身分低く正室にならなかった実母の献身で立ち直るというお話。バイヤーは唐物問屋の長崎屋で、裏には船手頭…相変わらず上様の官僚はワルばっか。旗本の次男三男をターゲットに阿片売りまくり、結果押し込みは出るわ辻斬りは頻発するわ市中でクスリ切れたのが刀振り回すわの物騒なことに。
ロケ地、小梅清涼庵、中山邸通用門。その帰途お由利の方そっくりの女を見る、仁和寺観音堂脇〜西塀際。敬一郎を諭す新さん、大沢池北西畔。屯する酒肆から敬一郎を連れ出し頭から水ぶっかける、仁和寺手水場。官憲の手に落ちる前にと御家人の部屋住みたちが密殺される神社、吉田神社竹中稲荷舞殿脇。見ていた梢が追われるのは参道重ね鳥居(斬りつけられ崖落ちも)。
*敬一郎の実母とお由利の方は二役。*ラス立ち福ちゃん入り。
第89話「悪霊の城の花嫁」
暴将では何回かに一回はくるオカルト話、本作はとりわけ毛色の変わった悪霊譚。
綱吉に滅ぼされた大名の子孫が上様を怨敵と狙うのだが、一味は復讐したいのか成り上がりたいのかよくわからない動きをとり、結局上様は佐久間一族の根城である信州まで誘き出されることとなる。
ロケ地、上様籠絡に失敗し呪詛が発覚した中掾E浜路が、責めた老女を斬った挙句惑乱して走る城内、姫路城いの門内側〜二の丸(身投げの井戸はここ、作り物を置いてある)。浜路の養父・相良大炊頭邸、金戒光明寺永運院。浜路の妹・お甲に呼び出される新さん、北野天満宮(地主神社、本殿裏手)。信濃へ向けて馬をやる新さん、谷山林道切り通し(長沼城への道を農夫に尋ねるのは分岐道、事後山なみを眺めやるのは分岐道崖上から)。
*浜路のくだりでは憑かれたかの如く徘徊しポーっとなっちゃう上様、浜路身投げの際は絶叫の果てもうちょっとで後を追いそうになったり。しかし上様の惑いはここで終わり。長沼城の怪異の一夜が明けて、高島礼子の庭番まで慄いているにも関わらず、爽やかな顔でにこにこ笑っている上様…ぜったい酸素の吸い過ぎ。
第90話「吉宗、初春の大江戸裁き!」
江戸城大手門の門松飾りが青竹に差し替えられるという事件発生。故事を引き武田の遺臣の仕業と断定する田之倉、果たして犯人は武田ゆかりの八王子千人槍同心の若侍たち、日光奉行・神林伊勢守が御廟の材木を大杉屋に横流ししているのを糾弾する目論見。これに元槍同心で神林のために失職した猪熊四郎兵衛が絡んでくる。彼の娘とルーキー南町同心の恋物語も挿入される。
神林の行列を槍一本で襲う猪熊、途中から上様と庭番も合流し大立ち回り、頃合には大岡の出役、このあと松の内ということで評定所ではなく上様直々の裁可が神林と大杉屋に下される。
ロケ地、冒頭の天守は姫路城。登城シーン、知恩院黒門道。大手門、知恩院北門。め組の凧あげ、大覚寺放生池北岸。凧が落ちる神林邸、大覚寺大門。橋上で酒飲む四郎兵衛にめ組が凧の行方を聞く、大覚寺参道石橋上。神林を待ち伏せる四郎兵衛、妙心寺玉鳳院唐門前。神林が騎馬で通りかかる、妙心寺涅槃堂南東角。涅槃堂四脚門前で乱闘。新さんも殺陣に合流してくる、妙心寺仏殿前。仏殿北廊の下で戦闘テーマ鳴り出すラス立ち。
*正月三日、自ら三番叟舞う上様、どしんと床を鳴らす重量感がアレだけど結構キマってる。田之倉の引く武田の故事のイメージ映像の徳川家康に松平健、口髭はあまり似合わない。大杉屋の裏帳簿見つかるきっかけの百人一首のエピはなんだかよく判らない…。ラス立ちには福本先生の姿も見える。才三に腹に一発入れられおわぁと回転。
第91話「狙われた四人の目撃者!」
出世目覚しい北町奉行・野口安房守、勘定奉行に推挙の話から身辺整理のためそれまで賄賂を受けていた平戸屋を切ろうとしてややこしい仕掛けを思いつく。以前平戸屋が証言者として立った事件で切腹となった武士の息子・小杉勝次郎が証言者を恨んで復讐という筋書きがそれ、まず他の証言者を襲わせ「父の仇」という文言を刺客に吐かせ話を作ってゆく。スケープゴートに選ばれた小杉とふと知り合った新さん、首尾よく平戸屋を始末し高笑いの野口邸に乗り込み大暴れ。
ロケ地、辻斬り出没の柳原土手、山室堤道か(堤外地の河畔林からすると桂川間違いなし?)。医者からの帰り母を負って歩く勝次郎に刺客、北野天満宮拝殿裏紅殻塀前。北町奉行野口安房守邸、青蓮院長屋門(夜景・イメージ)。報告を受けるお城の庭は姫路城西の丸。
第92話「地獄で仏のおやこ唄」
島帰りの源吉、真面目に働くも前歴が知れ職を失い、長屋からも追われる。加えて島送りの理由になった傷害事件で不具にしてしまった相手への治療費を払い続けていて、窮したところへ錠前破りの話が持ち込まれる。前歴ばらしも盗っ人一味の仕込みで、手先には岡っ引も。この賊は夜叉という、寺から宝物盗む一味で、バックに寺社奉行がおり異国船に売り大儲けしているのだった。一旦は錠前破りを諾する源吉だが、土壇場で仏に手は掛けられないと言い出し刺される、ここへ新さんの扇、一味を制圧のあと寺社奉行を断罪。
ロケ地、烏森・清林寺へ盗みに入る夜叉一味、神光院中興堂(入る門は映画村オープンセット)。弓の稽古中報告を受ける上様、枳殻邸印月池畔芝地(侵雪橋バック)。裏の顔は夜叉の回船問屋・渡海屋の別業(地下室にお宝隠匿)、中山邸通用門。夜叉一味に錠前はずしを持ちかけられる源吉、大覚寺放生池源頭(土管丸見えのショット)。渡海屋へ源吉探しにゆき消されかかる妻子、大覚寺五社明神。夜叉が黄金仏盗みに入る谷中仁徳寺、大覚寺大門で、境内は本法寺(多宝塔、本堂)。ラスト、庭を逍遥の上様たち三人、侵雪橋上に並んで。
スペシャル 「将軍琉球へ渡る 天下分け目の決闘」(500回記念スペシャル) →暴れん坊将軍IIIスペシャル
第93話「幼きいのち なみだ旅!」
財政逼迫し破綻寸前の丹後・峯島藩、国替えでしか窮状を打破できぬと江戸家老は幕府に嘆願するが、志半ばで凶刃に倒れる。犯人は国元の血気にはやる若侍たち、見当違いのテロルを訝る上様。背後には藩を食い物にしてしゃぶり尽くした挙句自分だけさっさと隠居を願い、御用商人と結託して藩を公儀に潰させようとした国家老がいた。藩を救うと信じ次々と自ら命を絶つ若者たち、最後には上様自ら乗り込んで断罪の大暴れ。
ロケ地、決起の江戸へと急ぐ峯島藩士・早見源四郎が弟とはぐれる江戸へ十里の街道筋の渓流、不明(一枚岩をすべる流れや、大砂防もあり)。行き合わせたお葉が病の早見の弟・友之助を介護する宿、日吉山荘。江戸へ急ぐ早見、北嵯峨農地(馬をやる街道は陵前、百姓の子を避けて落馬は竹林、足を引きずり行く道は畦道)。峯島藩江戸家老が田之倉に国替え嘆願の江戸城廊下、相国寺方丈北廊下。江戸へ向かう途中落馬し足を痛めた源四郎が町方に不審尋問され逃げる、相国寺方丈南西角付近の塀際〜鐘楼脇水路(石橋の下に隠れる)。江戸家老暗殺のあと若侍たちが切腹しようとする藩候歴代の菩提所、黒谷墓地(大峯屋の女将が止めに来る)。決起に遅れた源四郎が墓所へ辿る道、金戒光明寺永運院下坂。南町の追っ手かかり逃げ惑う若侍たち、川の中で乱戦は桂川・亀岡盆地(詳細特定に至らず)。め組を出た友之助が小坊主に道を尋ねる、金戒光明寺東坂。このあと兄と再会、しかし兄は生き残りの若侍たちに裏切者と誤解され斬られるのは走田神社本殿前(兄が足を引きずり神社へ向かう道は社務所塀際〜参道、設定は兄弟の会話から藩侯菩提寺の模様)。梢がスパイに入る峯島藩上屋敷、妙心寺衡梅院。上様と庭番のツナギ、相国寺鐘楼。これを立ち聞きしていた大峯屋の手下(忍者、小船秋夫)を追う庭番、まかれるのは金戒光明寺長安院前。
*メチャ悪欲深の江戸家老に江見俊太郎。
第94話「女ふたり 許されぬ夢!」
幼馴染のお雪とお松、共に遊んだ日々は遠く、片や富商の跡取り娘で輿入れを控え幸福の絶頂、片や寝たきりの父を介護し働く貧乏長屋の暮らし。
しかしお雪の店は盗品買いのかどで捜索を受け、禁制品が出たことから父の嶋屋は入牢、獄死。婚約者の三州屋の息子・清太朗も破談を申し出てくる。そのうえ盗品買いは三州屋が若年寄をバックに行っていたもので、禁制品は清太朗が嶋屋の蔵に置かせたものだった。その陰謀をお松は見ていたが妬心から言い出せず、しかし幼馴染の身に迫る危機に思わず身を呈し救う。ワルどもは上様がまとめて始末、捕えた手先を襖破って放り込む派手な登場。
ロケ地、江戸城の庭で長崎の唐人屋敷が盗難に遭ったことを話す上様トリオ、枳殻邸侵雪橋上〜印月池畔芝地。お雪と清太朗がいちゃつき通る、大覚寺放生池堤、心無い言動で通りかかったお松を傷つけてしまう。幼馴染の二人が遊んだ「中ノ島神社」、大覚寺天神島。父の死を聞き失踪したお雪を探す新さん、大沢池木戸。お松を見掛け何か隠してないかと聞く、勅使門前太鼓橋。盗品買いのツナギが行われる浅草?鳥越神社、上御霊神社(参道の松でお御籤使ってツナギ〜本殿裏手で密談)。
*冒頭、芝居小屋で清国産の麝香の取引が行われているところへ踏み込む忠相と新さん、売人の無宿竜蔵に福本先生。口封じのため仲間に匕首でぶっすり、忠相の尋問にツナギの方法を説明臭く述べたあと「うぉっ」と呻いて昇天。ラス立ちにも登場。
第95話「春遠き お捨屋敷の女」
飯盛女だった母と死に別れたあと過酷な環境で生きてきた女は信州の小藩の殿様にみそめられ世継を生むが、幸運も子の夭折と共に終わり、寵愛も失い下屋敷で無聊の日々を送る。
無役の御家人の息子は文武に精進し位を望むが果たせず、放蕩の末廃嫡され今は無頼の徒に身を投じ殺し屋に成り下がっている。
最早前途に光明のひとつも見出せぬ二人の男女の出会いは、更なる悲劇へとつながる。男・滝口和三郎が殺しの現場から追われ逃げ込んだ屋敷は、女・梅乃の方のわび住いする下谷の松木藩下屋敷、近在の者が揶揄して呼ぶ「お捨屋敷」だった。押し入ってきた和三郎の血の匂いを嗅いだ梅乃は自分の後に寵愛を受けるお初の方殺害を依頼、これは別の依頼の大岡忠相暗殺と同時に進行する。こちらの依頼主は大坂の銀相場を操る商人、バックに忠相の後釜に座ろうと野望を抱く旗本。
悲劇は男女のもう一つの結節点で起こる。お初の方の宿下がりを狙い襲う滝口、新さんに阻まれ手負いとなり逃げ込んだ先に居た母子、母は昔滝口の家に仕えていた侍女、子は梅乃が町で見掛け親しくなった少女、姿を見られた滝口は母子を殺害しようと刃を振り下ろすがここへ梅乃が飛び込み庇う。絶望のまま走り出てもう一つの殺しに向かう滝口だが、果たせず終わる。
ロケ地、滝口を見失った下谷あたりで船上からお捨屋敷を眺める新さんと辰五郎、大沢池と望雲亭(池側からの外観、門、南側生垣)。新さんとツナギの忠相を見遣る元締・根津のご隠居と大坂商人・江坂屋、上御霊神社本殿裏手。滝口を尾行しまかれる庭番、中ノ島橋(滝口は船で川下へ)。忠相を騙して浅草河岸八番蔵へ呼び出す根津のご隠居の下っ端、相国寺鐘楼。
*上様の断罪、今回は「頭が高い控えおろう!」の大喝。しかしめげない大ワル・遠藤太津朗、「千載一遇の時や、将軍はんにも代わって貰おか」と嘯く。*梅乃の母を殺害した酔った侍に福本先生、徳利片手に刀を振り回す。また、ラス立ちにも浪人姿でご登場、上様に斬られエビ反りをキメる。
第96話「新之助が愛した女」
新さん、町で助けた娘に「新之助さま」とアツい視線を送られるが新之助違い。娘は陰謀に陥ち潜伏中の浜津藩の若君を守る使命を帯びていた。
浜津藩は殿様の弟の分家筋・小松藩主の画策で乗っ取られ、若君は追われ藩主は隠居。ワルが唐物商と組んで抜け荷で大儲けの、悪の巣窟と化していた。悪党に追われ窮した娘は新さんに若君を託し死地へと向かうが、危機には新さんが駆けつけ落着、家督も継げることに。凛々しい娘にちょっと心動いた上様、「誰にも言えぬ吉宗であった」で締められるのが笑える。
ロケ地、喜和と若君が隠れ住む尼寺、勝持寺(参道石段はじめ境内各所、仁王門も使用)。報告を受ける庭は姫路城西の丸。め組へ新さんを訪ねてきた喜和が新さんに「私のことは忘れて」と告げる、上賀茂神社渉渓園・山口社重ね鳥居。島木屋の寮、不明(萱葺きの門)。
第97話「対決!三人の白頭巾」
連日出る愉快犯っぽい白頭巾の辻斬り、葵の紋入りの刀が得物。め組の知り合いで、山田朝右衛門も世話になっている苦労人のお邦の許婚者まで被害に遭う。刀の調査から越前福井藩の部屋住みが浮上、背後には元若年寄で吉宗を恨む外岡愚翁、この爺は御前に罷り出て当てこすりを言上するなど憎さげな振る舞いで、家光の例を引き上様が辻斬りなどと言い出す始末。福井藩の部屋住みは兄少将を陥れ牢に込め、辻斬りの後を尾けて捕まっていたお邦も共に殺られかかるとき、正義の扇が飛び白頭巾に扮した朝右衛門と上様が登場、出て来た愚翁ともども成敗の運びとなる。
ロケ地、家を飛び出し手首を切ったお那を見つける新さんと朝右衛門、大覚寺五社明神。
*辻斬り白イカは立川三貴、狂気をはらんだ拗ね者が迫力。*ラス立ちではトリプル白頭巾が見られるが、上様はじきに襖の陰で変身。家士には福ちゃんも。今回「成敗」は朝右衛門が二人ともバッサリ。
第98話「ひとりぽっちの夢飾り」
兄に来た縁談の相手の親が、屋敷で賭場を開き抜け荷を売りさばくとんでもないワルと知った妹は、身を呈して破談に持ち込む。妹は養女で、密かに兄を男として慕っていた。市中で見掛けその兄妹の人物を買っていた新さんが兄妹とその頑固者の父の危機に割って入る。
ロケ地、秋山兄妹がゴロツキに絡まれ捻り返すのを見る新さん、松尾大社楼門〜摂社前。秋山源左衛門宅、金戒光明寺永運院と下の坂。辻斬りを見失ったことを報告する才三、枳殻邸印月池畔(上様は鯉に餌やり中)。旗奉行・大井能登守邸、大覚寺大門。大井能登守別宅、中山邸(庭、通用門、参道)。
*兄妹の頑固父に下川辰平。兄の子を身籠ったとの萩絵の嘘にどたばたがおかしい。
第99話「花咲ける忠臣一代!」
上巳の式典の最中、松の廊下で起こった刃傷沙汰は、硬骨漢の老中・水野忠之を陥れ後釜に座ろうとした大目付・田渕修理之介の陰謀だった。事件を聞き、24年前の赤穂のようなことが起こってはならないと叫ぶ寺男・吉蔵の言葉が新さんの胸を衝くが、彼はは赤穂浪士の生き残り・寺坂吉右衛門だった。調べを進めるうち、田渕はたびたび外様の小藩を脅し大金を毟っていたという所業が明らかとなり、今回の騒動は老中の一族の水野和泉守が毛利くんの悪口をあっちこっちで言ってますよーと吹き込み、刃傷に及ぶよう毛利山城守を吉良さまばりのイジメに走らせた仕込みと知れる。寺坂が田渕の恐喝現場に居合わせたり、潜伏中の赤穂浪士を無下に殺害した件などのエピソードを挿み、遂には田渕宅へなだれ込む吉宗、最初から上様ルックで大暴れ。事後、紛争には「片手落ち」でない裁可を下し、寺坂の養育していた義士の遺児を直参取立てでメデタシとなる。
ロケ地、水野和泉守邸、相国寺大光明寺。毛利山城守邸、相国寺林光院。寺坂の勤める曹渓寺、本法寺(楼門〜本堂、塔)。泉岳寺と内匠頭墓所(後段曹渓寺墓地にも使用)、不明。田渕邸、大覚寺明智門。忠相が譴責に赴く老中・水野忠之邸、妙心寺隣華院。田淵家に温情をかけた水野の申し開きを上様に報告の忠相、相国寺方丈前白州。
*「寺坂」吉蔵に左右田一平、田渕は名和宏。ラス立ち福ちゃん入り。