石原興監督作品 1999/2/11松竹
キャスト
勇次/中条きよし
弥助/阿部寛 おとよ/天海祐樹
お喜和/名取裕子 伝兵衛/藤田まこと
内田平内/清水健太郎 浅吉/本田博太郎 坂巻/石橋蓮司 富貴屋/中尾彬
勇次の裏稼業の相棒が話を動かす。
回春薬で荒稼ぎの一味あり、金のある老人たちの助平心に付け込み金を毟り取った挙句廃人に追い込み、その治療も稼ぎとする悪辣さ、薬種問屋と火盗改の役人が結託。その薬を作った男は後悔に苛まれ失踪するが、薬種問屋の経営する診療所に監禁され製法を伝授するよう迫られていた。勇次の相棒・回り髪結いの弥助は、大川に身を投げた娘を救い面倒を見るうち彼女を愛するようになるが、その女こそ診療所に監禁中の元薬屋・上総屋の娘なのだった。上総屋の死を見た弥助は一人先走りワルを仕置にかかるが、奸計に陥ち落命。頼み料は、江戸から姿を消した女がその前で食を断ち事切れた、弥助の位牌の下に置かれていた。
ロケ地
・柳橋の料亭で検校を仕置したあと、勇次が弥助に礼金を手渡す鳥居、伏見稲荷千本鳥居(勇次が内側、弥助は外にいて隙間から手を入れる)。岩松が殺されたあと弥助が依頼者と会うのもここ。
・街道をゆく伝兵衛と芸人の娘たち、嵐山自転車道〜松本酒造前東高瀬川堤(水面を合成)。
・依頼者がターゲットを記した書付を結んでおく「嘆きの祠」、鳥居本八幡宮本殿(石段で弥助が実は仕事人の内田浪人とすれ違う)。
・診療所へ富貴屋を送ってゆく盗賊改の岡っ引・浅吉、大覚寺大沢池。
・診療所、芦浦観音寺。
・父を回春薬で亡くしたことから関わる才蔵が上総屋から訴えを託されたあと見つかり逃げる掘割、大覚寺有栖川河床(溢水口から脱出。池側の柵も映り込む。才蔵の死後調べに来た弥助のくだりでは、外からこの柵が映される)。
・釣り船を出す勇次、大沢池上(放生池堤石橋越しのショット)。流されてきた才蔵を引き上げるのは天神島。
・才蔵の足取りを追った弥助が上総屋の死体を乗せた船が漂流するのを見つける橋、八幡掘明治橋(堀端、橋下も使用)。
・弥助の首が晒される小塚ッ原、河原か湖岸か不明。
・弥助の名を書いた灯籠を流す勇次、広沢池東岸。
・目黒村でおとよの消息を聞き回る勇次、美山町民家。
・縁日の参道、仁和寺参道。
*サイドストーリーが多くちょっと煩瑣な作りだが、柱は仕事人・弥助とおとよの恋。女と所帯を持つため足を洗おうとする男と、父の犯した罪を思い幸福に身を委ねられない女。必殺だから当然若い二人の恋は成就せず、男は梟首台の露と消え女は五穀を断ち涅槃に入るハードな展開。*勇次はフレームを形成する役まわり、中条きよしをたっぷり見たい向きにはアレかも知れないが、一本の映画としてはよくできている。また、元弥助の親方の老爺に藤田まことを持ってきてあるのはお遊びの最たるもので、弥助の死後勇次と伝兵衛が対峙する場面などは圧巻(やはり主水に見えて笑いそうになるが)。*悪役脇役には錚々たる面々が配され見もの。冒頭すぐ消される烏山検校に火野正平はいかにも勿体無いが、短い尺でも正ちゃん風味は満点。厠で吊るされるのも傑作。
★勇次現代劇スピンオフ作品「京都マル秘」シリーズ
三味線屋勇次が現代の京都に顕現するおとぎ話、許せぬ悪を仕置する中条きよしは元歌手のカラオケ教室の先生。京都最後の侠客の忘れ形見という設定で、謎めいた庵主から依頼を受け悪を闇に裁く際に「三味線屋」が顕現する、という趣向でABC制作の「土曜ワイド劇場」で放送された一連の二時間ドラマ。ロケ地にベタの今の京都が使われるほか、時代劇お馴染の定番ロケ地も使われていて面白い。「勇次」を「若」と呼ぶ老爺二人は織本順吉と松之助師匠。
京都マル秘仕置帖 (1999)
「勇次」のカラオケ教室の生徒が殺される事件が出来、「京都南部開発」に絡むフィクサーは高松英郎。勇次出現は危機に咄嗟に出るイリュージョンで、三の糸に見えたのは「ギターの絃や」と本人の弁。
→時代劇拝見日記2004/9/18に記載
京都マル秘仕事人 1 (2001)
「勇次」にストーカー絡みの相談を持ちかけたサラリーマンが殺されるが、裏にはインサイダー取引で暴利を貪るフィクサーがいて金田龍之介。勇次出現はモーフィング映像で金龍が「晒される」のは三条大橋。
→時代劇拝見日記2006/7/1に記載
京都マル秘仕事人 2 (2002)
古美術絡みの事件、野村将希や石倉三郎が「勇次」側メンバー、吊るされるフィクサーは花紀京。京を離れる庵主が「新しい」京都駅をゆくシーンに「旅愁」が鳴り響く。
→時代劇拝見日記2005/5/14に記載
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