内川清一郎監督作品 1964.1.15松竹
キャスト
長門勇 岩下志麻 倍賞千恵子 宮口精二 冨田仲次郎 浜村純 左卜全 青木義朗 殿山泰司 小堀明男 香川良介 遠藤辰雄 永田光男 丹波哲郎
原作/山本周五郎「雨あがる」 脚本/小国英雄
殿のもとに上がる家老の娘を奪って逃げた男、たつきのためにする仕事は賭試合。しかし金を稼いできても、困っている者をみると懐の中身はたちまち右から左へ消えてゆく。そんな彼の人物を見込んだどこかの殿様は、是非にと辞を低くして指南役に乞う。但し万事そうそううまく運ばぬは自明の理、話がぽしゃったり、密告者が追っ手を防いでくれたり、禍福は糾える縄の如し。助けてくれた浪人は一人細道を去るが、男と「妻女」は山の彼方に明るい明日を夢見る。
ロケ地
- 渡し場で人足にふっかけられて困っている千草主従を助ける三沢、大堰川河川敷か。河原は礫、河畔林は竹。
- 関所手前で千草一行と別れる三沢、不明(山道)。
- 三沢が賭試合に赴く戸田弾正道場、不明(門)。
- 河原でもっこ担ぎのバイトをする三沢、大堰川河川敷か。粗いめの礫が見える。
- 大庭浪人が賭試合にゆく熊沢道場、不明(長屋門)。
- 松葉宿名主一同が主催する奉納試合会場、平岡八幡宮。石段下の「土俵」のところが試合場、幔幕張り巡らせ。境内にも参道にもわんさと見物人。
- 同宿の子供と釣りの三沢、広沢池か。武士同士の争いを見て仲介するのは北嵯峨か、竹林際。
- 妙のため簪を求める三沢、妙のいる宿へ向かう街道イメージ、亀岡か(山裾に棚田)。
- 三沢と会っての妙の回想、父家老に殿のもとへ上がる件で因果を含められた庭、不明(池泉のほとり、奥は築山)。殿のもとへ向かう妙の駕籠を襲い奪った三沢、不明(大きな楼門、四天王らしき像が祀られていて、戒壇院のそれに似る。この門のシーンはタイトルロールに使われている)。
- 追っ手の浪人たちが拠る般若院、高山寺石水院。門のみイメージに、中はセットで火にくべられている像は阿修羅像のレプリカ?←三面六臂で腰裳とかそっくり。背後にあるのは執金剛神像に似ているし。
- 父が三沢の仕官話を蹴ったあと、怒って馬を駆けさせる千草、北嵯峨小柴垣道か。
- 関所で三沢らを逃がすため大立ち回りを演じた大庭が、二人を待っている峠道、不明。山道をゆく三沢「夫婦」、谷山林道か。
*妻女の出自や、出奔の経緯、大庭浪人の存在などが原作とは大幅に異なる。あと、川止めは無くて、三沢夫婦は別々の宿場でそれぞれ働く次第。仕官を持ちかける殿様は、千草の父の天領代官。
*二ヵ月後に上映された「続道場破り 問答無用」は、長門勇が出ているものの、全く別のお話。
参考文献 山本周五郎「雨あがる」時代小説文庫、角川春樹事務所
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