菊池靖、松野宏軌監督作品 1964.3.15松竹
キャスト
長門勇 鰐渕晴子 香山美子 鈴木茂美 多々良純 菅原文太 北竜二 三島雅夫 田中春男 富田仲次郎 今橋亘 青木義朗 山路義人 上田吉二郎 大野熊雄 丹波哲郎
原作/山本周五郎「大炊介始末」 脚本/内川清一郎、野口泰彦
もうじき父の跡を継ぎ、由緒ある道場の主にと、末を寿がれる青年が豹変。友であり、妹の婚約者である青年を斬ったあとは、破滅的な乱行を繰り返す。息子を愛する父は、殺すに偲びず国元へ籠めるが、そこでも発作的に庄屋を斬ったり。いよいよ処分も間近と囁かれだす頃、諸国修行に出ていた、若殿の竹馬の友が帰還。彼は、行動には必ず因ありと調査を始めるのだった。
ロケ地
- 紀州・吹上の里で田宮真剣流の奥義を編み出した始祖、魚を斬る渓流は保津峡。
- 江戸の田宮相模守邸、仁和寺本坊表門。両脇の壁に黒板塀あしらい(全面)。
- 吉岡の父が自刃と聞き、悄然と道をゆく高央、仁和寺北塀際。家老・帯刀を筆頭とする門弟らが高央(たかなか)に詰め寄る道は不明(両側に塀の路地)。抜き身を下げたままずいと門内に入る高央、大覚寺明智門(門内外両方のアングルが出て、明智陣屋も映り込み。門内側から見た「外」には塀が作りこまれている)。
- 忌中紙が張り出された吉岡邸、不明(門、クレーンショットでは萱葺きらしきフォルムが見える)。
- 座敷牢の工事を目の当たりにして、高央の父が回想する幼時の高央、勧修寺氷室池端芝地(祝いの品が整えられた庭で、学友と取っ組み合いをする「法師丸」の姿が映し出される)。育たぬと言われた子のため千日の祈願をした那智の滝、本物をイメージに。
- 高央が籠められた紀州・吹上の里、イメージの峡谷は清滝か。高央が滞在する椿ヶ丘の山荘、勝持寺仁王門と石段。居館内部はセットか(濡れ縁で鳥を寄せる高央のシーン、遠景に山なみ)。
- 吹上の里の庄屋が高央をもてなす船遊びのくだり、船が浮かぶ川は嵐峡。
- 武者修行に出ていた柾木兵衛が田宮家へ戻るくだり、仁和寺本坊表門から前庭、大玄関。
- 柾木が投宿する国家老・広岡邸、不明(門のパーツのみ)。
- 高央が陵辱したとされる村娘の父をつかまえ事情を聞く柾木、不明(棚田)。当の娘・うめに本当のところを聞く竹林、不明(池端の絵も)。
- 家老のはからいで藩公菩提寺の和尚に会うくだり、慈眼寺境内は真如堂。導入は本堂裏手南東からのビュー、次いで本堂脇から塔を望む図、水場前の石畳に駒をとめて茶所で智円和尚と語らう。その後案内される母の墓所は不明(大きな五輪塔、奥には宝筐印塔。丘の上か)。
- 事後、流派の始祖と同じく渓流で魚を斬る柾木、保津峡。
*原作の田宮家はただの大名で、剣法の流派とか出てこない。また、紀州という具体的な地名は出てこず、「松村の城下町」という漠然とした設定。登場人物の設定に細かな変更はあるものの、ドラマの根幹は原作と同じ。
*同年1月の「道場破り」とは、メインキャストは同じなものの、「続」と言い条全く別のお話。
参考文献 山本周五郎「大炊介始末」新潮文庫
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