2012年、TBS
原作/よしながふみ「大奥」白泉社刊
脚本/神山由美子
第一話 2012.10.12
慶光院院主として生きてゆく筈だった若者の運命は、徳川家存続のため奔走する嫗により、大きく狂わされる。そして、還俗を強要され城に登った有功が見たものは、奇妙極まりない大奥のありさまなのだった。
ロケ地
- 赤面疱瘡の死者が出る民家(原作では江戸のもよう)、美山民家と田畔。ロングの画は加工か。
- 嗣子・輝綱が赤面疱瘡で死去する六人衆・松平信綱邸イメージ、滋賀院門跡。
- 江戸城イメージ、二条城に天守や町並み合成、本丸御殿あたりに天守を持ってきたロングの画のほか、二の丸御殿池泉など各パーツ使用・後段にも出てくる。城内描写はセット、ここでは大奥廊下をゆく家光(男)の頬にぽつりと不吉なできものが浮かぶところで暗転。
- 二年後、京イメージに清水寺舞台。有功剃髪の寺、粟生光明寺阿弥陀堂(内外を使用)。剃髪後、有功が父と対話するくだり、万里小路邸門は毘沙門堂薬医門。
- 三年後、慶光院入りを前にした有功が赤面疱瘡の病人の世話をするお救い小屋、流れ橋上手河原に設営。このとき、関東から来たと思しき行列が橋上で止まり、駕籠の中から春日局が遠眼鏡で有功を凝視。
- 慶光院新院主として継目御礼のため江戸へ下る有功一行、街道は沢ノ池ダートか酵素か。駕籠を止め江戸の町を見遣る丘、三井寺観音堂裏手・御幸山山腹(有功たちの足もとにある石はあしらいもの、そろばん顕彰碑の裏側はうまくごまかしてある。大津市街と琵琶湖は消して、江戸の町とお城が合成されている)。
- 赤面疱瘡による死者の野辺送りに行き合わせ、申し出て供養する有功、大覚寺大沢池北辺並木。
- 江戸城城門、セットか。甍イメージは二条城か。
- 有功らが留め置かれる拝領屋敷、三井寺光浄院(後段、有功らが連れ戻されたあと厳しい警備がなされるくだりでも出て、夜間撮影)。三人が外出しようとして伝右衛門に止められる玄関、三井寺勧学院客殿式台玄関(唐破風)。明慧と玉栄が不審がって話すくだりで出る、野仏に祈る有功イメージ、大覚寺竹林か。脱出をはかる一行、乗り越える塀は随心院裏塀(新しい塀のほう、内外を使ったもよう)。脱出成功を喜び合うシーン、南禅寺僧堂坂(早暁)。逃走中一息つく茶店、走田神社参道、本殿前(中に伝右衛門いて逃避行終わり)。
- 遊女との同衾を強要された有功、一夜を過ごした暁イメージ、広沢池西岸から東望の図、夜明け。玉栄もともに大奥へ入ると聞かされる春日局のシーンの前、二条城を使ったロングの江戸城イメージのあとに挿まれる御殿イメージ、金戒光明寺紫雲の庭。遊女たちが殺されて棄てられる野辺、不明。
- 一年後、登城する有功、御広敷門から入るシーンは二条城二の丸御殿台所前(御広敷門は土蔵長屋門)。大奥なのに侍だらけなことに有功が不審を抱きつつゆく廊下、東福寺方丈前縁と回廊。座敷はセット撮り。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり(ナレーション) 駿河太郎 原田夏希 生稲晃子 吉倉あおい 岩井秀人 菅原卓磨 柴田善行 浅田祐二 井上久男 朝良晃三 段田安則 小日向文世 内藤剛志 麻生祐未
演出/金子文紀
第二話 2012.10.19
秘事を聞かされ、もう一生大奥から出られないと宣告される有功。しかもそこは居心地のよい場所などではなく、彼ら主従を敵視する男たちの視線が意地悪く突き刺さる、針の筵が敷かれた褥なのだった。
ロケ地
- 正勝に秘事を聞かされる有功、女ではなく男たちが闊歩する「上様を守る城塞」の大奥廊下、東福寺方丈廊下。一生大奥から出られぬと聞かされるくだり、江戸城イメージに二条城(ロング、本丸櫓門を前景にして合成の画面。後段にも、日没に色を変えて出てくる)。
- 大奥の中でも特に閉ざされた春日殿、金戒光明寺紫雲の庭(池を前景に方丈を望む図、バックに天守合成)。
- 御中臈三人に引き合わされる有功、会見の座敷は粟生光明寺方丈座敷。部屋へ戻る有功、村瀬に秘密を知る者の員数を聞かされる廊下、清凉寺本堂裏手回廊。
- 有功の部屋の前廊に汚物がぶちまけられるくだり、前に挿まれる、時間経過を示すイメージに広沢池、西岸からのビュー(夜明け前)。
- 有功の見る白昼夢、自分がまだ僧形で明慧もいる草原、不明(青草の土手?あまり踏まれてない感じ。画面奥に雑木林ちらり、規模は不明)。
- 素振りを続け日が暮れるくだり、日没イメージに皇居巽櫓。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 駿河太郎 戸次重幸 遠藤要 夙川アトム 西ノ園達大 内藤剛志 麻生祐未
演出/金子文紀
第三話 2012.10.26
家光と接する機会が増えると、奇矯な言動も目に付く。非道を知り声を荒げ諌める有功だが、鎧の下でか弱い魂が震えているのを知ることになる。
ロケ地
- 玉栄が聞き込んできた怪異の噂、「生首」さげて城内をうろつく侍イメージ、二条城御殿内庭(夜)。
- 家光が胸に晒を巻いて支度する大奥・春日殿、金戒光明寺紫雲の庭(池泉畔から方丈を見る図)。
- 若紫を捜しに出た有功、伝右衛門が女の髪を携え行く姿を目撃する内庭、二条城御殿内庭(夜)。
- 翌朝、玉栄と二人猫を探す有功、庭掃除の者に行方を尋ねる廊下は清凉寺本堂裏手回廊。
- 江戸城イメージ、二条城本丸櫓門を前景に合成。お猫さま大変が出来するくだり。
- 中臈・角南が切腹し果てるくだり、夜のお城イメージは二条城御殿、暁のシーンは大阪城千貫櫓下の石垣をモチーフに天守等合成か。
- 若紫の塚へ家光を案内する有功、金戒光明寺紫雲の庭池泉。
- 家光の回想、御殿を抜け出した際むくつけき男に陵辱されてしまう庭、梅宮大社神苑。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 戸次重幸 遠藤要 夙川アトム 西尾季隆 西ノ園達大 内藤剛志 麻生祐未
演出/金子文紀
第四話 2012.11.2
心通じた二人は蜜月を過ごすが、一年経っても実は生らない。そして春日局の目的はもとより家光の血脈保存しか無く、冷酷にも「次手」が打たれる。
ロケ地
- 赤面疱瘡猖獗イメージ、木津河原と大覚寺大沢池北辺水路端。
- 弓の稽古をする有功、二条城二の丸御殿内庭。
- 有功に教えを乞う者ひきもきらずのくだり、大覚寺宸殿裏手回廊、粟生光明寺本堂裏廊下。
- 家光に、見てきた海の話をする有功、大海は南紀白浜からのビュー。
- 伊勢物語の講義をする有功、随心院書院座敷。立ち見も出て、本堂側の廊下にいる。終わったあと正勝が入ってくるのは北側から。
- 伊勢物語第六段、公達と姫君逃避行イメージは大覚寺大沢池畔・遣水跡付近(夜)。男女は有功と家光。
- 稲葉正勝七回忌が執り行われる寺院、西教寺大師堂。まず湖側の門が映し出され、法要はお堂内部で。そそくさと立ち去る春日局を呼び止める正勝の嫁のシーンは北側の門を出たところ、亭脇の坂。
- 江戸城イメージ、二条城本丸櫓門を前景に合成。家光が春日の気遣いに謝辞を述べるくだり。
- 有功がお褥辞退を申し出に行くくだり、月光の甍は清凉寺か二条城か黒谷か。
- 海を見にゆく有功と家光の幻想シーン、南紀白浜・千畳敷(夕景)。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 窪田正孝 遠藤要 夙川アトム 吉田羊 田中隆三 西山潤 段田安則 内藤剛志 麻生祐未
演出/渡瀬暁彦
第五話 2012.11.9
表面は穏やかで、「恋敵」の捨蔵にも親切な有功だが、「その夜」にひとり激情を吐き出す。
また、正勝が拾った白い子猫は、さまざまな事情を照らし出してゆく。
ロケ地
- 大奥奥御殿イメージ、金戒光明寺紫雲の庭より方丈を望む図。春日が捨蔵のがさつさに溜息をつくシークエンスと次の場面の間。
- 捨蔵がお中臈方に挨拶をする座敷、粟生光明寺方丈座敷。その場を辞した有功がゆく廊下、平安神宮橋殿。
- 春日局の指示で捨蔵を躾ける有功、その夜怒りをあらわに有功に詰め寄る玉栄のシークエンスの前の月夜の御殿、前話と同じく暗くて判別つかず。
- 嫁と子が空しく帰るのを陰ながら見送ったあと、子猫を拾う正勝、金戒光明寺紫雲の庭。村瀬が方丈廊下を走ってきて声をかける。
- 捨蔵が褥に侍るくだり、お城イメージに皇居巽櫓(月明)。床入り後の暁イメージ、広沢池西岸からのビュー。この少しあとに出るお城イメージは二条城本丸櫓門を前景にした合成画面。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 窪田正孝 遠藤要 夙川アトム 田野アサミ 西山潤 大河原優太 荒田悠良 内藤剛志 麻生祐未
演出/渡瀬暁彦
第六話 2012.11.16
引き裂かれたり「許可」されたり、鬼婆・春日の思惑に振り回される、家光と有功。
しかし、母となった家光は運命を達観し、強くなってゆく。それを見た有功は、他ならぬ玉栄に頼みごとをするのだった。
ロケ地
- 松平信綱邸イメージ、滋賀院門跡(夜景)。輝綱にしてある「しず」に溜息をつくくだり。
- お楽の方の事故後、居室で正資や玉栄と話す有功のくだり、玉栄の「上様のお相手は有功だけ」発言のあと、有功の見る夢に出る「あの海」、南紀白浜からのビュー・4話と同所。このあと家光が忍んでくる。
- 元服にあたり、お目見えのため登城する稲葉正則のくだり、駕籠と供が揃う玄関は智積院書院式台玄関と前庭(西側、俯瞰)。正勝の将軍がお出ましの際映る、御殿甍イメージは清凉寺か。
- 将軍直々に暖かいお言葉を賜り、有頂天になって帰宅する正則、母に報告に走る廊下は智積院書院廊下。導入は池泉ナメて北から。
- 溝口左京が家光の褥に侍る夜、月の御殿イメージは4,5話と同所。暁イメージは広沢池西岸からのビュー。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 窪田正孝 市川知宏 遠藤要 夙川アトム 生稲晃子 西山潤 小澤美和 阪田瑞穂 段田安則 内藤剛志 麻生祐未
演出/藤江儀全
第七話 2012.11.23
英邁な専制君主としての顔を見せ始める家光、手駒を用い地歩を固めるやにも見える有功、制度の大転換を迫られる情勢に苛立ち病を得る春日。
そして悪疫ますます猖獗を極め、遂に大奥にも発症者が出る。
ロケ地
- 農村を視察する家光、不明(林の際に里演出、谷地田の奥か)。家居に寄っての絵はセット撮り。
- お城イメージ、不明。御殿甍イメージの破風、不明(紅葉ナメての絵)。
- 玉栄が家光の側に上がった翌朝、大奥御殿イメージは金戒光明寺紫雲の庭から方丈を望む図。
- 「お玉」について話す家光と有功のくだり、有功の回想で出る「隆光の予言」の階(寺院設定?)、南禅寺三門。
- 八朔の祝儀のくだり、お城イメージは二条城東南隅櫓を前景にした合成画面。伊豆守父子と讃岐守父子が行き会う城中の御廊下、大覚寺宸殿前縁。
- 儀式を終え帰ってきた息子・正則に「将軍の様子」をしつこく聞く母・雪のくだり、稲葉邸玄関と廊下は智積院大書院。
- 女大名を認めるか否かの議論がなされる段、お城イメージは皇居巽櫓。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 市川知宏 又吉直樹 沢井桃子 西山潤 小澤美和 阪田瑞穂 段田安則 栗塚旭 内藤剛志 麻生祐未
演出/金子文紀
第八話 2012.11.30
貴賎を問わず襲う奇病、先の見えぬ昏さに惑う幕閣に、家光が発した言葉が光明を与える。
春日局の死をしおに秘事は開陳され、女将軍が凛として立つ。
ロケ地
- 有功の看病を受ける春日、薬断ちを見つけられたあとの昔語り、幼い春日が見た磔刑台の父、酵素河川敷。その後逃げ回った山野のくだり、自棄を起こした姉を諌めるシーンは酵素付近か(山腹の「谷筋」、細い水脈が流下)。
- あるじの死を聞き駆けつける稲葉家の家来、智積院書院式台玄関。
- 正資に没日録編纂を命じ、有功に後事を託す春日局のくだり、大奥春日殿イメージは金戒光明寺紫雲の庭から見た方丈甍、天守合成。
- 家光にみとられ逝く春日、ひとり部屋を退出し庭に出て歔欷する正勝、大仙公園日本庭園・池泉に架かる映波橋(夜景)。
- 春日の死後、大奥の者たちに役目を割り振る有功、広間は聖護院宸殿。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 窪田正孝 遠藤要 夙川アトム 西山潤 小澤美和 阪田瑞穂 山本舞香 段田安則 内藤剛志 麻生祐未
演出/渡瀬暁彦
第九話 2012.12.7
女将軍となった家光、春日殿にこもりきりの陰鬱な暮らしは終わるが、かけがえのないものも失う。
やっと持てた逢瀬のひととき、その場で有功は悲痛な心情を吐露するのだった。
ロケ地
- 女公方出現を噂する掃除中のお半下たち、聖護院宸殿内庭。
- 政務を執るため「表」へ向かう女将軍と、そのお供が闊歩する廊下、金戒光明寺方丈廊下(西望のアングル、戸は開放)。
- 実は女だった大名家の「嗣子」も女に直り謁見のくだり(年始御礼儀、およそ半数が女大名にチェンジ←平伏のモブが圧巻)、御殿イメージに二条城二の丸御殿(池泉越しに書院、雪景にアレンジ・天守合成)。拝謁を終えて退出してきた輝綱が、父に男の格好のほうがよかったかと問う廊下、大覚寺回廊。その後稲葉「正則」と行き会う廊下は、同じく大覚寺の宸殿前縁・南からのショットでは向拝に斑雪演出。
- 家に戻った「野乃」が母の質問攻めにあう段、稲葉家玄関は智積院書院式台玄関(北側にフェンスあしらい、瓦に雪ちらり)。
- 正勝が有功の居室に来て夜伽のことを告げるくだり、御殿庭の紅葉イメージ、随心院本堂前池泉。カモ来てる池は別かも。お芝居はセット撮り。
- 弓の稽古をしている有功のところへ来て夜伽のことを告げる正勝、聖護院宸殿前白州・幔幕張り巡らせ。
- 有功にお褥すべりを願われてしまった家光、大奥から戻る際通る夜の庭、大仙公園日本庭園築山(廬山)際〜印月橋。正勝が打掛を持って追ってきて橋上で対話。
- 有功の大奥総取締就任が発表される大奥の広間、聖護院宸殿座敷。室内からカメラ引いてゆき、宸殿大屋根が映し出される。これに先立って映るお城イメージ、皇居巽櫓ほかいろんなものを合成。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 市川知宏 小澤美和 山本舞香 段田安則 内藤剛志
演出/渡瀬暁彦
最終話 2012.12.14
三人の世継ぎを産んだ家光は、力尽きたように逝く。かつての約束は遺言によって変更され、有功は次代・家綱の後見となる。
桂昌院となって城を出てゆく玉栄と別れの日、有功は中空に亡き人の声を聞く。
ロケ地
- 徳子姫を遊ばせる庭、聖護院宸殿前白州(侍女と徳子が追いかけっこは石庭南西隅、立石は置いてあるっぽい。カメラ引くと式台玄関脇の冠木門がちらり。家光とお玉は白州に陶器のガーデンセット置いて並んで座り、有功は宸殿階前に立ち控えている)。後段、家光が倒れる庭も同所・このときお玉は居らず。
- 江戸城イメージ、二条城二の丸御殿書院。池泉越しのアングル。幕藩体制確立のため精力的に政務を執る家光のくだり。伊豆守と豊後守を老中に任命。
- 江戸城イメージ、二条城東南隅櫓(濠に影を落とす雪景、シンメトリが美しい。南側の石垣には「処理」が施されている)。家光が二ヶ月経っても伏せったまま、医師も匙を投げるというくだり。
- 世間体を慮り、父・伊豆守に殉死を迫る輝綱、屋敷イメージに滋賀院門跡。このとき、六人衆のうち阿部と堀田が切腹したことが語られる。このシークエンスのあと、自決している正勝が発見される運び。
- 野乃が薙刀の稽古をする庭、智積院書院内庭。十七年前の文が出てきたと称し、暗に正勝の死を知らせにくる使者(伝右衛門)、智積院書院式台玄関。この間、書院内廊下も使われる。
- 次期将軍が千代姫に決まったことが語られるくだり、、江戸城イメージに皇居巽櫓(紅葉を演出)。
- 有功に別れを告げにくる玉栄(出家済み)、彦根城玄宮園龍臥橋(紅葉は本物、天守は合成)。これに続く、家光の呼ぶ声を中空に聞いた有功が、振り向くとそこにいた幼い家綱を抱きしめる段も同所。
堺雅人 多部未華子 田中聖 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 市川知宏 西山潤 小澤美和 山本舞香 庵原涼香 段田安則 内藤剛志
演出/金子文紀
神原さとのエピソードがすっぱり省かれ、原作にはない稲葉正勝の妻子の話が盛り込まれている。正勝殉死の際幽体離脱とかちょっとヘンなところもあるが、無体を強いられた春日局の身内の悲哀にスポットを当てて、本筋に肉をつけてある。これ以外は細かい改変を除きほぼ原作を忠実になぞるが、最終話には進行を助けるかたちでドラマオリジナル要素がけっこう入っている。ことに、お玉の方が徳子姫をモンペさながらに溺愛する描写は、映画・綱吉篇へつなげる意図ありありの大胆さで、田中聖の顔が時として西田敏行に重なってしまうほどであった。
→ 大奥 男女逆転 (2010年松竹映画)
→ 大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇] (2012年松竹映画)
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