影同心 II

1975〜1976年、毎日放送/東映

音楽/渡辺岳夫 ナレーター/芥川隆行

OP堀田が歩く「荒地」、堀川河床
ED夕景の土手、平の沢池に似る

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第1話 「影の裁きは菊一輪」 1975.10.18

 行きがかり上、追われていた女を助ける堀田たちだが、暮らしが立つようにして寺の外へ出した途端、冷酷な意思が忍び寄る。
「四人」が引き返せぬ道へ踏み込む動機は、義憤であった。

神光院

ロケ地

  • 香泉寺で行われる施餓鬼の炊き出し、神光院中興堂前。施しを掠めた留吉たちが「戦果」を集めるのは本堂縁下。
  • 子をおぶい追っ手から逃げるお久、大覚寺御殿川河床。参道石橋下で追いつかれるが、通りかかった堀田が掘割に飛び降りて越前屋の手下どもを撃退。このあと、お久に助けてと縋られるのは参道。
  • 仕方なく香泉寺へ連れて行き、放り出すように庵主に預けるくだり、寺の門は招善寺墓地参道門。アングルは坂上から見下ろし。夜間撮影。
  • 越前屋から金を盗れと命令された留吉、夜勤明けの平七が出てくる牢の門は大覚寺明智門。御殿川べりに座り込んで待つ留吉越しのアングル、下からアオリ。
  • 香泉寺の寺男にされた留吉のアイデアで開帳される賭場、人を招き入れる門は招善寺墓地参道門・坂上からのアングル、昼間の撮影。
  • 寺社奉行・松平邸、大覚寺大門。越前屋へ入った賊の調査を命じられるくだり。アングルは御殿川手すり越しロング。
  • むごたらしく殺されたお久の検分、上賀茂神社ならの小川畔。
  • 南町奉行所へ出向き、知るべの同心にお久殺しについて問う堀田、大覚寺明智門。門柱ナメて明智陣屋を望む構図。
  • お久の墓前で悪党殺しを決意するくだり、墓は招善寺墓地、坂をのぼってすぐの立地。
  • 事後、もう引き返せないと三人に告げる庵主、雨の町角は広隆寺塀際か。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 お久/吉行和子 越前屋/藤岡重慶 佐兵衛/上田忠好 岩吉/市村昌治 おいね/片桐夕子 お勝/森みつる 石井多門/早川保 稲葉新左衛門/岡田英次 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/池上金男、岩元南 監督/工藤栄一

※子役は岡本崇


第2話 「つぼみで落ちた白い菊」 1975.10.25

 女殺しの犯人として追われる青年は、留吉の幼馴染み。捕方から逃れ寺へ逃げ込んでくるが、町方は強硬で堀田も折れる。
しかし、青年が斬首され恋人も自刃したあと、真相が知れるのだった。

堀川

ロケ地

  • 配達中だった錺職人の娘が殺される荒地(?)堀川河床。検分や犯行時(回想)は昼間、仕置の際は夜間撮影。
  • 稲葉さまが巡察に来る香泉寺、香月尼は神光院中興堂前で炊き出し中(中では賭場開帳中で大慌ての図)
  • 仙太とおしんが寺へ駆け込んだあと、殺人犯が逃げ込んだと捕方が門を叩くシーン、招善寺墓地入口門。夜間撮影。
  • 寺社奉行・松平邸、大覚寺大門。御殿川手すり越しの絵、小者が洗い桶の水を捨てるシーン入り。南町同心・河野が、香泉寺に匿われている仙太の引渡しを求めて掛け合いに来ている運び。
  • 寺へ捕方を引き入れる堀田のシーン、招善寺墓地入口門。境内からの撮影、石段が映り込んでいる。捕方に連行されてゆく仙太、留吉が尼に縋り、泣き騒ぐおしんが堀田に宥められている境内は神光院山門内側・生垣そば。
  • 梟首台から仙太の首を持ち去ったおしん、自刃する夜の墓地は招善寺墓地、坂の上(前話と同じ位置)。「二人」を見つけた際、尼が己の身の上を語るシーンがある。
  • 酒肆で雲州の与太話を小耳にはさんだ堀田、外で詳しく聞くシーンは桂川か(船上、水面しか映っていないが罧原堤付近っぽい)
  • 大身の若様たちを脅していて生き延びた方が暗殺される夜道、ロケかセットか不明(柳の生えた土手?)
  • その生き残りを捜し歩いていて襲撃される堀田、木場は斉宮神社脇材木置場、蔵が映り込んでいるほか、堀田が「玉垣」を乗り越えて逃げる。なお逃げる堀田、中ノ島橋上から身を躍らせドボン。
  • 襲撃の人数を率いていた岡っ引き・半次を誘導し捕える土手(?)、不明(草ぼうぼうの土手らしき法面、その上方に甍が映り込んでいる。或いは妙光寺か)
  • 留吉に河野を呼び出させる堀田、南町奉行所門は大覚寺明智門。このあと堀川河床で仕置き。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 河野重蔵/睦五郎 仙太/川口厚 おしん/津田京子 半次/江幡高志 雲州/汐路章 おいね/片桐夕子 稲葉新左衛門/岡田英次 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/神波史男、松田寛夫 監督/工藤栄一


第3話 「遅れて咲いた彼岸花」 1975.11.1

 札差の婿がねとなった青年だが、馴染みの女郎につぎこみ使い込み。妓と逃げようとしたとき、彼を利用しようとする向きから魔手が伸びてくる。そして、お嬢様にもしたたかな裏があるのだった。

招善寺

ロケ地

  • 弥之助と待ち合わせる札差の娘・お豊、大覚寺心経宝塔前広場に茶店設営。婿入りの話をしながら歩く二人、大沢池の方へ。二人の話を立ち聞く浪人は護摩堂縁先に。
  • 香泉寺の施餓鬼、炊き出しは招善寺墓地入口門の前で。坂に人が溢れている。平七が急に手伝いに来るが、女房に見せるための芝居という図。
  • 岡場所から抜け出したお浜、弥之助と約束していた権現裏の林は下鴨神社池跡(朝靄)。旅姿の弥之助は軍十郎に止められ、お浜は男たちに捕まり連れ去られ。
  • お浜を連行してゆく男たち、堀田に邪魔される坂は招善寺墓地参道坂、南側の小径へ行くところ、堀田に邪魔される。お浜は堀田の指示で門内へ。
  • 尼に言われ、弥之助の様子を権現裏へ見に行く留吉、下鴨神社糺の森から馬場を見る図。飴売りが通るが、当然弥之助はいない。
  • 弥之助の工作で金を持って出た朋輩の手代、軍十郎らが待ち構える町角は大覚寺大沢池木戸前、軍十郎は御殿川落ち口が見える有栖川畔に。
  • 連れ戻しに来た役人から逃がされたお浜、やって来た弥之助と再会し抱き合うのは招善寺鐘楼脇。南塀にある、上が花頭のくぐり戸が映り込んでいる。このあと二人が隠れる池之端の小屋、ここへ入る前に上がる土手は広沢池東岸、夕景。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 お浜/木内みどり 松永軍十郎/入川保則 弥之助/佐々木勝彦 お豊/小泉洋子 おいね/片桐夕子 お勝/森みつる 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/高橋稔 監督/倉田準二

※匿っている女を返すようしたためた寺社方の執行書に、「下谷・香泉寺」の文字。あと、岡場所は根津設定。


第4話 「風にりんどう小紫」 1975.11.8

 幕府御用達がかかった飛脚屋の遠駆け競争、ライバルの妨害をものともせず競り勝った男が名を上げるが裏には、というお決まりのパターン。
汚い手を使った方の「勝ち札」を庵主が火にくべて、地獄送りは開始される。

法輪寺

ロケ地

  • おいねが証言した、半次がトレーニングしていた夜の八幡さま、法輪寺参道坂。酒肆の近く設定。
  • 半次が釈放され、二見屋の衆が迎えに出る南町奉行所、大覚寺明智門
  • 遠駆けルート、渡月橋中ノ島橋、土手(見上げ/草深い)、並木道(松尾橋下手か)、棚田の畦道(湖西と思われるが、藪田神社付近にも似る)小椋神社境内舞殿脇(折り返し地点の標を付けてある)。設定は、神田明神下から下谷経由で千住大橋を渡って奥州街道を下り、小椋神社(表記は不明)で折り返しと語られる。
  • 堀田の指示で、半次の故郷・九十九里へ調査に走る甚助、走る道は先に出た草深い土手と、琵琶湖汀。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 韋駄天の半次、直次/島田順司 疾風の甚助/佐々木剛 お藤/小野恵子 二見屋/永野達雄 おいね/片桐夕子 お勝/森みつる 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/岩元南 監督/黒田義之


第5話 「女の争い紅葉花」 1975.11.15

 札差の妾が立て続けに殺され、家つき娘の本妻は傲然たる態度。もう一人いた妾は、次は自分と怯えしおらしく人を頼り、本宅へ迎え取られたあと本妻に直る。
視聴者には、うさんくさい気配がぷんぷん匂う仕掛け。

神護寺

ロケ地

  • 南町奉行所、大覚寺明智門。妾の死体発見者として聴取を受けた平七が出てくるところへ、女房と堀田という図。
  • 両親の墓参に香泉寺へやって来るお市、尼に挨拶するのは招善寺墓地参道坂、地蔵ナメて見上げ。このあと襲われかけたと悲鳴を上げるのは墓地。
  • 尼の依頼でお市を送ってゆく堀田、向島の妾宅へ送り届けたあと、現れた怪しの編笠侍を追ってゆく道、大覚寺有栖川畔〜湯豆腐嵯峨野塀際・朝鮮石人像ナメて。
  • 寺社奉行・松平邸、大覚寺大門。堀田がお市の世話を焼いたことに嫉妬したおいねが門前で待つ運び。
  • お市を訪ねてきた大工の太吉が、木更津屋と手を切るよう求める川辺、中ノ島橋下手桂川右岸汀。橋上に通行人あしらい。
  • 編笠侍に小女が殺されたと保護を求め寺へ駆け込んだお市、その後木更津屋が本宅に引き取ると迎えに来る際、駕籠屋が待つのは招善寺墓地入口門前、坂上から見下ろす図。
  • 出勤する平七、大覚寺明智門。木更津屋の圧力で、太吉の処刑が早まり本日という流れ。
  • お市が編笠侍に金を持ってゆくと約した妙源寺、神護寺。山門で留吉が浪人を仕置き、四人でお市を囲み尼が仕留めるのは毘沙門堂付近。堀田が引き上げる図は山門下坂、尼は金堂下石段を上ってゆく。「みょうげんじ」という寺は江戸に二三あるが、設定や字は不明。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 お市/三浦真弓 木更津屋久造/蜷川幸雄 太吉/柴田p彦 おいね/片桐夕子 お勝/森みつる 石井多門/早川保 八重/中原早苗 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/石森史郎 監督/黒田義之


第6話 「正体見たり枯尾花」 1975.11.22

 武士とも思えぬ自堕落な、しかし気のいい浪人は、まんまと悪党に騙され、死に追いやられる。亡骸に縋り泣く娘を見て、地獄送り発動。
めずらしく悲惨な長門勇と、留守宅を作り上げての穴掘りが面白い。

大覚寺

ロケ地

  • 富籤を買ってきた綾を呼び止め、簪をあげようとする留吉、今宮神社石橋。「恋人」が現れて果たせず。
  • 「恋人」に連れ出される綾、デートの汀は桂川か。
  • 犬飼浪人にせがまれ、稲葉さまに引き合わせる「芝居」をする黒兵ヱ、金戒光明寺本堂前。
  • 富突きの神社、今宮神社本殿前。絵馬堂下で、黒兵ヱが犬飼に「偽札」を持って名乗り出るよう指示。
  • 犬飼の亡骸が運び出される南町、大覚寺明智門
  • 黒兵ヱ配下の「恋人」沢吉が死体で見つかる川端、罧原堤下河原

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 犬飼茂十郎/長門勇 綾/上原ゆかり 沢吉/酒井修 闇の黒兵ヱ/勝部演之 おいね/片桐夕子 お勝/森みつる 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/岩元南 監督/工藤栄一


第7話 「百合の香りに夜の蝶」 1975.11.29

吉原哀話、悔しさをばねに成り上がろうとした女と、入れあげた末に捨てられ破滅した男と。
彼らをそこに追いやった欲望の権化がいたことを、尼たちは知る。

映画村

ロケなしセット撮り

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 夕霧/杉本美樹 藤兵ヱ/織本順吉 お徳/白石奈緒美 池松/田口計 丹波屋/穂積隆信 弥市/小鹿番 お勝/森みつる 勝山/戸部夕子 おいね/片桐夕子 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/高橋稔 監督/井上昭

※平七、仕置に欠席。今回の的は置屋の女将と女衒の二人。


第8話 「妻の秘め事乱れ菊」 1975.12.6

 和尚を殺し寺を乗っ取る悪党、これにとどまらず寺内において淫猥きわまりない所行を繰り広げる。
こやつの毒牙にかかって果てた貞淑なご婦人は、稲葉さまの奥さまなのだった。

赤山禅院

ロケ地

  • 浄了和尚を殺す「道具」を持って廊下をゆく雲海、不明(奥に花頭窓)
  • 寺社奉行・松平邸、大覚寺大門。雲海が和尚の死亡届けを出しに来る段。
  • 龍光寺へ検死に赴く寺社方、寺の門は赤山禅院山門。このときは門のパーツのみ映る。
  • 香月尼に縋りに来る、大検使・稲葉の妻女・佐代、招善寺墓地入口門〜本堂前(尼がお掃除中)。名は言えぬの問答中、堀田と留が玄関からどやどや出てきて「奥さま」と呼び、佐代は逃げ去る(墓地参道坂を駆け上がり)
  • 大奥のお女中も参る浄了和尚の葬儀、神光院中興堂・内部も使用。表から見ていた平七が、雲海の顔を見て旧知の悪党と気付く。
  • 駕籠を止めて香月尼を呼び止める雲海、広隆寺東塀際(木あり)。南蛮渡りの珍香があると言って、寺に誘う。
  • 嫌がる留を引きずって龍光寺へ赴く堀田、赤山禅院山門。夜をまって潜入させる心積もり。
  • 祭壇の前に座り込む佐代を連れに来る雲海、神光院中興堂内部。夫にぶちまけると頑張る佐代だが、脅されて連行されてゆくのは回廊。このあと「最中」の寝間に留が天井ぶち抜いて落ちてくる運び(ここはセット撮り)、虚無僧らに追っかけられる留は赤山禅院境内。
  • 佐代自刃の後、その遺言で香月尼に形見を届けに来る稲葉家の女中、招善寺墓地入口門。包みの中は不動明王立像。
  • 龍光寺を訪問の態で、虚無僧らに会釈して入る尼、赤山禅院山門〜境内(鐘楼際)。尼が雲海と死闘中、遅れて入ってくる三人、赤山禅院山門、参道、林間(境内は紅葉、多人数の敵と大乱闘)
  • 事後、遺品のお不動さまを水に投じる尼、広沢池岸葦原。強烈な光芒が朝か夕か不明。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 雲海/寺田農 佐代/市毛良枝 浄了/岩田直二 おいね/片桐夕子 稲葉新左衛門/岡田英次 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/山田隆之 監督/松尾正武

※雲海にアヘン香嗅がされてへろへろの庵主さま、倒れこんで押さえ込まれ逃げて衣はだけて、タイヘン。ぷすっと殺るまで長い。


第9話 「山茶花一輪武士の首」 1975.12.13

 香泉寺の庭先を借り、先君に「殉死」する侍たち。しかし裏には、黒い事情が隠されていた。
祖父や父が次々腹を切るなか、ひとり死を拒否した幼児を尼たちが預かるが、これがおおごとに発展してゆく。
子を世話するうち情が移り、手を離れたあとも気にかける、おいねの女心を悪用する奴輩が大いにむかつく仕掛け。

罧原堤

ロケ地

  • 早暁、香泉寺へ押しかけ庭先を借りたいと申し入れる田所(佐竹藩勘定方)招善寺墓地参道坂、本堂前。一族打ち揃って腹を切るのは神光院本堂裏、回廊東側の「庭」。このあとも香泉寺として、この二箇所が頻繁に出る。招善寺では、ほかにも墓地などが使われ、夜間撮影もある。神光院では、香華を手向けに来た御側役・平本に伊織が見つかってしまう段で、派手なレンブラント光線が映っていてキレイ。
  • 伊織のまわりをうろつく怪しの男を追いかけて捕まえる堀田たち、広沢池東岸並木。田所家の若党と知れ、伊織が駆け寄り抱きつくシーンは汀。
  • 若党が語る、藩御用の砂金が奪われた利根川の渡し、罧原堤下汀。もうもうと朝靄立つ。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 義助/久富惟晴 真崎勘解由/北上弥太郎 叶屋利兵衛/天津敏 江森十五郎/内田勝正 伊織/山下雄大 小一郎/小林勝彦 平本内記/幸田宗丸 おいね/片桐夕子 稲葉新左衛門/岡田英次 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/笠上和雄 監督/松尾正武

※事後、「嗚呼殉忠義烈之士」とか刻まれた田所の墓に町衆がわんさと詰め掛ける段、留吉に「拝観料」を渡して去る一人に福ちゃん。


第10話 「尼寺(秘)女郎花」 1975.12.20

 手入れを恐れた堀田により、寺から放逐される留吉。自棄を起こして遊里で散財→居残り。そこで彼が見たものは、地獄の底で蠢く遊女たちの惨状だった。
廓の阿漕な女将と、その家にいるくたびれた女郎は、庵主さまのむかしの朋輩。胸を病んだ若い女郎を助けようとして、悲劇が出来する。

鴨東運河

ロケ地

  • おとく姐さんに逃がしてもらったおしん、夜中辿り着き叩く香泉寺の門は招善寺墓地入口門。
  • おとくの早桶を担いで堀端をゆく留吉、疏水・鴨東運河高水敷。おとくのため穴を掘る墓地、招善寺墓地。
  • おしんを取り返しに、香善寺へ乗り込んでくる桔梗屋の女将(おうめ)招善寺墓地入口門。内側からの撮影、駕籠を乗りつける。
  • 庵主に迷惑がかかると案じたおしん、桔梗屋へ戻るため歩く早暁の堀端、疏水・鴨東運河高水敷。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 おうめ/水口竜子 おしん/梶三和子 おとく/荒砂ゆき お勝/森みつる 助蔵/中村錦司 おいね/片桐夕子 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/岩元南 監督/工藤栄一

※サブタイトルの(秘)は、実際には○の中に秘の字。


第11話 「(秘)能舞台鬼の花道」 1975.12.27

 商人を陥れ、職掌を悪用し私腹を肥やす高級官僚。加えて、日頃から上役の不正を疑っていた老練の同心が、親子ごと消されるのを見て、一殺多生の仕置が開始される。

相国寺

ロケ地

  • 南町の吟味役・河村が、煙たい同心を騙し討ちにする夜の橋、相国寺天界橋。斬ったあと、倒れている同心を池に蹴落とす。
  • 美濃屋から大金を盗った掏摸を追う南町同心の伝兵衛、石座神社前石畳〜参道坂。本殿前で追い詰めるが刃物を出して抵抗され、ヤバいところへ堀田が出てシメる。このとき、掏摸は執拗に寺社方の領分、と口にしている。
  • 金策に走る美濃屋を妨害するためつけ回すゴロツキたち、相国寺豊光寺塀際招善寺参道石段(香泉寺へ駆け込み/後段、堀田がゴロツキを蹴散らすくだりもここで。手すりに竹カバー施し)
  • 美濃屋のため南町へ掛け合いに行く堀田、大覚寺明智門。河村に直談判もすげなく断られる奉行所の廊下は回廊。さらに縋るも面体を打たれるのは式台玄関前。
  • 美濃屋夫婦の心中死体が上がる川、嵐山公園中州下手河原
  • 伝兵衛親子の「心中」死体が見つかる香泉寺の墓地、招善寺墓地

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 河村外記/御木本伸介 千代/八木孝子 美濃屋/西山嘉孝 伊勢屋/石田茂樹 田原伝兵衛/北村英三 おいね/片桐夕子 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/山田隆之 監督/河野寿一

※サブタイトルの(秘)は、実際には○の中に秘の字。


第12話 「尼寺(秘)女形狂乱」 1976.1.3

 人気女形の影がちらつく連続殺人、裏には過去の惨い事件が横たわっていた。
初めの現場に居合わせた庵主は、扇之助の裡に潜む情念に惹きつけられる。

嵐山公園

ロケ地

  • 紅に毒を仕込まれ殺された但馬屋の女将が発見される河原(?)、桂川河川敷か。
  • 次いで妾も殺されて怯える但馬屋に声を掛け、話し込む座長、中ノ島橋たもと(中州、上流側。導入は下流側から橋脚越しのロング、寄った絵では堰堤の落水が背景に)
  • 町方に追われた扇之助が逃げ込む香泉寺、招善寺。夜間撮影で、山門と参道坂をライトアップ、看板に「香泉寺」と黒々。本堂前なども出てきて、後段では昼間の絵もある。
  • どっと捕方が繰り出す寺社奉行所、大覚寺大門。今回は「寺社奉行所」の看板と門松付き。
  • 扇之助が誘導され取り殺される寮(?)、中山邸か(草戸や荒れぎみの庭、紅葉)
  • 扇之助と但馬屋の娘が心中死体を装って放置される河原、罧原堤下河原

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 扇之助/中村雪之丞 おとし/弓恵子 但馬屋/森幹太 芳十郎/中村竜三郎 おいね/片桐夕子 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/松山威、茶木克彰、佐藤肇 監督/佐藤肇

※サブタイトルの(秘)は、実際には○の中に秘の字。
※香泉寺へ押しかけた同心の一人に福ちゃん、上役に促され門に体当たり。


第13話 「進学塾(秘)甘い罠」 1976.1.10

 入学すると出世を約束されたも同然の、幕府学問所。そこの事務局長はひそかに私塾を開き、合格を確約し父兄から大金をせしめていた。
このからくりに圧し潰された娘と青年にそれぞれ関わっていた「メンバー」は、怒りをもって出陣する。

広沢池

ロケ地

  • 勉学に疲れたと遺書を残し縊れる侍の子、招善寺墓地
  • 幕府学問所、相国寺林光院
  • 捕えられた恋人の伊織を助けてと庵主に縋りに来る信乃、招善寺参道坂を駆け上がり、本堂へ。
  • 進学塾が開かれている大安寺、相国寺大光明寺
  • 身籠っている信乃と、受験勉強中の弟のため泥鰌をすなどる留吉、広沢池観音島石橋下。
  • 柳の不正を指摘した学長、その夜に暗殺される町角は相国寺弁天社(導入は高所から鳥居ナメて。大通院門が映り込んでいる)。翌朝、検分の多門に堀田が謎掛けして去る。
  • 多門が出てくるのを待つ堀田、大覚寺明智門(南町奉行所)。伊織を訴えた者の名を聞く。
  • 訴人した事務方をシメる堀田、相国寺鐘楼裏手塀際
  • 柳の手下をつとめる侍が開く道場、相国寺塔頭か(門のパーツのみ映る)
  • 信乃の墓、招善寺墓地。卒塔婆に縋り泣く弟を促して戻る坂は墓地参道坂、墓地入口門の前で「赤ちゃんを産ませてあげたかった」と庵主、一殺多生の台詞が続く。
  • 宴の席に入り込み、柳夫婦と老中を殺してきた三人が逃げてくるところ、残業で遅刻の堀田が駆けつける夜道、相国寺大光明寺南路地。庵主を追う用心棒たちを堀田が斬るくだり、大覚寺大沢池木戸〜観月台下〜五社明神。剣客相手ゆえ、鳥居や灯篭を使ったトリッキーな殺陣が展開される。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 信乃/服部妙子 柳玄石/安部徹 村上伊織/剣持伴紀 おいね/片桐夕子 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/木村雅夫 監督/河野寿一

※サブタイトルの(秘)は、実際には○の中に秘の字。


第14話 「(秘)女色地獄」 1976.1.17

 食い詰め浪人哀話、源八郎の剣友だった男は、最貧の暮らしに堕ちていた。
友のため駆け回る堀田だが、掛けられた辻斬り疑惑は晴れることなく、最も近しい筋から出た謀略に呑まれ、痩せ浪人は汚辱に塗れて逝く。

柊野堰堤

ロケ地

  • 駕籠が控える横をすり抜け香泉寺へ入ってゆく堀田、招善寺山門。中に松平家重役が待っていて、辻斬りは田宮武四郎と告げ探索を命じてゆく。
  • 牢の屑集めにもぐりこむものの露見し逃げる田宮、被り物をとり竹光を抜いて嘆く祠は大覚寺五社明神。追ってきた平七が物陰から見る。
  • 辻斬りは全て田宮の犯行だったち書き立てた瓦版を読む堀田、柊野堰堤下巌上。
  • 夜半、父の塚の前で腹切って果てる小太郎、招善寺墓地。発見されるシーンは昼間の撮影。事後、「二人」の墓前に立ち尽くす「チーム」の絵では、雪を演出。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 田宮武四郎/若林豪 綾/三条泰子 旗京次郎/清水紘治 坂部弥左ヱ門/深江章喜 小太郎/上屋健一 旗采女正/中丸忠雄 おいね/片桐夕子 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/大原清秀 監督/佐藤肇

※サブタイトルの(秘)は、実際には○の中に秘の字。


第15話 「尼と男の冬の宿」 1976.1.24

 隠れキリシタンとして蘭学青年が逮捕されるが冤罪、裏には欲に塗れた汚い思惑。無実の証を立てられるのは庵主だけという状況だが、間の悪いことに鎌倉行きで留守。連れ帰る道中にも、「一味」の刺客が差し向けられるのだった。

新日吉神社

ロケ地

  • 囚われた恋人のためお百度を踏む芸者・実里、新日吉神社本殿。南町同心・室生にまとわりつかれるが、堀田が出て水入り。本殿前の石段や、見下ろしで舞殿も映る。
  • 老庵主を見舞うため鎌倉へ旅立つ庵主を追ってくるが帰されてしまう留吉、庵主が行く街道筋は下鴨神社河合社脇馬場・旅人あしらい。足を止めて祈る題目塔は林際に設営、ここで留が出てくる。設定は鈴ヶ森。
  • 寺へ帰った留吉が暇そうにうろつく山門、招善寺山門。ここへ実里が駆け込んでくるが、参道石段で室生や岡っ引の乙造にからまれる。この前に、墓地参道坂を駆け下り南側の路地へ抜ける絵が出てくる。
  • 朝之進が磔と決まり、急ぎ鎌倉へ向かう堀田、下鴨神社馬場罧原堤下汀(六郷の渡し設定、船をおりたあと土手法面を駆け上がり)嵐山自転車道〜林道〜一様院(老庵主のいる鎌倉の寺、設定は「一様院」と台詞あり・看板もそのまま)。復路もだいたい同じ、神奈川宿以降の路程で、庵主が足をいためて立ち止まるくだりの坂道に大覚寺大沢池堤(東側、農地へ通じる坂のところ・碑あり)。襲撃者が出る畦道は北嵯峨農地畦道、川役人に止められる六郷渡しは同じだが小屋が出てくる。林道のほか、谷川沿いの山道など不明個所多数。
  • やっと帰り着くも朝之進の処刑は終わっており、磔刑台の下には実里の亡骸という刑場、下鴨神社池跡
  • 室生の仕置、新日吉神社本殿前。亭主の釈放を祈る女房にコナをかけているところ。夜間撮影。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 実里/小野恵子 室生辰樹/今井健二 柿崎定道/中村孝雄 乙造/牧冬吉 権六/五味龍太郎 橋田朝之進/坂口徹 おいね/片桐夕子 老庵主/毛利菊枝 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/山田隆之 監督/村山新治


第16話 「尼寺女の溜め息」 1976.1.31

 長屋追い立てには、表立った理由と異なる思惑あり。かつてその長屋に住んでいたという毒婦が、欲に塗れた男どもを引き込んで悪事の限りを尽くす。
悲惨かつ空虚すぎる結果に、庵主以下念入りに怒りを込めての仕置となる。

斉宮神社

ロケ地

  • 了庵が殺されかかる夜道、広隆寺東塀(木あり)。了庵の書置を見た庵主が捜しに出る朝の道、広隆寺東塀(木あり、塀の下部に崩れた個所が見える)
  • 清次を見かけ声をかけるお駒、斉宮神社脇材木置場。玉垣がはっきり映っているほか、蔵も見える。後段、お駒に呼び出された清次が密殺されるくだりでは、玉垣越しに材木置場が映っていて、清次は玉垣を乗り越えて逃げ、材木置場へ。検分の際には、境内から様子を見る堀田たちの姿がある。
  • 並んで立つ清次とお志乃の卒塔婆の前で出陣の決め台詞、墓地は招善寺

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 清次/志垣太郎 お駒/茅島成美 島田主膳/江見俊太郎 了庵/山村弘三 お志乃/松木聖 清水屋佐兵衛/北原将光 甚三郎/山本昌平 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/川口桂 監督/村山新治


第17話 「一殺多生の大相撲」 1976.2.7

 香泉寺乗っ取りを狙う悪徳口入屋は、他でも汚いやり口で人を泣かせていた。苦界に沈められかけた女を救う騒動のさなか、若い相撲取りが命を落とす。

広沢池

ロケ地

  • 放駒部屋の褌担ぎ・大吉を香泉寺へ連れてゆく堀田、広沢池東岸並木。
  • 焼け出された放駒部屋を世話する、両国の慈照院、神光院。口入屋・亀屋の若い衆が押しかけて和尚に凄むところ、放駒親方に捻られるくだりは、山門〜本堂前。後段、放駒部屋の稽古が行われるシーンは中興堂前。
  • 亀屋に借金返済を強硬に迫られ、窮した庵主が堀田に相談しにゆくくだり、大覚寺大門。尼は石の手すり際に立ち待っている。
  • 親方の行李から五十両とって香泉寺へ走る大吉、広沢池東岸並木。親方に赦されたあと、立ち尽くす汀は広沢池東岸(夕景)、土手上から堀田が呼ばわる。
  • 庵主が身請けしてきたおしのが、弟とともに土浦へ帰るくだり、見送られる香泉寺の門は招善寺山門。送っていった大吉と別れるのは広沢池東岸並木。亀屋の衆が出ておしのを拉致する道は大覚寺護摩堂前、放生池堤を去る(平七談、駕籠が東へ行ったなら両国の岡場所へ売るつもり)
  • 大吉の墓、招善寺墓地
  • 放駒の豆撒き、中興堂か招善寺か(花頭窓が見える)

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 大吉/金子吉延 亀屋儀兵ヱ/南道郎 おしの/三浦リカ 銀次/黒部進 三太/羽田勉 鬼ヶ瀬/団巌 おいね/片桐夕子 放駒清一(元龍虎、特別出演) 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/岩元南 監督/黒田義之


第18話 「身代りの報酬」 1976.2.14

 幸薄い兄妹の悲劇、兄はお店のため刃傷沙汰の身代わりをつとめた挙句、妹は若旦那のなぐさみものにされた末、文字通り嬲り殺しに。
香泉寺に二つの亡骸並び、「一殺多生」の仕置き発動。

招善寺

ロケ地

  • 若旦那と夜の稲荷(セット)で密会中チンピラに拉致されたおその、からがら逃げたあと倒れ伏す香泉寺墓地、招善寺墓地。早暁、留吉が発見し保護したあと、堀田がやって来るシーンでは墓地参道坂が出て、岡っ引の辰蔵がからんでくる(このあと手下のチンピラと合流し墓地をうろうろ)。保護されるも姿を消したおそのを捜す留吉と平七、本堂まわりや墓地。
  • おそのの死体が見つかる水辺、広沢池東岸汀。石井が検分し身投げと断定。
  • 辰蔵を尾行する紋次、見張る南町奉行所の門は大覚寺明智門
  • 辰蔵たちに斬りつけ返り討ちに遭った紋次を寺へ連れ帰る平七と留吉、招善寺参道坂
  • 事後、二つの卒塔婆の前に立ち尽くす四人、招善寺墓地

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 紋次/横光勝彦 おその/二篠朱実 おちか/真山知子 辰蔵/木村元 対馬屋伝兵ヱ/柳沢真一 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/津田幸於、佐藤肇 監督/黒田義之

※対馬屋の表記はママ、劇中呼称・店名表記などは「但馬屋」。
※福ちゃん、但馬屋出入りの岡っ引・辰蔵の手下の西田良のさらに子分のチンピラ、クレジットはベタ。女を監禁していたぶる役で、最後はそれを刺殺。仕置の際は留吉に楊枝刺されて木槌でゴン。


第19話 「御用地図強奪」 1976.2.21

 時代遅れの公儀天文方は、新進気鋭の蘭学者が作る地図に戦々恐々。これが次期町奉行職をめぐる代理戦争の様相を呈し、若い恋人たちを踏み潰してゆく。
空の彼方に消えた淡い恋に吠える、留吉哀し。

琵琶湖

ロケ地

  • 公儀天文方・山片の助手として浦賀水道の測量に参加する新助、往路は琵琶湖西岸汀。実測が行われる野原、酵素河川敷。新助が登らされるとわざとらしく落石の崖は他所を併用(砕石場か)
  • 御目付・矢部の支持を得て、新助・月江・留吉の三人で浦賀へ測量に向かう道、海浜は琵琶湖西岸。留吉が梵天を持って実測の水辺は広沢池東岸。このとき、水神様を荒らすなと土地の百姓が押しかけて道具を壊されてしまうが、彼らは土手から殺到・扇動者の浪人も土手に。
  • 囚人に道具を修理させ出発の段、琵琶湖西岸
  • 地図が完成するという朝、炭を買いに出る月江、招善寺山門。留吉付きだが、このあと拉致。
  • 脅迫状に応じ、地図を渡しに行く新助、大覚寺天神島祠。七年前の一揆に加わったかどで、捕方が出て新助を捕縛。
  • 安藤を仕置きする留吉、女を侍らせ池の鯉に餌をやる庭は青龍苑池泉・切石橋の上で。安藤は重職としか判らないが、モデルは若年寄・安藤信正か。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 新助/柴田p彦 月江/志摩みずえ 山片道玄/藤岡重慶 矢部良澄/中井啓輔 九鬼一鉄/片岡五郎 楓屋重三郎/石浜祐二郎 折井要蔵/滝田裕介 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/曽田博久 監督/佐伯孚治

※「折井」はあぶな絵好き、などという設定も盛り込まれている。


第20話 「罠に泣く女の黒髪」 1976.2.28

 仇討ち姉弟に関わる留吉たちだが、助けようにも、悪党どもが全て裏でつながっており敵わず、留吉などは敵方に囚われてしまう。
むざと捕まり無念の死を遂げた弟の首桶を携え、留吉以外の三人は得物を吟味したあと出陣してゆく。

永観堂

ロケ地

  • 桃代と真之助姉弟が仇を討とうとして罠にはまる景徳寺、永観堂。留吉が露店を冷やかしているのは、中門前参道。姉弟が仇の東国屋(元加賀藩金箔改方、姉弟の父に己の不正の罪着せて殺)を追い詰めるシーンは唐門前から御影堂前、このとき誘い込まれて「八代さまお手植えの梅」の枝を真之助が斬ってしまう運び。唐門脇の狭間に寺社方同心の石堂が潜んでいて、飛び出してきて梅を斬ったと姉弟を咎める。連行されてゆく姉弟は極楽橋、留吉が石堂をボコって二人を逃がす。逃げ回る姉弟は阿弥陀堂脇石段を駆け下り、留吉が石堂から取り返した得物を渡してやるシーンは「疏水」の落水が滝となっている「池上」のところ。
  • 留吉に言われた通り香泉寺を目指す姉弟、追っ手から逃れ身を潜める堀は大覚寺勅使門前石橋下御殿川河床
  • 香泉寺へ捕方が殺到するくだり、招善寺参道坂、山門。嫌そうについてきた堀田が、本堂縁先をずかずか歩くシーンもある。姉弟は墓地にある小屋に隠れているふうに作ってあり、墓地入口門を出てくる役人たちを板の隙間から覗く図が出てくる。
  • 姉弟が庵主たちに語る、仇討ち旅の苦労、山道は不明。お昼を使うお堂は大覚寺護摩堂縁先。雪の道は大覚寺放生池堤
  • 堀田が上役・殿村に呼ばれ怠慢を叱責されるくだり、寺社奉行邸は大覚寺大門、御殿川河床から手すり越しに見上げる図。
  • 桃代の許婚者という加賀藩祐筆を訪ねる堀田、姉弟も梅の件も知らんと言われ出てくる玄関は相国寺大光明寺式台玄関、再び祐筆に簪を見せて問うが不調、ここで他の藩士から彼が留守居役の娘を貰って新婚なことを知らされる。この後、門から覗いていた留吉に簪を託し「許婚者は国へ帰ったと言え」と堀田は去るが、留吉の姿を大黒屋が方丈塀際の松の木陰から凝視している寸法。
  • 香泉寺へ簪が投げ込まれ桃代が連れ去られるくだり、不審そうに出てくる桃代は招善寺墓地入口門。東国屋の手下が、「六地蔵」裏に潜んでいる。
  • 石堂が捕方を連れて香泉寺へ殺到するくだり、真之助を逃がそうとしてしてやられる堀田、招善寺墓地入口門と坂。ここが裏口ということが示される。
  • 牢に入れられていた真之助が、切腹のため寺社方へ回送されてくるくだり、唐丸は大覚寺大門へ入ってゆく。アングルは先に出たものと同じ。
  • 真之助の首桶を香泉寺へ持ち帰る堀田、招善寺墓地参道坂を下りてゆく。
  • 事後、真之助の卒塔婆の前で祈る「四人」と、なりたてほやほやの「尼」、招善寺墓地。折からの雪でくしゃみする留吉の止め絵で終わる。甍の向こうに山なみがのぞく。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 桃代/梅田智美 真之助/三木豊 東国屋藤兵衛/村上冬樹 殿村求馬/高城淳一 忠太夫/佐々木孝丸 四方造/伊藤高 石戸十三/原口剛 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/三芳和也 監督/佐伯孚治


第21話 「木枯しの中の二人」 1976.3.6

 留吉の孤児仲間だった兄哥が現れる。再会を喜び合う二人、昔のままの気のいい兄哥と見えたが、心の奥は荒みきっていた。
角兵衛獅子の兄妹を労わる気持ちと、兄哥への思いの狭間で揺れる、留の葛藤が重苦しい。

今宮神社 若宮社裏手を望む

ロケ地

  • 香泉寺、招善寺。お獅子の兄妹を庇護する段から、墓前で出陣のくだりまで、夜も昼も多用される。山門、本堂ほか墓地内外も頻繁に出て、珍しいところでは墓地入口門から南の路地への坂を見下ろす形で、兄妹の母である現・武蔵屋妾のおふさに因果を含める巳之吉たちが崖の上から覗く図が出る。
  • 武蔵屋を探っていた岡っ引と武蔵屋の女中の死体が上がる川端、広沢池東岸汀。角兵衛獅子兄妹が見た殺しの被害者。
  • 香泉寺から姿を消した兄妹を捜しに出る留吉と堀田、太鼓の音が聞こえたと足を止める「境内」は今宮神社稲荷社脇、親切ごかしに子らに近づいていた巳之吉は境内狛犬脇。
  • 牢で武蔵屋の子分を殺ったのは兄哥かと問い詰める留吉、今宮神社若宮社裏手。摂社の裏側が映るほか、坂や絵馬堂の側面が映り込む。設定は両国、武蔵屋の近く。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 巳之吉/高橋長英 武蔵屋/山岡徹也 おふさ/町田祥子 太吉/山田雅彦 おさよ/広瀬登美子 おいね/片桐夕子 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/松山威、茶木克彰 監督/林伸憲


第22話 「一殺多生の影の肌」 1976.3.13

 平七をハメた美人局は、女に入れあげた挙句、大きな借金を作ってしまった若旦那の仕業。怒ってとっちめに行くものの、二人の意外な純心を見、背後にいる汚い奴らを知った一同は、そやつらから逆に毟ろうと思いつく。この茶目っ気が、のちに仇となるのであった。

大覚寺

ロケ地

  • 朝の香泉寺イメージ、招善寺山門、鐘楼、本堂縁先。鳥の音は「チョットコイ」。泉屋の大旦那が、法要の金まで倅に使い込まれたと庵主に申し開きに来る段。
  • 平七が駕籠を仕立ててなかへ繰り込む際に通る日本堤、広沢池東岸土手。このあとセットへスイッチ、駕籠ごとどこかの部屋へ連れ込まれ、美人局に遭う運び。
  • 小春に本当の気持ちを聞かされる庵主、招善寺境内か。ここで、河田屋から金を毟り取ることを提案。
  • 小春は既に旅立ったと偽り、倉吉に文を渡す庵主、招善寺墓地入口門付近か。このあと、旅立つ小春を見送りに出たところで、竹造一味に遭遇する道は大覚寺竹林際・奥に心経宝塔。
  • 倉吉と小春の死体が心中を装って棄てられる川端、広沢池東岸汀。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 小春/上村香子 泉屋倉吉/住吉正博 河田屋/金井大 与兵ヱ/岩田直二 竹造/小林勝彦 はげ六/泉米八 どん亀/唐沢民賢 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/小野竜之助、大原清秀 監督/林伸憲


第23話 「一殺多生政商を斬る!!」 1976.3.20

 父の権力を笠に着た馬鹿殿のやりたい放題、裏には御用商人がいて金に物を言わせる次第。まさしく虫けらのように殺された者たちを見て、仕置は発動する。
いちおう訴訟に持ち込もうとするあたり、ちょっと新味・しかし無用の死を作り出すだけというお決まり展開でもある。

中ノ島橋

ロケ地

  • 鑿を手にした房吉が門前に立つ夜の安川邸、相国寺林光院。屋敷の内部はセット撮り。
  • 兄・房吉の長屋が荒らされ、兄本人も見つからず、思い詰めて香泉寺へやって来るおたえ、招善寺墓地入口門。この前に夜勤明けの平七が来ていて、墓の掃除中だった留吉と軽口をたたいているところへ、坂をおりてやって来る運び。
  • 高崎へ帰るところを拉致されたおたえ、翌朝死体で見つかる神明橋たもと、中ノ島橋下手右岸河川敷。死体を見た庵主は「嬲り殺された」と呟く。
  • おたえの墓にやって来る房吉、招善寺墓地に卒塔婆。
  • 房吉の許婚者だったおしのの死の真相を証言してくれるよう、彼女の朋輩・おひさに頼み込む庵主、中ノ島橋下手中州法面。尼は下流側に去り、橋下に武蔵屋の手下のごろつきがいて凝視。おひさが勤める料亭は両国にある設定。
  • ぬけぬけと庵主に会いに来る武蔵屋、乗ってきた駕籠とお供のごろつきが招善寺墓地入口門で待つ(坂上から見下ろし、ロング)
  • 安川邸へ斬りこむも即返り討ちに遭う房吉、相国寺林光院門前。門から戸板に乗せられ出るところを「四人」が凝視、仕置に移行。夜間撮影。

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 房吉/倉岡伸太朗 おたえ/高田瞳 安川数馬/石山雄大 黒岩市之進/原健策 おしの/水原麻記 おひさ/松村康世 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/池上金男、茶木克彰 監督/黒田義之

※数馬は将軍家側用人・榊原の妾腹の子、旗本寄合席の家に養子に入っている設定。父親への仕置きはなされず。


第24話 「そして影は去った!!」 1976.3.27

 最後の的は大物、親切面して弱者を食い物にする大悪党は、町奉行とつるんでいた。
怪しの口入屋に潜入した留吉は露見して捕まり、身代わりにされた男の話を聞いた平七もまた捕らわれてしまう。

ロケ地

  • 浅草寺で起きた殺人事件に出張る堀田、不明(南町同心・松永が印伝の財布を拾って隠すシーンに、大杉の根方と石灯籠が映っている)
  • 留吉が消えたと庵主に聞かされた堀田、石井同心を待ち受けて内情を探ろうとするが、茂平は処刑と聞かされる町角、御所か(五本線入りの塀)
  • 茂平の妻子の野辺送り、広沢池東岸。堀田と庵主は並木から見送る。
  • 平七の塚、罧原堤付近か(汀は礫)。三人がゆく夕焼けの野原、不明(寺は無住になったと語られる)

香月尼/浜木綿子 留吉/水谷豊 平七/山城新伍 松永伊十郎/嵐圭司 山崎屋藤兵ヱ/多々良純 お園/和田幾子 清次/鶴賀二郎 茂兵ヱ/寺下貞信 伊蔵/中島正二 酒井駿河守/岸田森 おいね/片桐夕子 石井多門/早川保 堀田源八郎/黒沢利男

脚本/高橋稔 監督/黒田義之


 → 影同心 (第一シリーズ)


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