時代劇ロケ地探訪 法起寺 聖徳太子のゆかり深い斑鳩の里も近年開発が進み、法隆寺門前のR25などはドライバーにとって常時渋滞している厄介なポイントで、情緒もへったくれもない。もちろん寺域に入れば昔と変わらぬ森閑とした佇まいで、堂塔伽藍やアルカイックな仏像が千年余の時を越えて迫ってくる。

 鄙びた里の情景は、いますこし奥に分け入らねば得られない。法隆寺東院傍らに建つ、太子の母・間人皇后ゆかりの中宮寺を経て北にゆけば、太子の息子・山背大兄皇子創建と伝わる法輪寺。そこを東へとれば、岡本の里の法起寺へ出る。寺には、日本最古にして最大の三重塔がある。

 塔のある情景は斑鳩の里のシンボルであり、大和の広汎なイメージともなる。畑地から望む法起寺の塔は、わたしたちが胸に抱くノスタルジーを体現している。

 北大路欽也主演の隠密奉行 朝比奈は、遠隔地ロケを敢行した意欲作で、大和郡山を舞台にした第二シリーズの「奈良 金魚になった少女」では、たくさんの奈良ロケが行われた。東大寺大仏殿や飛火野と鹿、薬師寺などのいわゆる「観光名所」を映すほか、朝比奈河内守がゆく大和の野の情景に、法起寺の塔を畑地から望む絵が採用されている。ここのコスモスと塔は、CMに使われたこともある絶品のショット。

法起寺

 →隠密奉行 朝比奈2 視聴記

奈良県生駒郡斑鳩町大字岡本


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