時代劇の風景 ロケ地探訪
− 大門と参道 −
大覚寺入口 | 入口の碑 |
大覚寺の入口には「御所址」の碑が立つ。 後宇多天皇がこの寺で院政を執り行ったことから「嵯峨御所」の名がある。 南北朝動乱の舞台となり、南朝から北朝へ三種の神器が譲渡されたのはここ大覚寺においてである。教科書にあった「大覚寺統」なんてタームを覚えておられる向きもあるだろう。 ゆかり深い古刹の入口は意外にひっそりしている。 しかし境内へ足を一歩踏み入れるともうすぐに時代劇スポットが現れる。 |
参道の石橋 | 石橋の隙間 |
入口から進むと、参道の橋が見える。門前を流れる御殿川に架けられたこの小さな石橋も頻繁に使われるスポットである。 翔べ!必殺うらごろし「女は子供を他人の腹に移して死んだ」では囚人を嵌めるため牢に火を放った同心がおばさん(役名)に呼び止められ刺し殺されるシーンで用いられた。 定番ものでも長七郎君が渡ったり、徳田新之助がお庭番の報告を受けていたり、三匹が悪者の噂をしていたりする。 鬼平犯科帳1「蛇の目」では蛇の平十郎の手先が橋のたもとで狙う屋敷の見張りをするため屋台を出し、別の配下の彦の市は蔵の金型を取ったあと橋を渡って帰ってゆく。 幕府お耳役檜十三郎最終話「闇の裁き!小判に抱かれて死ね」では全編通じて暗躍する悪の首魁・大目付筆頭京極丹波守が深夜屋敷を出て通る道に参道が使われ、駕籠は石橋を渡って裏金を渡しに赴く。 女形気三郎「裁かせていただきます」の二本松藩下屋敷前で藩士に絡まれる鬼龍院同心のシーンはこの橋の上である。 江戸中町奉行所「私怨無用の闇始末」では悪玉・戸田山城守を水流添我童が暗殺するシーンに用いられた。水流添は橋の下に潜み、橋を渡る山城守を真下から刺すのだが、刀は橋の真ん中から出てくるのである。拝見したときはどうやっているのか判らなかったが、現地で橋を調べると上右の写真の如く「隙間」があり、ここからにゅっと刀を出したものと思われる。同「非常の影狩り」では関宿藩上屋敷に侵入するのに爆発物を橋に仕掛けて、という乱暴な場面もある。 設定はほぼ江戸市中で、江戸以外でも同様に武家屋敷や役所の近く、というものが多い。これから述べる大門とセットの使用例もよく見かける。 |
石橋を渡って大門のほうへ | 大門・東から |
大門・正面 | 大門・御殿川を挟んで |
大門から式台玄関 | 大門・西から |
大覚寺には二つ並んで門があり、向かって右に大門、左に明智門となる。大門のほうは拝観受付への入口となっている。 斬り抜ける「あなたが欲しい」では松平丹波守江戸屋敷、服部半蔵影の軍団「悪魔が呼んだ奥州路」では真田藩支藩下久保藩の陣屋、岡っ引どぶ「悪魔の小箱殺人事件」では仙石家上屋敷、長七郎江戸日記「風流双面草紙」では柳生宗冬邸、同「命、売ります」では旗本上杉主膳邸、暴れん坊将軍2「暗殺計画、手引きは御生母!?」では尾張藩下屋敷、同「十手無用の父娘鳥」では火盗改役宅、鬼平犯科帳「蛇の目」では元御殿医・道有屋敷、江戸中町奉行所「禁断の愛に泣く女」では朝倉藩江戸屋敷、神谷玄次郎捕物控「針の光」では南部藩上屋敷、幕府お耳役檜十三郎「闇の裁き!小判に埋もれて死ね」では大目付京極丹波守屋敷、必殺仕事人・激突!「主水、幕府のクーデターにまきこまれる」では大目付日下部主膳邸、大江戸犯科帳・闇を斬る!「筆頭老中への陰謀」では若年寄兵頭丹後守邸と、もう枚挙に暇ないほどである。 |
■ 大覚寺 表紙 |
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