時代劇の風景  ロケ地探訪

大覚寺

− 玄関付近 −

式台玄関 式台玄関から宸殿破風
式台から 大門見返り 大門内側

 大門をくぐってすぐ、拝観受付の右手にあるのが式台玄関。江戸期の建築物で、木造入母屋造瓦葺、正面に銅板葺きの唐破風を持つのが特徴。東福門院の女御御所の一部と伝わっている。幔幕に染められた十六弁菊が皇室とのゆかりを感じさせる。
その格式から、大藩の屋敷や貴人を迎える玄関として使用されることが多い。

 西郷輝彦が遠山金四郎を演じた江戸を斬るでは、「紫頭巾」おゆきが晴れて御輿入れの際白無垢を着て出立の水戸家上屋敷として使われた。同じナショナル劇場の水戸黄門でも水戸藩上屋敷設定が見られる。
必殺仕掛人「正義にからまれた仕掛人」では、梅安の座敷で自死を遂げた奥方の屋敷として使われた(旗本屋敷)
必殺からくり人富岳百景殺し旅「駿州片倉茶園の不二」にはお茶壺道中もので、茶頭が迎えられる本陣の玄関に式台玄関を使っている。
三匹が斬る!「空っ風、可愛い女の恨み文字」では日光例幣使が出立する東照宮の玄関として使われた。
必殺!主水死すでは大奥に招かれた捨蔵母子の様子を窺いに来る姉小路が入る玄関がここである。
続・三匹が斬る!「さすらいの姫君、哀れ菊一輪」では小藩・亀石藩の陣屋として用いられ、藩主と意気投合して居着いている千石と招かれた五條少納言一行について来た殿様が邂逅するシーンに用いられた。最終回では、矢坂平四郎(殿様)そっくりの伊達家の六男坊が婿として迎えられる笠間藩江戸屋敷として使われた。

明智陣屋 遠侍と陣屋 陣屋前

 明智陣屋は亀山城の一部と伝えられる木造切妻造の大きな建物で、明智の名は亀山城主明智光秀の名を残すものである。ぱっと見にはよそのお寺の庫裏と区別がつきにくいが、前に生えている姿のよい松の木と、手前にある供侍が目印となる。また、懸魚部分が白漆喰なのも目印となる。供侍には嵯峨御流の生け花が展示されている。

 新必殺仕置人「同情無用」ではとらの会会場の外観として明智陣屋が使われた。
京極夏彦「怪」の「隠神たぬき」では一条戻橋に酷い辻斬りの出た翌朝、能楽師・市村松之舗の京での宿舎で血糊のべっとり付いた能面が発見されるくだりで明智陣屋が映っている。
忠臣蔵1/47では浅野内匠頭夫人が落飾し浅野本家に移る際、藩士たちと名残を惜しむシーンが明智陣屋の前で撮られている。
映画たそがれ清兵衛では、明智陣屋の前にある蔵が清兵衛の仕事場である庄内・海坂藩の蔵として使われた。

■ 大覚寺 表紙

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