東山・月輪の麓にあり、境内に三の橋川が刻む渓谷を持つ禅の古刹は、紅葉の名所で通る。この渓谷には三つの趣深い屋根付きの橋が架かり、中でも通天橋と称される、法堂から開山堂への参道となる高橋が紅に埋もれるさまは、一幅の名画の如くである。時代劇に使用される頻度はそう高くないが、通天橋が使われる効果は絶大。 東福寺は南都の二大寺院、東大寺と興福寺にあやかって二字をとり寺名とし、九条関白家の菩提寺として創建された。広大な寺域と巨大な伽藍は当初より著名で、京の町雀たちに「伽藍づら」と称された。はじめ天台・真言・禅の三宗を兼ねたがのちに臨済宗大本山として京都五山に連なる。幾度かの火災を経て風雪を耐えた伽藍は、今も壮麗さで見るものを圧倒する。南北に長く伸びるトイレ(東司)ですら重文指定なのである。
京都市東山区本町 |