時代劇の風景 ロケ地探訪  広沢池 西岸

ボートから西岸を望む
 池の北は遍照寺山の裾、南西岸にはヨシ茂り柳が繁茂する湿地が形成されている。ここは池上で、細流が池に注ぎ込んでいる。
西側の農地越しに池辺を望むアングルなども見られる。必殺商売人最終話、主水の子の野辺送りなどが印象的。
西岸 ヨシ原と柳 西岸 湿地
 西岸にはヤナギが多く生えているので、桜並木のある東岸とは少し違う用い方をされる。設定はおなじく大川端などの水辺だが、足場の違いもあり、大立ち回りなどはまず行われず、少人数でのしんみりとしたシーンが比較的多い。印象的なのは御家人斬九郎「冬木町の女」。斬九郎にまとわりつく奔放な女の話で、捕物に協力したご褒美のデートの待ち合わせの場で嫉妬に狂ったストーカーに刺されてしまう哀話。この哀れな女の塚があるのが西岸の水辺。女の幸薄さを象徴するみすぼらしい野末の墓は、つよく印象に残る。
 小川の流れ込み付近は、ザリガニとりの親子連れで賑わうスポット。豊臣秀吉天下を獲る!では、幼い日吉丸が生計を助けるため魚をすなどる尾張中村在として湿地が使われたが、夏になれば同じような光景が見られるのである。
ボートから観音島を望む
 西岸の大きな特徴は観音島。石垣で固められた小島で、橋が渡されている。今は石橋だが、古い作品では土橋が架かっている。
必殺仕事人の後期、木更津のお助け地蔵として用いられたのが印象的。
観音島へ渡る橋 観音島 舳先の祠
観音島の石仏
 観音さんは南面して立っている。島の舳先には弁天さんの祠がある。
広い水面を背景にしたり、山を入れてみたりと様々なアングルで使われる。
鬼平犯科帳「あきれた奴」では、岡村同心が心中を止めて助けた母子の身の上について語るおまさの姿が舳先に見られる。小雨がぱらついて池面に水輪をつくり、情感を盛り上げている。
石垣に腰掛けて釣り、というシーンもよく見る。水辺におりる階段のところで、幼女に突き落とされているおちゃらけ者もいる。
水抜き後の池底 水抜き後の汀
 鯉揚げで浚ったあとは春まで池底をさらした姿となり、蛇行した水脈が現れる。この光景も使われる。
「赤面ゑびす」では、算盤の徳次郎の呑馬術にかかった同心が褌一丁で正気に返るのが水脈脇。火野正平の口のアップから場面が広沢池に切り替わる。このほか、鬼平犯科帳雲霧仁左衛門盤嶽の一生などでも冬ざれの池底が使われた。

☆広沢池ロケ使用例一覧 ・1979年以前 ・1980年代 ・1990年代 ・2000年以降

広沢池表紙  広沢池東岸

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