川を訪ねる旅

鯖街道

■  5. 瓜割ノ滝  ■

 国道27号・鯖街道を京に向かう道すがら、遠敷の里には古刹・天徳寺があり、杉木立の境内には「水の森」がある。
養老年間、泰澄大師の開基になる天徳寺は村上帝の勅願寺で、天竺より飛来した八大龍王が水を齎したという伝説を持つ泉が境内の大杉の根方から大量に湧き出している。

駐車場から背後の山 天徳寺 瓜割滝と天徳寺川の碑

 各地のダムで取水制限が行われるこの夏の大旱にもゆたかに水を噴き出すその泉は、湧く水のあまりの冷たさに浸した瓜が割れたという故事から「瓜割ノ滝」と称されるようになった。
杉の根方の二つの湧き口からの水はまさに「滝」となって流れ落ち、境内を水煙を上げながら流れ下り、天徳寺川として地域住民の飲料水となる。

湧出口下  滝となって落ちる 驚くほどの水量
岩の奥から湧き出す
底には特有の紅藻
湧出口アップ
勢い良くしぶきをあげて噴出する水
瓜割の滝への道
鬱蒼とした杉木立が続く
泉の水は天徳寺川となって流れ下る

 森を流れ下った水は天徳寺門前でこのように取水され上水となる。
また、門前の茶店では別に引いた水で名物の「水まんじゅう」を冷やして売っている。        

水槽へ導かれる天徳寺川 門前で売っている水まんじゅう

 小浜の伊勢屋のものとまた微妙に違った味わい。その場で平らげてしまった。
この菓子は家へ持ち帰って冷蔵庫で冷やすよりこうして湧き水で冷やされたもののほうが美味しい。
冷やしすぎたビールが旨くないのと同じ理屈なのだろう。

 この日は人出が多く、なかにはとても行儀のわるい一行もいた。曰く飲み水にしているから土足で入るなと大書した看板の前で河床を踏み荒らす、曰く注意されると聞くどころか逆に食って掛かる、ここまでひどいのはなかなか見ないが、各地の「名水」、ことに名水百選に選ばれたところでは時々見掛ける。
名水、滝、花の名所といったところにこうした人たちがよく出没するがどういった風向きなのだろうか。

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撮影地  福井県遠敷郡上中町 天徳寺         撮影日  2001.8.14


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