大和川1次支流 ・流入先 〜大和川 ☆大和川水系一級河川 訓:さほがわ


 奈良県を流れる、大和川中流部の支流。規模は支流中二番目。
奈良市春日野町・生琉里町(ふるさとちょう)境の花山と芳山の間の谷(一帯は春日原生林)に発し山中を北流、奈良市中ノ川町に至り西転、奈良市川上町の三笠温泉郷を取り巻くように蛇行し、大和盆地に出ると南西流し奈良市街の北縁を貫流。奈良市南法蓮町の奈良女子大の北で向きを西に変え平城宮方面へ流れ、奈良市芝辻町で南転、盆地を貫流し大和郡山市額田部南町で大和川に注ぐ。
下流部は天井川となる。

一級河川の起点は奈良市中ノ川町石出・クレ橋。全長15km、流域面積131平方km。
最源流部の春日原生林には「鶯の滝」がかかる(奈良市川上町)

佐保川支流
吉城川 ・菩提川 ・菰川(菰川放水路含む) ・岩井川(←能登川) ・秋篠川(←朝日川押熊川大池川乾川) ・蟹川 ・地蔵院川(←前川) ・菩提仙川(←五ヶ谷川) ・高瀬川(←楢川正田川) ・珊瑚珠川(←石上川) 中川

■ 上流  柳生道

奈良市中ノ川町
道は国道369号 山の向こうは柳生
奈良市川上町
山の稜線が切れるあたりは東大寺

大仏殿 佐保川の上流には柳生へ通じる道が添う。上写真付近から川が道と離れてゆく。
このあとの国道369号のピークは淀川水系との分水嶺となる。
佐保川は三笠山の北に広く明るい谷を刻んで流れてゆく。
道が般若寺で京街道と合流する手前では、山の端に東大寺大仏殿の大屋根が姿を現す(左写真、矢印は佐保川)

■ 中流  奈良の市街地

奈良市法蓮町
下長慶橋から上流望
下長慶橋付近の水鳥たち

 平地に出た川は奈良市の市街地北部を西流してゆく。川相は三面張りとなる。
ひところずいぶん汚れていたが、地元住民や流域の学校関係者の努力により見違えるようにきれいになっている。

奈良市法蓮町・芝辻町境、佐保川小学校前

 佐保川小学校の南を流れる佐保川堤には、桜並木が続く。
近年遊歩道も整備され、花期にはたくさんの人出がある。

■ 中流  平城京南部

奈良市大安寺西一丁目
大安寺西小学校前親水護岸
奈良市大安寺西二丁目
団地は新大宮ハイタウン
奈良市杏町・大和郡山市九条町境
電車は大和路線
奈良市西九条町五丁目
平城京羅城門跡碑

 佐保川は新大宮駅の西方で大きく直角に曲がり、南下を始める。
このあたりはかつて平城京の一部で、佐保川は都の東を流れる青龍として位置づけられたものと思われる。
当時都市造営にあたって用いられた四神相応の陰陽道の思想で、飛鳥京の飛鳥川、平安京の鴨川などと同様である。
その平城京の朱雀門が最近復元されて壮麗な姿を見せているが、表玄関たる羅城門は佐保の河原に石碑を残すのみである。
川相はコンクリート護岸がほとんどだが、雑草の緑被率が高く生物の住処となっている。また川堤には桜が多く、花の季節には賑わう。
南下を始めてからは天井川となり、堤が高い。川べりに学校が建つところでは親水護岸が設けられ、川におりるテラスがついている。

■ 下流  郡山

下流  大和郡山市番条町・寿橋から 河口  大和郡山市額田部

番条町環濠 奈良市と大和郡山市の境で秋篠川を右岸に迎えてからは、支流を集めつつ盆地底へ向かって流れてゆく。
また、秋篠川合流を境に河川管理が奈良県から国交省にスイッチする。
流域は田園地帯で、古来よく氾濫を繰り返した部分である。
*左写真は番条町の一角、造酒屋等もある古い集落。

佐保川を詠った万葉歌
・うちのぼる佐保の川原の青柳は今は春べとなりにけるかも(万葉集巻8-1433・大伴坂上郎女)
・佐保川の清き川原に鳴く千鳥かわずとふたつ忘れかねつも(万葉集巻7-1123)
・佐保川に鳴くなる千鳥何しかも川原を偲ひいや川のぼる(万葉集巻7-1251)

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