大和川概要 | 大和川水系一級河川 訓:やまとがわ |
大和高原及び笠置山地に発し奈良盆地中央部を西流しつつ盆地諸流を集め、県境の峡谷を抜け大阪平野に出て大阪南港で大阪湾に注ぐ。 全長約64km、流域面積1070平方km、流域人口約200万人。 |
流程の詳細
■ 源流 大和高原の平行分水界 奈良県都祁村
大和川の源は、都祁の高原にある。
谷からはじまる源流ではなく、ほんの少しのピークが大和川と淀川に水を分けている。
流れはじめの大和川は、道脇の溝状の水路である。
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■ 上流 渓流と里川 奈良県桜井市小夫
ダムに入るまでの大和川は、山里に深い谷を刻む。
周囲の山からの谷水を入れ、流れは次第に太くなってゆく。
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■ 上流 渓流からダムへ 奈良県桜井市瀧倉〜和田
時に荒瀬となる河谷は、やがてダムに入る。
上水水源となる湖は「真秀ば」の名を冠する。
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■ 上流 長谷寺門前町と初瀬峡谷 奈良県桜井市初瀬〜慈恩寺
初瀬川は、古来尊崇を集める古刹・長谷寺の門前町沿いに南下する。
そのあと、伊勢街道沿いの明るく開けた谷を西にゆく。
古代、隠口の初瀬と称された谷には、棚田が広がる。
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■ 中流 大和中原 奈良県桜井市〜田原本町〜天理市
谷から出た初瀬川は三輪山の裾をめぐり、青垣山からの水を集めてゆく。
左岸には弥生時代の唐古遺跡があり、歴史の古さを感じさせる。
流域には広大な農地が広がり、川水の利用度が高い。
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■ 中流 諸流集まる盆地底 奈良県大和郡山市〜王寺町
奈良盆地のいちばん低いところでは、支流群が集中してくる。
名も大和川と変わり、大河の様相を呈する。
ひとしきり支流を合わせた川は、県境へ向かって流れてゆく。
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■ 中流 県境の峡谷 奈良県王寺町〜大阪府柏原市
奈良盆地の水を集めた流れは、大阪府との境で山中に峡谷を穿つ。
谷筋には奈良と大阪を結ぶ動脈である国道25号やJRが通じる。
亀の瀬と呼ばれるこの峡谷は大規模な地すべり地帯で、現在も対策が講じられている。
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■ 下流 大阪平野 大阪府柏原市〜大阪市
大阪平野南東隅に出た川は、河内の野を突っ切ってゆく。
現在は西流しているが、近世以前はここから北を向き河内平野を乱流していた。
河内の子らは、学校へ上がると必ずその付け替えの歴史を習う。
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■ 汽水域と河口 大阪府大阪市・堺市境
汽水域ではシラスウナギ漁が行われ、川に遊ぶ人の姿も見える。
汚れた川のお墨付きは頂いているが、水質は近年良くなりつつある。
河口付近は埋立地で、かつての住之江の面影は無い。
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大和川流入河川 太字は支流解説含む
■上流部流入
源流部諸谷 滝川 芹井川 萱森川 口の倉川 倉鳥川 吉隠川 白河川 狛川
■中流部盆地底流入
佐保川 寺川 飛鳥川 曽我川 岡崎川 富雄川 不毛田川 佐味田川 三代川 竜田川 信貴川 葛下川 坂根川 実盛川 関屋川
旧大和川筋の川 別ウィンドウを開きます |
■大和川流域にはかなり早い時期から人が住みついたが、弥生後期集落は大和盆地東南部の初瀬川流域に特に多い。川の規模が小さく、稚拙な技術でも利用しやすかったことがその要因と思われるが、人口増加に伴い現在も抱える水不足という問題が表面化し、その結奈良盆地には果多くの溜池が作られることとなった。
■大和川の上部は古くから初瀬川という通称を持つが、佐保川合流あたりまでを言うようである。河川法上はすべて大和川となる。川西町保田の浄化センター付近の左岸に国交省の河川管理境界を示す看板が立っていて、ここから上を初瀬川、下を大和川と記されている。
■大和川が流路を付け替えられたのは江戸初期で、その頃いよいよ盛んになった集約畑作農業の隆盛という転換期と、水害常習地帯の農民らの請願を受けて実行されたもの。工事を指揮したのは中河内の庄屋・中甚兵衛で、工期は一年に満たぬ短期工事であったという。この結果、河内平野では綿作が発展を遂げる。
■付け替え以前の、旧大和川本流筋にあたる長瀬川・玉串川・平野川は現在大和川から取水した水を僅かに流す水路様の川になっていて、大阪城の北で寝屋川と合流し大川に注ぐ。これらは現在淀川水系に属する。
■下流部においてもふだん水量の少ない川で浅い瀬が見えているが、降雨時には一気に大水になるなど、水量の変化が大きいことが特徴である。また、各支流の源流域では近年宅地開発がめざましく水質汚染が深刻な問題となっていて、このところ水質ワーストクラスにランクインしている所以である。他の河川と比べて集水域が狭いことも、水質が悪化しやすい要因のひとつと思われる。
■参考資料 大和川の水質 大和川・淀川流域の古地形 ライブカメラ解説