時代劇拝見日記 2004年2月

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2003/2/29

■ 新選組! 第8話「どうなる日本」2004.2.29NHK

 食客が増えたりで「母上」はカンカン、トシはお仕着せのお見合いを嫌がりながらもど助平、伊東大蔵は初登場ながら人の話なんか聞いちゃいねー舞い上がりぶりを見せ、渋いキャスティングの佐々木只三郎は意味深な言辞を吐き、そして勇は盃を交わし歓談した異人が惨殺されるのを目の当たりにし号泣する…剣客ならもう少し機敏に事に当れよ…。やがて血塗られる運命の人々の息づかいがテンション高めのタッチで描かれるのを、後段どう料理するか見もの。
2004/2/28

■ 銭形平次スペシャル「暗闇の婚礼」1993CX/東映

 鬼火を纏わり付かせ江戸の夜を徘徊する怪しの花嫁行列、裏には実際起こった哀しい事件が隠されていた。
その昔、寛永寺から奪われた池田藩の奉納金と観音像。責を負い自刃した侍とその後嫁入りの駕籠を門前払いされ自死した娘の悲劇、刑死した凶盗の片割れとその遺児、逃げおおせて冨商となり仏を蔵に隠している悪党、三方からの複雑な事情を紐解き平次の投げ銭が秘密を暴き出す。
 ロケ地、お静が魔除けの札を求める縁日、神護寺石段下にセット。芝居小屋を襲う観音の権次から逃れ身を隠す吉之助とお文、中ノ島橋(追っ手は橋上、二人は橋下水路脇)。「暗闇の婚礼」の話のもととなった花嫁行列の悲劇を描く段、武家屋敷街に擬された路地・門、不明(相国寺か妙心寺と思われるが確信なし)。吉之助とお文が密かに連絡をとる、仁和寺九所明神。凶盗の遺児の三兄弟が巣食う荒れ寺の塀、仁和寺西塀か。

■ 鬼平犯科帳5 「怨恨」1994.3.16CX/松竹 通算87話

 鬼平の密偵と、密偵に情報を上げる「洩らし屋」。それぞれに事情あり気遣いありの心情を、まるで理解せぬ脳天気な木村忠吾を狂言回しにして描く一作。
事件は、三年前取り逃がした賊の一人が江戸に舞い戻ったという情報がもたらされた事にはじまり、その盗っ人・磯部の万吉を軸に話が進む。万吉はかつて仲間を殺して金を持ち逃げしたことの報復を恐れ、金を盗られ身内を殺された盗賊は病んだ体を「洩らし屋」の家に預け、洩らし屋とつながる五郎蔵は秘密の気配を嗅ぎ取るも黙す。そして病をおして老盗が発ったあと、凶盗・万吉の情報は火盗改に急報されるのだった。
 ロケ地、おかしらに全てを任されたと上機嫌で傲慢な態度の忠吾にアテられ悪酔いした五郎蔵がおまさにボヤキの橋、中ノ島橋。磯部の万吉の女房が経営する千住・小塚原飛鳥明神門前の茶店・浜乃屋、清涼寺境内湯豆腐竹仙。洩らし屋・喜十の態度の変化をおまさと話す五郎蔵、木島神社元糺の池畔。南八丁堀の喜十の煮売り屋を出た今里の源蔵が、喜十の娘に飴を買ってやる湊稲荷、木島神社本殿前。今里の源蔵の回想、駿府・大井川を遡った笠間山中の盗っ人宿で万吉に殺された仲間、鳥居本八幡宮鳥居下(闇に舞殿が浮かび上がる)
*事後、まだ五郎蔵に密告者の詳細を迫る忠吾、おかしらにやんわり注意されるが「まるで判っていない」とナレーションが入る。むくれたり、やに下がったりの表情はやはり秀逸。「ご褒美」の塩羊羹の淡い色がちょっと旨そう。
2004/2/27

■ 助け人走る 第34話「必死大逃走」1974.6.8ABC/松竹

 代がわりした差配役を抱きこみライバルを消し、お上御用を我が物と企んだ塩問屋。陰謀が進行するうち、当の差配役が家付きの妻を過って殺してしまうという馬鹿な事態が起こり、子飼いの男をスケープゴートに立てようとするが、助け人たちに阻まれたうえ差配役ともども仕置されてしまうのだった。
 ロケ地、坂出屋が差配役・諸口に提供する妾宅、中山邸通用門。物見遊山接待の最中、三平に腹踊りを強要する諸口、今宮神社高倉(しのの茶店)
*養子の差配役・諸口に菅貫太郎。接待の場での態度が傑作。妾宅に乗り込んだ妻を殺してしまうのはぶっ叩いてるうち鞘が壊れ刃が出てしまうアクシデント、その後の暗ぁい表情は狂気じみてて凄い。最後は龍に刀を跳ね飛ばされ、投げられた際上向きに落ちていたそれに脳天を貫かれる痛い死に方を遂げる。*腹踊りの三平を匿った小屋を囲まれる助け人たち、矢場のゴロツキたちとの大乱闘は見もの。元締は出ず。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第185話「男なみだの恋太鼓」1978-1982/東映

 故郷をしくじって江戸に出た元博労の馬吉、縁あって旗本屋敷に奉公することに。乱暴者の彼だが、きれいな奥方にぞっこん参りしばらくは平穏な日々、しかし亡き主人の火盗改与力が残した盗賊の隠し金を記した書付を狙った残党に一子がさらわれ、直情径行の馬吉は単身黒幕の屋敷に救出に向かい斬られ、淡い思いは告げられずに終わる。
 ロケ地、夜嵐の佐平のアジトに討ち込む火盗改、広沢池東岸に漁師小屋セット。与力横死の経緯について報告を聞く上様、枳殻邸印月池畔。与力の奥方が賊の残党に書付のことで襲われる、鳥居本八幡宮鳥居下(主の子を救出した馬吉が追いつかれ斬られるのも同所)。天狗様の祭礼の縁日、今宮神社(稲荷社、石橋、東門)。残された書付を焙り出し読み解く新さん、相国寺林間の路地。
*馬吉に新克利、惚れっぽい設定だが印玄のように荒っぽくはなく「長崎犯科帳」の同心に近い良い人設定。

■ 江戸を斬る II 第23話「人情恋裁き」1976.4.12C.A.L

 今回の伊蔵親分の誤認逮捕は金四郎、おゆきに岡惚れの島屋の若旦那を巡る恋の鞘当てから起こる一件。うしろで糸を引く盗っ人への手配は金四郎の示唆で橘町の親分が鮮やかにしてのけ、金四郎の身柄は「遠山家用人」が引き取りに来て幕、渋々引き渡す知らぬが仏の伊蔵なのであった。タイトルは岡惚れ若旦那を元の鞘に戻してやる北町奉行のお裁きから。
 ロケ地、太助が若旦那に妙な工作の茶店、今宮神社門前・かざりや。若旦那の許婚者の兄が突っかかり伊蔵に十手でボコられる、石橋東門。釣りの金四郎が盗っ人について次郎吉の報告を受ける、大覚寺大沢池水門付近の汀。
2004/2/26

■ 助け人走る 第33話「忠誠大心外」1974.6.1ABC/松竹

 密命を受け妻に去り状を渡し死をも覚悟し阿波に潜入の男、そして夫を信じ待つ身重の妻、遊び金欲しさの江戸家老に悉く裏切られ踏みにじられる。妻の側から利吉たちが、夫の側からは旅先で関わった元締が金を託されていた。藩邸に忍び再会を果たす助け人たち、久し振りに全員揃った席で仕掛けにゴーサインが出される。
 ロケ地、行き暮れる日田の妻を助けるしのの茶店、今宮神社高倉下。元締が旅先で木彫の仏を寄進の寺、不明。藍屋に差し出された日田の妻が入水しようとする橋、中ノ島橋。阿波から戻る途次、街道で襲われる日田平之助、桂川松尾橋下手右岸堤。須坂藩邸、相国寺大光明寺(門、塀)

■ ニュー・三匹が斬る! 第16話「藍玉に惚れた阿呆と盗る阿呆」1994.6.2/東映

 藍作農民を庇護し正当な商いをする阿波屋、ライバルの徳島屋と、つるんで悪事を働く藍方代官に消される。後を継いだ娘も妨害に遭い商い停止となるのに立ち上がる三匹、「許せん」発動。これに、侍を捨てて阿波屋で働く元仇討ち青年と、彼の父の仇で徳島屋の刺客に雇われた浪人の哀話が絡む。
 ロケ地、阿波の藍畑をゆく殿様、摩気民家北側の畦道。徳島城下の茶店で仇持ち侍に斬りかかられる千両、山室堤道に小屋セット。刺客たちを飼ってある徳島屋の冨田浦寮、中山邸(門、参道)

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第184話「花嫁衣裳の甘い罠」1978-1982/東映

 早くに妻を亡くし男手ひとつで娘を育て上げた普請奉行、軽い気持で受け取った娘の晴れ着が命取り、賄賂は賄賂と脅されずるずると汚職の泥沼に引き込まれてしまう。配下で娘の婿にと目した若侍の諫言、娘の訴えに苦悩した奉行は自訴を決意するが、評定所へ赴く途次でワルの手先に斬殺、これを見た上様は黒幕の若年寄屋敷に乗り込み集まったワルどもをまとめて成敗。
 ロケ地、普請奉行の娘・早苗を連れ出し奉行が悪事に巻き込まれていると告げる許婚者の改方・江藤、上賀茂神社校倉神事橋。材木高騰についての若年寄たちの談合を報告の庭番、大覚寺五社明神(本殿と舞殿の間)。相模屋の手先に襲われる江藤、下鴨神社河合社裏手。新さんが早苗に奉行の自訴を勧める、上賀茂神社ならの小川畔。早苗が父に自訴を勧める、大覚寺大沢池北西畔。普請奉行が斬られる、ならの小川畔〜川中。
*固いイメージの普請奉行の娘に西崎みどり、どこか薄幸そうなイメージ。

■ 江戸を斬る II 第22話「恐怖の黒い狼」1976.4.5C.A.L

 凶盗・黒い狼が跳梁、鳥居の余計な口出しで金四郎は水野老中に逮捕の期限を切られてしまう。調べを進めるうち一味に幼馴染がいることを知る金四郎、深川の無法地帯に身を沈めるその男は金四郎の説得にも耳を貸さず、病んだ体を放棄するような形で捕り物の最中に自刃して果ててしまうのだった。
 ロケ地、幼馴染の生駒が金四郎を呼び出す山王御旅所、赤山禅院(本堂、朱玉垣)。生駒の回想、生計のため川で蜆取りの生駒少年を手伝い小遣いを渡す金四郎、上賀茂神社ならの小川(川中、神事橋)
*生駒弥三郎に山口崇、濠外に巣食うアウトローを狂犬じみた目つきで好演。
2004/2/25

■ 助け人走る 第32話「偽善大往生」1974.5.25ABC/松竹

 火事の被災者にお救い小屋を建てたり供養したりで仏の称ある備前屋、しかし当の火事はこやつの火付け。悪事を知る手下が密かにあるじから金を脅し取ろうとして一騒動、これに助け人たちが巻き込まれる。依頼自体は火事で親を失った幼い娘から来る。
 ロケ地、備前屋が脅迫者の求めに応じ千両箱を置く猪牙船のもやる大川端、広沢池東岸。強請りに加担の浪人の仕官予定先の高須藩邸、大覚寺明智門。依頼者の幼女と、放火犯を求めて通行人を見る平内さん、中ノ島橋上。備前屋に雇われた龍が文さんの「死体」を投げ込む川、嵐山公園中州側河川敷(栗石敷きの右岸)
*龍が文さんを襲撃して殺すお芝居、おとなしく担がれてゆく文さんの「死に顔」が頓狂でなんとも可愛い。

■ 長七郎江戸日記2 第15話「三途の橋」1988.5.10日テレ/東映

 凶盗・鷹ノ目を息子の仇と追う同心が殺され、残された孫娘を保護した長さんは賊の巣食う「濠外」へ向かう。司法の手も届かぬスラムがひとしきり描かれ、これを隠れ蓑に抜け荷で大儲けした金で出世を目論んでいた北町与力を焙り出した長さん、屋敷へ乗り込み双剣を振るう。
 ロケ地、凶盗について六と話す縁日、心経宝塔前に茶店セット。手入れを逃れ中州に隠れるスラムの住人たち、罧原堤下桂川中州
*スラム潜入の長さんの出で立ちは袴をつけた浪人態、うっすら無精髭。ラス立ちはいつもの。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第183話「影に躍らされた男」1978-1982/東映

 正義漢の目付、勘定奉行の悪事を調べ上げ再三告発するも握りつぶされ、遂に天誅と駕籠を襲う。自訴して出、静かに切腹を待つ彼にもたらされたのは殺した筈の奉行が生きていて会所頭取として再び民を泣かせ悪事を働くという情報。いきり立つ彼を抑えた新さん、のうのうと家督を継いだ奉行の息子にカマをかけ誘き出して成敗。
 ロケ地、目付・保本がお預けとなる麻布の毛利屋敷前、大覚寺参道。会所頭取邸、中山邸通用門。保本を投降させたあと勘定奉行の手先の虚無僧(一人は福本先生、天蓋をはねあげる姿がカッコいい)に襲われる新さん、下鴨神社糺の森林間〜池跡。目付の妻を預ける尼寺・妙心寺、不明。事件の経緯を庭番とツナギ、大覚寺護摩堂(縁下から見上げのショットも)。事後、上様のお声掛かりでの復職を拒み、殺めてしまった替玉の菩提を弔う保本、化野念仏寺境内。

■ 江戸を斬る II 第21話「目撃者は花嫁」1976.3.29C.A.L

 身を固めろとせっつく親に魚政の入り婿になると嘘をつく太助、父と妹は一目嫁をと出府、そこで父が殺人事件の容疑者として伊蔵に誤認逮捕されてしまう。もちろん乗り出す金四郎、被害者の妻が殺し屋を頼んだ経緯を洗い出し鮮やかに解決してのける。事後、養女だった妹と太助を娶わせる次第となりメデタシ。
 ロケ地、太助の父と妹が出府途中通る道、大覚寺放生池堤(池から鰻の魚籠を上げる父の姿を描写、息子に鰻を料理してやろうと持参の目打ちが殺しの道具とされてしまう…この作品はこういうところが丁寧)
*白州に引き出された殺し屋、手口は針をぼんの窪に刺すという設定、また「晴らせぬ恨みを晴らしなどと言っちゃあいるが」との捨台詞は必殺を意識したものか。依頼者白木万理だし。
2004/2/24

■ 助け人走る 第31話「狂乱大決着」1974.5.18ABC/松竹

 元清兵衛配下だった逃がし屋桃助登場、不幸な女に深く同情し身の立つように世話する気配りの男。彼は義憤にかられ八州取締の妻を東慶寺に駆け込ませようと図るが、悪どい八州の手が回り、あらぬ罪を着せられ獄門に。桃助が出立間際託した金が利吉の手によって助け人たちに手渡される。
 ロケ地、桃助が辿る鎌倉への間道、谷山林道かと思われるが確信なし。
*八州に戸浦六宏、極度の刀フェチで欲しいとなれば神官ぶっ殺して奉納刀をゲットなどする悪党、また出世のため妻を上司に差し出しておきながら後になってDVという癇立ち男を好演。背の小っこさもよくハマる。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第182話「かりそめに咲く夜の花」1978-1982/東映

 尾張大納言のトンデモ書状をネタに幕府を強請ろうと謀る悪党あり、しかし馬鹿なことに手下に雇った狂犬じみた浪人に手を噛まれ本人たちが強請られたり。この馬鹿どものおかげで遊び人に身をやつして夜鷹と接触し探りを入れる役回りとなる大岡さま、気のいい浮かれ女に惚れられどぎまぎ。女は「忠吉」に化けた忠相のため奔走するが狂犬に斬られ落命、大岡さまの身分に気づいていた夜鷹は虫の息で正体を名のるよう求めるのだった。
 ロケ地、尾張大納言の書状を秘密裡に運ぶ小姓頭が斬られる柳原土手、広沢池東岸(その前の道中風景の富士は西岸からの池に合成)。尾張藩上屋敷、妙心寺南総門(前の濠に庭番が潜む)。ラスト弓の上様は枳殻邸印月池畔。

■ 江戸を斬る II 第20話「娘目明し」1976.3.22C.A.L

 タイトルの女親分は名岡っ引の一人娘、土田早苗が演じる。
事件は当初ならず者同士の殺傷事件と見えて裏に阿片密売の悪の組織、遊び人のなりで町をうろつく金四郎、売人の女が中毒になりフラフラなのを救出・女親分が先走って監禁されへろへろなのも助け、紫頭巾と一緒にワルを叩きのめし捕り物小町の手柄にして去ってゆく。女親分の手柄は瓦版となり、見当違いの男を捕えて悦に入っていた伊蔵は鳥居耀蔵に激しく叱責されてオシマイ(説明くさい怒りかたがちょっと阿部怪異ふう)
 ロケ地、北町奉行所、大覚寺明智門

■ 痛快!三匹の御隠居
 第7話「無理難題お茶壷騒動 麿が関白でおじゃる」1999.12.2テレ朝/東映

 大道芸の最中腰をやった勘兵衛を自宅に伴い手厚く看病する夫婦、亡父にそっくりとにっこり、勘兵衛の涙腺は早やうるうる。夫の宿役人がお茶壺道中の茶頭と警護役に無理難題を押し付けられたすえ監禁され危地に陥るや激昂、あと二人の老人も加わり関白に化けて大狂言を打ち散々に懲らしめるという始末、幻夢特製の怪しの茶を将軍に献上しちゃった茶頭たちは、上様下痢ピーの責を負い切腹との噂が語られて幕。
 ロケ地、幻夢とお蝶が袋井宿手前でお茶壺道中が居座り諸人迷惑を見る、山室堤道。乾三四郎が越後の縮緬問屋ふう老人(関白・近衛綾麿)と盃をかわす茶店、保津峡落合落下岩上にセット。
*行き倒れて運ばれ、はっと目覚めた乾三四郎「ここは霊界か」と手前味噌のギャグ、そのほか関白芝居がバレそうになった際の近衛さま登場のくだりはまんま忠臣蔵の垣見五郎兵衛ネタなど、パロディ横溢。*警護役に遠藤憲一、見た目甚だしく凶悪なるもどたばたがよくお似合い。腹踊りは保存ものかも。

■ 剣客商売5 第7話「新妻」2004.2.24CX/松竹

 大坂から江戸へ帰るさ、名が同音だったことからいわれの無い襲撃を受ける大治郎、当人に会いわけを聞き江戸へ送り届けることとなる。そして斬り防ぎ倒した追っ手は「大次郎」の舅なのであった。
 ロケ地、道中の宿場風景はみろくの里と瀬戸内の海浜、「濠外」の橋や鬼平劇場版冒頭の無人の宿など懐かしい風景。荒井宿を発った二人の「だいじろう」が飯をつかう渓谷は保津峡落合。難を避けて泊まる寺、不明。長瀬達之助が待ち構える吉田城下手前の豊川、天神川堰堤上の広河原に簡素な木橋をセット。「大次郎」が入る江戸城和田倉門外の評定所、二条城本丸櫓門。鐘ヶ淵イメージに橘寺手前の畑を水面に合成の画。
*長瀬に林与一、苦衷のすえ娘婿の追っ手をつとめる老武士を熱演、さすがに気品あり。
2004/2/23

■ 助け人走る 第30話「貸金大仕掛」1974.5.11ABC/松竹

 足を洗った元錠前切りの老爺のもとに、昔の仲間から依頼が来る。人助けとたばかられ盗みに手を貸してしまった老爺は翌朝邪魔とばかりにあっさり消され、彼からもしもの時にはと孫娘への品と金を預かっていた助け人たちは孫娘の嘆きと怒りを無視し得ず唐津屋一味に仕掛けることとなる。
 ロケ地、唐津屋が融資した金をまんまと盗み出す松崎藩邸、大覚寺明智門。祖父の死に茫然と水辺に佇む孫娘、嵐山公園中州堰堤脇。松崎藩から帰る唐津屋を藩士が襲撃、大覚寺五社明神(文さんと龍は祠の後ろに隠れて見ている)

■ 八丁堀の七人5 第8話「娘の初恋!好きな人の父は辻斬り!?」2004.2.23ANB/東映

 上司に罪を着せられ浪人した不器用な父が友に誘われ出向いた仕事は辻斬り強盗。その息子はふとしたことからおやいちゃんと知り合い、急速に親しくなってゆく。予見された別れは強盗たちのアジトに討ち入り果てた父の死後現実となり、実も結ばぬ淡い恋は若い二人の胸にかりかりと爪跡を残し終わるのだった。
 ロケ地、河内屋襲撃の辻斬りたち、車折神社本殿前。あとでおやいと東吾がデートの縁日も同所。八兵衛が東吾の父・田所を連れ出し話す堀端、八幡掘舟橋上。田所を悪事に誘った友人が消されたあと、青山さまも出張り田所と話す、日牟禮八幡宮。郷里へ帰る東吾のもとへ駆けつけるおやい、八幡掘各所。渡し場、大覚寺大沢池船着(大)。事後、青山さまと八兵衛の掛け合い、八幡掘明治橋上〜堀端(今回も鼻打ってコケの青山さま)

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第181話「据膳喰う奴喰わぬ奴」1978-1982/東映

 巡検使もの、上様は「ちょっと旅」で佐倉領へ。ほんものの巡検使が接待を受けるなか、新さんこそ本物と誤認の佐倉藩家老たちがどたばたを繰り広げる。田の中まで入って調査の新さんを見込んだ庄屋の娘からきっちり苛政のネタも聞き出し、藩主がのこのこ出てきたところで「ああっ上様じゃ」。
 ロケ地、佐倉領印旛村の一揆寸前の情景に使用の土橋や鎮守に棚田等不明…亀岡か。家老たちが褌一丁で泳ぐ新さんを見かける川、およびラスト見送りの橋、木津川流れ橋(川は増水し濁り入る。また橋脚は右岸側のコンクリ部分が大映し、現在と川筋が少し違う)
*タイトルの据膳は巡検使接待の膳のほか、庄屋娘が新さんの接待に出た際の「据膳」を掛けてある…見張りを意識して床にがばっとやっただけなんだけど。*接待攻勢の佐倉藩家老に梅津栄と汐路章、絶妙のコンビ。

■ 江戸を斬る II 第19話「桜吹雪が闇に舞う」1976.3.15C.A.L

 滅多に墨を見せない本作の遠山さまがお白州で片肌脱いでおぅおぅおぅ、これを見せるのに大滝秀治をキャスティングし憎さげに「証拠はございますかな、証拠は」としつこく迫らせる。これに至るに、大滝秀治に騙されて吉原へ娘を売ったものの金も貰っていない老母の哀話と娘たちの難儀や、同様の目に遭い兄を殺された娘の話が時間をかけて語られる。大滝秀治の大ワル吝嗇医者への憎悪を掻き立てるお奉行さまを集中して描くため、今回妖怪も閻魔も登場せず。そして証拠の桜吹雪を見せたあと、恥ずかしいものを開陳させやがってとナイーブな遠山さまなのであった。
 ロケ地、吉原から逃げ伊勢屋の若旦那と心中未遂の小夜衣太夫、広沢池東岸葦原。この際誤って若旦那を刺した乳兄弟が自訴して出る北町門前、大覚寺明智門。若旦那ともう一人、圭庵に苦情申し立ての若者が消されて上がる大川、桂川松尾橋付近右岸汀。おゆきと源七が張り込み圭庵の指示で悪事を働く早乗り三次を捕縛の千住大橋、中ノ島橋。遊び人のなりで仙台藩下屋敷の賭場へ潜入の金四郎、大覚寺五社明神大門
2004/2/22

■ 新選組! 第7話「祝四代目襲名」2004.2.22NHK

 もう少し土臭く描かれればよかったかもの六社明神の紅白試合。土佐勤皇党が多摩なんとかは飛ばし過ぎなるも池田屋で斬死する亀弥太の哀しい伏線と考えれば後段に期待か。
髑髏を刺繍した稽古着のエピソードは良し、しかし七話も使ってまだ食客も全部集まってないとは贅沢な進行、流山→板橋まで至れるのかいな。

■ 必殺からくり人 第6話「秘めごとは白い素肌にどうぞ」1976.9.3ABC/松竹

 国禁を犯し地図をオランダ人に渡そうとする長崎屋のとった方策は、洋妾の背に絵図を入墨というもの。彫られる女はとんぼが拾った借金抱える娘、彫り手は時さんの友人の職人。入墨をしくじった女二人は消され、彫り上げた途端伊佐吉も始末されたあと、花乃屋からの天罰はきっちり長崎屋に下される。
 ロケ地、入墨彫りミスで消された最初の女の死体が棄てられる百万坪、木津河原(うしろに小さく流れ橋)
*伊佐吉の隠し彫りを明らかにするくだりは見もの、温めたり冷やしたり。伊佐吉に大塚吾郎、どこかカマっぽい彼のからみは半兵衛さんならぬ時さんと。

■ 鬼平犯科帳5 「土蜘蛛の金五郎」1994.3.9CX/松竹 通算86話

 破格の値段で飯を食わせるどんぶり屋、金の無い者には雑炊を喜捨。これを怪しんだ平蔵の勘ばたらきは的中、正体は盗っ人。むさ苦しい浪人に身をやつし「舎弟」と忠吾を伴いどんぶり屋「土蜘蛛の金五郎」の内懐に入り込むおかしら、盗っ人から火盗改長官の暗殺を依頼されたりする。この件は岸井左馬之助を身代わりに立て緊迫の大芝居、事後毒を盛ろうとする金五郎の企みを看破しそのまま捕り物に移行するのであった。
 ロケ地、金五郎の根岸のアジト、広沢池北畔の民家(イメージのみ、役者からまず)。刺客に雇われた平蔵が暗殺現場へ伴われる夜道、大覚寺有栖川(河床から見上げ)。たばかって呼び出した火盗改長官の駕籠を襲う汐留付近の小橋、中ノ島橋(下流側から側面のショットと橋上、闇濃いなかに橋と堰堤が浮かび上がる)
*飯屋のある三ノ輪にでも因んだか、金五郎に「万七」遠藤太津朗。捕われる際ぶるぶる震える仕種が秀逸。この手下で平蔵の見張りをつとめる子之次に赤塚真人がいい味。
2004/2/21

■ 着ながし奉行 1981.5.1CX/映像京都

 原作「町奉行日記」、濠外をお掃除の破天荒奉行を描く一作、望月小平太に仲代達矢。
お奉行の遊び人ぶりは渡辺謙、役所広司より板についている。なりもいちばんキタナイような。濠外の親分衆を丸め込むくだりは三作のうち最も説得力あり。
濠外で繰り広げられるドタバタ宴会はリズミカル、いかにも岡本喜八らしい。健士隊の若侍に役所広司、益岡徹がいるのも楽しい。謎めいた侍くずれの「佐渡」の岸田森は見た目も凄い。濠外のビジュアルはやっぱりホンペンのどら平太には負けるものの橋はなかなか凝っている。
 ロケ地、小平太が西尾藩領に入る街道筋、木津堤流れ橋見える河原で小助とお昼(健士隊が一当たりしてくる)。柾木が引き上げを呼ばわるのは橋上から。望月宅を窺う健士隊コンビ、京都郊外民家・蔵の見える北西角塀際。勘定奉行・内島邸、相国寺大光明寺(濠外の親分の駕籠が入るのは南通用門)。このあと、健士隊を煙に巻く小平太、妙心寺大通院裏路地。町奉行所、随心院長屋門。望月宅、京都郊外民家長屋門。佐渡に斬りかかられる小平太、鳥居本八幡宮(小柴垣〜鳥居下)。健士隊の集まる荒れ寺、丹波国分寺(門外のはざ木のある畦道〜門〜境内)。大目付の刺客が小平太を襲う夜の宮、今宮神社(若宮社〜合祀摂社〜高倉)。大目付・堀と話す石段、豊国廟参道石段(男坂)
2004/2/20

■ 助け人走る 第29話「地獄大搾取」1974.5.4ABC/松竹

 遠い国から連れて来られた人夫たちは、地獄のタコ部屋に押し込まれ連日の苛酷な労働に狩りだされるが、彼らを追い使う親方は作事奉行とつるみ入費をごまかし私腹を肥やす悪党だった。依頼は、その中にいるかもしれない夫を探してくれとの女房からのもの。利吉は依頼者の国を聞き、もしや五つの頃生き別れた兄がとの望みを抱きのめりこんでゆく。はじめ情による道楽仕事はタコの共食いと渋る平さんたちだが、しっかりバックアップしてくれているのだった。
 ロケ地、出羽出身の人夫の土左ヱ門があがる汀、広沢池東岸。これについて詮議を求めるが却下され出てくる夫探しの女、北町門前に京都御所管理事務所北門。タコ部屋から逃げるシーンの荒地、天神川に地質似るも確証なし。
*工藤栄一監督の、スピード感溢れる一作、逃げ回るシーンや雑踏のくだりのカメラワークが見もの。タコ部屋で逃がし屋によるプチ大脱走が見られるのも楽しい。*龍の今回の技はパイルドライバーのほか、必殺怪力系名技・人体二つ折り…腰骨はずしっていうのかな。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第180話「絵筆に誓った兄弟仁義」1978-1982/東映

 深川で新さんが出会った絵師志望の若侍、家からは勘当の身。これは、家においては身分に縛られ才能を生かせないと覚った兄のはからい。その兄が仕事上、奥祐筆に吉良さまばりの嫌がらせと辱めを受け暴発し斬り死にし、自身の恋人も手にかけられるに至って弟は絵筆を刀に持ちかえ殴り込み、これを支援し仇をとらせてやる上様なのだった。
 ロケ地、水門を見回り中の新さんとめ組の小頭、中ノ島橋上。そこから中州にいる絵師志願の井深栄二郎を見る。奥祐筆・山城宗哲邸、青蓮院長屋門。栄二郎が兄に呼び出され勘当の理由を聞かされる、大覚寺放生池堤護摩堂(バックは池と心経宝塔)。栄二郎の兄が斬殺される宗哲の野遊びの席、天神島(席は祠脇、屏風を立ててある)

■ 江戸を斬る II 第18話「忠治江戸に現わる」1976.3.8C.A.L

 板橋宿で御用金が強奪され、国定忠治の仕業とされる。しかし実際は忠治の名を騙ってのことで、裏には抜け荷で大儲けを企む悪徳商人がいた。ほんものの忠治も江戸に来ていて、こちらは百姓のなりをして子連れ、自分を助けて落命した女の遺児を父に会わせるための潜入。紆余曲折あって真犯人を挙げお手柄の金四郎、忠治にはもちろんお咎めなし、そっと江戸を去らせるのであった。
 ロケ地、御用金事件のことで源七とツナギをとる金四郎、赤山禅院本堂脇に茶店セット。ここで路銀をなくしたと途方にくれている「忠治」と出会う(忠治が金四郎に貰った大福を連れの女児に与えるのは池辺)
*忠治に横内正、騙りの男に和崎俊哉、暴将第一シリーズの大岡忠助とお庭番。*今回も金四郎に手柄を立てられきいきい怒る鳥居耀蔵、伊蔵親分を叱責「顔も見たくないわ」。

■ 必殺からくり人 第5話「粗大ゴミは闇夜にどうぞ」1976.8.27ABC/松竹

 廃棄物処理をめぐる利権争い、執拗に妨害工作を仕掛けられる港屋。あるじは殺され埋められるが、認可取り消しを恐れる女将はだんまりを決め込み隠し通そうとするほか、体を張って役人に取り入るなどもしてのける。しまいに息子が誘拐され、花乃屋に依頼する段でも頭の中は金のほうで占められている。この女の末路は、裏切った役人を閨で刺すも首を絞め返され命を落とすという結果となる。からくり人たちは、時次郎と天平が子を救出にあたる一方で仇吉が妨害者のヤクザのもとへ乗り込み、迫力で押し切り撤退を約させる。
 ロケ地、ゴミ回収業者が百万坪さして渡る橋、木津川流れ橋(はじめ真横のショット、ついで橋上)。天平の小屋、橋近くの河原、砂地から手出ているのを発見はとんぼ。深更、時次郎が荷を担いだ怪しい人影を見る、中ノ島橋(時さんは船)。これを尾けてゆくとお濠に不法投棄、彦根城佐和口多門櫓前の濠。へろ松の釣りは広沢池観音島、のち港屋の子守をしていて息子を誘拐されてしまうのも同所。南町奉行所、京都御所管理事務所門。
*利権横取りを狙うヤクザは上州の大親分・大前田英五郎、演ずるは「阿部怪異」金田竜之助(本作クレジットはこの表記)。
2004/2/19

■ 助け人走る 第28話「国替大清算」1974.4.27ABC/松竹

 勤番侍に恋した町娘、国へ帰る男についてゆくと執着。邪魔に思う男は、乱暴にも藩邸に巣食う悪い中間を使って思いとどまらせようとするが、これをネタに逆に脅され身の破滅を招くこととなる。はじめ話が平内さんに来たことや、娘がしのの稽古友達なことから関わってゆく助け人たち、藩邸に捕われた娘を救出するなど働き、最後は若侍の恨みを晴らすべく折助たちに向かってゆく。しかし元々の若侍の意図は娘に知らせずにおいてやるのだった。
 ロケ地、しのの茶店、今宮神社高倉、摂社(お上を憚ってこっそりツナギ)。高須藩邸、相国寺大光明寺(門、南通用門)。中間部屋の小頭に脅される勤番侍、下鴨神社河合社裏手。折助たちと乱戦となる「強請り」の金の受け渡し場所の谷中・神龍寺、糺の森池跡

■ ニュー・三匹が斬る!
 第15話「秘境で会った七百年前の亡霊」1994.5.26/東映

 松山藩領の隠れ里、平家の落人部落には未だ再興の夢を見て暮らす末裔。父の願いを空しいと知りつつ、娘の「姫様」は藩大目付の言うがまま手先をつとめてきたが、殿様との出会いを経て改心、明日に向かって歩み出そうとした矢先悪玉の凶弾に斃れてしまうのだった。
陣ちゃんは巡検使に化け詐欺を働こうとしたり、千両は妙な儀式の片棒を担がされかかったり。
 ロケ地、雰囲気満点の民家や城っぽい建物、きれいな渓流などいっぱいあるのに何一つ判らず…。
*ラス立ちには三人とも衣冠束帯を着け登場…陣ちゃんが最も似合っているのは恰幅ゆえか。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第179話「説教しながら盗む男」1978-1982/東映

 タイトル通りの説教強盗が出没、め組も被害に遭う。人を食ったこの男、盗んだ金は無縁仏の供養塔を建てるため、彼の不在中に大火で焼死した妻子の骨も拾えなかったことを悔やんでのことだった。新さんの説得で足を洗うと決めた男だが、昔の仲間にハメられ、刀剣フェチで現政権に不満を持つ旗本に大岡さまが拝領した名刀を盗んでくるよう強要されてしまうのだった。
 ロケ地、野駆けの上様が大川端(今戸付近)の半助宅で畑を荒らしたと説教される、広沢池東岸。半助が供養塔を建て続ける回向院、不明。

■ 江戸を斬る II 第17話「雛まつり殺人事件」1976.3.1C.A.L

 近所の女児が雛人形を買って貰えず寂しそうにしているのを見かね買い与えるおゆき、その人形が強つくばりの大家に取り上げられたと聞き談判にゆく。しかし行った先ではその因業親父が殺されていてタイヘン、死体のそばにあった血文字を証拠として伊蔵に捕縛されてしまう。次郎吉の手引きで牢破りのおゆき、怪しいとふんだ銭屋の甥と対決、最後は北町のお白州で決着。
 ロケ地、お政のすすめで金四郎と実母の墓参にゆくおゆき、帰りに一服の茶店は今宮神社門前・かざりや。ここへ来かかり金四郎に迫る水野の姫、東門から出てくる。次郎吉が市太郎を尾行する築地の八幡様、赤山禅院参道〜本堂(陶器の狛犬が見えている)〜脇の朱玉垣前に茶店セット(ここでまかれる)
*妖怪・鳥居、金四郎にしてやられたと伊蔵をばんばん殴って湯気立てて怒る。
2004/2/18

■ 助け人走る 第27話「江戸大暗黒」1974.4.20ABC/松竹

 強引な手口の強請り頻発、被害者の一人・船宿の女将から依頼が来る。彼女が強請られているネタは男との密会、しかしこれは江戸払い中の亭主と会っていただけで、定法破りゆえ訴えて出られなかったもの。利吉にも理由を言わない女にはじめ断りが入るが、この件を追っている八丁堀に話が通るようはからってやる助け人たち。だが相手は木っ端役人には荷の勝つ大物で上司もグル、若手同心は消されてしまう。
 ロケ地、駕籠かきに強請りネタを仕掛けるくだり、今宮神社石橋〜高倉(しのの茶店)〜高倉脇坂(一旦駕籠を降り、忘れ物と言って駕籠に飛び込み向こうへ飛んで出て「怪我」と言い立てる)。口止め料を取り立てに来る船宿の裏口、嵐山公園中州湛水域岸。強請りの元締・大門の大五郎寮、中山邸(通用門、参道)。新たな手口で店明け渡しの証文作られた女将が佇む水辺、嵐山公園中州堰堤脇。江戸払い中の船宿の亭主のもとへ赴く平さん、北嵯峨御陵への道。田は付近か。八丁堀のお蔭で手を汚さずに済みそうと文さんにツナギの利吉、今宮神社若宮社脇。
*お吉のため刀を売って金を作ってくる文さん、武士の魂をと驚くお吉にそんなものはとっくに捨てたと微笑む。そして今回の仕事の際には鉄棒を携え大立ち回り、ごりごりと胸を潰す痛い技も披露。*「元締」の顔を見せる利吉、彼からもふざけた笑顔が消えつつある。

■ 長七郎江戸日記2 第14話「おふくろの味」1988.5.3日テレ/東映

 出世欲に目が眩み人柄も変じた息子夫婦を嘆き家出の老母、辰三郎に拾われ人心地を得るも息子はワルの内ゲバで落命という哀話。亡母に似た老女・ふきを庇護する辰が泣かせる。
お話は、勘定奉行・蔵奉行(老母の息子)・富商がタッグを組み米を高騰させ大儲けを企むというもの、物資隠匿の倉庫を人目から逸らすため民衆を煽り打ちこわしの芝居を企図、結果人死にを出す事件が発端となる。
 ロケ地、辰がふきを拾う川辺、大覚寺大沢池船着き(小)。ラスト、辰が老女からの感謝の文を自慢げに長さんに見せるのも同所。
*老女の息子に抗議のため殴り込みをかける辰、薪ざっぽ持ってきりきり武装。ダミ声で怒声を発しすばしこい立ち回りを見せるが、事後長さんに「怖かったー」と泣きつく姿が可愛い。*長さんに乗り込まれる勘定奉行に菅貫太郎、一旦平伏も逆らういつものパターンだが、「長七郎ぎみとてたかが素浪人ではないか」と不逞な態度を見せるのはやはり菅貫ならでは。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第178話「狸侍一番手柄!」1978-1982/東映

 辻斬りが頻発し市民は夜歩きを控える始末、上司の命でこれを追っていた徒歩目付が負傷。もうじき娘婿となるその侍の代わりに役目を果たすべく夜の町に出る父は、風采の上がらぬお台所番。境遇に甘んじ多くを望まず生活を楽しむその男にシンパシーを持つ上様、ワルの手に落ちかける一家を救い出す。
今回の陰謀は連続辻斬りにターゲットを埋没させる企み、ライバルの札差を始末してウハウハの富商の裏には若年寄、辻斬り要員もお世話。己が倅を一味と知らされた目付がせこく立ち回る挿話もあり。
 ロケ地、お台所番・石田が新さんと呑んだ帰り辻斬りを見る、大覚寺五社明神本殿脇。目付に息子が一味と知らせたあと襲撃されるのは同所の祠脇。
*ダメ押しの辻斬りの際、ターゲットにされる浪人に福本先生、辻斬られ。うおぉと叫んで茂みにのけぞり、検死の際もムシロから横顔をちらり覗かせ、ほっこりと死んでいる。*若年寄には河合伸旺、白い豪華な大名ルックがお似合い、菓子箱ぎっちりの賄賂を貰うも「これだけか」の台詞はもっとお似合い。

■ 江戸を斬る II 第16話「燃える牢獄」1976.2.23C.A.L

 賭場で以蔵に捕まった魚政の若い衆、一人だけ牢に送られてしまう。陰謀はこれにとどまらず、火の手の回った牢から囚人を解き放つ段で鳥居が引き伸ばし、焼き殺すに忍びない金四郎は切腹覚悟で責を負い解放、しかし放たれた魚政の弥太は以蔵の手におち監禁され、あわや出頭不能の事態に陥るのだった。
 ロケ地、北町奉行所、大覚寺明智門。出頭場の回向院、龍潭寺
*源七やおゆき、新門辰五郎らの奔走で監禁場所から救出され、戸板に乗せられ回向院門前に辿り着く弥太、しかし鳥居の企みで人手を借りて門内に入ること罷りならぬとお達し。力をふりしぼり這って入る弥太のシーン、無表情でこれを見る、門を固める下士に福ちゃん。
2004/2/17

■ 助け人走る 第26話「凶運大見料」1974.4.13ABC/松竹

 運命に翻弄されるか弱い女たち、縋った易者はもっともらしく巳年四月生まれの男となら幸せになれる、脅迫者に金を払い続けないといけないなどと見立てる。これがワルのゴロツキと組んでの大騙り、近しい者を殺され自身は売り飛ばされ不幸のどん底に落とされる女たち、境涯を救うことはできなかった助け人たち、怒りの鉄槌を下し恨みの筋は果たされる。
 ロケ地、易者・慶雲堂が店を開く根津権現、わら天神参道(遠景は六勝大神)。文さんがまとめ屋の安を峰打ちし辻斬り芝居(ヤサを突き止めるため)桂川松尾橋下右岸堤。妻を受け取りに行って殺された多吉の死体が上がる河原、桂川松尾橋付近汀。龍が安をパイルドライバーで始末、わら天神本殿と綾杉明神の境(南望、遠景に舞殿)。文さんが巳之介を始末の林、下鴨神社河合社裏〜林間。
*相変わらず文さんたちにはお上の目が光る。早々に見つけ出した巳之介宅では寸前に町方が来て阻まれ、文さん宅に物売りを装って入ってきた暗殺者を追おうとしても岡っ引。緊張状態のなか、ピリピリして文さんはほとんど笑顔を見せない。*今回の仕掛けは白昼、平さんと龍なんか人ごみの境内で堂々と殺る。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第177話「土俵に賭けた舞扇」1978-1982/東映

 領地の名主が窮状を訴え年貢軽減を嘆願に来るのを闇討ちし密殺する旗本。これを成敗するのにこやつが開催の闇相撲の場を利用の上様、名主のお供をしていた力士志願の青年を「選手」に仕立てて入らせ自身も乱入、仇を討たせてやる。
 ロケ地、お庭で家来とお相撲上様、枳殻邸かどうか確信持てず(幔幕張ってある)。力士志願の伝吉が妹に経過報告、日吉大社走井橋下・大宮川左岸

■ 江戸を斬る II 第15話「めで鯛八五郎」1976.2.16C.A.L

 魚河岸の「お召し上げ」ネタ、しかしこれは小道具で、御膳所のポストを巡る役人間の殺人事件が軸。魚政の若い衆が犯人とされあわや処刑の直前、駆けずり回った金四郎たちの働きで冤罪は晴らされる。
 ロケ地、八五郎のアリバイについて金四郎に報告のおゆき、お堂が不明。八五郎の恋人に会いに佃へ赴く金四郎たち、佃の渡し、広沢池東岸。八五郎が金を隠していた蛸壺を求めお浜御殿の石垣をかりかりの金四郎、浮御堂あたりか。
*八五郎の件で金四郎へあわよくば累をと目論む妖怪・鳥居、嫌疑晴れ目論見崩れるも、八五郎が江戸へ来たばかりなのを人別に載っていないとして「人返し令」に則り所払いとする。これは釈放後すぐに祝言を挙げさせメデタシ。金四郎と交渉の際の鳥居の笑い「ふぬははは」が段々阿部怪異じみてくる。

■ 痛快!三匹の御隠居
 第6話「狙われた三万石!虎の威を借る狐狩り」1999.11.25テレ朝/東映

 駿河の小藩・猿沢藩に巡検使来る。はじめ行儀指南や接待伝授で関わる老人たち、しかし藩主が急死してしまい、隠すのに大騒動。家老や下役人の青年に思い入れる御隠居たちはしまいに巡検使を斬ってしまうなどの無茶をやり、藩主に見初められ引き裂かれていた恋人たちの仲立ちまでしてのける。
 ロケ地、東海道筋に谷山林道各所。藩主の奥方が参詣の寺、龍潭寺。お掃除役人・宗方総十郎が巡検使をたばかり密殺しようとする鎮守、鳥居本八幡宮舞殿前(勘兵衛が出てきてバッサリ)
*三十万石ぶん取り潰しに燃える巡検使に和崎俊哉、やっぱり悪役だと迫力。

■ 剣客商売5 第6話「その後の三冬」2004.2.17CX/松竹

 軽輩のうえ蟇蛙の如き容貌で疎んじられる岩田勘助、最初の主家を殺傷事件で退転、その後娘を助けた縁で雇われた旗本屋敷に犬のように忠誠を尽くすが、再びの令嬢の難儀に振るった刀がいいとこの坊ちゃんを傷つけてしまう。主は彼を労わり涙を零して感謝するが、我が身大事の彼らは優しい顔をして勘助を売るのだった。坊ちゃんの屋敷で主の裏切りを知り、身に数創を受けて勘助は暴発、鬼神のごとく闘ったすえ、町で女を人質にとり立て籠もり。ここへ駆けつける三冬、彼女は井関道場でただ一人勘助を侮らず接してくれたマドンナだった。
 ロケ地、亡母の墓参の三冬、令嬢に付き従う勘助を見る、西教寺墓地〜本堂。井関道場時代、稽古帰りに三冬が勘助を誘う茶店(原作設定では不忍池畔「玉むら」)大覚寺天神島。最初の殺傷事件で主家の侍たちに追い詰められる勘助、大覚寺五社明神(クレーンで高所からの撮り、本殿内部を使用)。勘助が主にたばかられ赴く青木邸、大覚寺大門
*勘助を演じるは本田博太郎、立ち会った大治郎をして邪剣と言わしめた太刀筋は腰を低く落として獣じみたもの、懐かしい仕舞人の直次郎を思いださせる。令嬢や三冬に接する態度は変態っぽいが、独特の笑顔との組み合わせで複雑な心情を表現。キレた際のけたたましい行動と、へいつくばって卑屈な普段との落差が凄絶。
2004/2/16

■ 助け人走る 第25話「逃亡大商売」1974.4.6ABC/松竹

 全編を覆う重苦しい空気、「その後」の助け人たち、元締がいなくなってからひと月。表の稼業も無く監視下の日々、懐も寒い彼らに来た仕事は先ごろ処刑された盗賊の女房から、恨みを晴らす殺しではなく自身の逃亡のヘルプ。真っ向から奉行所に対抗する仕事に文さんは躊躇、逃がし屋に回すことに。しかし逃げおおせた筈の女房は鈴ヶ森で夫のあとを追って死んだと知らせが入るのだった。
 ロケ地、夕立小僧の処刑の鈴ヶ森、下鴨神社糺の森池跡。しのの茶店と周辺(今回は秘密裡にツナギをとる役をしのがつとめる)今宮神社高倉下、合祀摂社舞殿前の木(お御籤結んでツナギのしるしに)。後段、逃がし屋差し回しの駕籠が夕立小僧の女房に接触は合祀摂社高倉前。
*北町同心とつるんでいて文さんや盗賊の女房を騙した逃がし屋・弥平次に伊丹十三、最後は文さんの怒りの短刀を腹に受ける。激しい怒りの表現、刺して刃をぐいぐい押し付ける際襖をつごう四枚突き破り。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第176話「鬼同心が哭いた朝」1978-1982/東映

 罪を憎むこと人一倍な南町のベテラン同心、容赦ないやり口から鬼と称される。ゆえに捕えた者どもから恨みを買い妻を殺された経緯あり、これがため一人娘は家出。そして父娘の再会は、凶盗の情婦となっていた娘が人を刺す捕物の現場となる。
 ロケ地、南町が捕えた鞍馬の与平次の手下を斬り捨てる火盗改、大覚寺放生池堤。火盗改役宅、大覚寺大門
*タイトルは同心と情夫殺しで死罪となる娘を見送る鬼同心の慟哭、これが軸なため火盗改が盗っ人とグルでワル、というのは霞んでいる。せーっかく火盗の長官が菅貫なのに。*娘に刺される役回りの真面目っぽい同心は「鬼平」の沢田さまだと見たが名が違う…?

■ 江戸を斬る II 第14話「危うし紫頭巾」1976.2.9C.A.L

 紫頭巾の格好をした辻斬りが多発、おゆきはカンカン、以蔵と妖怪・鳥居は喜色満面。しかし辻斬りは本来のターゲットから目を逸らすための偽装で、哀れな貧乏浪人がライバルを消したい口入屋に強要されていたもの。金四郎の無茶捜査とおゆきたちの無鉄砲潜入でワルの正体が割れ召し捕りとなるが、浪人は我が身を恥じて立ち腹を切る結果に。
 ロケ地、おゆきと金四郎のツナギに大沢池畔、北町門に明智門。落とし穴の仕掛けがあったりする上総屋の寮、中山邸(通用門、参道)、ラス立ちもここ。事後、残された浪人の妻のその後を話す金四郎たち(落とし穴で大麻で燻され危機一髪のおゆきが「金四郎さま助けて」と漏らしたことを次郎吉が告げ口)金戒光明寺本堂前茶所石段

■ 八丁堀の七人5 第7話「謎の深川心中!二度命を救われた女」2004.2.16ANB/東映

 凶盗を追う北町同心たちは、奇妙な心中事件と関わりあう。男は毒を仰ぎ死ぬが女の服した薬は眠り薬、しかも目覚めた女は半狂乱で死のうとする。裏には養父である凶盗のもとから逃れたくて死のうとしていた女の哀れな事情があり、男の服毒は病で余命幾許もない身の覚悟の自死と知れる。父が捕縛され、男の真情を覚った女は青山のはからいで見逃されるも江戸を去り彼らの菩提を弔う道を選ぶこととなる。
 ロケ地、深川の掘割に八幡掘(舟橋、明治橋、堀端各所)。州走りの銀次一味が近江屋の鍵を入手し集結、日牟禮八幡宮。事後、おきぬのその後を語る釣りの青山さまと八兵衛、大覚寺大沢池船着き(大)。追っかけっこは放生池堤(青山さまの豪快なコケが見られる)
*北町の手にあるおきぬからゲットの近江屋の鍵、なんの疑いもなしに入るお間抜け凶盗に見えちゃうかもの、ちょっと設定甘いみたい、なカンジ。おきぬ宛ての近江屋の若旦那の「遺書」、字あんなはっきり見せるんなら仮名遣いがちょっとアレ。歴史ドラマじゃなくて時代劇だから別に構わないけどさ。
2004/2/15

■ 新選組! 第6話「ヒュースケン逃げろ」2004.2.15NHK

 博愛精神に溢れる若き日の近藤勇、米公使通辞の命を救うの巻。
府中・六社明神奉額の帰途、刺客バイト中の永倉新八と再び見える近藤、みっともなく捕まった身で刺客たちの非を鳴らす。また、異人は嫌い・日本から出て行け思想の持ち主なのに通辞に刺客待機を告げ、危地から救う。この間純なんだか鈍なんだかわからない態度は一貫。異人さんを助けたことが知れて大丈夫なのかとても心配。
近藤の金魚の糞からはまだ出ていないトシ、若先生に命じられると土下座もご一緒に。洋妾や洋装に興味津々なのが後段への伏線かと思われるが、飛ばした台詞は面白い。金魚と言えばヒュースケンのうっとり金魚が小赤なのも笑える。

■ 鬼平犯科帳4 「おしゃべり源八」1993.5.12CX/松竹 通算85話

 凶盗・天神松の喜佐松を追っていた火盗改同心が失踪、四月後発見された時には記憶を失っているが、彼の所持品から盗賊の手がかりが見つかり、一味は悉く召し捕られるという展開に。彼の記憶は遂に戻らず、妻からも離縁されてしまうが、心の臓の病のことも忘れ果てた男は色艶のよい陽気なお喋りに変じ万事めでたしとなる。
 ロケ地、源八が木村忠吾に発見される目黒村の野道、丹波国分寺(門と前の畦道)。失踪当時の源八の行動をトレースするため藤沢へ向かう平蔵の一行がゆく東海道、嵐山自転車道下・公園前の地道。失踪直前、源八が古着を出させ文を託した藤沢宿手前の時宗総本山・清浄光寺(遊行寺)遊行坂の茶店・とみや、平岡八幡宮(参道、舞殿と石段、とみやは石段下左手の参道にセット)
2004/2/14

■ 銭形平次 山内鉄也監督作品 1967.10.10東映京都

 鳶の若い衆から亡父のあとを継いで名岡っ引となる、銭形の親分成立過程を描く一作。若々しく清新な青年・平次が見もの、気の短い江戸っ子ぶりもなかなか。
お話は、お静の父の鳶の親方が心中立てで殺される事件からはじまる。その仇を探すため十手を頂くことになる平次、牢で一緒だった八五郎が押しかけ舎弟で参画、しまいにはお静まで潜入捜査に協力する一幕も。幼馴染の辰之助が事件に関わっていることが知れ、彼の悲しい素性も最後に明らかになり、更に背後にいた猟官運動資金を得るため手を汚していた与力との対決となる。
 ロケ地、不明な個所多く一箇所しか判らず。上州屋を双親の仇と狙う千里の虎の正体に迫る平次が、その手下らしい幼馴染・辰之助に呼び出される三囲神社、赤山禅院本堂前〜本堂脇の朱玉垣(辰之助は放生池側に立って垣越しに平次と話す)
*千里の虎の情婦に三島ゆり子、子分に福ちゃんや川谷拓三がいるのも楽しい。福ちゃん、謎の浪人の舟木一夫に元結を切られザンバラの大わらわに。
2004/2/13

■ 助け人走る 第24話「悲痛大解散」1974.3.30ABC/松竹

 タイトル通りの、悲惨な一話。為吉が町で使った元文小判からアシがつき、北町の鬼同心に捕縛されてしまう。罪なき者を何人も磔台に送ったその同心は、助け人の裏稼業を暴くべく苛酷な拷問を為吉に加える。手も足も出ない助け人たち、屍となって帰ってきた彼の墓の前に立ち尽くす。その後為吉の仇は討ち果たす彼らだが、元締は江戸を去ることとなる。
 ロケ地、北町奉行所、京都御所の厚生省施設。為吉の墓、くろ谷。江戸を去る元締が遺骨を抱いて乗る船、桂川松尾橋下。
*為吉が小判を使った買い物は、幼子に文房具を求めてやったもの。そしてこの子は彼の実子、島帰りの身を慮ってずっと父と名のらず「為のおじちゃん」と呼ばせていた事実が涙を誘う。

■ 銭形平次 第758話「黄金は白銀に散った」1981東映/フジ

 雪深い秩父山中、百年前に豊臣の残党に強奪された金塊を偽小判に仕立てる企みあり、江戸から連れて来られたかざり職人たちは仕事を終えると消されてしまう。逃れた一人はからくも江戸に帰還、その男が妹に買った反物の払いの小判から事件の謎を解く銭形の親分。最後は自ら秩父に赴き山賊まがいの集団と戦闘、仕留めたあと偽小判ごとアジトの荒れ寺は雪崩により深く埋もれてしまうのだった。
 ロケ地、雪の山間部、不明。仙太の妹が追っ手に連れ出される墓地、くろ谷 ←招善寺墓地と判明(2008/9/19訂正)
*一人逃れるかざり職人・仙太に火野正平、雪中を逃げ回る姿も似合う走り役、野うさぎとの邂逅も可愛い。仙太の追っ手に福本先生、台詞もかなりあり、姑息に女を連れ出したり大活躍、近所のおばちゃんには「よくない人のよう」なんて言われてるし…正ちゃんコレクションより福ちゃんモノに入るかも。ラス立ちでは平次親分の着ぶくれた姿で雪の中転びつのファイトが見られるのも珍しい。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍
 第175話「憎しみの糸が結んだ父娘の絆」1978-1982/東映

 幼い頃巡礼の旅の途中父に置き去られた娘は、長じて江戸で立派に一人で生きるが、捨てた父への蟠りは心に影を落としている。そして針女(しんみょう・お針子のこと)として入った若年寄屋敷で鉄砲玉に雇われた父を見た娘は、下城する若年寄・榊原の駕籠の前に飛び出し父の犯行をとどめるのだった。
 ロケ地、山道で父に置き去りにされる幼いおとき、酵素(降り口付近〜河川敷、川の水嵩多し)。大岡忠助邸、相国寺林光院。貴三郎が鉄砲玉として若年寄配下の侍に目をつけられる汀、広沢池西岸湿地。食べ物を盗んだ孤児を助け事情を聞くおとき、大覚寺大沢池畔。若年寄・別所若狭守邸裏門、相国寺大光明寺南通用門。下城する榊原の駕籠、仁和寺金堂前参道(貴三郎の失敗を見ている侍は鐘楼の陰)。ラスト、遠島となる貴三郎の船が出る浜、琵琶湖東岸(沖ノ島の位置から)
*貴三郎に小林昭二、泣きの入る小悪党がなかなかの味。ラス立ちには福本先生が用心棒ルックで登場。

■ 江戸を斬る II 第13話「鱈に当って死んだ奴」1976.2.2C.A.L

 遊び人の半次は、魚政の払いをさんざん溜めているくせに恐喝を企む。その手口たるや、恵んで貰った鱈に当って弟分が死んだと偽り賠償金を取ろうという乱暴なもので、払わねば死人にかんかんのうを踊らせると凄む。しかし脅しに行っている間に、早桶で待機中の弟分は侵入者に殺されていてタイヘン。来合わせた以蔵親分は半次の与太話を聞き、調べもせずおゆきと次郎吉を括る始末。このあと、半次は金四郎の示唆で弟分を殺した連中を釣る囮となり働くが、連れ込まれた回船問屋には以蔵も捕われ、殺されると知るや「見逃す・手貸す・お上の動きを逐一報告」とあがくが相手にされずぶっ叩かれたり。二人を救出し抜け荷回船問屋を召し捕りの金四郎、紫頭巾に救われるは源七親分の活躍を見せつけられるはで伊蔵親分さんざん、三ノ輪の万吉状態に。
 ロケ地、引っ掛かってきた回船問屋の手下に船で拉致される半次、嵐山公園中州水路湛水域(渡月小橋くぐる)。追った金四郎たちが船を見失う大川、罧原堤下桂川本流。ラスト、釣りの金四郎、桂川森ノ前町堰堤下右岸汀
*半次に品川隆二、名前も同じの「焼津の半次」そのもの。
2004/2/12

■ 助け人走る 第23話「裏切大慕情」1974.3.23ABC/松竹

 番頭から入り婿となり富商の後を継いだ男は、真面目な顔の裏に暗部を隠す。唯一の趣味という夜釣りに事寄せ、ゴロツキ浪人に権高な女を誘拐させ屋形船で無体を働くこと何人にも及ぶ。この被害者となった貞淑な人妻は元締に殺してくれと依頼、唐突な申し出に様子を見るうち幸せそうだった夫婦に破滅が訪れる。
 ロケ地、美濃屋主人の屋形船、桂川左岸船着きに係留。しのの茶店近く、仲良さげにやって来る橘夫妻、今宮神社高倉脇坂。誘拐者の石田浪人と行き会う、合祀摂社若宮社前。その後再度美濃屋の毒牙にかかったゆきがふらふらと乱れた姿のまま歩く水辺、嵐山公園中州舳先〜岸。
*権高な女をいたぶるのが趣味の美濃屋、店で平内さんの奥方を見てターゲットに。これは龍に阻まれ事なきを得るが、平内さん慌てて駆けつけるという可愛らしさ。でも冷たぁくあしらわれててカワイソ。

■ ニュー・三匹が斬る!
 第14話「偽りの心中!鯨潮吹く土佐の海」1994.5.12/東映

 舞台は勇魚泳ぐ土佐の海、クジラ利権を巡っての陰謀が渦巻く。陣屋の殿様と結託した鯨組合の親分が、ライバルを蹴落とそうとして自分の養女を相手の息子と偽装心中させ、責任をと迫り権利の放棄を求める。殿様たちの説得で訴人して出た「養女」は消され、その心中相手だった息子も斬られるにおよび三匹の怒りが爆発、血の雨が降る。最後には殿様の寒いギャグに陣内の紙吹雪も散る。
 ロケ地、海浜は日本海か。千両が南海屋の養女・お篠を殿様に会わせるやしろ、鳥居本八幡宮舞殿前(のち、消されたお篠の死体が放られるのは広場)

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第174話「百万石の冷飯くらい」1978-1982/東映

 加賀宰相の18番目の若様の養子縁組整い、高取藩後嗣として上様に謁見の直前、当の若様は出奔。この機に乗じて次期藩主を我が子にと企む隣藩の領主・寺社奉行、高取藩の若侍を焚きつけ若様の暗殺を図る。若様出奔に困り果てた守役が加納じいのところへ駆け込んだことから動く上様、若様に実母の墓参をさせてやり、危機には扇を飛ばして加勢するのだった。
 ロケ地、高取藩後嗣が御目見得の話を聞く上様、枳殻邸印月池畔・侵雪橋たもと。加賀藩下屋敷、相国寺大光明寺(門、前庭、石庭、縁先)。出奔の若様がゆく道、宗丹稲荷鐘楼前。め組の源さん・龍虎と知り合う縁日、今宮神社参道にセット(バックに楼門)。御賽銭勘定処で開帳の賭場、高倉に蓆掛けまわし。逃げる龍虎たちを追う若様、東参道。追いつかれ付きまとわれる、広沢池東岸(若様、船舷で足を水に漬けぱしゃぱしゃやって「苦しゅうないぞ」)。高取藩邸、相国寺林光院。若様の実母の墓、くろ谷墓地(文殊塔バック)、ラス立ちは墓地石段(中央のと南側のと両方使用)
*新さんに酷似設定の若様・捨千代ぎみ、松平健の二役。町人髷で着流しだと、あの巨体がなんかなよなよしているふうに見えるのもおかしい(サンバ時は別)。

■ 江戸を斬る II 第12話「蜜柑は七万七千石」1976.1.26C.A.L

 伊予・荻江藩のお家騒動、病の藩主をいいことに国家老が嫡子を亡き者にして愛妾が産んだ子を据えようと謀る。背後には水野がいて援護射撃、嫡子を護って斬り死にした藩士は鳥居耀蔵が出張り「病死」と言い張ったりする。紫頭巾となって殺されかけた嫡子を救ったおゆきを助けて動く金四郎、老中と藩国家老と愛妾の実父・尾張屋が密談の座敷に乱入、越前守に皮肉たっぷりカマしワルどもを引っ立てる。無事藩に迎えられた若様は長じてのちも匿ってくれた魚政への恩を忘れず、季節には伊予の蜜柑が届けられることになる。
 ロケ地、若君を守って備前橋で斬り死にの荻江藩士、中ノ島橋南たもと(若様、岸から川にドボン)。検分の伊蔵を茶店に伴い荻江藩家老に目通りさせる鳥居、堰堤脇に茶店セット。侍の亡骸はと聞く老武士に応え無縁墓へと伴う金四郎、化野念仏寺石仏群。事後、藩に迎えられる若君を見送る魚政の面々、桂川松尾橋下手右岸堤(カメラはパンして汀で釣りの金四郎に)

■ 三匹の侍 「吠えろ剣」1966

 本百姓と入百姓の水争いは郡奉行と勘定奉行の代理戦争。出自から本百姓のほうに思い入れる桜京十郎、刀を捨て土に生きるという侍に共感する橘一之進、彼らの純粋な思いは郡奉行が銃を与える名主と、帰参を条件に勘定奉行の走狗となる開墾地のリーダーに、悉く裏切られる。この報を齎すは酒を呑んで女をコマし事情を聞きだした桔梗鋭之介だった。
*骨太なストーリィ、なつかしい原型「三匹」に再開できた嬉しさも吹っ飛ぶ画質の悪さ…第一シリーズじゃないし…フィルム焼けててハレーション起こしてて見辛いのなんの、目痛くなっちゃったよ。
2004/2/11

■ 助け人走る 第22話「父子大相克」1974.3.16ABC/松竹

 富商の娘との政略結婚を進める父に恋人を斬られ息子が暴発、既に大事なものをなくした彼の行動は、関わる全てを破滅に引きずり込んでゆく。富商の娘と、さらわれた彼女の探索を元締に依頼していた恋人が龍によって落とされるのが唯一の救いの、悲惨で暗い話。
 ロケ地、田原邸、相国寺林光院(前庭でバイト中の平さんと文さんが壁土を捏ねている)。しのの茶店、今宮神社高倉下。誘拐犯に探りを入れるため侍に変装し偽りの身代金を持ってゆく利吉、下鴨神社河合社塀際。富商の娘の仮親・公事方吟味役・金子邸、相国寺大光明寺
2004/2/10

■ 助け人走る 第21話「心中大悲憤」1974.3.9ABC/松竹

 方々で女を弄び金を毟り、さんざん吸い尽くしたあと捨てるという性質のわるい男あり、絶望の果て赤子と共に入水するも死に切れぬ女は無惨にも処刑。また、別の女は子を捨てるまでに思い詰める。つのる悪行、遂に刑死した女の老父から元締に依頼が来る。
はじめワル側に雇われる設定で龍がメンバー入り。元締を背後から狙うも迫力に屈し仲間に。
 ロケ地、おすえが子捨てのしのの茶店、今宮神社高倉下。おわかの磔、罧原堤下河原。おわかの同僚の回想、相楽藩邸裏口に生まれた子を見せに矢崎雄之助を訪ねるおわか、相国寺大光明寺南通用門。矢崎の仕打ちに絶望し入水のおわか、桂川松尾橋付近汀。
*矢崎を龍に譲り、朋輩のワルどもを成敗の平さんと文さん、お獅子と猪のかぶりもの付けて登場、お獅子の鼻から煙がぷかぁー。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第173話「尾道夕焼け、仇討ち」1978-1982/東映

 まだ尾道にいる一行、遊里で遊んでいて美人芸者の恋人が斬殺されるという事件に遭遇。この裏には、尾道奉行と結託し抜け荷を働く回船問屋がいた。
仇を討つという芸者に肩入れ新さん、抜け荷の中継基地の無人島へ乗り込み成敗の雨嵐、仇をとらせてやる。
*遊里で思い切り居心地悪そうな大岡さまが傑作。また、色仕掛けで秘密を知る船頭に接触の芸者がこれから働かれる無体を想像する際の船頭のおっちゃんのビジュアルが兇悪。間に恋人との思い出の「待てー、こらアハハ」が挟まるもんだから余計に。

■ 江戸を斬る II 第11話「二人鼠小僧」1976.1.19C.A.L

 病の母を支えて健気に生きる幼い娘に、魚政の面々は同情しきり。環境のよい場所に迎えとろうとするが固辞される。訳は、グレて家出した息子が帰ってくる時のためという泣かせる話。しかし息子は盗っ人と成り果てていて、江戸で一仕事した金を持って帰還、母はこれを叱りつけ自訴して出ろとはねつける。
これに、幼い妹が兄は義賊の鼠小僧と思いこんでいることと、兄の一味が鼠小僧を騙って仕事をするという設定がからみ、その上妖怪・鳥居が金四郎就任と同時に鼠の跋扈が止んだのを怪しみ探索の手を伸ばしてくるからややこしい。
後段、たまらず介入の次郎吉に紫頭巾もからみ大騒動、まだ悪に染まりきっていなかった息子は改心し盗っ人を告発する証人となり、罪一等を減じられる運びに。
 ロケ地。冒頭蜆売りの娘がゆくシーンに梅宮大社神苑汀。
*鼠を騙る上方の盗っ人に今井健二、凶盗設定ではないしお白州でも神妙、なのにビジュアルはとっても兇悪。見た目もっと兇悪な甲斐守は、自分が探索を命じた途端鼠が出たのは偶然ではないとブチ上げる間抜け設定で阿部怪異の不気味さには至らないのだった。

■ 痛快!三匹の御隠居
 第5話「娘を棄てた母 越すに越されぬ大井川」1999.11.18テレ朝/東映

 大井川を挟んで川庄屋同士の対立あり、両家の子らは慕い合うロミジュリ設定。一方の庄屋は嶋田代官と組み野心ギラギラ、相手を亡き者にとまで企む。ここに昔娘を捨て子した莫連女の母が現れ、死んだ実母から託されたと偽り、貯めた金を渡そうとする挿話が挟まれる。
おじいちゃんたちは、道中奉行や公儀隠密や裏目付に化けて事態の打開を図るが、代官の手下(福本先生、ラス立ちには顔も映らないのにのぉ、うぉぉとのけぞる)に内緒話を聞かれバレバレ、向かってくる一味に「実母」は娘を育ててくれた庄屋を庇い銃弾に斃れる。
 ロケ地、金谷宿手前の街道筋、病弱な老婆に化けている幻夢を突き飛ばし泉屋の娘に怒られる「大殿」三四郎、山室堤道。大井川、木津川(橋が映らないようにしてある)。嶋田代官所、京都郊外民家の道に面した長屋門。松葉屋暗殺の路地はその南塀。出奔した息子を探して嶋田宿へ来る松葉屋、大覚寺五社明神裏手。
*道中奉行に化ける乾三四郎、掌にその名前が書いてあるのをカンニング…自虐ギャグか。

■ 剣客商売5 第5話「消えた女」2004.2.10CX/松竹

 南町同心斬殺事件を追う弥七たち、このための張り込みに顔を出した小兵衛は、遠い昔抱いた女の面影を当事者の娘に見る。もしや我が子ではと逸る小兵衛、果たして娘は「昔の女」の産んだ子だったと知れるが、そこには小兵衛のもとを黙って去った女の悲しいその後が秘められていた。
 ロケ地、南町奉行所門前、永山斬殺犯探索に散る岡っ引たち、大覚寺明智門。小太郎を遊ばせる大治郎夫婦、三冬がこんな暮らしがずっとしたかったと述懐の水辺、大覚寺放生池堤。北千住へ向かう小兵衛、中ノ島橋(その前にイメージとして堰堤の落水)仁和寺中門(内側)。事後、小兵衛に礼を述べまた来てくれと明るく笑う「昔の女」の娘、大覚寺大沢池北東畔・遣水古跡。「昔の女」の「今の姿」の幻影を見る小兵衛、伏見稲荷千本鳥居。小兵衛のもとを去った際の「十両」の訳を話す幻影の女、沢ノ池東岸汀。
2004/2/9

■ 助け人走る 第20話「邪恋大迷惑」1974.3.2ABC/松竹

 幼い女児連れで按摩して回る美しい女、盲いた目には悲しい過去が隠されていた。
粘着質の岡っ引に横暴の限りを尽くされ、遂に亭主が再び島送りにされ現地で没し、それでも生きてきた女の恨みの一撃は通じず返り討ちに遭う。そして雪の夜、平さんと文さんは出陣しグルの同心以下も殲滅してのけるのだった。
 ロケ地、音羽の萬蔵に追われる按摩・おさよを送ってやる平さんと文さん、途中渡る橋に中ノ島橋
*「島帰りの龍」偉そうに登場、今回はサワリのみ。龍に「後家殺しの平内」と名乗る平さんがおかしい。*しつこいしつこい岡っ引に伊藤雄之助、ぬらぬらといやらしい顔が全編を覆いつくす。やはり怪優と言わざるを得ない。これとつるむ同心が今井健二だから凄い。しまいまでぎとぎと。でもこれらより怖い、吉田日出子の、鰻を刺したあとの顔…いつか怪談で見た「刺さりましたか?」の座頭を思い出した。

■ 江戸を斬る II 第10話「恐怖の罠」1976.1.12C.A.L

 北町奉行を引きずりおろす今回の算段は、凶盗引っ張り込み。妖怪・鳥居は配下に命じ因果小僧一味を江戸入りさせ、月番の金四郎に無能の烙印を押そうとするが、一味の一人・おさらばお艶が源七にほだされ押し込み先のヒントを残してゆき事なきを得る。
 ロケ地、北町奉行所、大覚寺明智門。鬼頭が因果小僧を手荒く出迎える戸塚付近、上賀茂神社ならの小川畔。
*因果小僧の背には女の生首と石塔の入墨という設定、遠山の背にこれがある設定のも見たような気がする。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第172話「瀬戸のさざ波乙女波」1978-1982/東映

 忠助に駕籠訴しその場で力尽き死んだ青年の件で、尾道へ遠征上様の旅もの。非番だからと忠助も同行、加納じいにめ組まで伴うという、なんか慰安旅行みたいな一作。
お話は、名君と聞こえる福山藩主を毒で弱らせ城代家老が藩政を壟断、民に重税を課し苦しめるのを裁くというもの。新さんが道で会った娘に引っ張り込まれたボロい旅籠が、直訴して死んだ青年の実家という都合の良い設定。タイトルはその娘が新さんを恋い慕い、江戸へ帰る新さんに悪態(徳田の馬鹿、など)をつきながら告白する挿話から。
 ロケ地、福山城、本物。傍原峠、谷山林道か。尾道木梨村の名主屋敷、例の庄屋屋敷、不明。あと現地ロケはラス立ちと藩主との会見に西国寺と内部の護国神社浄土寺

■ 鬼平犯科帳4 「おとし穴」1993.5.5CX/松竹 通算84話

 真面目一方の火盗改同心が、一度きりとよろめいた水茶屋の女は盗賊の一味だった。濡れ場に踏み込まれ抜き差しならなくなった彼は、盗賊に便宜を図ること数回に及ぶが、平蔵に気づかれたと覚るや、本来の彼に立ち戻って動くも遅く女と共に路傍に死す結果となる。
 ロケ地、お才の勤める深川・富岡八幡宮境内の甘酒屋・恵比須屋、永観堂松寿院。お才に連れ込まれる深川富吉町正源寺裏の川魚料理屋・ふじやから見える大川、罧原堤下桂川。おかしらに何もかも知られたと恐慌を来たした新助がうずくまる深川界隈、中ノ島橋堰堤下汀(尾行の伊佐次は中州岸)

■ 八丁堀の七人5 第6話「女盗賊の涙!二人の息子が対立を…」2004.2.9ANB/東映

 藩金をナイナイし私腹を肥やす牛久藩勘定方、穴埋めの方策は盗っ人を追い使い富商から金を奪うという行為だった。盗賊に因果を含めるもとは、藩内で捕えた彼らを磔獄門に処したことにして市中に放ち使嗾するという悪辣なもの。これがため、それまで三箇条の掟を守ってきた女郎蜘蛛一味は凶盗に変じることとなる。心臓を患ったため捕まった女頭目は、とうに足を洗った者まで引きずり込もうとする二代目の行為に耐え切れず、息子同様に育てた彼を刺殺するに至るのだった。
 ロケ地、祠脇で苦しむ女(女郎蜘蛛の前頭領)を助ける八兵衛、上賀茂神社ならの小川(ここは後段にも使用、神事橋も映る)。牛久藩上屋敷、大覚寺大門参道橋。勘定方組頭・萩原を尾行する八兵衛、盗賊の貞八と接触の料亭・水月は大覚寺望雲亭(尾行シーンに有栖川畔の垣根道も)
2004/2/8

■ 新選組! 第5話「婚礼の日に」2004.2.8NHK

 勇の祝言、多摩関係者のはしゃぎぶりに凍りつく嫁側。極めつけのトラブルは、人を斬って役人に追われ逃げ込んでくる山口一。追い出せという周囲を制し、勇は侍としてそれはできないと突っぱねる。逃がす算段には芹沢鴨を利用のエピソードも。そして、新妻は夫の心情を汲み逃亡資金を工面し、咄嗟に山口を庇うなどの気遣いを見せる。時流がなどと口走るものの、何がしたいのか未だ掴めぬ勇の明日はどっちだ。
*壬生寺付近は交通規制、大河の影響怖し。「春の坂道」放映当時の柳生の里のラッシュを思い滅入る。誰も烈堂を偲んでかの里を訪れたりしないもんな。或いはジャニタレのせいか。なんにせよ、しばらく西本願寺太鼓楼の見える堀川通などは走らないほうが吉か。
2004/2/7

■ 新必殺仕事人 第12話「主水金一封あてにする」1981.7.24ABC/松竹

 夫を亡くし、子連れで行き暮れていた女を救ったのは阿片窟関係者。以降運び屋となる女、子らへの思いから足抜けを申し出るが、阿片漬けにされ虫けらの如く殺されてしまう。彼女を傍から見ていた加代たちは密売人の懐に入り調査、依頼は遺児の世話を焼いていた長屋の差配から来る。
 ロケ地、阿片の受け渡しが行われる浅草界隈の堀、大覚寺御殿川(船で来る男、河口からの撮り、運び屋の女・おれんは橋上で待つ)。運ぶ途中渡る橋、中ノ島橋。おれんの死体上がる汀、広沢池東岸。出陣の秀、有栖川河床を走る(御殿川にいる衛吉を大沢池溢水口へ引きずり込み殺)
*今回、表の仕事(金一封はコレ)にできず、阿片密売人の件で内山さまは八王子へ左遷。

■ 新必殺仕事人 第13話「主水体を大切にする」1981.7.31ABC/松竹

 新上司・田中さま登場回。二ヵ月後昇進までの腰掛けと宣言する24歳。
お話は、米問屋・千住屋を乗っ取るため主以下多数の人を殺める後妻と養子の仕置。千住屋のほか、秀らの長屋に住んでいた絵師や、主水が気にかけていたお解き放ちの囚人たちが証拠隠滅のため消される。楽太郎が千住屋へ恋人だった下女のことで掛け合いに出る際託した、牢屋仲間の爺さんの弔い料が仕事料となる。
 ロケ地、千住屋の後妻と養子が密会の待合(絵師が天井に潜みあぶな絵を描く)大覚寺望雲亭(草戸上部のみ映る)。越後へ出張の千住屋が道中で殺される、保津峡落合(トンネル付近の道〜落下岩)。田中さまが解き放ちの囚人にお説教は明智門
*タイトルは主水に供される強壮剤、よく眠れて食欲が増す。*仕事に入る段のツナギ、桟橋の上設定でバスクリン色の光る水の上、カメラ真上からと凝った仕掛け。後期必殺はこうしたビジュアルも楽し。しかし秀の殺しで、樽に頭突っ込まれたのが足を助清出しにしているのは…笑うとこなんだろうか。

■ 銭形平次スペシャル「九尾の狐」1991東映/フジ

 平次夫婦の「葦屋道満大内鑑」観劇を導入にはじまるお話、狐尽くし。葛の葉の「恋しくば」の歌は後段謎解きに使われる。
お稲荷さんでの殺しの現場に落ちていた入墨用の針から浮かぶ彫師の男、彼には九つの折凶盗に両親はじめお店の者も皆殺しにされた過去があり、背に九尾の狐の入墨のあるこれには恋人の娘の出生と思わぬ関わりがあったが、平次親分は娘の祖父の今わの際の言葉を聞き届け、秘密を守ってやるのだった。
 ロケ地、娘の祖父・石工の作業場、大覚寺五社明神にセット。傍の御籤堂(のち、娘が秘密の古文書を隠す現場)護摩堂(桟にいっぱいおみくじが結んである)

■ 地獄の左門十手無頼帖 将軍暗殺! 1983東映/フジ

 鬼与力・神山左門に、筆頭老中・阿部伊勢守から密名が下る。相手は大名貸しを派手に行い、金で幕府転覆も企図する回船問屋・河内屋。巨利の資となっている抜け荷を探るため、左門は偽装の葬式まで出し、無宿人に変装し潜入。苦労のすえ抜け荷の証拠を掴み復命の神山左門、将軍暗殺に乗り出した河内屋を制するが、彼の心を占めていたのは任務より踏みつけにされた弱き者たちへの哀惜であった。
 ロケ地、抜け荷の中継基地となる深川の中州(埋立地)広沢池東岸汀と酵素(木を大写し)をミックス、いずれも夜間撮影。三次の野辺送り、広沢池東岸(昼)。将軍暗殺未遂現場の法要の寺、相国寺(法堂大屋根、方丈まわり、庫裏、渡廊)
*あくまで怖い天地茂の神山左門、無宿人の左平次でニコっと笑ってても怖い。抜け荷の水先案内人をつとめる三次に石橋蓮司、左門を兄貴と慕う気のいい青年を好演、なんか新鮮。河内屋の配下・利吉(クレジットは名前のみ)に福本先生、女を脅す声がドス利いててイイ。阿部老中は丹哲。そして、過激な河内屋の息子に岸田森。ねちねちと左門を疑うしつこさもいいが、見張りにつけていたおあきを「あれは左門だったじゃないか」とバンバン殴り倒すさまや、暗殺失敗後左門に斬りかかってゆく姿は例の「泣きそう」な顔、「斬り抜ける」を髣髴とさせる。*河内屋の用心棒の浪人は大塩の乱の生き残りという設定がなされ、蘭書を手に開国・勤皇思想っぽいプランを語る姿が描かれる。河内屋たちも、現実の情勢から開国を熱望するが、こやつらの手法は「金で解決」…。

■ 必殺からくり人 第4話「息子には花婿をどうぞ」1976.8.20ABC/松竹

 花乃屋への依頼は大工の女房から、赤ん坊を取り返してくれというもの。子を連れ去ったと思しき旗本屋敷の内情はドロドロ、同性愛者の跡取りと、家名第一の厳格な母堂。そして赤子は不自然な結婚生活にノイローゼの奥方によって殺されていた。その嫁も密殺され、新たな相手を求めての見合いの席にからくり人たちが現れる。
 ロケ地、旗本・安斉邸、相国寺大光明寺(門、前庭、南路地と通用門)。依頼を聞く仇吉の船は大沢池船着(小)に係留。爆破される天平の小屋、木津河原(左岸砂地、遠景に小さく流れ橋)。見合いの庭園、池水の溢出口などから植治の庭っぽいが…碧雲荘ほどの規模でなし、永観堂でもなし…不明。
*赤子の死を知らされた依頼者が、乳を大川にしぼり落す情景が哀切。
2004/2/6

■ 助け人走る 第19話「世情大不安」1974.2.23ABC/松竹

 からきし腕の立たぬ仇持ち侍・高坂は、助け人を動かすことを思いつく。彼の仇は富商の内懐にあり、そのつながりで仇討ち赦免状も老中により無効とされており、仇を富商から引き離すため蔵を襲う策を企画。物資隠匿と諸価高騰で市民が困窮という世情が背後にあり、世のため人のためと乗る元締、泥棒たちを大量に召集し蔵を破る。しかし破牢にブチ切れた仇は高坂を引きずり出し妻子ともども斬殺、しののもとに残された、高坂がずっと持っていた仇討赦免状を見て文さんと平さんは出陣する。
 ロケ地、高坂の腕前を見る文さん、大覚寺天神島。三洲屋の蔵目指して走る泥棒の大群、護摩堂罧原堤下河原中ノ島橋(下の河原も)
*泥棒たちに号令かける元締だが、今回話にのぼるだけで姿見せず。大坂まで人集めに行ったと語られる。*今回、仕置の際平さんは文さんが投げて寄越した短刀で、文さんは壁に刺さっていた平さんの煙管で仕留める。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第171話「男を咲かせた日蔭の花」1978-1982/東映

 船手同心の中根達之助は養子で、女房の尻に敷かれていることが知れ渡っている風采の上がらぬ男。そんな彼にも馴染みの芸者がいるが、しょっちゅうその女の家に入り浸り帰宅も遅れる始末な癖に手もつけていないという堅物。芸者のほうはその稚気ごと彼を愛し、汚職事件に巻き込まれた男を庇い凶刃に斃れる。
後付けで、事件後中根の女房が芸者に感謝し夫を立てるようになった事が語られるなんだかアレな展開も暴将らしい。
 ロケ地、船手奉行・沼沢邸、相国寺大光明寺門。上役と、結託している船大工に脅迫され荒れる中根から事情を聞こうとする新さん、大覚寺護摩堂前。芸者・小つるの説得で告発を決意した中根が新さんに真相を話す、天神島

■ 江戸を斬る II 第9話「初春、喧嘩纏」1976.1.5C.A.L

 大名火消しと町火消しの確執を描く一話。町衆に無体を働きまくる加賀鳶、大名の威光を笠に着て意に沿わぬ者には火がかりと称し家を引き倒し、芸者にフラれたら絞め殺す、挙句その罪を町火消しに着せるなど悪辣の限りを尽くす。最後は金四郎と紫頭巾の活躍で証拠を掴まれ、これを烈公が加賀の殿様に頭越しで見せに行ったりしてワヤ、阿呆払いになったところを北町奉行が門前捕り。半分加担していた妖怪・鳥居は苦虫を噛み潰すのであった。
 ロケ地、冒頭のを組の出初式、背後の建物は二条城大手門に似るも両脇に見たことも無い壁が。加賀藩上屋敷、西本願寺玄関(門、玄関)
2004/2/5

■ 助け人走る 第18話「放蕩大始末」1974.2.16ABC/松竹

 無頼の旗本のどら息子たちに無体を働かれた大工の娘、恋人ともぎくしゃく。助け人たちの奔走で馬鹿息子どもの所業は親バレ、金で示談となる。しかしさすが馬鹿の親は馬鹿、大金を毟られた腹いせに娘の父が島帰りと暴露。整いかけていた娘の祝言もこれがため破談、娘は自害。それでも娘の父は己が身から出た錆として忘れようとするが、或る日再びの馬鹿息子たちの蛮行を目撃してしまう。
 ロケ地、どら息子の探索について話す文さんと平さん、相国寺大光明寺南路地(塀越し)。夜鷹を助けた際聞いた名をもとに旗本・内堀邸を訪ねる文さん、大光明寺門(出てくるのは別人で名を騙られていたものの、一味)。大工の娘・お咲が恋人に別れを持ちかける水辺、罧原堤下河原。茶店でしのに目をつけるどら息子たち、今宮神社高倉下。身投げしたお咲の死体が上がる汀、桂か木津か。しのを道案内と連れ出し襲う大源寺、下鴨神社河合社(破れ寺を演出した表具越し、大工の平八が通りかかるシーンは塀内側から見越し)。江戸を離れるため渡し場に来る馬鹿息子たち、木津川流れ橋上手左岸河原(汀に小さな桟橋と小屋をセット、斬りつける文さんの背後にほんの少し、ちらっと橋が映りこむ…橋あったら渡船要らないもんね)

■ ニュー・三匹が斬る!
 第13話「金毘羅代参、馬鹿は死ななきゃ治らない」1994.5.5/東映

 舞台は丸亀から琴平、乱暴で博打好きの漁師の若者は密かに慕うマドンナの勧めによる百個の流し樽奉納を成し遂げ、結願の樽から見つかった密書はそのマドンナの亡き兄の遺志を果たす結果となる。
 ロケ地、隠し目付の密書入りの流し樽が漂着する坂出の浜、琵琶湖西岸松原(砂浜に茶店セット)。丸亀藩士(藩主直属の隠し目付)・高岡新八郎邸、金戒光明寺長安院(下の坂と脇の小路も使用)。金毘羅宮、本物の神殿が映ったあと吉田神社石段にスイッチ。陣ちゃんの膏薬売りは若宮社下。石段は岩松が傷つきながら百個目の樽を担いで登る夜のシーンにも使用、階に生えた木のシルエットが美しい。兄の借金返済のため身売り寸前のマドンナのため、樽を売ろうとした岩松が湊屋一派を呼び出す琴平の閻魔堂、御室八十八ヶ所お堂。
*岩松に沖田浩之、単純馬鹿で一本気な漁師を好演。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第170話「裏切者に熱き涙を」1978-1982/東映

 上様が抜擢し厚く信頼を寄せる勘定奉行、僅かな心の隙を突かれ、油の買占め売り惜しみで民を泣かせ私腹を肥やす一味に引きずり込まれてしまう。若年寄と富商の底知れぬ悪どさを目の当たりにし、また健気な妻の諫言もあり改心する奉行だが、残された道は死をもって上様に詫びることのみであった。
 ロケ地、勘定奉行・朝倉隼人邸、相国寺林光院(前庭、門)。上様の意思に反すると知りつつ庭番に油問屋の一件を探るよう命ずる忠助、今宮神社若宮社合祀摂社前。市中で朝倉に声を掛ける上様、中ノ島橋。彼を抜擢するきっかけとなった二年前の事件を述懐するのは橋下の右岸河川敷。値上げに反対した油問屋の放火を目撃した大工が殺され見つかる、今宮神社石橋下堀端。朝倉の疑惑について辰五郎から話してくれるよう依頼する忠助、今宮神社門前茶屋・一和。辰五郎が上様にこれを話す、相国寺天界橋たもと。事後、め組の衆に誘われ大川へ泳ぎにと駆け出す新さん、相国寺参道
*ラス立ちに福本先生、若年寄の手勢。半蔵のまわりをくるくる回り飛び違いしてスピーディな動き。

■ 江戸を斬る II 第8話「お小夜のゆくえ」1975.12.29C.A.L

 鉛被せの偽小判が出回り、探索に奔走の金四郎。手入れで捕まった職人の補充に足を洗った老かざり職が狙われ、孫娘を拉致し強要する企みがなされるが、間違えて友人の魚政の次女・お小夜がさらわれてしまう。おゆきに覚られ孫の懇願を受けた老爺は、一味のアジトに赴き我が手を潰すという捨て身の策に出るが危機一髪。ここには金四郎と紫頭巾が現れる。
裏に閻魔の伊蔵と鳥居耀蔵がいるが手は伸びず。
 ロケ地、一味の浪人・原田が口封じに消される、広沢池東岸(堤に塀と稲荷をセット)。お小夜の拉致、大覚寺勅使門橋(御殿川落差工から見越し)
2004/2/4

■ 助け人走る 第17話「探索大成功」1974.2.9ABC/松竹

 十年前、凶賊に引き裂かれた母子の涙の対面が軸のお話。その十年前の賊が江戸に現れ、母が子を探しているという話を聞きつけ金を毟ろうとするのに、助け人たちの手が入り皆殺し・母子は無事引き合わされるのであった。
 ロケ地、しのの茶店へ来て話す「子」弥吉、今宮神社高倉下。
*凶賊を追う町方に、蕎麦屋帰りの文さんと平さん「さっきの一味」と捕縛される。これはすぐに釈放となるが、瓦版に名前と似顔つきで質屋に入った盗っ人として書き立てられてしまう。平さんの顔が兇悪に描かれており見もの。

■ 長七郎江戸日記2 第13話「老兵は死なず」1988.4.26日テレ/東映

 年老いた定町回り同心が肩を叩かれ、本所方移動を勧められる。儂はまだまだと荒れる勘兵衛さんだが、長さんの励ましに奮起し勇んで新しい職場へ。しかしそこは普請に関する汚職の巣であった。
 ロケ地、墓参帰りの勘兵衛の娘・七重が幼馴染の旗本の次男坊・伊織に呼び止められる、今宮神社石橋稲荷社前。のち、伊織に橋の見積額を知らせる吾妻権現山門には楼門を使用。伊織のことでおれんに声を掛けられるのは高倉脇坂
*福本先生が目付配下の剣客・向井一角として登場。冒頭本所方同心を跳躍してバッサリ、相手の刀をまっ二つ。目付邸を探っていた六さんの気配に気づき畳をぶっすり(六さん刺されてる)。逃げたのを追って屋台を見つけ、長さんを偉そうに誰何したり。ラス立ちにはもちろん出ずっぱり、最後は長さんに斬られるがのけぞりは無し。但し勘兵衛さんの危機に六さんが投げた煙玉には、うわぉとのけぞってみせる。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第169話「血斗!甲州笛吹川」1978-1982/東映

 勘定奉行を罷免され甲府勤番支配の旗本が逆恨み、任地で悪政を敷いて暴動を誘発し吉宗の治世を終わらせようと企む。これがためせっかく開墾した土地を追われ自暴自棄となる武田の遺臣たち、徳川憎しの情つのり暴発寸前。不穏の気配と聞き甲府入りの上様、紆余曲折あり彼らに追われる羽目となるが、武田の末裔の頭領は上様を庇って勤番支配の銃弾に斃れる。
 ロケ地、加納じいのドジで道に迷い武田の遺臣たちの棲む狼谷へ迷い込む上様、保津峡落合の河口や崖まわりをあちこちうまく用いる。遺臣たちに追い詰められる笛吹川、木津川流れ橋上手左岸河原(ラス立ちには川中・橋下も使用、事後じいが和尚と共にやって来るシーンで橋上も)
*笛吹河原では武田の遺臣に元結を切られザンバラ髪となる上様、そのままラス立ち移行の珍しいビジュアル。頭領・鴇丸には伊吹吾郎、松平健と並べてもゴツい。その他「権太夫」の役名で遺臣団の一人に福本先生、そして鴇丸に付き従う忠臣に「焼津の半次」品川隆二が渋い。

■ 江戸を斬る II 第7話「じゃじゃ馬姫の恋」1975.12.22C.A.L

 水野老中の縁戚・水野又四郎の横暴を懲らしめ、老中の姫との縁談を持ち込まれる金四郎、お見合いの席ではきっぱり撥ねつけるがおゆきの不興を買ってしまうのだった。
お初?のラス立ちでの入墨披露もあり、要素いっぱいの話ながらテンポよく展開。
 ロケ地、大川で釣りの金四郎、罧原堤下汀・カワヤナギの下に船を仕立てて。水野のお転婆姫の馬が暴走するのを止めるのは下鴨神社馬場、姫が失神したふりは河合社前。抱いて戻り大川に放り投げるのは罧原堤下河原、対岸の山も映る。
*又四郎に河合伸旺、方々の商家で借り倒しを働き目をつけた娘を汚いやり方でゲットしようとするなど悪辣の限りを尽くすが、福々しくニタニタくつくつ笑う演技が炸裂。悪いんだか可愛いんだか判らない始末。金四郎に乱入された際、槍持って振り回すが天井に刺さって身動きとれなくなったり、北町に捻じ込みに来る際は首にギプス巻いてるしラブリーそのもの、タイトルの「姫」霞んじゃう大熱演。もちろんこれにはキュートなBGMがつき満点。
2004/2/3

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第168話「天晴れ!腹ぺこ一番槍」1978-1982/東映

 藩が改易となり仕官を求め江戸に来た田舎侍、その一本気なもののふの精神をいたくお気に入りの上様は就職斡旋など世話を焼く。しかし最初の勤め口の旗本屋敷をしくじり、その後町で会った怪しげな女に拾われ勘定奉行の抜け荷の用心棒をつとめる羽目に。荷運びの晩、誰何した岡っ引をあっさり消す悪行に辛抱堪らぬ男は主の座敷に乱入、槍で大暴れ。危機には新さんの扇が飛んでくる。
 ロケ地、江戸入りしたばかりの神崎平九郎、日本橋からスイッチの茶店は今宮神社門前・かざりや(あぶり餅をすすめられるが金無く退散)、そのあと子らにからかわれる橋は東門内の石橋、窮してお供えをちょろまかす祠は合祀摂社(ここはラスト、晴れて江戸を発つシーンで再度登場、盗ったお供えを返している姿が見られる)。大川端に出る狐面の流れ別式女(抜け荷を運んでいる)広沢池東岸(漁具や灯台をセット)

■ 助け人走る 第16話「掏摸大一家」1974.2.2ABC/松竹

 寄る辺無き身を拾われ、掏摸の元締に育てられた女たちは彼をお父さん、仕切り女をお母さんと呼び日々懸命に働いてアガリを納める。彼女らに自由は無く、ささやかな男との逢瀬も元締が十手持ちの表の顔も使い介入、簀巻きにされて消される始末。掏摸女の一人・おようの恋人が約束の場所に来ない女を案じお吉に相談、助け人たちが動く。
 ロケ地、紙入れを掏られた平さんが女を追う縁日、今宮神社境内(途中しのの茶店通過)。宮を出てなお追う橋、中ノ島橋(橋上、下流から側面、おようは橋から身を躍らせ逃れる)。服を乾かしているところへぬっと現れる平さん、広沢池東岸葦原。おようの男と勘違いされた平さんが簀巻きにされ放り込まれるのも広沢池。事後、幸せそうに江戸を後にするおようと恋人、広沢池堤
*平さん、簀巻きでドボンから這い出てくるという荒技、猿轡噛まされたまま・蓆巻いたまま文さん宅に辿り着く。不死身か。その後実行犯をとっ捕まえやり返すのが傑作、「簀巻きのダンナ」とか呼んでるし。*掏摸女に「りつ」と「加代」。

■ 江戸を斬る II 第6話「濡れ鼠河内山宗俊」1975.12.15C.A.L

 御数寄屋坊主・宗俊をモチーフに、水野老中と結託しご禁制の贅沢品を扱う富商をとっちめる金四郎を描く。水野のお転婆姫がその商家に招かれているところを宗俊の手下が見て誘拐、あとはこれを巡ってどたばたと大騒動。宗俊にマジで迫る鬼頭、紫頭巾も出て姫の駕籠を守ったり。金四郎は確保した姫の身柄を盾に水野に嫌味たらたら、でも処分は富商が遠島になるだけ。
 ロケ地、老中と結託の越後屋が抜け荷を水揚げの大川端、広沢池東岸。越後屋から帰る水野の姫の駕籠を襲う直次郎、相国寺天界橋鐘楼前。宗俊が鬼頭に追い詰められドボンの大川、大覚寺大沢池船着(小)。金四郎が出て鬼頭と対峙、五社明神。登城する金四郎、千代田のお城イメージに姫路城天守閣(備前丸から見上げ)。北町奉行所、大覚寺明智門(内外)
*河内山は悪どいながら庶民に人気の侠として描かれる。でも太助から買う魚は大鯛→鰯二匹に格下げ、遠山さまの威光に鳴りをひそめる。

■ 痛快!三匹の御隠居
 第4話「一升飯を食う女 腹が減っては仇討ちできぬ」1999.11.11テレ朝/東映

 野木村と隣村の争い、水門爆破は次席家老と結託の富商の仕込み。紛争にかこつけて消される庄屋、また諫言の普請組小頭も始末され、彼らの息子と娘は敵わぬと知りつつ仇を討ちにゆく。関わり無しと当地を発ちかける老人たち、忘れ物・寝覚めが悪いと途中で踵を返し遺児たちの仇討ちに介入、危機を救う。ラストは遺児たちの婚礼でメデタシ。
 ロケ地、野木村の架橋工事、摩気橋。祭礼、摩気神社。庄屋屋敷は例の不明なアレ。普請組小頭の息女・多加と庄屋の息・一蔵が痴話喧嘩は山室堤道(堤上と農地へおりるY字分岐、ラスト婚礼行列も同所)。普請方・松波が斬られる、大覚寺聖天堂前。仇討ちの多加と一蔵が次席家老と倉田屋に斬りかかる、沢ノ池汀とダート。
*タイトルは多加が大食らいなことから。亡父の枕頭で泣きながら大飯をガツガツ食う姿に、三四郎老人は出陣の武士を見るのであった。

■ 剣客商売5 第4話「狐雨」2004.2.3CX/松竹

 無外流のなまくら剣客・杉本又太郎が、恋人の作り話によるプラシーボ効果で一時ポパイの如く力を得、迫り来る主家からの追っ手を「討ち果たし」道場は亡父在りし日のように栄える、というお噺。原作にあった又太郎の恋人の身の上や、お狐さまの妖しい振る舞いなどは七時台のせいか描かれず改変されている。
 ロケ地、釣りの小兵衛に又太郎のことを相談する大治郎、大覚寺大沢池畔。道場から出た又太郎、自分をボコった浪人を見て身を隠す、大沢池堤。松平修理之助上屋敷、大覚寺明智門。そこから出た用人を尾行する弥七、下屋敷と周辺は京都郊外民家の門屋と土塀。修理之助の用心棒を始末する秋山父子、上賀茂神社ならの小川畔。
2004/2/2

■ 助け人走る 第15話「悪党大修行」1974.1.26ABC/松竹

 世を騒がせる稲妻小僧の正体は、幼児のトラウマから知らずのうちに盗みを働いてしまう悲しい青年だった。彼の心を癒し盗んだ品を返して回る助け人たち、しかし再び角兵衛獅子の親方と会ってしまい盗みを強要される。元締は、裏の顔は凶盗のその親方を盗っ人の風上にも置けぬと仕事抜きで乗り込み、危機には文さんと平さんが現れメデタシ。
 ロケ地、元締が旧知の盗っ人仲間・さそりの銀平と出会うおしのの茶店、今宮神社高倉(稲妻小僧の瓦版が売られるシーンは稲荷社前)。依頼者の「稲妻小僧」弥助の失踪後、銀平を難詰する元締、嵐山公園中州水路堰堤脇。

■ 八丁堀の七人5 第5話「狙われた息子!闇に潜む般若の面」2004.2.2ANB/東映

 貧しい民に炊き出しの施しをする商人、同心たちが胡散臭いと睨んだ通り正体は凶盗。張り込みの末出役の北町、だぜい与力は盗っ人の用心棒と成り果てた剣友を斬ることになる。
 ロケ地、孫娘を笹屋の息子に持っていかれた婆さんの茶店、大覚寺護摩堂裏にセット(心経宝塔や放生池堤がバックに)。市之丞たちが笹屋の用心棒に斬りつけられる路地、妙心寺大通院裏。茶店の婆さんを襲った用心棒を追い、手の甲を裂かれる平助、五社明神本殿前。市之丞の道場仲間・小太郎の母に「用心棒」山岡のことを話す青山さま、仁和寺手水場下。山岡が刀を振り回す青山邸、妙心寺衡梅院門。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第167話「天下御免の夫婦喧嘩」1978-1982/東映

 岸和田藩の若き当主が、私腹を肥やす悪家老の魔手を切り抜け、乳母への感傷を卒業し成長する姿を描く。乳母はめ組のおさいに酷似しており、家老はこれを利用して藩主を操ろうとする。おさいは辰五郎と喧嘩して家出中という騒がしい一話。
 ロケ地、岸和田藩主と手合わせの上様、庭不明。
*静御前こそないもののおさいのドタバタ満開、おそのは「まぁ呆れた」と表現、半蔵は岸和田藩邸での奇行を見て物陰で吹き出しかけ。

■ 江戸を斬る II 第5話「消えた江戸小町」1975.12.8C.A.L

 今歌麿と評判の絵師に描かれた女たちが次々失踪、おゆきも拉致される。何をするかというと、金持ちを集めて妙な見世物にしたあと競りにかけるというヒヒ爺の会合。元長崎奉行とつるんだ香具師たちの悪企みは、金四郎によって敢無く潰える。
 ロケ地、絵師に仕事場とたばかられ屋形船に連れ込まれるおゆき、広沢池東岸。旗本屋敷(賭場開帳)と背中合わせの美濃屋寮(変態サロン)中山邸通用門
*岡っ引の護衛つきで賭場に入ってみたり、紋紋の浪人を捜すため太助を引っ括って責めてみたり、思い切り怪しい人身売買サロン(ライトはローズピンク)にまで出席の水野のトンデモ姫、しかし金四郎は彼女がおゆきを鞭から庇ったことで捕物の場から逃してやる。そして金四郎にひっぱたかれメロメロ移行の模様。
2004/2/1

■ 新選組! 第4話「天地ひっくり返る」2004/2/1NHK

 桜田門外の変を、襲撃側の水戸藩士の一人から描きだす仕掛け。
死地に赴くことを覚悟した男はあちこちで無茶な借り倒しをするが、そのひとつが試衛館の稽古代というからみ。別件の取立てバイトで山口一(斉藤一)、道場破りと早とちりされ沖田と試合う羽目になる山南敬助、借り倒しの水戸藩士と知己という設定で芹沢鴨まで登場。既に髷をあらため食客として転がり込んでいるトシは本領を発揮しはじめ、近藤は未だ五里霧中のまま天下の大変を見る。
 それぞれの登場人物に個性的なキャラクターを設定、迸る奔放な言い回しに新選組意外史が期待できるかも。

■ 鬼平犯科帳4 「さざ浪伝兵衛」1993.4.28CX/松竹 通算83話

 老いて隠棲する元盗っ人と今ばたらきの凶盗、二人して過去の悪業に追いつかれ惑乱の果てに一人は死に一人は捕縛される。これに、殺された父の仇を追い求める若者が絡むが、彼は仇をそれと知らず討ち果たすという数奇な巡り合わせとなり、しかも事実を認識せぬまま彷徨うこととなる。鬼平もまた起こったことの全てを掴み得ず、世の不思議を思うのであった。
 ロケ地、箱根の山道に谷山林道(切通し、頂上付近など各所)。砂堀の蟹蔵のアジト・地獄谷の山小屋、酵素河川敷にセット。お役者小僧を追う平蔵、墓地は二尊院か。裏切った女とお役者小僧を殺してのけたあと、黄瀬川堤に座る伝兵衛と蟹蔵、山室堤道(火盗改の同心たちが馬をやるのも同所)。馬子の政吉が黄瀬川べりに用意した船、桂川岸辺(山室堤外地)。伝兵衛が逃げ回る川岸・川中、山室付近と思われるが葦茂るさまが現状とちょっと違う…宇津根付近かも。
*伝兵衛が水中に殺した男の幻影を見て惑乱、は判るが政吉側の描写に些か疑問残る。
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