時代劇拝見日記 2004年3月

・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪目次テキスト ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ

←2004/22004/4→
2004/3/31

■ 暗闇仕留人 第21話「仏に替りて候」1974.11.16ABC/松竹

 地獄絵を描く絵師・秋水、縊死したモデルも平気でスケッチ、別のモデルは孕ませた挙句体のラインが崩れたと捨てる。無茶の始末は版元・雅泉堂が引き受け、彼は秋水の絵と金を武器に変態趣味のある奉行とも誼を通じ幅を利かせ、果てには島帰りの男を利用し女殺しの罪を着せて獄門に追いやる。この外道に怒るとともに、処刑される男を救い得ない無力を噛み締める仕留人たち、上役のやり口に主水の怒りは殊に激しい。
 ロケ地、縊死したモデルが赤子を捨てる玉泉院、西寿寺前庭。雅泉堂の手下・釘六が首吊り女の死体を棄てる夜の弁天池、大覚寺大沢池(のち大吉が菰包みを引き上げる際は昼、妙心尼の念仏つき)。モデルの一人が勤める一ノ木茶屋、今宮神社門前・一和。島帰りの大工が処刑される小塚原、下鴨神社糺の森。雅泉堂を強請った夜鷹が釘六に追われ逃げる道、湯豆腐嵯峨野朝鮮石人像前。
*悪役花盛り、絵師に藤岡重慶、版元に今井健二、手下に志賀勝ときて、とてもコワい画面構成。奉行を斬る主水、珍しく懐紙で刀を拭い派手に散らす。

■ 長七郎江戸日記2 第20話「夢いくたび母の暦」1988.7.12日テレ/東映

 長さんが拾った酔っ払い女は、永年のつとめを終え八丈から帰った盗賊の女房だった。島での暮らしを地獄と語る女、生きる支えとなったのは本土に残した娘のこと。商家の養女となり幸せに暮らす娘を陰ながら見て涙を零す母、そして娘の身に伸びる魔手に我が身を顧みず救いに入る。危機には長さんが「着替えて」派手に登場。
 ロケ地、おかつの元手下・だるまや源兵衛が入る宍戸藩上屋敷、大覚寺大門。おかつを誘い散歩に出る長さん、二尊院紅葉の馬場(じっくり話を聞く段の茶店は坂下にセット)。だるまやについて六の報告を受ける長さん、化野念仏寺石仏群脇。密殺した小松屋の死体を運び出す宍戸藩江戸家老の若様、大覚寺勅使門橋(橋下の御殿川に六潜む)。死体投棄は保津峡落合(崖下から見上げでマネキン投下を映し、菰包みの小松屋は河口部に置かれている)。上屋敷に拉致された娘を助けに入るおかつ、御殿川を走り勅使門橋脇から上陸。事後、祝言を挙げる娘を遠目に見て立ち去る旅装のおかつ、車折神社

■ 江戸を斬る III 第17話「罠に掛った死神」1977.5.9C.A.L

 凶盗が跳梁し、火盗改は躍起になって探索に出張る。金四郎もろくろく帰宅せず七人芸の金の字に変装し市中を回る。そんななか芝居を打ち手下を賊に潜り込ませる死神重蔵、きっちりバレてて矢衾で危機一髪。ここに金四郎現れ鮮やかに矢をかわし重蔵を庇いお堂の中に立て籠もり、しかし外から鍵掛けられて火薬に点火されこれも窮地に。ここには紫頭巾と次郎吉が駆けつけ事なきを得るが、見られてはマズいので金四郎が当身を食らわせ重蔵を眠らせる。事後潔く負けを認める重蔵、でも根に持ってそうな口ぶり。
 ロケ地、火盗改が泳がせ目的で釈放した番頭が追われ斬られる、大覚寺参道橋御殿川。重蔵が仕込んだ芝居で密偵役の「浪人」が呼び出されるツナギの新川弁天堂、広沢池東岸に浮御堂ふうのをセット。
2004/3/30

■ 暗闇仕留人 第20話「一途にて候」1974.11.9ABC/松竹

 賊に斬られた父の後を継いだ若い同心、腐敗した奉行所の体制に反抗するが、奉行を叔父に持つ賄賂与力はその青さを疎んじ消そうと図る。そもそも父の殉職も与力の陰謀、加えて彼の許婚者の父・笠井も奉行に直言しようとして果たせず斃れる。結局若者は白昼奉行所内で斬られ恋人の娘も自死、主水は若者に受け取らせろと与力から預かっていた「賄賂」を仕留料として置く。
 ロケ地、北町奉行所、京都御所管理事務所北門。父の墓参の一平、くろ谷。その帰途一平と笠井の娘がゆく坂、金戒光明寺永雲院下坂。笠井の娘が父に一平についてゆくと告げる道、東坂下路地

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第206話「しばし名残の八百八町」1978-1982/東映

 享保の改革を決心しちゃう上様、神君の方針は民には苛酷として御定書百箇条に着手、書類と睨めっこの日々が続くので当分外出はナシという設定に持ってゆき、第一シリーズを締めくくる。
お話は、治安の悪い地方行政を正そうとして直訴を目論む枯れた爺さま。悪代官にハメられ危機一髪のところ、信州まで出向いて事態を収拾する新さん。あくまで民を思う上様の姿を描き「改革」の決意につなげる。
 ロケ地、信州の山道等マジ雪の遠隔地、不明。め組を辞した治助が襲われる、仁和寺塔下。信州をさして中山道をゆく辰五郎、北嵯峨農地(竹林道、畑)。かしらの無事を祈ってお百度のめ組、車折神社本殿前。ラスト、庭を逍遥の上様、枳殻邸侵雪橋

■ 江戸を斬る III 第16話「涙が光る遠山裁き」1977.5.2C.A.L

 早くに夫を亡くしたあと、健気に働く嫁をいいだけイビる老婆。飯を放り投げるは、仕事の邪魔をするは、ヒヒ爺いに娶わせようとするはの大騒ぎ。挙句の果て、嫁が仄かに思う向いのかざり職人を邪魔とし伊蔵親分使って罪に落そうとする。金四郎は周到に罠を張って職人の冤罪を晴らし、お白州では仲人を申し出て嫁を援護。この場でも自らの幸福より老母に仕えるという嫁に鬼婆ホロリ、過去を謝罪し和解でメデタシ、お構いもナシ。…どうでもイイけど汚職岡っ引の伊蔵の処分もナシなのかお奉行様。

■ 斬り捨て御免! 第4話「命を賭けた母子星」1980TX/松竹/歌舞伎座テレビ

 今回は、悪辣を絵に描いたような陪臣を成敗、千扇に来た新しい手伝いの女がわけあり。夜鷹までして子の遊学費用を捻出のその女は、もとは池田藩士の妻女で、夫は知らずに手伝った武器密輸に絡んで消され、その仇を討とうとしてエラい目に遭って江戸へ逃れてきたのだった。母子を執拗に追う池田の悪家老を成敗の頭取、大目付は池田の殿様に直談判して裏から助ける。この池田候、三十六番所潰しの急先鋒だったが家来の悪事でおじゃん。
 ロケ地、菊乃が夜鷹に出る湯島天神、今宮神社石橋前。菊乃の息子・太一郎を見掛ける出雲、大覚寺放生池堤。太一郎と相撲とるのは天神島。小笛のツナギは五社明神。大目付登城の駕籠に「直訴」の出雲、金戒光明寺東坂放生池極楽橋。お城イメージに姫路城天守。池田藩下屋敷から出る家老の駕籠に立ちふさがる頭取たち、大覚寺大門参道石橋(ラス立ち)。長崎へ旅立つ母子を見送る頭取、大覚寺放生池堤(護摩堂前)
2004/3/29

■ 暗闇仕留人 第19話「乗せられて候」1974.11.2ABC/松竹

 オランダ行きを切望する貢の元同輩、妻を泣かせた身勝手な願いながら抱いた夢は、艀にも乗れず無惨に潰える。洋行話は北町与力と組んだ回船問屋の詐欺、ばかりか男の妻は金の工面のためそのヒヒ爺の餌食となっていた。
 ロケ地、北町奉行所、京都御所管理事務所北門。新島から洋行話を聞く貢、罧原堤付近桂川汀。主水を拉致った駕籠が三洲屋へと急ぐ道、桂川松尾橋下手右岸堤
*今回主水は三洲屋の井戸から這い出てきて仕留に参加する。放り込まれた際付いていた戒めの跡が、出てきた折のほうが濃いのもご愛嬌。*冒頭、機械のように冷静に暗殺遂行する貢の姿が描かれ、ラストにはおきんをして「怖い」と言わしめる迫力、主水は貢がようやく本物の仕留人になったと述懐するのだった。

■ 痛快・三匹が斬る! 第18話「刺青の女達 旅の終わりの安来節」1995.8.31テレ朝/東映

 舞台は出雲・安来、金山奉行と結託した山主・伝兵衛が人々を食い物に肥え太る。屋敷には御殿女中の格好をした女たちを侍らせ二人でウハウハ、女の肌に一様に刺青を施させる変態奉行に我が娘まで差し出す非道ぶり。これを助ける右近の話が主軸、据膳なんかもあるピンクな展開。三匹最後の旅は街道で安来節(陣ちゃん以外は妙ちきりんなダンス)を踊りながら幕を閉じる。
 ロケ地、砂鉄を掘り出すヤマ、崩壊地形かガレ場か山頂が禿山、湖南アルプスか白水峡か。安来の里のイメージの民家群、美山町か。遠景のは模型っぽい。

■ 斬り捨て御免!
 第3話「三十六番所にお指図無用」1980TX/松竹/歌舞伎座テレビ

 将軍暗殺を黙過したことを恥じ意見書を提出の表御番医、しかし訴状を握りつぶされたうえ追われる身に。放浪の果て江戸に舞い戻り出雲を訪ねた老医師は惨殺され、娘にも魔手迫る。相手を大物と知りつつ討ちこむ番所衆、捕り方が出張るのには大目付が立ちはだかり援護射撃、大ワルの御数寄屋坊主は大将に真っ向に斬り下げられ絶命するのだった。
 ロケ地、部屋住みの次男坊当時の出雲が医師・良石と知り合う、今宮神社東参道(娘の祝言帰りの医師は酔って一文字屋の扉際にへたりこみ)。お城のイメージに彦根城天守。
*毒を盛られた設定の将軍、子が50人以上いて絶倫なんて言ってるから家斉公か。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第205話「泣くな太郎吉!男の子」1978-1982/東映

 悪の巣窟と化した深川を憂い、本所奉行廃止を打ち出す「行革」上様。公金横領で大穴を開けていた奉行は大慌て、加担していた石材木・普請・作事の三奉行と図り材木商を一軒乗っ取ろうと悪企み、主を罪に落し、送り込んだ御家人崩れに内儀を籠絡させた上で彼女とは生さぬ仲の跡取り息子抹殺にかかる。その子がめ組に保護されたことから関わる新さん、めそめそ少年を激励しワルを成敗、家庭を復してやるのだった。
 ロケ地、本所奉行所、大覚寺大門。木曽屋の跡取り息子が大川に投げ込まれる、放生池堤。子を送り届けた木曽屋からの帰り襲撃される新さん、有栖川畔。御家人崩れがゴロツキの駕籠かきに成功報酬を渡す、五社明神
*ワルが成敗されたあと仕置を願い出る木曽屋の妻女、その前に進み出て上様に「おっ母を斬っちゃヤダ」の少年、なんか将軍様が殺人鬼みたいじゃないか。

■ 江戸を斬る III 第15話「狙われた亥の刻小僧」1977.4.25C.A.L

 寝入りばなを狙って入ることから「亥の刻小僧」の義賊を気取る盗っ人が、仕事を断った仲間に売られ凶賊扱いされ罠に落ちるのを掬い上げてやる金四郎、次郎吉は過去から忸怩たる思いで動き、若奥様は愛も変わらず紫頭巾になって大立ち回りをやらかす。
 ロケ地、行商の荷をお堂の縁下に押し込む「亥の刻小僧」三吉、大覚寺護摩堂。盗っ人仲間の長次が大きいヤマを手伝えと迫る、天神島石鳥居下(大沢池水少なし)。南町奉行所、明智門
*金四郎の鼻を明かそうと役宅へ侵入の三吉、寝ている筈の遠山夫妻の会話「天井裏の客人」「梁の上にお上がりに」が傑作。

■ テレビ朝日開局45周年記念番組・春の時代劇スペシャル暴れん坊将軍
  「将軍生母襲撃!一途な恋に生きる女」2004.3.29ANB/東映

 話の起こりは奥州の隣同士の藩の対立、戦も懸念される事態に。しかし事は欲に駆られて他藩産物の商標を偽造した家老のはかりごと。こやつにたばかられ隣藩の殿様を暗殺しようとして失敗した侍二人の残した子と恋人のその後が描かれ、彼らに深く関わった新さんは真実を白日の下に引きずり出しワルを成敗。
 ロケ地、江戸城イメージ、姫路城天守。冒頭弓のお稽古上様、大覚寺宸殿前白州(幔幕巡らせ)。井戸から抜け出す上様、勅使門前緑地に井戸をセット、じいが追っかけてくる橋は勅使門前太鼓橋。清涼庵、宝厳院通用門。南町奉行所、大覚寺明智門。倫太郎に養母の用心棒を頼まれる新さん、八幡掘舟橋上。蔦屋が丸山藩家老と密談の料亭・大喜利、宝厳院門。倫太郎と相撲をとって鍛える新さん、八幡掘白雲橋下堀端。め組の栄五郎が倫太郎に相撲のコーチ、大覚寺護摩堂前。倫太郎がおたきの息子と「はたしあい」の相撲、梅宮大社本殿前。下総へ向かう新さんとおえい、矢切の渡しと野田宿、ともに罧原堤下河原に桟橋セット。野田宿、庭番の報告を聞く新さん、八幡掘明治橋下堀端。事後、大八に飯田を乗せ故郷へ帰るおえい、嵐山自転車道
*タイトルにもあるお由利の方襲撃の、二刀流の刺客に福本先生。はじめ飯田を装うのにお面かぶって出てくるが、これがアルカイックなデザインのお多福というファンキーなチョイス。福ちゃん、二刀流をシャープにこなし最後は上様にぶっ叩かれたあと庭番に成敗されるというゴージャスな斬られかたをする。ラスサム効果か台詞も多く、かなりカッコいい扱い。
2004/3/28

■ 新選組! 第12話「西へ!」2004.3.28NHK

 やっと江戸を出る。集合の伝通院では、上から下まで腹の探りあいやらけったいな策謀やらが展開され、けたたましい沖田姉も最後にはしんみりと別れを告げ、残される新妻は万感の思いをこめ出立する夫の名を叫ぶ。清河と幕府方の軋みや鴨大暴れの予兆が描かれ、行く手に伏線を張るほか、トシの策謀がいよいよ発動。袖の下を使う、友人を騙す、色仕掛けで誤魔化す…この時点でこれではこの先いったいどのような無体を仕出かすのか…楽しみ。

■ 地獄の左門 十手無頼帖「声を盗まれた娘」1984.3.15フジ/東映

 遠山奉行に乞われ流浪の旅から舞い戻る左門、跳梁する凶盗の探索のため火盗改に配属されるという、ちょっと無茶な展開、任務は火盗改にいると目される内通者の探索。被害に遭った商家でただ一人生存の幼女が失語症に陥るのが、今回の事件の鍵となる。あろうことか、そのいたいけな娘は知らずに引き込みをつとめ、両親以下全てをを失った衝撃で心を閉ざしてしまうのだった。奇縁により出会った医師や船宿の女将とは悲しい別れが用意され、やっと心を開いた幼女を託し再びの放浪に赴く左門で幕。
 ロケ地、江戸へ入るさ、品川宿はずれで襲撃を受け左手に重傷を負う左門、鳥居本八幡宮竹林小柴垣道〜石段下広場。分不相応の火盗改与力・島崎の飯田堀そぱの別宅、中山邸参道、通用門。実は孫の「幼女」の無事を祈る医師・井上、今宮神社稲荷社、高倉前や参道(茶店セット)も使用。
*一番怪しいのはなんでもなくて、善人として描かれるヤツが内通者というのはお約束の展開だが、アヤシイ筆頭の与力・島崎が金持ってるのは内職のあぶな絵売りというのはなかなか飛ばしている。本人「見て」描いてる設定がまた。左門に家捜しされた際、それで充満した部屋の前に立ちはだかる表情なんか最高に面白い伊吹剛。失語症の娘を「治す」のに祈祷師のおばば呼んでるへんも笑わせる。秘密がバレたあとは左門の同志みたいに振舞うのも面白い。

☆桜は二分か五分くらいの嵯峨を通過時、広沢池護岸が改変されているのを目撃。葦原もなにもきれいに刈り払われ丸裸。何の意図あってか、都心部の地下街のようなエントランスは嵯峨の池畔には似合わない。
2004/3/27

■ 銭形平次スペシャル「消えた弁財天」1995CX(北大路欣也主演作)

 回向院で御開帳予定の弁天像が盗まれ、身代金を要求する文が来る。巧みに持ち去られた経緯には18年前の因縁が絡みつき、謎は深まる。盗難は興行主の富商が仕組んだことと知れ、犯行を目撃して命を狙われる宮大工の若者を救う過程で、茶問屋の女将と謎の琵琶法師の哀しい因縁が解き明かされるのだった。
 ロケ地、回向院、粟生光明寺石段上部〜本堂まわり。回向院から出た早桶(弁天入り)を誰何する三の輪の親分、大覚寺大沢池堤(もちろん見過ごし)。偶然匿うことになった宮大工の青年を救うべく琵琶法師に宝船の絵でツナギをとる駿河屋の女将、会う梅若塚は大覚寺天神島。弁天の身代金を持って法輪寺巽堂へ来る興行主の大黒屋、大覚寺五社明神(舞殿に扉セット)。そこで指示された三月橋に赴き、橋から金を船におろす大黒屋、八幡掘明治橋(堀端に漁具セット)。弁天像が戻っている大黒屋の向島寮、中山邸通用門。翌朝、弥生河岸でその船を発見する平次親分、嵐峡船着き。18年前、開帳の観音様盗難の件で縊死した父を見て傷心のおしまが入水、中ノ島橋。おしまが大金を積み巳之助を逃がす無縁墓地、砕石場か。
*琵琶法師は駿河屋から観音様の身代金を横取りし自死に追い込んだ盗賊の首領、その後おしまを助けるという奇縁、宮大工の青年は彼らの実子という複雑なエピソードを展開させるキーマンとなるが、くすんだ頭巾も似合うこの謎めいた法師に石橋蓮司。ラス立ちの際、琵琶から仕込みの剣出すのも面白い。苦悩に満ちた表情から時おりのぞく慈愛の眼差しがレンジならでは。

■ 大奥SP〜幕末の女たち〜 2004.3.26CX/東映

 役割人格を演じきり、砂を噛むような日常の果て木隅のまま死ぬ男。
異色の家定像を目に焼き付ける、本編に骨太な肉付けを与える一編、狂言回しのまるもシンちゃんも出てこず、物語は緊張感に満ちたハードな展開を見せる。
紀州慶福謁見の際の「カステラに毒」にまつわる騒動を前段の主軸に置き、米国との屈辱外交を巡る諸方の思惑を後段の軸とし、家定将軍の御世を描き出すドラマはなんといっても役者・北村一輝あってこそのもの。あらゆるエピソードが彼に向かって収斂し、時の歯車が身を轢き潰すなか、愛しいものたちへの溢れんばかりの情が迸り、「運命の一包」は彼の口に入るを阻まれるのだった。
 ロケ地、江戸城外観に姫路城天守(冒頭、婚儀祝宴の大広間とCG合成)。城の庭に彦根城玄宮園。薩摩での東郷と篤子のエピソードに摩気橋、そこから眺めやる娘の身売りは山室堤道。下田・玉泉寺の米国総領事館、金戒光明寺禅堂。篤子が法要に訪れ東郷から毒薬を渡される芝・増上寺、粟生光明寺本堂(南面からの撮り)

■ 鬼平犯科帳5 「白根の万佐右衛門」1994.5.4CX/松竹 通算91話

 江戸入りし盗めの目前、患いついて死の床に臥す本格の老盗。しかし後を継ぐべき小頭も娘夫婦も外道に堕ち彼の遺産を狙うばかり。欲深い彼らは互いの腹を探り合いながら動くが、火盗改に捕縛されたあと聞かされるのは、狙っていた隠し金の壺に入っていた老盗の遺書一片、それには三箇条の掟が記されていた。
 ロケ地、彦十が掏摸からカツ上げした財布から白根の万佐右衛門の札出る平河天神、吉田神社竹中稲荷本殿前〜裏手。その掏摸が万佐右衛門の娘夫婦に消される、上賀茂神社ならの小川神事橋上〜橋たもと水場。掏摸の死体上がる、中ノ島橋下手汀。万佐右衛門の隠し金について話し合う小頭と娘夫婦、大覚寺五社明神
*ラスト、今回の仕儀を久栄と話す平蔵が履いている庭下駄、こんな小物まで凝っているのはさすが。
2004/3/26

■ 暗闇仕留人 第18話「世のためにて候」1974.10.26ABC/松竹

 世のため人のためを標榜し人気の瓦版、よろず評判。罪人の親族の所在を書き立て民衆を扇動し、係累を地獄のどん底に叩き落す。しかし裏では「書くぞ」と脅し大金を毟り取り、金を出さなかった者のプライバシーを暴き立てていた。そのうち、貢が得物にする「丈夫な」簪を買った小間物屋が標的となり、毅然として対応したためいいように書き立てられ店は潰れ、その後も執拗な追跡は続き遂に夫婦は自死を遂げるに至る。そして瓦版に乗せられいちばん騒いでいたおきんが、小間物屋からくすねていた櫛を頼み料として置くのだった。
 ロケ地、牢にいる兄に面会後、蔦屋夫婦が聖古堂の手先に脅される、相国寺大光明寺南路地。蔦屋の婿養子が雇ったヤクザが聖古堂の主人に手を引けと迫る、中ノ島橋上〜橋たもと堰堤脇。蔦屋のおゆきが聖古堂のどら息子に差し出され、のち夫婦とも自死を遂げる待合、錦水亭。仕置後、三人が佇む橋、中ノ島橋(下流側から見上げ、橋下に堰堤の落水が白く光る)
*貢の得物が変更。ぶっとい簪を研ぎ上げたもので、喉輪を刺す。

■ 痛快・三匹が斬る! 第17話「千石どり 裸踊りも厭やせぬ」1995.8.24テレ朝/東映

 舞台は萩、遊興に耽る藩士を見てアナクロい愚痴を吐く千石、聞いていた頑固爺さんに拾われ養子にと乞われる。千石とりながら今は無役のその家を守るため、千石の世渡りお勉強がはじまり接待の席もなんとかこなすが、藩を私せんとした側用人の魔手伸び一徹な老武士は落命、志したお家を食い荒らすシロアリ退治は藩主の帰還を待たず三匹の手によって果たされる。
 ロケ地、右近が藩の若き地理図師に握り飯を貰う河原、清滝か。千石を養子にと望む緒方家、勝持寺東門。側用人・柳原明保邸、不明。地理図師・有馬に会い連れて逃げてと迫る緒方の娘、大覚寺大沢池畔。緒方の娘・初音と話す千石、大原野神社池の橋上。事後、陣ちゃんが富籤突きを催す神社、大原野神社本殿前。
*タイトルの裸踊りはナシ、犬の真似。しかし途中でプチっとキレた千石はいきなり抜刀し黒田節を唸り刀ぶんぶん。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第204話「春ふたたび!夫婦簪」1978-1982/東映

 安価な銀細工が出回り、潰れる小間物屋も出る。このため仕事にあぶれたかざり職人の直吉は荒れ、DVの挙句妻に大火傷を負わせてしまう。手術費捻出のためヤバい仕事に乗る彼だが、御用銀着服の悪事を知り踏みとどまるのだった。
 ロケ地、直吉の女房・おふみと昔の大火事のことを話す源三、広沢池東岸(水無、漁具セット)。庭番や忠相から報告を受ける新さん、神護寺山門前。銀細工の秘密工房がある左文字屋向島寮、大覚寺望雲亭
*おふみはかつてめ組の源さんを慕っており、当時いっぱしのお兄いさんだった彼が真面目な直吉をすすめた経緯が描かれる。

■ 斬り捨て御免!
 第2話「無情の雨に泣く女」1980TX/松竹/歌舞伎座テレビ

 仕官を求める若い浪人と、苦界に身を沈めて彼を助ける恋人。しかし仕官話は大騙りの、小藩の汚い企み。粘り強い探索と、向いの女郎屋に来た浪人の恋人から、跳梁する凶盗の真実を焙り出した番所衆、藩邸に討ち込み殲滅。この過程で落命する男、あとを追って女は入水という結果に終わり、大将は女の残した桜草の鉢を前に痛飲するのであった。
 ロケ地、おみつと池上大二郎が会う約束の橋、中ノ島橋。大川藩の使嗾で動く、仕官を求める浪人たちで組織された凶盗が出たり、出雲が釣りをしている大川端、広沢池東岸。黒川藩下屋敷、相国寺大光明寺門。藩邸の裏塀を乗り越え抜け出す池上、民家西塀。入水したおみつの下駄と鉢植えを発見する出雲、罧原堤下河原
*番所の日常が描かれはじめる。歓楽街の真ん中にある設定の美術は、路地の狭さや猥雑さをよく表現している。

■ 江戸を斬る III 第14話「嫁も姑も意地っ張り」1977.4.18C.A.L

 おゆきにケチをつけてやろうと虎視眈々のおばば様。しかし料理は巧いし武芸はアレだしのハイパー嫁・おゆき、紫頭巾となって走り回ったりもして、金四郎は「あぁ?エエー?」と唖然。そして、おばば様が家出して関わった火盗改の岡っ引と火付け強盗の一件にも介入しまくりのおゆきと次郎吉、最後は金四郎が収め、死神重蔵は臍を噛む結果となる。
2004/3/25

■ 暗闇仕留人 第17話「仕上げて候」1974.10.19ABC/松竹

 「仕上屋」との抗争のすえ貢が妻を失う悲痛な一話。
仕上屋は幕閣のポストも金で請け負う闇の稼業。身代を乗っ取られ殺された富商の娘からの依頼を受けていた仕留人たちは、これを裏で操っていた仕上屋と対決の運びに。仕上屋の頭目・宗達は余裕の態度で貢を呼び出し、メンの割れていない最後のメンバー・主水の情報を迫るが貢は頑として撥ねつけ、直後、妻・あやが狙われることとなる。
 ロケ地、名張屋の娘がならず者に襲われる墓地、くろ谷。悲観した娘が入水、中ノ島橋上手岸。通りかかり助ける貢、橋上。奉行所に清二郎を連行する主水、京都御所管理事務所北門。吉岡宗達の木挽町の将棋指南所、中山邸門。貢を呼び出す宗達、今宮神社参道脇に茶店セット。あやの墓、くろ谷
*仕上屋を仕留めるラスト、主水は用心棒たちと大立ち回り。貢は逃げ出した宗達を追い詰めあやの簪で止めをさす。ぬらぬらと血に染まった銀の簪、常より放心度合のひどい、殺しの後の貢の顔が印象的。

■ 痛快・三匹が斬る! 第16話「噂の女と千両疵」1995.8.17テレ朝/東映

 渡世の義理で人を斬った女道師、その男に託された金と骨を携え親元へ。そこでは、欲にかられた茶頭が男の父を陥れようとしていた。
女道師・猪鹿お蝶に八代亜紀、罠にはまりヤクザに捕まった男の弟を救出、しかし直後凶弾に斃れる設定。厳父に反発する弟やお蝶と主に関わる役回りは千石、でも賭場でスってたり子供に魚恵んで貰ったりと相変わらず。
 ロケ地、松江に着いたお蝶、貝殻節をBGMに夕景の宍道湖は広沢池、東岸からのビュー。茶頭の悪企みを立ち聞きした右近が千両に話す、広沢池観音島。お蝶の墓に別れを告げる千石、広沢池東岸(昼、野末の墓のイメージに破れ提灯などあしらい)。旅立つ三匹、大沢池北岸
*茶頭とグルの神門一家の用心棒に福本先生、人質の口に刀突っ込んで脅したり、ラス立ちでは派手にのけぞり。せっかく右近が流派聞いてるのにうしろから茶頭が羽交い絞めに来て邪魔…ちっ。*タイトルの千両疵は唐突に出てくる遊び人、大仁田厚がゲスト。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第203話「夜の風花別れ花」1978-1982/東映

 探りを入れる新さんに刺客を差し向ける材木商・木曽屋、材木石奉行と結託し私腹を肥やすワルで、同業者を押さえつけ買占めでウハウハ。…普通ならこんな男は上様に乗り込まれて成敗パターンなんだけど、故郷に捨て置いた女房が現れ話がややこしくなる。会いたかったと取り縋る女をそこまで言うかというくらい悪し様に罵り乱暴を働く割には、決定的なことはしないし何度も来るし、しまいには女に刃物突きつけ「やっぱ殺す」とやっているところを新さんにボコられ、それから庇ってくれた女見ていきなり改心しちゃうし。で、殺し屋来て消されちゃうし。中途半端な。ワルとしての筋通ってないぞ木曽屋…って、悲恋物語か、コレは。
 ロケ地、木曽屋の手先に襲撃される新さん、下鴨神社河合社塀際〜林間。再度の襲撃は仁和寺鐘楼(鐘楼に登って鎖鎌を投げる男なども)。新さんにボコられたあと改心の木曽屋、大覚寺大沢池(五社明神との間に塀セット)。夫の遺骨を抱いて紀州へ帰るおとは、放生池堤
*新さんを襲う修験者ふうの一団、半蔵が「婆羅門殺法を身につけた破戒僧」という。なんだそれ。

■ 斬り捨て御免!
 第1話「炎と燃える三十六番所の灯(後)」1980TX/松竹/歌舞伎座テレビ

 墓地の殺陣から再開。
番所には筋向いの女郎屋に居続けを装った見張りがつく。そして神崎(前頭取)の残した謎は、リークの使い走りをさせられた出雲の幼馴染から解けることとなる。闇将軍と名を馳せた西国屋に討ち込み、証拠を掴んだ出雲と大目付は裏の大物・老中に迫り、抵抗するや「斬り捨て御免!」でばっさり。
 ロケ地、大御番士・三田村が西国屋の使いの者にリーク文書を手渡す日本橋近くの路上、大覚寺大沢池畔にセットの茶店。西国屋の寮、門は不明なるも座敷から見えるのは広沢池。老中・堀伊賀守邸、相国寺林光院(門越しに前庭と玄関、成敗時には中での撮りも)。三田村の死体が見つかる、嵐山公園中州右岸側河川敷。三田村の妻子を送ってゆく道で刺客、相国寺鐘楼脇。お城お廊下をゆく大目付、大覚寺宸殿前廊。三田村の後任のリーク役の旗本が西国屋の手下に文書を渡す、今宮神社楼門。この旗本を追い掛け回す大目付、高倉脇坂石橋
*初めてのチームでの立ち回り、長門勇のとっつぁんはトンファーを巧みに振り回し、吉右衛門の頭取は革紐を操り遠くの敵も引き倒す。*栗塚旭の老中の口から「士道不覚悟」なんてタームが飛び出し、ギョロ目の土方歳三が懐かしかったり。

■ 江戸を斬る III 第13話「金四郎の結婚」1977.4.11C.A.L

 おゆきの身分の件は、水戸家用人・中山が仮親となりおはば様にも納得させるが、晴れて嫁取りの金四郎に難題が持ち込まれ、婚礼そっちのけで奔走する羽目に。
事件は、箱根山中で勘定奉行が銃撃され暗殺、という物騒な一件からはじまり、犯人は大塩の残党と知れ、金四郎たちが秘密裡に警戒するなか、微行で目黒へタケノコ食いに行っちゃう上様。止めても裏を返しにゆき、きっちりスナイパーに狙われる。これを防いだ金四郎、乱れた風体のまま三々九度でメデタシとなる。
 ロケ地、水戸家を出る花嫁のおゆき、大覚寺式台玄関
*おばば様を説得する際、中山用人の家来として来る烈公、西山光右衛門なんて名乗る。年寄り三人の掛け合いが傑作。タケノコ飯の店へ上様を救いに駆けつける金四郎、肩に銃弾を受けつつ奮戦、その後家へ駆け戻るが、お奉行様それは貫通銃創なのでは。
2004/3/24

■ 暗闇仕留人 第16話「間違えて候」1974.10.12ABC/松竹

 一旦貢が始末した男を、知らずに大吉が「治療」して蘇生させてしまい大混乱。警戒したワルは剣客と拳法家を雇いこみ夜は蔵で寝やがる始末に、貢は自ら申し出て囮となり用心棒を誘い込む。ワルが人を陥れる描写も細かくなされ、用心棒たちとの対決も見もの。
 ロケ地、冤罪で獄門となった八坂屋の梟首、下鴨神社糺の森。安積屋が脅しに行く大野藩邸、大覚寺参道〜大門。貢が安積屋を襲い水に落す、嵐山公園中州(右岸側、中ノ島橋橋脚映りこみ)。その後大吉が「治療」はもう少し下手の河川敷。貢が用心棒たちを誘い込む相生の森、下鴨神社河合社塀際〜林間。逃げ出した安積屋たちがゆく街道筋、保津峡落合(トンネル手前の道、茶店しつらえは落下岩、崖下巌頭では中村家の女たちがお昼、逃げたのを追う主水は崖道、安積屋が水飲んでるのは清滝河口部、大吉は保津川本流に潜り接近)

■ 長七郎江戸日記2 第19話「妻こそ我が命」1988.7.5日テレ/東映

 宅兵衛さんの剣の弟子夫婦が何者かに陥れられ死体となって見つかり、辻斬り疑惑まで上乗せ。冤罪を晴らし犯人を捕えるべく、弟子の跡を辿り口入屋・叶屋に潜入の運びに。この際おれんと夫婦を偽装、なんかわざとらしいこのお芝居が傑作。事は食い詰め浪人を利用した叶屋の阿漕な裏稼業と知れ、普請奉行や旗本の悪事も明るみに出る。
 ロケ地、山中夫婦が心中を装い殺されて見つかる、広沢池東岸汀。山中の辻斬り疑惑を告げる六さん、大覚寺大沢池北東畔。回船問屋暗殺の裏に浪花屋と報告の六さん、神護寺和気公廟所前。宅兵衛が叶屋に腕を試される、山門(内側)鐘楼下石段前。六が船で叶屋にまかれる、嵐峡船着き。叶屋の隠居所を探る辰たち、嵐亭生垣(辰が植え込み下から顔出す)。浪花屋が書付と千両を交換、神護寺石段下部(用心棒の福本先生、雇い主殺されてんのにまだかかって行って長さんにやられのけぞる)

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第202話「雪崩に消えた恋の花」1978-1982/東映

 旅もので記憶喪失ネタ、でもってまたまた御用金盗られて甲州行き。上様の御世っていったい…。お話の主軸はその記憶喪失の男、夜鷹に拾われて使い走りをしている。酔った龍虎がその男が襲撃されているのを助けたことから関わる新さん、すぐさま御用金強盗と絡めてみんなを引き連れ現場入り。男は雪崩を見て記憶戻り、身分は甲府在番与力と知れる。ワルは成敗されお金も戻ってメデタシ、しかし彼を思っていた夜鷹とは結ばれることなく終わる。
 ロケ地、夜鷹の小屋、中ノ島橋下右岸河川敷にセット。ここ絡みのシーンで橋上や公園林間も使われる。あとは三岳神社近くの雪の野と山、神社なんかも映るが不明。雪はかなり深い。
*め組の若い衆、借りられて行くが役目は御用金運び…。

■ 江戸を斬る III 第12話「殴られた水戸烈公」1977.4.4C.A.L

 おゆきの扱いに焦れたお政、水戸家へ直談判。これを受けて烈公は微行で金四郎のもとへ。しかし行く先々でトラブル、しまいに騙り一味の替玉にされて佐吉親分に捕縛されお白州へ。大騒ぎのすえ結局金四郎を自邸に呼びつけおゆきとの祝言を迫る烈公、森繁大活躍。
 ロケ地、庭師と服を替え屋敷から出る烈公、殿を探す中山用人のシーンは大覚寺宸殿縁先〜庭。庭師の格好で南町門前に立つ烈公、明智門。出てきたところを中山用人に見つかる、参道橋(用人は御殿川暗渠源頭部から呼ばわる)
*タイトル、殴ったのはお咲、曲者とか言って薙刀のこじりでボカっと一発。

■ 痛快・三匹が斬る! 第15話「盗賊の首を欲しがる因幡の白兎」1995.8.10テレ朝/東映

 千石の恩人を惨殺した凶盗が家宝の仏像をオランダ人に売り飛ばそうとする鳥取藩勘定奉行と結託し悪企み、酔って意気投合?し転がり込んだ先の仏師にも彼らの魔手。一世一代の仏像修復を成し遂げた仏師が殺されるにおよびブチ切れ三匹、奉行宅へ乱入し殲滅。
 ロケ地、千石がぶっ倒れる溜池?堤、庄屋屋敷、奉行・片桐邸、全部不明。
*仏師、妻を病で亡くして以来荒れてアル中。娘は薬代の借金で身売りという悲惨さ、タイトルもこれ。作業にかかろうとするも手先プルプル震えてダメダメなこの仏師に若林豪、こういう役柄も似合うし巧い。*大ワルの凶盗に書かれちゃった破れ笠の「酔生夢死」、消すのか。

■ 斬り捨て御免!
 第1話「炎と燃える三十六番所の灯(前)」1980TX/松竹/歌舞伎座テレビ

 頭取が殺され、廃止かと噂される歓楽街のど真ん中の番所に、横紙破りの新任頭取が赴任する。幼馴染の大目付に頼み込まれ「いやいや」受けた奥祐筆、まずは前任者の死因を探りにかかる。今回は北町与力と、グルの商人を追い詰めシメたあと、襲い来る刺客の段で中程。
 ロケ地、北町奉行所、大覚寺明智門。前頭取・神崎の娘が番所へ父の日記を届けた帰り襲われる、金戒光明寺長安院下坂長安院門(門内に引き込まれ斬殺)。ここへ駆けつける花房出雲、経蔵脇〜三門。北町与力と豊後屋の前に立ちはだかる出雲、中ノ島橋上。殺陣は栗石敷きの右岸河川敷へ移動。前頭取父娘の墓に参る出雲と大目付、黒谷墓地(文殊塔バック)
2004/3/23

■ 暗闇仕留人 第15話「過去ありて候」1974.10.5ABC/松竹

 過去のしがらみが大吉を襲う。かたちは元の頭から足抜けへの制裁、しかしそこには大吉の初めての女の影。毒婦のため運命を狂わされ下辺に堕ちた彼に再び伸びた魔手は、近しい者の命を奪ってゆく。
 ロケ地、自分の墓の注文書に次いで打ち込まれた手裏剣に家を飛び出し追う大吉、西寿寺石段〜墓地(お浜と会う)。このあと、大吉の回想の和尚嫁取りのシーンに山門、心配のあまり仕事場へ来る妙心尼のシーンに石段上部越し本堂。
*石屋を襲う刺客に石橋蓮司、冷酷な殺し屋も似合う。*大吉が半次に過去を語るくだり、半次の故郷を尋ねる場面あり、日程の都合等でのねじれか。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第201話「ずっこけ勘八功名噺」1978-1982/東映

 今回は旅もの、行先は甲府。城から御用金一万両が盗まれたというが怪しむ上様、果たして勤番支配(勘定奉行御免になって左遷されたヤツ)が捕えてある盗っ人を使ってしてのけたお芝居、金は尾張へご用立てという筋立て。盗賊を捕える際はたまたま出会った昼行燈の宿場役人を使う。オチは、功を認められ勤番支配の後任に抜擢されたその昼行燈が分を越えてると断り、家付きの妻女に中村主水ばりに怒られておしまい。
 ロケ地、笹子峠で誰何される庭番たち、酵素ダート。おまちに迫られる新さん、安斉勘八の身投げを止める新さん、の川は清滝川。桂川、船止めの渡し場の小屋、木津河原。帰途、大月あたりをゆく上様たち、谷山林道分岐道に富士山合成(木が中途半端に上のほうすぱっと切られているのも愛嬌)
*安斉勘八にハナ肇、さすがの存在感。

■ 痛快・三匹が斬る! 第14話「仰天 天女の水浴び夢じゃない」1995.8.3テレ朝/東映

 千石が見た天女の夢は正夢、酷似した娘を助ける運びに。彼女は縮緬織屋の窮状を城代家老に訴えにゆく途中であった。もうメロメロで娘の家に押しかけ用心棒の千石、しかし娘は織屋を苦しめ私腹を肥やす絹奉行に父の命を盾に言い寄られ、最後は思い詰めて斬りかかり返り討ちに遭ってしまう。虫の息の娘に生涯の妻と約した千石、奉行宅に乗り込み血刀を振るう。
 ロケ地、天女の出る浜、琵琶湖西岸松原。羽衣神社、日吉大社?城代が静養の木津の別邸、不明。峰山の里イメージに美山町萱葺民家集落遠景。お絹の家・布屋、民家長屋門。絹の父(布屋)と話す千石、神護寺門前高雄橋(角度違う)。絹奉行に襲われる絹を助けて逃げる道、民家西塀(角に祠セット)。布屋に討ちこむ支度をしている奉行宅の門、民家長屋門
*千石にだけ「見える」天女、空を仰ぎ見送る(かぐや姫ふうの昇天をホントにビジュアル化してある)姿も仲間には独り言にしか見えず馬鹿にされ、挙句婆の腰巻を掴む千石…。

■ 江戸を斬る III 第11話「女だてらに河内山」1977.3.28C.A.L

 上州屋の娘が旗本屋敷に行儀見習い、箔がつくと喜ぶ両親。しかしおゆきたちは奉公先の殿様の性癖から危ぶむ。これが的中、殿様は菅貫。助けに入るのに大奥中揩ニ称し堂々と乗り込み「上様の思し召し」かなんか言って連れ出そうとするが、宿下がり中の本物の大奥女がいて露見、しかし開き直り白州で暴露と脅す始末。窮した旗本側は急遽火盗改を呼びつけ、門前でばっさりやって死人に口なしを図るが、危機にはちゃんと手配の上駆けつけてくれる金四郎さまなのであった。でも白州でお裁きはヤラれ、おゆきと次郎吉は百叩きに。
 ロケ地、上州屋が一家でお参り、今宮神社稲荷社。百叩きの奉行所門前、大覚寺明智門
*タイトルは妹の読んでいた「実録・河内山宗俊」から思いついて画策のおゆき。次郎吉ちゃんは裃つけてお付の侍をやる。*菅貫は好色の馬鹿殿、女叩いたりするけど極悪設定はなし。きょろりきょろりと動かす目ン玉が可愛い。むきーと怒る姿はもっと可愛い。
2004/3/22

■ 暗闇仕留人 第14話「切なくて候」1974.9.28ABC/松竹

 半次の故郷で繰り広げられる哀話。
大吉を連れ出して「内職」の半次、妻を鷹匠に殺された同郷の男からの依頼。しかし探りに行った名主邸で、当の鷹匠と義母の密会を目撃、その後義母が男を慕い頼り切っていることを聞き仕事は断念。半次に断られた村の男たちは敵わぬと知りつつ狩場に鷹匠らを襲うも返り討ち、加えて男に裏切られ上役に差し出された義母は、半次のたった一人の弟を道連れに逝ってしまうのだった。
 ロケ地、依頼人の回想、鷹に無礼あったとして殺された妻が出される名主屋敷の裏門、相国寺大光明寺通用門(後段、半次が義母の密会を目撃したあと歩くのも同所塀際)。名主宅へ向かう鷹匠たちがゆく道、北嵯峨農地竹林沿いの道。鷹匠らが滞在の府中の名主屋敷、民家長屋門(道路越しのショット、畔に彼岸花)。狩場、酵素河川敷
*義母に惚れていた半次、仇討ちの匕首を自ら振るう。内職の旅ものなので糸井貢は不在、主水はせんりつを迎えに来ていて飛び入り参加、八州に偽装して狩場に潜入。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第200話「酔いどれ十手一番手柄」1978-1982/東映

 妹に似た女賊を情にほだされ見逃した目明しは十手を返上、罪に服すが以降酒浸りの日々。新さんが彼を手荒く叱咤激励し復職させてやるのが主軸のお話。女賊も事情を知り深く反省し(ちょっとこのへん安易なんだけど)、現在身を寄せている口入屋が大岡忠相を狙う企みを暴露する。この口入屋の大将、女形くずれで自ら女装してターゲットを殺るなど悪辣な所業を重ねており、罷免された元若年寄と結託している。これを市中で追い掛け回し件の目明しに捕えさせてやるのだが、正体現して裾おっ広げて駆けるさまは傑作。
 ロケ地、おみくじ売りに出ている元目明しが女賊に会い追っかける、今宮神社石橋高倉脇坂参道。アル中の目明しを小川に顔突っ込んで諫める新さん、上賀茂神社ならの小川。改心し酒を断ち水垢離の目明し、今宮神社本殿。事後、島送りになる女賊を見送る霊岸島御船手番所、大覚寺大沢池船着(小)
*元女形設定の口入屋の元締、とてもそうは見えないいかつさ。こんなのに初孫誕生を祝うたまさかの宴で消されちゃう上様の信頼厚い辣腕大目付の土田河内守さま、メチャ可哀想。この田之倉屋の二番子分に福ちゃん、アル中岡っ引から酒取り上げて割ったり、後段では乗り込み新さんに腕パキって折られたり。役名つき、「与八」。

■ 痛快・三匹が斬る! 第13話「湯女風呂の俄か亭主に偽の公家」1995.7.27テレ朝/東映

 舞台は城崎温泉、元湯の権利を狙う悪辣な湯屋の亭主、一大温泉遊郭をぶっ建てて大儲けを画策。この事態にいつもの如く三者三様に関わる三匹、今回女と関わりは千石、でも一児の母で亭主持ち。
遊郭プランを上げた途端放り出される陣ちゃん、元湯の女将の亭主で尾羽打ち枯らした浪人を助ける右近、そして元湯の息子に父と間違われしばし居着く千石、ワルの奸計に落ちた女将をからくも救い出し落命した亭主を見てワルと結託の代官所へ揃って乗り込み皆殺し。
 ロケ地、右近が「権兵衛」こと葛新之助を助ける、摩気橋園部川右岸河原。元湯・万湯の露天風呂、摂津峡山水館露天風呂。久美浜代官所へ急ぐ女将を見かける「権兵衛」、酵素ダートと降り口。
*タイトルは父上として万湯に暫時滞在の千石と、「八条大納言」とか称し万湯にやってくるワルの手下の役者くずれ紋三郎。湯女風呂は陣ちゃんの助平プラン。

■ 江戸を斬る III 第10話「恐怖の辻斬り」1977.3.21C.A.L

 辻斬り横行、正体は旗本の乱行。犠牲者となった大工が噛みちぎり口に含んでいた根付を遺体から見つけた女房は、包丁一本で仇と旗本に斬りかかる。これが火盗改に阻まれ確保されてしまい、武士全体の恥と揉み消そうとするのを金四郎の一計でトリッキーに解決。この間、ずっと関わっていた佐吉親分は悩みまくり荒れまくりタイヘン、今回片桐同心がいないのでナマに金四郎に食ってかかったり。金四郎に思惑を崩された死神重蔵はもちろん苦虫を噛み潰す。事が公になり辻斬り殿様のお家は断絶、中でドロドロあった後継騒動も全てオジャンに。
 ロケ地、辻斬り殿様が大工を斬り佐吉に見られる柳原堤、下鴨神社糺の森林床と泉川畔。
2004/3/21

■ 新選組! 第11話「母上行ってきます」2004.3.21NHK

 清河を警戒する佐々木只三郎、いよいよ山岡にのみだが野望を語る清河、外のほうでは伊東まで策謀の気配。そんななか挨拶回りに追われる試衛館メンバー、ニセ虎徹(20両)は実兄から貰う設定。そして母、自らの出自を告白し勇に詫びる「あなたは私」、これにより「武士よりも武士らしく」の意思はより強固に。
*よりにもよって桂に相談に行くかの沖田姉、情勢を説かれ幕府の弱体化を聞かされ「弱まってるの?」の頓狂さは文久年間でも江戸ではまだこんなものという情勢の描写か。また、義兄が蔵から出してきた甲冑を見てトシの「これじゃまるで関ヶ原」はきっちり伏線の模様。

■ 鬼平犯科帳5 「消えた男」1994.4.27CX/松竹 通算90話

 先の長官の不甲斐なさゆえ出奔した元火盗改同心あり、八年を経て江戸へ帰り着く。彼が偶然以前の直属上司・佐嶋と会ってしまったことが、その後の男の運命を変えてゆく。事後それを思い煩う佐嶋に、運命だったと労わる平蔵、江戸へ戻る途中亡くなった「共に逃げた女」とともに供養してやるのだった。
 ロケ地、佐嶋と元同心・高松繁太郎が会う愛宕山権現男坂、粟生光明寺石段下部。高松が連れて逃げた女の情夫・草間の勘蔵が粂八を釣りに誘う、広沢池東岸。女の初七日が過ぎ覚悟して佐嶋を待つ高松、佐嶋と会ったのと同所。これについて報告を受ける平蔵と佐嶋がいる女坂の茶店、粟生光明寺紅葉道・薬医門内側。
*原作とは、高松のその後が異なる。ゆえに江戸帰還の高松は「ふっくら」しておらず役者のチョイスにも反映。*高松が勘蔵の叔父の差し向けた刺客に殺られたと聞いた平蔵の口から「仕掛人」の言葉が出る。
2004/3/20

■ 新選組 沢島忠監督作品 1969.12.5東宝/三船プロ

 新選組の成立から終焉までをコンパクトに描く一作。近藤にはもちろんミフネ、ほかにも錚々たる顔ぶれ。
 ロケ地、天誅騒ぎ横行する京洛、梟首の河原、渡月橋下。出稽古帰りの近藤が土方に浪士隊参加への抱負を語る多摩川の橋、木津川流れ橋。京都へ着いた浪士隊が清河の演説中待たされる壬生新徳寺境内、金戒光明寺石段上。清河と袂を分かった近藤らが直訴に赴く会津屋敷、青蓮院長屋門。隊発足直後、洛中での浪士狩りのシーンに白川巽橋(川中での殺陣あり、舞妓あしらい)。乱行つのる芹沢に酒を断つよう諫める近藤、東福寺三門。8.18の政変(劇中テロップは禁門の変)で出動の新選組、京都御所大路。芹沢暗殺後、整列した隊士を前にリーダーとなる宣言の近藤、金戒光明寺本堂(石段越し)。河合と山南の死に悩む近藤に土方が来て情勢を論じる路地、金戒光明寺長安院前東西の路地(バックに文殊塔と本堂)永雲院下路地。伊東甲子太郎暗殺、西本願寺南塀前路地。大政奉還のテロップのイメージ、二条城(空撮)。墨染で銃撃された近藤が単騎走る道、東高瀬川右岸堤(バックに松本酒造酒蔵)。伏見新選組本陣、近藤が大坂に搬送されるのを見送る土方ら、金戒光明寺東坂に柵セット。鳥羽伏見の戦い後、官軍の音曲に乗せ京洛をイメージは渡月橋。甲陽鎮撫隊が渡る多摩川、木津川流れ橋
*土方に小林桂樹、渋いけどお年召しすぎかも。山南に中村梅之助、温厚な人柄を好演。沖田に北大路欣也、月代がユニーク、。伊東甲子太郎に田村高廣、溝の中に頭突っ込んで横死、殺陣なかなか。谷守部に中谷一郎がいて助け人コンビ揃う。最後のほうに出てきてけっこう美味しい役回りのヨロキン(中村錦之助名義)、弁舌爽やかに近藤の助命をぶつ。賀葎雄ちゃんも出ていて、会計方の河合喜三郎を熱演。

■ 座頭市物語 三隅研次監督作品 1962大映京都

 天保水滸伝に座頭市を嵌め込んだ一作。平手造酒と市との友情成立過程を淡々と描き、ラストの出入りの際に自死に近いかたちで市に斬られて死ぬ平手の旦那で終わる。市のダーティな面と優しい面を見事に見せるエピソードがふんだんに盛り込まれる。カツシンの殺陣は要所に収斂され、瞬間の美が高められる。病んだ剣士を演じる天知茂の凄絶な演技もよし、南道郎のけちなヤクザもよし、大映映画の風格を満喫の「時代劇」。
 ロケ地、見覚えある風景あるも、全然判んねー。しかし印象的な画の数々、わけても平手造酒と市の対決の橋、中央を少し上げてある凝ったもの。手前には利根らしく四ッ手網なんか配してあり泣かせる。モノクロももちろん良いが、カラーでも見てみたいような。
2004/3/19

■ 暗闇仕留人 第13話「自滅して候」1974.9.21ABC/松竹

 我が子の出世を望む母の思いは狂気を呼び、悪魔の囁きのままライバル殺害を依頼するまでに膨れ上がる。しかし、土壇場で思いとどまり断った筈の「願い」は何者かの手により実行され、脅され大金を強請り取られる日々がはじまり、最後には親切面した男が欲望を剥き出しにして迫り来ることとなる。子の家庭教師をしていた貢は、母の自死を繕ってやったあと仲間たちの前で遺書を読み上げ仕置を迫るのだった。
 ロケ地、中根邸、不明。小一郎を釣りに誘う貢、大覚寺放生池堤。釣りのおじさん「半次」が待っているのは護摩堂前。中根の奥方を待っている脅迫者の浪人、今宮神社石橋上。たかり屋の弥八が待っていて金をせびる、高倉下。墓ができたと呼び出した漢学者・佐島昌軒を始末する墓地、化野念仏寺(鐘楼〜石仏群脇)。ラスト、貢と釣りの小一郎、桂川堰堤下河床。
*タイトルのままの「自滅」を遂げる佐島昌軒、墓石を割るシーンはもちろんだが、日々頭を打ちつけている自室の柱がまぁるく刳れているのが怖い。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第199話「泣き笑い大江戸三人娘」1978-1982/東映

 三色のマフラー巻いた姉ちゃんたちが強請るはタカるはただ食いするはの大暴れ、新さんなんかサンピンと侮られ包丁突きつけられたり。新さんと龍虎がシメて町方へ突き出し、百叩きとなるが懲りる気配もなし。そして仲間の一人が重傷を負い医者に見せるため、かねて金が唸っていると聞き込んだ富商の蔵に盗みに入るが、金と一緒に函館奉行の不正の証拠を掴んでしまい大騒ぎ。成敗の場、上様と気づきご勘弁下さぁいと平伏の娘たち、事後威勢の良い魚屋として再スタートを切る。
 ロケ地、新さんに辻強盗を働く三人組、金戒光明寺三門前。新さんに生い立ちを語り泣くお染、三門下石段。諭されるも反発し去る坂は善教院前坂。
*乱暴娘たち、カモを物色する際年寄りは気の毒、親子連れは子供の前で殴れないなどと妙に善良。ねえちゃんパワーで、函館会所の不正や、探っていて消される庭番のエピソードなど霞みまくり。

■ 江戸を斬る III 第9話「暗闇の追跡」1977.3.14C.A.L

 凶盗・木鼠小僧が出没、鼠小僧顔負けと瓦版に書かれてムッとした次郎吉はおゆきや金四郎が諫めるのも聞かず探索に。夜の町で片桐たちに見られ疑われ、挙句の果て木鼠小僧に桶から包丁を盗まれて以蔵の手下をこれで傷つけられてしまうという大ピンチ、逃げ回る彼を火盗改が囲むところへ紫頭巾、更には深編笠被った金四郎まで出て救い、最後は江戸を売る寸前の木鼠を押さえメデタシ。でも出し抜こうとしていた死神十蔵はけちょーん、腹いせに伊蔵親分は火盗に殴られてちょっとかわいそう。。
 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門

■ 痛快・三匹が斬る! 第12話「夫婦旅、触らぬ葵に崇りなし」1995.7.20テレ朝/東映

 七年前、山津波で家も畑も失った家族は、散り散りに出稼ぎに出て再建を期す。金も貯まり念願の故郷へ帰る道中、老夫婦は侍が人を殺めるのを見てしまい執拗に狙われたすえ無惨に殺害、道中を共にしてきた右近は遺骨を抱き故郷の村へ赴き村で遺児となった姉弟に引き渡す。ここでそれぞれ姉弟にくっついて来ていた二匹と合流、「許せん」突入。
 ロケ地、博打のトラブルでボコられている清七を助ける千石、亀岡の桂川か。彼と飯を頬張る街道筋、山室堤道。老夫婦が小休止の小屋に火をかけられる、酵素河川敷。後を追っていた右近がこれを見るのはダート。成敗に入る三匹、宮津藩天橋立別荘は嵐亭(門、庭)
*タイトルの葵は、山で人を誤射の馬鹿殿のこと。先の将軍の落胤で幕府人事を裏で操り、諸国を漫遊しては官位を餌に好き放題という設定。
2004/3/18

■ 暗闇仕留人 第12話「大物にて候」1974.9.14ABC/松竹

 捌き屋の小兵衛は役人も恐れる闇の世界の大物、その甥・長一郎は手先となって荒っぽい手口で富商乗っ取りを働くほか市中で無体の限りを尽くす。姪もいて、こちらは男狂いで、つれなくされたなどの益体も無い理由で殺し屋を差し向けたりする。そんななか、正義漢の北町同心が彼らを調査中陥穽に落ち親族を悉く殺されてしまう。次いで主水が衆人環視のなか殺しを仕出かした長一郎を捕えてしまい狙われる仕儀となり、動けぬ彼の代わりに他のメンバーが小兵衛殺しに奔走。その過程で、斬り込んで失敗した北町同心から貢が恨みを託されることとなる。
 ロケ地、北町同心の妻の父母が殺される、柊野堰堤落差工下の大岩前(老妻は軽石を求めている…火山灰土壌の西山、練馬あたりか)。おなつの使嗾で殺された役者の死体が上がる河原、桂川松尾橋付近汀(おなつが駕籠から見て薄笑いは右岸堤上)。小兵衛の屋形船に言い訳しに行く北町与力、大沢池。北町奉行所、京都御所管理事務所北門(ツナギの場面で塀も多用)。小兵衛が出席の香の会が開かれる、中山邸通用門

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第198話「最後に微笑った悪い奴」1978-1982/東映

 津軽藩家老が藩政を壟断しようと謀る企みが多数の犠牲者を生み出す。遺族の悲喜こもごもが描かれ、家老に悪知恵をつける謎の侍は半蔵の伊賀時代のライバルだったりと要素いっぱい、些か騒がしいお話。
 ロケ地、源さんと釣りの新さん、坊主での帰り渡る橋、中ノ島橋上。下から声を掛ける勘太は橋下手右岸河原。中州舳先の茂みに家老の腰元の死体。検死は右岸堤、この死体を運ばされた勘太が殺され引っ掛かるのは橋脚。この一連の中ノ島橋まわりの設定は業平橋の上手と下手とナレーション。庭番が持ち去られた腰元の死体を見つける、鳥居本八幡宮井戸。家老と結託の八代屋の寮で腰元の行方を糺した藩士が斬られる庭、中山邸庭。工藤伝八郎に最後の忠告をする半蔵、仁和寺中門

■ 痛快・三匹が斬る! 第11話「尼様の仕組んだ騙りは天一坊」1995.7.13テレ朝/東映

 舞鶴・田辺藩では殿が重篤、世継ぎがおらず存亡の危機。家老はこの際御落胤の小五郎ぎみをお迎えと図るが、これは藩政を壟断しようとするこやつの企み、殿に悪事を知られたから毒盛ってたりする。その落胤は本物だが、とてつもない乱暴者で偉そう、こんな男が君主になっては万民の嘆きと千石たちはすり替えを提案、我が子の行状に心痛めていた生母の尼僧はこれを承諾。このあとは陣ちゃんの「奇跡」パフォーマンスで群臣会議を切り抜けるが、落胤に据えられた若者の命を狙う家老の手先の銃弾はその恋人の胸を貫き、三匹ブチ切れ。しかし尼さんのことを思った千石は「落胤」の髪を切るにとどめるのだった。
 ロケ地、千石が妙真尼を助ける街道、不明。野良帰りの誠一郎のなりを見て皮肉を言う郡奉行、妙心寺微妙殿前路地。妙真尼が滞在の尼寺、勝持寺(千石が縁先で尼僧の尻を凝視、庫裏縁先。妙真尼の覚悟を聞く千石、鐘楼前)
2004/3/17

■ 暗闇仕留人 第11話「惚れて候」1974.9.7ABC/松竹

 山から出てきた獣じみた男が、純朴な性質を利用され磔刑台に消える悲劇を描く。
はじめ盗っ人の一味として弥太を捕え激しい拷問にかける火盗改、将に土壇場の際の際で処刑を止め、一転平謝りで冤罪だったと認め、その後は仕事や住居や結婚の世話まで見る。感激し火盗長官の乾を仏と崇める弥太、そのうちそっと耳打ちされる暗殺話、乾に恩返しと受ける弥太。引かれゆく馬上の彼に仕組まれたことと主水が告げるが、とうに諦めきった男は黙したまま刑に服し、その夜弥太の新妻が死の間際託した五両が分配される。
 ロケ地、火盗改長官・乾寛兵衛役宅、大覚寺大門。小伝馬町牢屋敷、明智門。弥太の濡れ衣が晴れたとはしゃぐおきんの妹分・おまき、でんぐり返りは大沢池堤。釣り禁止の池で釣り(リリースしている)の主水に声を掛け火盗を見直したと言うおきん、大沢池水門そば。縁先で虫を追いかける老中松平和泉守の側室・千鶴、相国寺方丈縁先。玉泉院の石段、乾と行き会い女の匂いを嗅ぐ大吉、西寿寺石段。千鶴の駕籠が出る、相国寺庫裏。弥太に得物が渡される、方丈塀南西角。駕籠が近づく、大光明寺南路地。駕籠に極太手裏剣を打ち込む弥太、法堂前。乾の部下に斬られるおまき、今宮神社合祀摂社前。刑場はどこかの砕石場か。おまき暗殺犯に仕掛ける主水、中ノ島橋上。
*弥太に新克利、おまきに池波志乃、そして乾に金田龍之介とコテコテのキャスティング。

■ 長七郎江戸日記2 第18話「葵と紫陽花」1988.6.28日テレ/東映

 名ばかりで不遇をかこつ名族「十八松平」の若様、権威を傘に着て市中で無体を働く。これを利用し大金借りてる富商やいると都合のわるい御目付衆を無礼討ちさせて始末の御側衆、これは長さんがばっさり始末するが、若様は長さんたちの根強い説得で心を決めた隠居の父に成敗される運びとなる。
 ロケ地、松平盛親邸、相国寺大光明寺(門、前庭、中仕切、堂縁先)。御側衆・鳥羽伊勢守邸からの帰途襲撃される盛親、湯屋前〜方丈西塀際。
*隠居の説得、珍しく牛さんが自ら買って出て独特の調子でぶつぶつとやる。その際長さん貧乏呼ばわりされてたり。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第197話「あわれ残んの花ちりぬ」1978-1982/東映

 紀州から乳母が出府、手放しで大喜びの上様。しかし乳母は不治の病を押して今生の別れにやって来たのだった。育ての母の死に際会し、典医や加納じいに当り散らし身も世も無く声を上げて泣く上様、乳母を狙う元勘定奉行の魔手を蹴散らすラス立ちにも後生を勘案し血を見せずに済ますという涙涙のこのお話に、なんだかヘンなお笑いも挿まれてゆく。
 ロケ地、じいと馬をやる上様、下鴨神社馬場。忠相に乳母・おりくの思い出を語る上様、泉川畔。この際回想シーンに和歌山城。品川宿付近、雲助にからまれるおりくの方、広沢池東岸(水無)。登城したおりくの方と庭を逍遥の上様、下鴨神社泉川(紅葉)。元勘定奉行・萩原監物邸、中山邸通用門。加納邸を辞したおりくの方の駕籠が萩原の手下に襲われる、二尊院三帝陵前。根岸に乳母を見舞い帰る上様、下鴨神社河合社前。芝増上寺の乳母の墓に参る加納五郎左、今宮神社楼門に梅花を挟んで二尊院墓地にスイッチ。
*ヘンなお笑いその一、大奥潜入を命じられたおそのが「女臭いからイヤ」に半蔵「お前女ではなかったのか」…。その二、柳の局にカマかけるおその、騙されておりくの方の名を口にしオッホッホッと去る局に「ばぁーか」…。その三、乳母の病を聞いて騎馬でお城へ入る加納じいのくだり、東映城へ駆け入るじい、間髪を入れずどかどかと白馬に跨って出てくる上様…タイミングがほとんどギャグ。この加減が暴将は独特なんだよなー。

■ 江戸を斬る III 第8話「盗まれた入牢証文」1977.3.7C.A.L

 江戸に進出の上方から来た掏摸集団、その跋扈を阻む金四郎。主軸は片桐同心の恋その後。堅物の同心と前身を恥じてもじもじの元掏摸のお京、肩入れしようとした岡っ引と大喧嘩の一幕が描かれ、最後は三人の和気藹々で締められる。タイトルそのまんまの、片桐が証文を掏られ窮地に陥るお話。
 ロケ地、おゆきが金四郎に「三人」をなんとかしてやれと迫る茶店、大覚寺大沢池畔にセット。元手下のひょう六がお京に復活を乞う橋、上賀茂神社ならの小川神事橋。お京を隙見の上方掏摸、河畔の摂社脇。片桐が入牢証文を請求に帰る南町奉行所、大覚寺明智門。これを窺う掏摸たち、御殿川対岸。脅されたひょう六が片桐から証文を掏る、五社明神有栖川畔の祠脇(この際収蔵庫東塀が映りこみ)

■ 痛快・三匹が斬る! 第10話「黒髪の乙女が叩く鬼太鼓!」1995.7.6テレ朝/東映

 舞台は奥能登、浜で御陣乗太鼓叩く美女と恋に落ちる右近。侍を捨て居着いてもよいと思う矢先、娘は漆器流通にからんだトラブルに巻き込まれ養父を庇って汚い役人の手に陥ち、自ら儚く命を散らしてしまう。嘆きの枕頭にゴメンナサーイとやって来る飯と欲でワルに関わっていたあと二匹、足して三匹の制裁がワルどもに下される。
 ロケ地、陣ちゃん特製ニセモノ漆器売りの露店は仁和寺手水場下。輪島屋、「あの」庄屋屋敷。輪島郡奉行所、勝持寺東門。
2004/3/16

■ 暗闇仕留人 第10話「地獄にて候」1974.8.31ABC/松竹

 地獄絵の入墨ある女を好事家に斡旋する座頭あり、ヤサの二階には彫師を飼っている。妙心尼のもとにいた若い尼僧が毒牙にかかり果てたことから事件が発覚、その尼僧と遊んだ客が脅され娘をさらわれ、身代金のトラブルから刺されるにおよび仕留人たちは動き出す。
 ロケ地、春香尼がさらわれる祠、大覚寺五社明神・有栖川畔の小祠。北町奉行所、京都御所管理事務所北門。春香尼の死体が上がる神田川、桂川松尾橋付近汀。手がかりを求め屋形船を見て歩く半次とおきん、大沢池西岸に係留。座頭の手下の駕籠かきを水に落す主水、有栖川通用門前の橋。彫師を始末してきた大吉を待っている貢と主水、大沢池木戸
*拉致され墨を入れられる美濃屋の娘に片桐夕子。

■ 剣客商売5 第10話「暗殺者」2004.3.16CX/松竹

 大治郎を狙うに凄腕の剣客を手配の元目付、真のターゲットは田沼老中だった。
長編の原作をベースに、義理で絡めとられ妻子を人質にとられ「暗殺者」となる男の心情を軸に描くお話。
 ロケ地、小兵衛が浪川周蔵を見掛ける真崎稲荷の茶店、下鴨神社河合社南東角にセット(浪川は娘を連れ馬場のほうに去る)。田沼邸、随心院薬医門と本堂脇の。浪川が元目付・松平伊勢守の配下・小田切に呼び出される浄真寺鐘搗堂、相国寺鐘楼(東側、バックに宗丹稲荷)。浪川の妻子が囚われる松平伊勢守深川下屋敷、妙心寺大雄院門と北塀。微行で亀戸村はずれの長泉寺へ墓参の「田沼の駕籠」を襲う小田切ら、仁和寺塔裏〜九所明神拝殿。
*わけのわからぬ放映日程も今日でおしまい、「今朝の新聞発表はナシねー」のテロップは記念になるかも。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第196話「河豚より怖し小判鮫」1978-1982/東映

 魚河岸の利権をめぐってのダークな企みが、同郷の仲良し三人組の一人を死に追いやる結果となる。日本橋に代わって御用を一手にと野望を膨らます深川魚河岸の元締、日本橋の元締を陥れるのに仕出料理に食傷ったとでっち上げる。窮した担当板前の同郷の「仲間」の娘は潜入捜査を買って出るが露見し消される。事態を内偵中だった上様、ここに至り成敗を決意し手始めにワル旗本をシメて捕え、大ワル一堂に会す庭先へ放り投げ断罪の雨嵐。
 ロケ地、板前・亥之吉が嘆息し佇む水辺、大覚寺大沢池南堤(遠景に心経宝塔)。婚約者の魚屋のお勝が来て励ます、護摩堂縁先に腰掛け。二人が手を合わせる祠、五社明神。お勝が去ったあと新さんが来て亥之吉の話を聞く、大沢池北西畔。お勝がワル旗本の情報を告げに来る、天神島。吉村邸へ潜入のおきみが拷問されたあと投げ込まれる川、嵐山公園中州側堰堤上湛水域(半蔵が飛び込んで救出・抜き手切って泳ぐ)。深川魚河岸の元締・安房屋の寮、中山邸(参道、門)
*同郷仲良し三人組に桜木健一・吉沢京子・西崎みどり、対する悪役連に河合伸旺・菅貫太郎・外山高士と豪華、ラス立ちにはあまり目立たぬものの福ちゃんも登場。*タイトルはイマイチ意味不明、河豚は龍虎のさばいたフグに当って土中に埋められるめ組の面々や、ラスト開店祝の席で河豚鍋を貪り食う新さんのシーンがあるが、小判鮫って誰よ。

■ 江戸を斬る III 第7話「殺しの爪痕」1977.2.28C.A.L

 おばば様の侍女・咲に縁談、喜び舞い上がるじい。しかし最後には戻ってきてしおしお。この間、咲の相手が巻き込まれる血腥い事件が描かれる。
事件は、八州回りの道案内(目明し)が追い詰めた凶盗が江戸潜伏との報からはじまる。盗んだ金で湯屋を開いているその盗っ人の鼻先まで迫る道案内は消され、その咎はややこしい痴情のもつれで咲のお相手に濡れ衣。次郎吉や片桐たちの探索で事実は次第に明らかとなり、抵抗しまくる凶盗を捕えてお白州。巻き込まれた咲のお相手と、彼が弄んで捨てた「偽証」女はお叱りと微罪で済むが男トンズラ、咲はドラえもんの声でわんわん泣き。
 ロケ地、道案内・善八の死体上がる水辺、広沢池東岸。ラスト、咲が戻りおばば様のお世話を終えたおゆきを送ってゆく金四郎、今宮神社東参道
*タイトルは道案内が殺される際湯船につけた跡。このお湯、緑色…バスクリン?

■ 痛快・三匹が斬る! 第9話「偽姉弟、討って討たれて夢芝居」1995.6.22テレ朝/東映

 舞台は小浜藩領・若狭高浜、その昔冤罪におちた父の仇を討ちに帰還するは中村富蔵一座の花形・菊之丞。父が陥れられた経緯を芝居に仕立て、ワルの抜け荷の証拠となる亡父の日誌を持って立ち向かおうとする。右近は彼女に頼まれ同名だった弟の身代わりをつとめることとなり、曲折を経て三匹ラス立ち血の雨の段は仇討ちの場ともなる。
 ロケ地、現地高浜ロケ。若狭富士・青葉山、明鏡洞、青海断崖、高浜海岸、馬居寺などが使われる。
*ヒロイン・菊之丞こと篠原菊に藤あや子、妖艶でキレイ。右近との「距離」をやきもき千石が「姉弟の範囲越えてる」とギャーギャー騒ぐのがおかしい。
2004/3/15

■ 暗闇仕留人 第9話「懸想して候」1974.8.24ABC/松竹

 半次の留守中おきんが惚れた男には裏の顔があった。はじめおきんの新たな人生を祝福する仲間だが、男が外道仕事をしてのけたことが知れ一も二もなく殺すことに。そして虫の息の男から聞き出した仕事の「起こり」と「蔓」は、罪無く殺された幼児と男の仇として始末される運びとなる。
 ロケ地、おきんがルーレットで野博打の富岡八幡宮、今宮神社境内各所(以降、文七と親方のツナギや、親方を尾ける主水のシーンも同所)。檜屋の先妻の男児の死体が見つかる汀、桂川松尾橋上手右岸汀
*おきんの足抜けについて大吉と議論の糸井貢は青い理屈を開陳、しかし相手が堅気でなくしかも非道を働いたことを知るや即「殺す」発言、揺れる心の描写が興深し。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第195話「何故に悲しき相合傘」1978-1982/東映

 上様が心ひかれる女はたいてい死ぬか上様を振るかするが、今回は前者のパターン。事件は、勘定奉行が繰り広げる悪さの数々、発端は不正を暴こうとした下役を自死に見せかけ殺害することから。奉行は汚職に加え助平爺ときて極悪、これを名和宏が熱演。新床で舌を噛み自死した娘の亡骸を抱き、怒りのゲージレッドゾーン入った上様、登城途中の奉行の前に立ちはだかり。さやを騙し祝言を挙げた手先の吟味方改役には刃を返しマジ斬り、奉行は自刃。
 ロケ地、め組の巣鴨遊山、大覚寺天神島(対岸からのロングで導入、鳥居下で宴会。新さんとさやは二人離れて池辺でいちゃいちゃ)。嫁入りが決まったさやが新さんと歩く川辺、上賀茂神社ならの小川(雨降らし)。ラス立ち、相国寺庫裏前(バックに書割の天守、スケールちょっとヘン)〜渡廊〜法堂〜林間。事後、出家し旅立つさやの父、北嵯峨農地(柵とお地蔵さまセット)
*悲恋もののラスト、傷心の新さんを気遣ってめ組のおまちが半ベソかきながら傘持ってくる…でも誘われるのはお団子試食で相変わらず色気の無い上様なのだった。

■ 江戸を斬る III 第6話「すった財布が縁結び」1977.2.21C.A.L

 片桐同心に春の巻。お相手はタイトル通りの女掏摸。
お話は、女掏摸が材木商から掏った紙入れに入っていた機密書類からはじまる。大奥がらみのそれを持って強請りに行った女掏摸の父(これに加藤嘉使うから贅沢)が殺されるなどして金四郎の調査入り、ワルの企みは白日のもとに曝される運びとなる。片桐が同心と知り心を閉ざす女掏摸のくだりが細かく描かれる。
 ロケ地、加藤嘉が強請りに行って殺される新橋(あたらしばし)中ノ島橋たもと。大奥の女と女掏摸を船から「投棄」の大川、広沢池東岸
*「役人なんか」とむくれ何も話さない掏摸・お京をひっぱたく片桐、喚ぶわななき声がちょっと「正和」ふうかも。掏摸にはジャネット八田。

■ 痛快・三匹が斬る! 第8話「夢か現か?千石と駆け落ち美女」1995.6.15テレ朝/東映

 タイトルに偽りあり、千石くんに女ッ気などまるでなし、就職詐欺に遭うお話。美女は「若」のほうと関わる。陣ちゃんは悪徳商人のもとで人集めのバイト。
舞台は能登・七尾藩、食い詰め浪人の前に美味しい話をぶら下げて、見習い期間の保証金を取りその後解雇、金は返さないというひどいやり口で殿の猟官運動資金を捻出の国家老。加えて結託の富商は公儀の北辺警備に浪士を募り、松前船に乗せ現地で飯も食わせず強制労働というどこかの国真っ青の悪辣ぶり。
三者三様に事件に関わり、ワルのために死んだ人々を哀悼したあと血の雨を降らせにゆく三匹、いつもの通り容赦ない皆殺し。
 ロケ地、七尾藩の城、丸岡城天守。近習召抱えの徴募に押しかける浪人たち、二条城本丸櫓門(側面と橋上、見返りのショットもあり)。召抱え吟味の浅田伝兵衛に天誅を加えに来る浪士たち、仁和寺九所明神拝殿。千石に忠言の浪士・山路の寓居、広沢池東岸に小屋セット。
2004/3/14

■ 新選組! 第10話「いよいよ浪士組」2004.3.14NHK

 徴募に応じる試衛館主要メンバー、今回は伝通院に集合の段まで。1/5使ってまだ結成されぬ「新選組」、江戸も出てない。
義母の言葉通り武士にはなれないことを痛感の勇「心で武士になる」、これは最後まで続く重いテーマとして板橋での刑死に繋げるか。
ここまでやると新鮮な突飛な台詞の数々、今回は原田の「てゆーか行くだろ、フツー」がなかなか笑える。沖田姉が共に行く気でいた怒りの発言「弟はイイのよ、私は?」も抱腹もの。集まった浪士の中に「左門」伊吹五郎がいるのが楽しい。

■ 鬼平犯科帳5 「市松小僧始末」1994.4.20CX/松竹 通算89話

 並外れた巨体ゆえ嫁き遅れる富商の娘がはじめて心触れ合った男は、前科持ちの掏摸だった。親を説き伏せ共に暮らす日々、陰日向無く働く元掏摸の亭主、しかし或る日兄貴分の手を潰した「仇」の侍と会ってしまい懐中を狙うことで復讐を果たし、掏摸の技を使ってしまう。累犯で首が飛ぶのを防ぐのに女房がとった手段は、亭主の指を切り落とすという過激なものであった。
 ロケ地、吹き矢の金次の件を鬼平に報告の彦十、木島神社元糺ノ池畔。おまゆの出した小間物屋を訪ねたあと、お尋ね者の亭主のことを酒井同心と話す平蔵のくだりも同所。おまゆと又吉がお参りにゆく神社、大覚寺五社明神本殿。掏摸を働いてしまった又吉が平蔵に咎められる祠も五社明神
*おまゆには女子プロレスラーを起用、説得力のある映像。原作に記された通りの、なかなかの美人に仕上がっている。市松小僧には春風亭小朝、ぽっちゃりとした二人の睦み合いもなかなか可愛らしい。前段ではほぼ「燕陣内」にしか見えない又吉、月代を剃ってからはしっとりと役柄にハマっている。
2004/3/13

■ 銭形平次スペシャル 「百鬼夜行」1994CX

 五年前お縄になった盗賊の隠し金をめぐり起こる騒動。奇縁を辿り行き着いた閻魔堂で、わざわざ金を見せて召し捕る銭形の親分、保科のダンナの面目も立ちめでたし。
 ロケ地、お艶と千代が踊りを見せる縁日、神護寺石段下。デスマスク付けた怪しの一団が蕎麦屋の親爺をさらう、大覚寺護摩堂裏手広場(閼伽井も映りこみ)。五年前、大川端で百鬼組を張り込みの保科たち、広沢池東岸。八丈島、隠し金の話から手下の伝八に頭をカチ割られる百鬼組のおかしら、保津峡落合河口右岸側巌頭。音蔵が堂守の閻魔堂、不明。

■ 地獄の左門十手捕物帖 「女菩薩供養」1983.7.8CX

 架橋間もない永代橋が流失、左門子飼いの下ッ引の恋女房が水死、手抜き工事ではと疑う左門。これを皮切りに下ッ引は十手を返上し女房の仇を求め、彼と懇意の浪人は一件に強請りのネタを見出し普請奉行の娘をさらい、そして左門は彼らのアジトに捕われたすえ半ばその意思にシンクロ。最後は新永代橋入札の場に殴り込みをかける形で普請奉行に詰腹を切らせることとなるが、やりすぎ左門にも御役御免の沙汰が下る仕儀となる。
 ロケ地、橋流失による死者が運ばれる寺、神光院(中興堂前、本堂脇)。下ッ引の与吉とつるむ浪人・藤岡が人質を連れ込む潰れた船宿、広沢池東岸(廃業した店のとこ)。事後、与吉父子とともに旅に出る左門がゆく道、嵐山自転車道(見上げ、法華のどんつく行進つき)。永代橋流失殉難碑、罧原堤下河原にセット、松の木もセット。
*さらった普請奉行の娘に惚れられる設定の「マダムキラー」天地茂、病篤く果てたその遺体を抱いて入札の場に登場という派手な展開。強請り浪人に中谷一郎、ラス立ちの際危機に陥った与吉を救うのに小柄を投げる姿は弥七を彷彿とさせる。普請奉行とグルの棟梁の弟子に福ちゃん、人質の与吉の娘を拘束する。
2004/3/12

■ 暗闇仕留人 第8話「儲けて候」1974.8.17ABC/松竹

 警護に駆りだされる諸藩に鉄砲売って大儲けの武器商・堺屋、品不足の売り手市場に小藩などは歯牙にもかけぬ勢い。裏では木作りのフェイクを売り捌き、これをネタに脅したちんぴらは虫けらのように始末され、女を餌に抱きこんだ鉄砲鍛冶も用済みになれば女ごと始末。表の手柄にしようと図った主水の思惑は仲間に止められ仕置に入る運びとなる。
 ロケ地、堺屋を強請る芝居小屋の定八、大覚寺護摩堂脇。鉄砲鍛冶と堺屋の妾が始末される芝口鉄砲場、広沢池東岸。仕置も同所。
*堺屋に津川雅彦、欲深・色悪・酷薄と三拍子揃ったワルを熱演。仕置される際にはわたわたと見苦しく騒ぎ、土下座を装い貢を水中に引きずり込んだりと悪あがき。断末魔は「あェやー」、止め絵が二つに裂けるという演出。*糸井貢、市中でブーメランを見て殺し道具に新工夫の撥を用いる。

■ 痛快・三匹が斬る! 第7話「大陰謀!質素倹約楽じゃない」1995.6.8テレ朝/東映

 財政危機の大聖寺藩、若手の黒羽織組は諸事倹約を標榜し民に無理強い、平家の禿よろしく恐怖政治を布く。一方、家老は交易を奨励し富商と語らって大儲けを企む。この裏で双方に幅を利かせ漁夫の利を得ようとする黒幕あり、噛み合せたすえ皆殺しにしてのける。ここに三方から関わった三匹は怒りの鉄槌を下しに現れるのだった。
 ロケ地、大聖寺領手前の街道、千石が黒羽織のヘッド・神谷に拾われる茶店、大覚寺大沢池堤にセット。藩主の叔父の「隠居」が隠棲の愚公庵、中山邸門。神谷がわざと着飾って歩く山城屋の娘・小夜に毒づかれる城下、仁和寺観音堂西側(神谷は手水場脇から降りてくる)。小夜の文で呼び出される神谷、刺客に斬られかかるところへ飛び出し斬られる小夜、九所明神
*千石は街道筋でセコい真似をしているところを、質実剛健を体現する男として神谷に見込まれる。これが大マジメだから笑える。右近はいつもの通り女の子との関わりから、陣ちゃんは怪しげなイベントを家老に吹き込む「算勘指南」としてコンサル顔。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第194話「磯の香りはおっかあの味」1978-1982/東映

 大森浜の名主が海苔養殖の竹粗朶を開発、担当の郡奉行に上申し許可を願い出るが、海苔の値崩れを嫌った海産物問屋が賄賂を使い工作、名主は暗殺される。この際名主に従いてきた浜の女は暗殺犯を目撃、しかしお上には届けず仇を討とうとする。これがめ組の久ちゃんの母親、彼は母に反発し行き先も告げず村を飛び出した経緯を持っていた。
 ロケ地、縁日で売り子(久ちゃんの妹)に無体を働くヤクザを懲らしめる新さん、神光院蓮月庵(茶店を演出)本堂前。博労町御用屋敷(関東郡代所)大覚寺大門。久ちゃんの母が郡奉行の配下に斬りかかる、五社明神(庭番に追い詰められ逃げる刺客は舞殿に駆け上がり逃走、新さんは本殿に潜む。母・おふさが返り討ちに遭い斬られるのは本殿裏手)。おふさの始末を示唆する奉行のくだりやラス立ちの舞台には日吉大社各所を使用、舞殿大宮川畔、奥の院石段走井橋などが使われる。ラス立ちの際には走井橋下から仰ぎ見たショットも。
*め組メンバー中いちばん純朴そうな久ちゃんを持ってきて母に浅香光代をキャスティングのベタの「母もの」、こうした定型のお話をけっこう見せるのは本作の厚味か。*浅香光代が仇討ちのための刀を購なう露店、刀売りの浪人に福ちゃん。*事後、「母の海苔」を巻いたお握りをかっさらってゆき、お城でじいと貪り食う上様…じいの犬食いが見もの。

■ 江戸を斬る III 第5話「人情遠山裁き」1977.2.14C.A.L

 その昔商売が行き詰った折り心ならずも手離した娘を探す富商夫婦、偶然見つかった娘を迎えとろうとするが、間に立った地回りが欲をかき寸でのところで養親が消されかかる。この危機にカッコよく介入の金四郎と紫頭巾、地回りを叩きのめしたあとお白州では人情溢れる裁定が下されるのであった。
 ロケ地、お参りのおゆきが伊勢屋夫婦に声を掛けられる、赤山禅院(本堂前〜本堂東側に茶店セット)
*伊勢屋の実娘に「II」の「由美姫」山口いづみ、健気な町娘を演じる。
2004/3/11

■ 暗闇仕留人 第7話「喰うて候」1974.8.10ABC/松竹

 富士から将軍家に献上される真夏の雪、輸送の道中で諸人に無体を働く役人。伽を迫られ自死した女房の亭主から江戸の主水たちに話が来る。一方、箱根の宿で病気の子のため湯を求め斬殺された父を見た貢はお雪様一行を追う。六郷の渡し手前で二つの方向から来た仕留人たちは合流し、ワルの小役人を船上に仕掛ける。
 ロケ地、街道筋のダートには落合付近や嵯峨農道が用いられている模様だが、お雪道中は夜なので暗くてよく判らない…。

■ 痛快・三匹が斬る! 第6話「幻の五百両、子連れ幽霊大奮戦」1995.6.1テレ朝/東映

 お仕置になった盗賊の隠し金をめぐる大騒動、三匹は盗賊の女房だった気風のいい酒肆の女将に振り回される。最後は、彼女を店から追い出し金を掘り出して私しようとした奉行とその一味を「ふいにポックリ逝っても不思議ない」などと言い殲滅。
 ロケ地、女将を頼って遊里から逃げてきた娘がゆく山道、保津峡落合河口(特製木橋つき)〜崖上。その娘を連れ戻しに来た牛太郎を追う右近と女将、谷山林道分岐道。
*タイトルは陣ちゃん父子が越前丸岡・馬追宿に巣食うヤクザを追い出しにかかるお芝居、出ると噂の博打を憎んで母子心中した幽霊にぽっちゃりが酷似ゆえの抜擢。幽霊に泡食って逃げ出すヤクザに遠藤太津朗。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第193話「名もなく貧しき母子草」1978-1982/東映

 屑の捨米でボロ儲けの米問屋、残りを捌くのによその米屋の手代を殺害しこれが不正を働いたことにして切り抜けようとはかる。しかし偽装工作に使ったおくめ婆さんの息子からアシがつき、上様に乗り込まれてしまうのだった。
 ロケ地、早発ちの天王寺屋の手代がゴロツキに待ち伏せされる、大覚寺護摩堂前。おくめ婆さんの息子のことで浪花屋に掛け合いに行った辰五郎が帰途襲撃される、大沢池堤(建材を立てかけて演出)。浪花屋の寮、嵐山公園中州・渡月小橋上手の料理屋(対岸から裏手を見たもの、岸に船浮かぶ)
*浪花屋に雇われたゴロツキの一人・勘十に福本先生、二人いるうちの弟分設定。中山文十郎ばりのマフラーをつけて目の横に傷。匕首を振り回したり、おくめ婆さんの息子をこづき回す際は台詞たっぷり。極道設定なので斬られるのではなく殴られる役、しかしくるくる回ってのけぞる。

■ 江戸を斬る III 第4話「強請に使った贋金」1977.2.7C.A.L

 頓狂な強請り婆さんに振り回される金四郎とお政、これが贋金を持っていたことから言うなりになって潜入捜査にかかる二人、騙りを働く婆さんを誘導しワルの大元を引きずり出す。
お政が関わったのは、おばば様に金四郎の縁談について嫌味を言われかっとなって家を飛び出したもの。老婆二人が話を掻き回すコミカルなお話、こういうノリで成田三樹夫とのガチはアリなのかな。
2004/3/10

■ 暗闇仕留人 第6話「狙われて候」1974.8.3ABC/松竹

 コロリ騒ぎに乗じて旦那を始末する毒婦。その家に後妻に入るに当っても先妻を殺しており、その依頼の際顔を見られた大吉を消そうと殺し屋を差し向けてくる。その殺し屋の元力士が貢の長屋の健気な老婆、大吉は躊躇いつつ反撃しとどめは刺さずにおくが哀れな大男は毒婦とその愛人の役人に殺られてしまう。母と息子と、二人ながら土左ヱ門として打ち捨てられた亡骸を見て、貢に託されていた老婆の金が置かれる。
 ロケ地、コロリ蔓延を告げる浦賀からの早馬、木津堤。妙心尼に葬儀の礼を述べつつ降りてくる堺屋の女将、西寿寺石段(本堂バック)。玉泉院で大吉を見た女将が物思いつつゆく堀端、嵐山公園中州川端。大吉が不動丸に襲いかかられる、嵐山公園桂川本流臨川寺地区堰堤下の川中。不動丸と母の土左ヱ門が上がる汀、桂川松尾橋下手右岸汀(貢が見物に混ざるのは堤上)

■ 長七郎江戸日記2 第17話「夫婦飛脚恋の綱引」1988.6.14日テレ/東映

 芝増上寺改修を仰せつかってしまう小藩、賄賂持ってこなかったと怒る御側衆が画策したもので、以降国元からの金飛脚が殺され荷を奪われたりして窮地に。この飛脚屋の家つき娘がおれんの幼馴染、御側衆に抱きこまれた番頭の企みで婿が追い出されるなどしていた。鳶山藩と飛脚屋を救うため動く夢楽堂の面々、家つき娘と気の弱い養子はきっちり長さんのお説教を食らう。
 ロケ地、番頭の企みを調べて長さんに報告の辰、金戒光明寺三門。六に御側衆の調査を頼む長さん、神護寺山門下石段中程。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第192話「初雪は哀しき女の死化粧」1978-1982/東映

 人足溜にいた薄幸の娘と知り合う新さん、釈放されたのちは仕事も世話してやるなど世話を焼く。しかし娘はうまく行きかけた矢先、人足溜に飼われていた凶盗が始末されるのを目撃してしまい無惨にも落命。娘が必死で犯人から毟り取った印籠からワルを突き止め乗り込み上様、シラをきる高家肝煎の顔に証拠の品を投げつけ手ずから斬り捨てるのだった。
 ロケ地、め組の若い衆と溜へ赴く新さん、大覚寺大沢池堤に標の柵セット(池堤法面で女囚たちが野良仕事という設定)。放免されたお紺が佇む水辺は放生池堤。溜に凶盗を飼い、強盗をさせて大儲けの高家肝煎と溜担当与力が密談の屋形船、大沢池に係留。

■ 江戸を斬る III 第3話「金四郎の縁談」1977.1.31C.A.L

 おばば様の企みで大目付の娘との見合いを迫られる金四郎、たまらずトンズラを決め込む。出た先でいたいけな幼女をいたぶる地回りを懲らしめると、用心棒に雇いたいと怪しげな男からの誘い、無頼を装い入り込む。そして仕事はなんと大目付の娘の誘拐なのであった。
 ロケ地、同心・片桐たちが話す汀や、おゆきが誘拐犯の逃走経路と見当をつける汀、大目付が身代金を持ってくる「中州」、広沢池東岸。おゆきが放生鰻売りの老爺に行き交う船のことを聞く、中ノ島橋北詰たもと。
*幼女に絡む地回りに汐路章、地雷也の入墨を見せて凄む。これに対抗し桜を見せる金四郎、お白州ではシラをきる誘拐犯に「やかぁしいやい」と片袖脱いで桜吹雪が舞う。一瞬でさっとしまうのがおかしい。この段で既に脛に傷持つ大目付は腹切ってて縁談はナシに。

■ 痛快・三匹が斬る! 第5話「赦免花、佐渡に横たう欲の川」1995.5.25テレ朝/東映

 佐渡から運ばれる御用金をちょろまかして私腹を肥やす代官たち。異動を前に最後の大儲けを企み、事故を装い小役人を贄に仕立てて大金を横取り。
大ワルどもに踏みつけにされる人々とそれぞれに関わった三匹、粛清の嵐が柏崎に吹く。
 ロケ地、佐渡を見る越後・出雲崎の浜、琵琶湖西岸(島影と見えるは近江八幡の山なみ)。右近が尾行者をまいてお政と逃げ込む神社、不明。出雲崎から柏崎へ運ばれるお金荷道中、谷山林道切り通し(現R352・北陸道か)。「崖崩れ」で谷へ落ちる千石、流されていくのは清滝川河口付近。
*三日食ってない千石、いつものようにお供えを盗ろうとするがソレは一月前のお団子と止められる。慨嘆の千石に粟餅をやる川西村の幸吉、このあと同村の老人を労わるは最後には儲けた五両をそっくり渡すなど、食い物をくれた人には倍以上の恩を返す千石…餌やってみたら楽しいだろうなー。
2004/3/9

■ 暗闇仕留人 第5話「追われて候」1974.7.27ABC/松竹

 悪どい検校に騙されマルチの元締となった男、本人はおろか妻子だけはと願う心も空しく母も娘も市中を追い掛け回されたすえむごたらしく殺される。虫の息の母が託した恨みを、仕留人たちが果たしてのけるが、今回は娘に関わった大吉が主犯の白河検校を仕留めることとなる。
 ロケ地、検校の手下から逃げる母子、広沢池東岸(堤道と汀)。母子がはぐれる縁日、大覚寺護摩堂

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第191話「泣き笑い 河内人情ど根性」1978-1982/東映

 お話の根幹は、目安箱ほったらかしで私腹を肥やす大坂城代を懲らしめることなんだけど…なぜかお城からはずいぶんと遠い千早赤阪なんてとこへ行って楠公の碑を建立する「尊皇」上様。藤岡琢也演じる河内の石屋となんやかやあって、かなりクサい泣きが入って、感激した?城代が腹切りかけるのを扇で止めて、河内音頭入って旅で終わる。この、どこか破綻したシナリオにデフォルメ河内弁が溢れかえり、更なる混沌へと見る者をいざなう。…「連れもて行こら」はご出身の紀州のお言葉では、上様。
 ロケ地、評定所、大覚寺大門。駿河路をゆく上様一行、輦台に乗って渡る大井川は広沢池に富士を合成。タイトル背景の大坂城は本物(極楽橋から天守)。南河内の野をゆく上様、丑寅組に絡まれるのは北嵯峨農地。楠公のことを知らない現地の人間に怒る庭番、大覚寺放生池堤。碑を建立する五月ヶ丘、谷山林道頂上付近。帰途のイメージに琵琶湖三井寺(塔と唐院門と梵鐘)石山寺広沢池東岸(浮見堂を見る設定)
*クサい泣きというのは「新やん」の正体を知った石屋が怒って政道批判を開陳するのに、上様が「俺を打て」とか言って石屋に手を添えて自分の胸バンバン叩かせるくだり…この上様の泣き顔、ひょっとして少し前の時専イメージCMに使ってなかったかなー、あの「日本人が帰る場所」とかいうの。こんなシーンだったのか…。

■ 痛快・三匹が斬る! 第4話「凶悪の里、愛しい女の紙風船!」1995.5.18テレ朝/東映

 凶盗相次ぐ信濃の宿場、月ヶ瀬村のお伊勢参り資金五百両が狙われる。金の隠し場所を誰にも明かさぬ大庄屋、これを探るため人質とって脅される哀れな女を軸に話が進み、三匹が賊をやっつけたあとは女の人柄に惚れ込んでいた右近と大庄屋のとりなしで微罪方向へ持ってゆく。タイトルの紙風船は女が富山の薬売りに偽装して庄屋宅へ潜入することから。
 ロケ地、大庄屋屋敷、例の築地のある「庄屋屋敷」、不明。あと土橋や池なんかある地道など三箇所ほど全く見当つかず。金盗って逃げる賊を阻みラス立ちは大覚寺大沢池北西畔と五社明神。三匹の旅立ちの三州街道、谷山林道分岐道。

■ 江戸を斬る III 第2話「狼たちの掟」1977.1.24C.A.L

 凶悪なゴロツキに魅入られ、寄場を脱走する羽目になる元船頭。彼の妻子を慮って動くおゆきたち、ゴロツキがチクった仲間にお礼参りして火盗改に踏み込まれる現場に介入、有無を言わせぬ捕物から救い出し、金四郎の情けある裁定が下りメデタシの運びに。
 ロケ地、おばば様がお参りの根津権現、今宮神社(本殿、楼門、石橋)
*IIIの次郎吉、「兄貴」設定で眼鏡ははずし「うすのろ」偽装はナシになっている。伊蔵親分も登場、相変わらず魚政を敵視。「死神」成田三樹夫はラストに「おのれ遠山今に見ておれ」のみ。おばば様は偶然おゆきに介抱され複雑な心持ちに。

■ 痛快!三匹の御隠居
 第9話「花のお江戸の大勝負 人生は七転び八起き」1999.12.16テレ朝/東映

 三人とお蝶の正体が明かされる最終話、舞台は江戸。
お蝶は父の仇を討ち果たし、勘兵衛は「妻」と再開し弟の職務を守ってやり、幻夢はお白州でワルを鮮やかに裁き、乾老人は奥歯の治療で死んだことにされ無罪放免、そして残るもの行くもの、散り散りに別れゆく仲良し四人組なのであった。
 ロケ地、水戸藩上屋敷、大覚寺大門。お蝶が来かかるのは参道石橋。勘兵衛の弟が献上金を運ぶ際浪士の襲撃を受けるのは心経宝塔前。乾老人と勘兵衛が刃を交わす汀、桂川松尾橋上手中州合流付近。勘兵衛と乾老人が左右に別れゆく街道、山室堤下Y字分岐。

■ 剣客商売5 第9話「女と男」2004.3.9CX/松竹

 或る日小兵衛が出逢った色っぽい女、再び見かけた折には男に詰め寄られておりそれはかつての弟子と知れる。数奇な運命を辿り、病みついて余命幾許も無い彼を看取ることとなる小兵衛。過去のしがらみは男の死の床にも迫るが、息子夫婦が打ち払うなか小兵衛は逝く弟子を静かに見送る。
静謐のうちに進む話、男の死後過去の経緯も白紙となり儚さ空しさが漂うなか、運命の女は言い寄る男たちの間をひらひらと舞うのであった。
 ロケ地、田沼屋敷、随心院薬医門。浅草寺、清涼寺(門越しに本堂)。奥山の料理茶屋「玉の尾」、宝厳院の苔と見たが確信なし。奥山の林間、お絹に詰め寄る高瀬、仁和寺九所明神(背景に東塀も)。高瀬の回想、常陸笠間藩城下で出仕の道筋にお絹と行き会う路地、妙心寺大通院裏路地。雨宿りのお絹が高瀬に嫁入りのことを告げる、大覚寺五社明神舞殿。高瀬の墓参の小兵衛、真如堂塔前〜墓地。
*池波正太郎の描く色っぽい女を視覚化する難しさ、フォローの意味あいか、弥七らと雨夜の品定めよろしくお絹について談笑する場面や、田沼さまが「一度会ってみたい」などと軽口を叩く場面が挿入される。「懲らしめる」エピソードなど省かれていて、その分お話は振幅を減じ静かなものとなっている。
2004/3/8

■ 暗闇仕留人 第4話「仕留て候」1974.7.20ABC/松竹

 お奉行が猟官運動の資金を得るため、回船問屋を陥れ抜け荷を強要、娘まで毒牙にかけられた店の主は縊死。脅迫のため使われていた無頼の一人は北町の昼行燈の息子、悪事を知った同心は奉行に話を上げてしまい、消される。息子が奉行宅に斬り込み死したあと、主水に託されていた金が仕留人たちの前に置かれる。
 ロケ地、妙心尼の玉泉院へ夜這いの大吉、西寿寺山門。北町奉行・稲部山城守邸、大覚寺大門。与力・諸岡の悪行を奉行に上申したと息子に告げた同心・庄内三郎兵衛が刺される神社、吉田神社竹中稲荷舞殿。北町奉行所、京都御所管理事務所北門
*主水の同僚・庄内に加東大介、その息子に池田秀一。*奉行所内で遂行される奉行への仕掛け、実行は糸井貢。主水は奉行が後架で殺られる際スケベ話で同僚の目をくらまし、半次とおきんは訴状を出しに来て夫婦喧嘩を芝居、貢が姿を消すのをヘルプ。後架の描写、カメラは「中」から来ている…。

■ 八丁堀の七人5 第10話「波乱の八丁堀!嫁舅の危険な関係」2004.3.8ANB/東映

 磯貝さん燃ゆる思いに恋のラストチャンスの巻。
夫の出奔後も婚家に残り甲斐甲斐しく呆けた義父の世話を焼く女、磯貝さんこれに岡惚れ。しかしボケたと見えた元勘定奉行所役人は実は正気、裏には欲ボケ勘定奉行が小判改鋳で働く悪事と、複雑な「家庭の事情」が隠されていた。
 ロケ地、勘定奉行所、大覚寺明智門。元かざり職の平吉の死体上がる、八幡掘堀端。ラスト、デートのおやいと市之丞、白雲橋上。これを見る八兵衛さんと青山さま、堀端。
*ボケ老人役で登場の石橋蓮司、擬態を解く瞬間の凄味がさすが。嫁の心を覚り、一分を守るためボケを偽装という設定もすごい。この凄絶な愛にけちょんけちょんの磯貝さんがなかなか哀れで泣かせる。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第190話「吉原、木枯し 女の涙」1978-1982/東映

 主家の改易で江戸へ出てきた侍と妻、ちゃっちゃとたつきの道を見つける妻に焦燥感を持つ夫、僅かな心のズレは大いなる悲劇に膨れ上がる。
おさいが道に臥していたのを土屋夫妻に救われため組ファミリー、親身に世話し就職先も探してくるが奉公先の旗本は名うてのワル、土屋の妻女を手籠めにした挙句遊里に売り飛ばし更にその妹も毒牙にかける。復讐に燃える妻女をとどめた新さん、旗本屋敷に殴り込み成敗の刃を振るい、不実な夫はマジ斬りにしてのけるのだった。
 ロケ地、江戸に着いた土屋夫妻が船から降りる桟橋、広沢池東岸(差し込みのおさいを助けるのは東岸汀)。切り取り強盗について報告を受ける弓のお稽古上様、枳殻邸印月池(侵雪橋バック)。仕事帰り酔った夫と会うりつ、大覚寺五社明神祠前。来合わせた新さんがりつを飯に誘い歩く堀端、有栖川(河床から見上げ)。りつの回想のお祭り、天神島。りつの妹が江戸入りの橋、木津川流れ橋。りつが連れ込まれる小笠原頼母邸離れ、枳殻邸臨池亭。ラスト、妹の遺骨を抱いて故郷へ帰るりつを見送る新さん、流れ橋夕景。

■ 痛快・三匹が斬る! 第3話「首コロリ、鬼と娘と破戒僧!」1995.5.11テレ朝/東映

 ところは越後・米山、村人を崇りの恐怖で脅し大金を巻き上げる怪しの山伏、柏崎代官と庄屋もグル。金のみならず、幕閣への貢物に村娘をと画策し更なる脅迫を続ける。ここに三匹が血の雨を降らせることとなるが、今回千石はまたまた催眠術に落ち敵陣の戦力に利用されたり。オカルト設定が出てくると千石が憑依されるのはシリーズのお約束とは言え情けないぞの久慈慎之介。
 ロケ地、冒頭「越後米山」テロップに被せ落雷の野、嵐山自転車道。畑地は別のとこ。大日坊が村人をアジる鎮守、鳥居本八幡宮。庄屋屋敷、不明。庄屋が死体で見つかる、摩気民家裏手。お桃が連れられてゆく万松寺、術にかかった千石がお経を唱える堂、不明。
*千石の「天空海闊」網代笠、投げると柱に刺さるがアレは何を仕込んであるというのか。*山伏・大日坊に西田健、ナイスな怪しさと怖さ。

■ 江戸を斬る III 第1話 1977.1.17C.A.L

 前作の設定を引き継ぎ、金四郎の活躍と紫頭巾の「暗躍」が描かれる。キャストには若干変更あり、おばば様という賑やかキャラも投入される。
「南町奉行」の金四郎、初手のお話は火盗改との対立を描く。火盗の苛酷なやり口から無実の大工を救い、自ら賊の懐に飛び込む金四郎、偽装工作はじきにバレて監禁の憂き目を見るが辛くも脱出、しかし上げた手柄は火盗に爽やかに譲り、さらわれた長官の妹も無事救出の金四郎、今シリーズの「惚れられ」は成田三樹夫の妹・八重で思い切り濃い設定。
 ロケ地、盗っ人相手の口入人・伊平次が筮竹をふるう浅草奥山、金戒光明寺三門付近に縁日セット。死神重蔵の妹が拉致される墓地、くろ谷。伊平次を始末にかかる野分けの庄五郎の手下、広沢池東岸。南町奉行所、大覚寺明智門
*火盗に成田三樹夫で既に濃いのに、賊に今井健二。暑苦しいまでの画面となる。
2004/3/7

■ 御用牙 1994CX/映像京都

 天保の倹約令下、凶盗跋扈するを放置し民衆の生活を監視し処断する町方、怨嗟の声は世に満ちる。凶盗の件をほじくった北の隠密回りは左遷の憂き目に遭い、五年を経て何者かの手によって召還される。ここから、巨悪を相手のカミソリ半蔵の孤軍奮闘ははじまる。徒手空拳の彼は妖怪・鳥居の手に落ち、信頼する手下の命を犠牲にして内懐へ飛び込み、遠山桜の舞うを待つのだった。
 ストイックな渡辺謙の板見半蔵、北町の看板をひっさらって自邸に掲げるなどの横紙破りはやらかすが、俎板とか米俵とかは一切ナシ。凶盗により父母を失い声をなくした哀れな少女を労わるという、色魔とは程遠い設定。妖怪と言うより変態じみた鳥居甲斐守は鳴き声も不気味に「シッシッシッ」、時おり素っ頓狂な高声を上げ髪を白く染めるなど、主役を食う目立ちぶり。これを津川雅彦が怪演、配下の本田博太郎と二人して異空間を形成する。贄となる役回りの火野正平も出番短いながら、悲惨な状態の「ダンナ」のため命を投げ出すに当ってくだくだしい台詞は無用の正ちゃんの個性横溢。
 ロケ地、鳥居邸、中山邸(門、無畏庵)。江戸へ帰還した半蔵が南町同心の無体に介入、上賀茂神社ならの小川神事橋〜祠脇。板見家菩提寺、龍潭寺(門、墓地)。北町看板の件で半蔵を捕えに出役の人数出る南町奉行所、大覚寺大門。伝馬町の牢に現れ半蔵と話したあと、まだ妖怪とは喧嘩せぬと呟く遠山金四郎、大覚寺放生池堤(後段、遠山に焦れた半蔵が立ち尽くすのも同所)。ぐみが半蔵宅へと渡る橋、中ノ島橋。半蔵自身の申し出を受け捕縛に出役の鳥居、仁和寺勅使門。遠山邸と小塚原刑場、不明。祝宴に向かう鳥居の駕籠を襲う半蔵、粟生光明寺石段(殺陣は踊り場)

■ 新選組! 第9話「すべてはこの手紙」2004.3.6NHK

 講武所へ初出仕の勇、松平主税介に出自のせいで門前払いを食う。その後竜馬に引っ張って行かれた勝邸での談義も意味不明、試衛館はダメ男の巣窟と慨嘆するも、山南のもたらした浪士隊徴募の報に喜色満面、一筋の光明を見出す。そして、妻のささやかな抵抗はふわふわ卵とともに置き去られてしまうのだった。…気になる気になる見せろよ最後まで…卵料理。

■ 鬼平犯科帳5 「蛙の長助」1994.4.13CX/松竹 通算88話

 賊の手がかりを求め、むさい浪人に変装し市中を探索の平蔵は奇妙な借金取りの老爺と出会い、仕事の片棒を担ぐことになる。奇縁は回りまわって、金貸しを狙った賊を捕縛に出役の鬼平との出会いとなり、このことは老爺の寿命を限らせてしまうこととなる。
事後、老爺の遺志を継ぎ三両残った「娘の借金」をなしてやる平蔵、使いに立ったおまさの口からその情味が語られるが、妻には「内職の三両」の経緯について責め立てられるというオチがつく。
 ロケ地、浪人姿でお熊婆さんの茶店へ赴く平蔵、金戒光明寺茶所(上がってくる坂は鐘楼脇の坂)。弥勒寺境内で借金旗本に打擲される長助を助ける平蔵、同寺墓地。
2004/3/6

■ 日本犯科帳 隠密奉行 「闇に笑うこんぴら人形(でこ)」1981.5.8CX/中村プロ

 「日本」と大きく出るが「長崎犯科帳」とほぼ同じノリ、老中の密命を受けて動く隠密奉行・朝比奈河内守が豪快に紛争を解決する「明るい」ヨロキン全開の痛快時代劇。彼を見張る役目を仰せつかった小人目付には「ウタさん」新克利。
 事件は寺社奉行暗殺からはじまる。殺害方法はぼんの窪に金毘羅人形がぐっさり。以降暗殺は計六件、その都度「暗殺その一」などとテロップが入るのが笑わせる脚本は池田一朗。血腥い事の裏には、二十年前公儀に冥加金の件を訴えた金毘羅関係者がむごたらしく殺された「金毘羅騒動」が隠されていた。一族郎党赤子まで刑死したことを聞いた隠密奉行は感情にスイッチ入ってタイヘン。事件当時母の胎内にあり生き延びた男児が、領内にヤクザを跋扈させ民から金を毟り取っていた執事と高松藩重役連を狙うのを半ばサポートのヨロキン、ワルの重役の娘の苦悩も掬い上げてやる優しさを見せる。そして仇討ち完遂を見届けたあと、みんな病死と笑い済ませてしまう豪快な隠密奉行なのであった。
 ロケ地、江戸城イメージに姫路城。朝比奈邸、相国寺林光院(玄関から前庭を望むアングル、水石が印象的)。タイトルバックに琴平宮鞘橋。金毘羅宮下でヤクザと事を構える朝比奈、毘沙門堂仁王門石段下に露店セット。二十年前の事件を坊主に聞きに行く朝比奈、山王社。二十年前の権太夫と内記一族の処刑(祓川と聞こえたが、琴平付近の川は金倉川に土器川…みそぎ川の意か)酵素河川敷。横目付が殺される高松街道も同所。松之丞を落とした老爺が住む島は琵琶湖北湖畔か。朝比奈のお供で金毘羅へ向かう途中寺社奉行が弓で射殺される道、うら殺でおねむが寝ていた祠付近に酷似。
*朝比奈の妻女に岸田今日子、帰宅した夫に「お土産は?」は麻佐女さまみたい。勘定家老の娘・お紋に使われるゴロツキの一人に福本先生、冒頭街道筋で尻叩いて役人を揶揄「へーっへっここまでおいで甘酒進上」。
2004/3/5

■ 暗闇仕留人 第3話「売られて候」1974.7.13ABC/松竹

 黒船相手の商売で大儲けを企む吉原の楼主、大吉とのことで妙心尼を脅して御側用人から開港場所を聞き出そうとはかる。一方、抱え女たちは洋妾にされるのを嫌い足抜きが相次ぐが、楼主は暴力で押さえ込む。恨みの筋は、これにより死亡した女郎の今わの際の頼みとなる。
 ロケ地、大吉や女郎を閉じ込める地下牢がある角屋の別業、中山邸(通用門、参道)
*猫のぺるりの、と言いながら死んだお女郎の墓石を刻む大吉が可愛い…大男だからよけいに。

■ 痛快・三匹が斬る! 第2話「信濃では名物二つ 鬼女とそば」1995.5.4テレ朝/東映

 所は信濃・善光寺、門前で料亭を営む信濃屋は善光寺寺侍支配と組み、蕎麦粉を買い叩き百姓を苦しめるうえ、容赦ない借金取りたてで娘の身売りに姥捨て、一家心中もざら。
右近は信濃屋に掛け合いに行き袋叩きの青年を助け、千石は身売りされた過去を持つ女と関わり、陣ちゃんは棄老を拾ってくる。そして、身売り寸前の娘たちを救いに入る鬼面の女が斬られ落命するにおよびブチ切れ三匹の成敗はワル全員に下されるのであった。
 ロケ地、善光寺、嵯峨清涼寺(山門、参道、本堂)。露天風呂で鼻歌千石、摂津峡山水館。ラス立ちの砂河原(設定は犀川か裾花川か)天神川(天神川堰堤上河川敷、若布谷落合、迎不動堰堤)

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第189話「日本一の雨男」1978-1982/東映

 不満分子を焚きつけて上様の命を狙う尾張藩江戸家老、狩場での暗殺を企む。これに上様が行くか否かはお天気次第、気象予報の天文台がホットスポットになる。不満分子には、倹約家の上様を嫌う柳の局や、上様の開化傾向が気に入らない国学者なんかがいる。お話の底流は天文台のやもめ小役人と、彼を慕う団子屋の娘のラブストーリィ。
 ロケ地、お八重の団子屋、今宮神社門前・一和(東門も使用)。尾張の江戸家老が密議の寛永寺、仁和寺(参道、金堂、塔)。半蔵が謀議の件を報告、観音堂。狩場、下鴨神社馬場。め組の宴会とラス立ちは林間、尾張の手勢が驟雨で火縄を濡らしてワヤのクリークは瀬見の小川か(当時は水無し)
*尾張の家老に話しかける「りつ」柳の局が傑作、「主水どの」(家老の名は水木主水正)。

■ 江戸を斬る II 第28話「天保の夜明け」1976.5.17C.A.L

 前回から竹轡噛まされて監禁されたままのおゆき、閉門の金四郎。動きとれぬまま評定の日は近づき、魚政なんか全員南町の牢にブチ込まれる始末。しかしマイティー鳥居の策謀は、金座後藤の始末を急いだ彼自身の酷薄さがアダとなって破れる。これには由美さまが一役買い、尼姿で金四郎に会い「雪姫さまとお幸せに」が泣かせる。
 ロケ地、おゆきが監禁されている金座後藤の小梅寮、中山邸通用門
*妖怪鳥居全開のお話、金田龍之介巨体をゆすって熱演。処々にででーんとアップの顔も映りまくり、迫力。最後は評定の席で立場逆転し免職・遠国預けを申し渡されてしまうが、「怪異」ほどの悪あがきは無し。評定の朝、何も知らずに縁側で壺を磨いてる姿が可愛い。「鳥居は爽やかな朝を迎えた」なんてナレーションが被さって傑作。
2004/3/4

■ 暗闇仕留人 第2話「試して候」1974.7.6ABC/松竹

 貢の芝居小屋に爆発物、これはかつて高野長英門下の同輩で今は講武所助教の須貝の仕業、夷狄を打ち払うための武器のテストだった。須貝の行為はつのり、寄場送りの囚人たちを役人から買い受け大筒の的にするに至る。けちな騙りで捕まっていた半次がその中にいて、爆風でぼろぼろの体を引きずって注進に及ぶ。殺しの依頼は的にされ死んだ男の父から来る。
 ロケ地、北町奉行所、京都御所管理事務所北門。講武所からの帰途須貝の手下に襲撃される貢、下鴨神社馬場。囚人たちが寄場送りになる道、泉川(見送りの家族たちは馬場、瀬見の小川と林を挟んで面白い構図)。船で護送される囚人、広沢池。大筒の的にされる野原、酵素河川敷(大筒はダートに設置)
*爆破容疑で引っ張られた貢を釈放させたのは須貝、その後接触してくる彼から貢の本名「吉岡」が発せられる(フルネーム吉岡以蔵)。須貝には中山仁。

■ 痛快・三匹が斬る! 第1話「奥方借り、甲府流いじめの極意」1995.4.20テレ朝/東映

 「山流し」の甲府勤番、諸士はクサり乱暴狼藉、筆頭組頭は年貢横流しで蓄財し幕閣に貢いで帰還をはかる。千石が転がり込んだ家のあるじは新参者で辛く当られ思い詰め、右近が旧知の「叔父御」は組頭に嬲られ妻を亡くしたあと志を失っていた。はがゆく思い苛つく二人、しかし新参者の妻女が組頭の横暴で無体を強いられた際、「叔父御」はこれを庇って斬り死に、負傷した妻女も儚く息を引き取る。ここに怒り心頭の三匹、更なる悪事を企む組頭の屋敷に乗り込み皆殺し。
 ロケ地、甲府城イメージに彦根城(天秤櫓、いろは松越しに佐和口多門櫓)。勤番支配に駕籠訴の百姓衆、妙心寺大通院裏〜大心院前路地。「叔父御」服部邸、如是院。陣ちゃんがお涼の蝦蟇の油売りに介入、今宮神社石橋たもと。勤番衆に銭を取られるのは高倉前。

■ 江戸を斬る II 第27話「陰謀の嵐」1976.5.10C.A.L

 上知令を発し独裁を確立しようとはかる水野老中、妖怪・鳥居の裏切りに遭い失脚の巻。
上知令を痛烈に批判した神官・野中静山が鳥居の策謀により暗殺、その息・英三郎と越谷の百姓衆も追われるのを助ける金四郎、しかし水野と鳥居の陰謀で閉門蟄居に追い込まれる。しかも英三郎らを水戸屋敷に落す際、紫頭巾が捕われ正体を暴かれてしまう。このピンチに水野の姫は父を脅し身を挺して金四郎らを庇うが、鳥居の裏切りで水野は失脚してしまう。
 ロケ地、由美姫が入る尼寺、不明。
*水野の姫、捕われたおゆきを庇うのに大奥行きを泣く泣く承知したり、その後金四郎の窮状やおゆきの監禁を知った際には髪を下ろすなど、初期のいけずぶりとは全く違う「いいヤツじゃん」設定。対照的に、いよいよ妖怪の正体を現す鳥居耀蔵、襖の陰で説明じみた悪企みを呟くなど阿部怪異に似てくる。

■ 新必殺仕事人 第15話「主水公休出勤する」1981.8.28ABC/松竹

 惚れた女を遊里から解放してやるため、楼の主の罪を被って遠島となった男。しかし女は主とつるむ与力の囲われ者となり、流刑の地でこれを聞いた男は島抜けするも空しく捕り方に殺されてしまう。そして女から与力と楼主を殺してくれと依頼が来るが、おりくに謎掛けのように託されたターゲットはもう一人、地獄に落ちた自分自身だった。
 ロケ地、楼主が与力に吉五郎島抜けについて相談の屋形船、嵐峡。お夕が三味線を届けに来たおりくに仕事料を託す、大覚寺天神島
2004/3/3

■ 暗闇仕留人 第1話「集まりて候」1974.6.29ABC/松竹

 江戸に舞い戻った半次・おきんと再会した主水は、ハナっから裏稼業再開を示唆。鉄や錠のような男たちがいなければと半次、そして暗殺者が集まってくる。
最初の仕事は、意に添わぬ女髪結いを権力で抑えつけたうえ殺害した富商とその裏にいた侍二人を始末、依頼はどたばたした形で女の老父から来る。主水が役人であることに抵抗を示した糸井貢は殺しの場において心底を見届け、仕込み撥を振るうことにより参加の意を示す。
タイトル通り「集まり」の話、ラストには中村家三姉妹が揃い、それぞれの夫たちも顔を合わせることとなる。
 ロケ地、北町奉行所、京都御所管理事務所北門。半次たちとのツナギに赴く主水がゆく水辺、大沢池と思われるが画面左端に見たことない建物が。裏稼業へ参加の意思を確認しあう三人、堀川河床(改修前)。妙心尼の住持する玉泉院、西寿寺(山門〜石段)。女髪結いの死体が上がる川、大覚寺御殿川河床。最終ツナギの神輿小屋、桟の向こうに見えるのは今宮神社高倉脇坂か、確認できず。中村家の法事、大覚寺御影堂と推測されるが渡廊の屋根が??

■ 長七郎江戸日記2 第16話「小鳥を愛した少年」1988.5.24日テレ/東映

 与力暗殺に次いで、夢楽堂のおみつが命を狙われる。犯人は暗い眼をした少年、執拗におみつを狙うが手当てをしてくれた優しさに触れ動揺、足を洗おうと図るが彼を殺人機械に仕立てた親分に消されてしまう。これを見た長さん、暗殺依頼の俳諧師・正体はマルチ詐欺師の連寂宅に乗り込み成敗。
 ロケ地、与力暗殺、神護寺石段金堂前。売り子を逃げた辰を追っかけたおみつが殺人者・次郎に誰何される橋、金戒光明寺放生池極楽橋。囮となってお参りのおみつを狙う次郎、神護寺毘沙門堂。連寂邸、中山邸通用門。ふざけて外出したおみつを探す友吉、金戒光明寺長安院下坂。おみつを襲う次郎、鐘楼(揉み合い落下)。事後、小鳥の来る林に葬った次郎の墓参の帰途長さんたちが降りる坂、神護寺鐘楼下石段(墓も神護寺と思われる)
*「天竺講」なるマルチで大儲けしたあと身代わりを立て自死を偽装し俳諧師になりおおせていたワル、悪行を語るエピソードは辰ちゃんの騙され話「ホントなんだってば一両が五両に」…このほか、おみつの寝所に鬘と女物の着物まで着込んで身代わりをつとめるなど活躍、ちょっと見可愛いけどよく見ると気持わるい。*ラス立ち、用心棒数人しかいないのであっさり済み、その分福本先生ののけぞりが多い目に映る。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第188話「鬼を哭かせた母ごころ」1978-1982/東映

 小田原藩のお家騒動、藩主の病をいいことに家老が政を壟断、側室の姫(実は自分の子)を次期に据えようと謀る。新さんは町なかに潜む正室の姫を助け動く。陰謀に蜜柑の値上げまで噛んでいるから紀州産の上様けっこう怒ってたりして。タイトルは、亡き正室から姫を託されたお局さまが厳しく養育した一件、自分の我儘で局を死なせる羽目となった姫は亡骸に取り縋り号泣するのだった。
 ロケ地、小田原藩の内情について庭番の報告を受ける新さん、仁和寺観音堂前。市中に潜伏する姫の隠れ家から局を連れ出し話す新さん、広沢池観音島(ラスト、値の下がった蜜柑をがつがつ食らう新さんも同所)。さらわれた姫を追って家老の手下と斬り結ぶお局さま、仁和寺九所明神
*ラス立ち、忍び設定の要員に福本先生と小峰氏並んで登場、小峰さんの鬘はおかっぱ風でなんか可愛い。

■ 江戸を斬る II 第26話「美しい復讐鬼」1976.5.3C.A.L

 ライバルの島屋に無実の罪を着せられ刑死した父の仇を狙う美女あり、陰謀に加担した南町同心とお店者を始末し首謀者に迫るが、最後の段で危機に陥るところを金四郎に救われ同時に仇討ちは阻まれる。白州であくまで白ばっくれる島屋を証拠揃えて断罪の金四郎、お付の老爺が実行犯だったこともあり娘には殊勝と罪一等を減じ所払いとするのだった。事件の背景には鳥居が一枚噛んでおり、白州では同席させられた用人が冷や汗たらーり、しかしきっつい皮肉を聞かせるのみに終わる。
 ロケ地、金四郎たちのツナギの汀に広沢池東岸、ラスト志乃見送りの品川の浜も同所(こちらの画では桜満開)
*仇討ち美女にジュディ・オング、相手に簪でかかっていったりする。実行犯の老爺は朱紐でハンギング、ちょっと必殺ふう。

■ 新必殺仕事人 第14話「主水悪い夢を見る」1981.8.7ABC/松竹

 野望ギラギラの大奥中掾A兄の御側衆と謀り邪魔な同輩を消しにかかる。手段はあぶな絵の女の顔をお中揩スちに描き、恥をかかせて追い詰める陰湿な策。はじめに話を聞き関わった勇次が絵師を探りに入った先で見た鳥追いは舞い戻ったおりくでびっくり、別口で絵師を狙っていたのだった。絵師は御側衆の手先に密殺されるが、終わっていないとするおりく、渋る主水をうまくおだてて仕事に持ち込む。
 ロケ地、江戸城イメージに姫路城(濠越しに天守)。陰謀の場に使われる今戸延命寺、相国寺大光明寺(門、南通用門)。中揩ニ御側衆に仕掛ける屋形船、広沢池東岸
*ラスト、帰宅した主水はお師匠さんのお師匠さんも今度から来てくれることになったと聞かされる。
2004/3/2

■ 助け人走る 第36話「解散大始末」1974.6.22ABC/松竹

 久方ぶりの元締からの招集は危険極まりない大仕事、大奥からお手つき中揩脱出させるというもの。町方の目光るなか様々に手段を講じる助け人たち、しかし半ばにして将軍薨去の報が入る。これでお中揩燉「へと息をつくも束の間、お手つきの女人は落飾のうえ比丘尼屋敷とも称される女の地獄・桜田御用屋敷へ籠められてしまうのだった。
 ロケ地、利吉が招集をツナぐしのの茶店、今宮神社高倉下。手段を協議のチーム、お城イメージに彦根城天秤櫓天守。今夜もと上様の伽を申し付けられるおちさの方、仁和寺白書院(南庭越しに勅使門下部映りこみ)。御用商人の伝手で下調べに入る利吉と龍を見送る平内さんたち、いろは松下。二人が入る平河門(?)天秤櫓。再びの誰何、太鼓門櫓。大奥へ入る二人、仁和寺宸殿東側衝立宸殿広縁(七ッ口)。葛西衆の船で堀から接近の文さんと平さん、桜場下中濠(天守遠景)佐和口多門櫓前濠。墓参の光明院(おちさ)を連れ出したあと捕り方と大乱闘、船を用意の水辺は木津川流れ橋(殺陣は橋上、河原)。おちさとしの二人を連れ舟でゆく利吉、保津峡。旅ゆく平内さん、落合トンネル付近の道(一部トンネル内使用)
*大仕事ののち解散となる話、殿軍を買って出た龍が死闘の末捕り方を道連れに川に落ちるくだりは圧巻。橋下を通過中の舟から見上げた大胆なアングルも見もの。利吉に妹を託す文さんの笑顔が泣かせる。また、文さんの辛そうな顔を見て黙って去ったお吉が草原で待つ夕陽の赤も胸に染みる。大乱闘の際は三味の音、それぞれに旅立つチームのバックは番違いの主題歌と凝っていて楽しい。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第187話「嵐を呼んだめ組の花嫁」1978-1982/東映

 辰五郎兄妹の恩人・に組の頭が自身の病篤きを知り、おまちを倅の嫁にと申し入れてくる。しかしその男には思う人、そして女の長屋では門前仲町の性悪十手持ちが遊郭新設のため店立てを食らわせる陰謀を企てていた。
おまちの気持が、などとすったもんだあり、無理押しの岡っ引と相打ちとなったに組の頭の死を見た新さん、裏にいた寺社方吟味役と岡っ引の悪妻を成敗。思いあう二人は結ばれメデタシで、おまっちゃん元のまま。
 ロケ地、寺社奉行所、大覚寺大門。「破談」後、おさいがおまちとお話、梅宮大社神苑汀。に組の頭が子の命を盾に岡っ引に呼び出される善明寺、仁和寺林間(遠景に塔基部や九所明神)
*おまちに来た縁談を「良かったじゃないカー」などと言い、うきうきと婚礼の段取りなど話す新さんに辰五郎がぼそっと「大らかなことですな…」と呟くのがおかしい。上様酸素の吸い過ぎ。半蔵はに組の小頭(息子)のことを調べてきて、相手の女のことを子持ちの美人と下卑た顔で言い、おそのに「私情を交えないで下さい」とぴしゃり…め組サイドのお話ゆえ上様側はギャグ要員。

■ 江戸を斬る II 第25話「狙われた遠山桜」1976.4.26C.A.L

 金四郎の桜と酷似の彫り物をした浪人が辻斬り、これを見た以蔵は張り切りまくり桜探しに奔走。しかもその辻斬りが、おゆきの拾ってきた行き倒れ若侍の父の仇ときて大騒動。先走って仇のもとに乗り込んだ若侍のもとに駆けつけた金四郎、危機を救い決着は白州に持ち込んだうえ、仇討ちに許可を与え思いを遂げさせてやる。
 ロケ地、助けてキャー女に騙され水野の姫の待つ屋形船に連れ込まれる金四郎、桂川松尾橋付近汀に船着きセット。辻斬り騒ぎを追っかけてこの二人を見てしまうおゆき、松尾橋下手右岸堤。金四郎が捕り方に引っ掛かっているのに騎馬で駆けつける水野の姫、走る道は糺の森か。金四郎がセッティングしてやる仇討ちの場、大覚寺天神島(幔幕と柵を巡らせ)。事後、加賀さまの上屋敷前(看板が掛かっている)で痴話喧嘩のおゆきと金四郎、西本願寺大玄関門前〜唐門南塀
*仇討ち侍を助けに馳せ参じる金四郎は捕り方に阻まれるが、水野の姫が「このお方は」とやり放免で以蔵に正体バレ。

■ 痛快!三匹の御隠居
 第8話「据え膳食わぬは男の恥!されど自信が…」1999.12.9テレ朝/東映

 三河・挙母藩は、淫蕩で奔放な藩主の御生母に振り回され弱り果て。国家老の甥などはお伽要員にされ、藩のためと耐えるが恋人を殺されてしまう。また、自重をつよく求めた家老を襲撃させるなどの悪行に老人たちが立ち向かう…屋根に登って遠眼鏡でいい男チェックしている万寿院の性癖を利用し、幻夢が瓦に油を塗っておくと、きっちり墜死。勘兵衛はチェックに引っ掛かり迫られたり、乾老人は家老に隠密と間違えられたり賑やか。
 ロケ地、お蝶がバイトの酒肆の姪・おみちがお百度、神護寺石段(行き合わせる勘兵衛は毘沙門堂で寝ている)。釣り糸垂れる幻夢と勘兵衛、保津峡落合岩場。おみちと家老の甥・求馬がデート、神護寺和気公廟所脇〜林間。万寿院のことで疲れた求馬が佇む水辺、保津峡落合河口。その帰途真意を確かめに立ちはだかる勘兵衛、大覚寺五社明神。万寿院に支払いをバックレられた呉服屋が縊死、鳥居本八幡宮舞殿脇の大木。万寿院に自重求めた家老が帰途衝撃される、大覚寺五社明神。三河を発つ老人たち、木津川流れ橋(汀、橋上)
*家老に中田浩二、ここでは悪役ではなくスクエアな殖産事業に熱心なご家老。

■ 剣客商売5 第8話「鰻坊主」2004.3.2CX/松竹

 大治郎が不二楼で見かけた騙りの坊主は「つかみ所のない」行雲流水を地でゆく不思議な男。小兵衛ゆずりの好奇心でウォッチに入る大治郎、騙された浪人たちと御家人が彼を襲撃するのを父子して救うことになる。素性を明かしたあと飄々と去る坊主を見送る二人、季節は時雨から初雪へと変わってゆく。
 ロケ地、「忘れ物」の騙りに欺かれた浪人たちと御家人が切り餅の細工に気づく、上賀茂神社ならの小川畔。浪人たちに追い詰められた坊主が川へ飛び込み逃れる深川万年橋、中ノ島橋。流れついた坊主を救う夜釣りに出ていた不二楼の長次、大覚寺大沢池(船上)
*原作と設定を変えてあるので「毛饅頭」のお下品ギャグは無し、鬼熊酒屋はともかく又六くんが出ないのはちょっと寂しい。善空坊主の彫った阿弥陀さま、柔和なフォルムがなかなか。
2004/3/1

■ 助け人走る 第35話「危機大依頼」1974.6.15ABC/松竹

 冒頭仕掛けの際負傷する文さん、療養の日々。その不在に利吉が二段構えのニセ依頼でハメられ、助け人たちは未曾有の危機を迎えることとなる。ほぼ清兵衛の店で進行するドラマ、作中ずっと降り続く激しい雨が緊張感を高める。
夫の仇を取りに来る毒婦に南田洋子を配し、平内さんのスペア煙管も披露され、へろへろで駆けつける文さんの殺陣もなかなか。
*元締不在は依頼者=仇討ちの闖入者の柘榴組の姐御により語られる。

■ 八丁堀の七人5 第9話「与力を訴えた女!疑心暗鬼の八丁堀」2004.3.1ANB/東映

 青山さま罠に落ちかけるの巻。
15年前の芸者殺害の下手人として追われ「殺された」男の遺児が青山さまを仇と付け狙い、目安箱に訴状を入れるは市之丞に青山さまは極悪人と吹き込むはで大騒動、北町同心たちは評定所勘定組頭から青山さまの身辺調査を命じられるなどする。最後は八兵衛たちの尽力で形勢不利となったワルが内ゲバ、使嗾されていた遺児・おりんが消されかかるところへ出役と相成る。
 ロケ地、おやいと市之丞がお勉強デート、大覚寺護摩堂前。評定所、明智門。ラス立ちとなる15年前弥五郎が殺された大川端、亀岡の桂川。事後、デート復活のおやいたちを見る青山さまと八兵衛、大覚寺放生池堤
*最後には潔白が証明され、妻見殺しの件もヒューマニスト久蔵の行動ゆえと知れるが、いちいち「怪しい」行動をとったり、おりんの回想シーンの殺人者役もつとめるブラック青山さま。芸者に入れあげてた放蕩ぶりは本当…。

■ 吉宗評判記 暴れん坊将軍 第186話「天下御免!虚無僧変化」1978-1982/東映

 慈善活動でお上より表彰の話もある回船問屋、裏では人身売買で大儲け、こやつが目の上の瘤だった堅物の長崎奉行を暗殺したことから話がはじまる。売り飛ばす娘たちをさらう手段は虚無僧に化けた今井健二の、目から怪光線と媚香。剣の達人の長崎奉行を幻惑したりもする。
最後は、娘たちを監禁している御船蔵に乗り込み奉行の仇を討たんとする筆頭与力に加勢の上様で幕。今井健二の怪しの虚無僧ほか、筆頭与力なんか一月寺に入ってマジ虚無僧になってて、全編尺八ぼーぼー鳴りまくり。
 ロケ地、前長崎奉行・日下部大学邸、相国寺林光院。恋人が虚無僧にぽーっとなっていると嘆く半助、弁天社。下総小金・普化宗金竜山一月寺、大光明寺(門、前庭)

■ 江戸を斬る II 第24話「まごころ」1976.4.19C.A.L

 寄場帰りの勝次、彼のため奈良屋の大旦那に落籍された元芸者の姉。更生を誓う男と主に誠心を尽くす女が、金がらみの陰謀に巻き込まれ互いを庇い自分こそ奈良屋殺しの下手人と言い立てるのを、綿密な調べのすえ鮮やかに裁く金四郎。ワルの企みを打破するのに遠山さまは鳥居に頭を下げ、紫頭巾はワルの手下を捕えに賭場へ乗り込み大暴れ。
 ロケ地、奈良屋の妾・お駒がお百度を踏んでいて襲われる宮、今宮神社稲荷社前〜高倉脇坂。お駒と勝次姉弟のことを金四郎に話す橘町の親分、大覚寺大沢池畔〜天神島
*伊蔵親分の誤認逮捕はいつものことでそれなり、しかし鳥居耀蔵が金四郎の申し出を受け係りをあっさり北町に譲るのには拍子抜け。なんか裏でヒーッヒッヒッとか笑って毒練ってそうで怖いんだけど何も無し。

■ 必殺からくり人 第7話「佐渡からお中元をどうぞ」1976.9.10ABC/松竹

 殺しナシの珍しい一作。依頼の仕事は佐渡から運ばれる御用金の強奪、運送中立ち寄る追分宿本陣の蔵に穴掘って侵入のくだりがメインのお話、碓氷峠の関所突破はお氷様を利用するなど緊迫の見せ場連続の痛快な一話。
 ロケ地、冒頭現代のかき氷のシーンは今宮神社門前・一和、停まった車のミラーに顔を写すとんぼの段で「時代劇」にスイッチ。鬼平EDと同アングルなのが興味深い。追分本陣の隣家、門口に塗り込めの築地出した「あの」庄屋屋敷、不明。御用金運搬シーンとお氷様のシーンに酵素(林越し見下ろし)谷山林道。事後、佐渡で死んだ人足の遺族に金を配り歩く時さんの船がゆくのは広沢池水上、バックに遍照寺山と萱葺民家。
←2004/22004/4→

・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪目次テキスト ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ