あばれ八州御用旅
  第4シリーズ 1994TX/東映

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第1話「男涙の大利根無情!抜荷街道の謎を追え!(前)」

 抜け荷を追って出役の藤堂、逃した一味を求め佐原宿へ。小見川藩郡奉行や回線問屋がグルになっての悪謀には、彼らと別に公儀差し回しの隠密も探りを入れる。飯岡、笹川といった親分衆の名が出て平手造酒も登場、怪しの唐人なども立ち現れ、託された蝦夷地図の謎を探る段で中ほど。
 ロケ地、長持改めの藤堂、大覚寺護摩堂裏。飯岡の子分に簀巻きの政吉を助ける藤堂、木津河原。佐原宿口留番所、酵素(ダート、待避所、河川敷)。死んだ隠密から託された蝦夷図について話す藤堂とおりんに手鞠少女の刺客、大覚寺天神島。政吉が詰将棋の商売しているところへ飯岡の手下、大覚寺五社明神舞殿
*竜雷太(今回はクレジットに「賞金稼ぎの」という冠がつく)を残してメンバー一新、水野差し回しの忍び・蛍火のおりんに高島礼子、成駒の政吉に堤大二郎。今回若手の八州さまはナシ。*怪しの唐人・陳昌英に西田健、「○○アルよ」をちょっと捻った言い回しが見もの。ワル丸出しの郡奉行は亀石征一郎。平手造酒は萩原流行で、半身のお紺が被って笑える。
・OPロケ地、木津河原、海(不明)、放生池堤、五社明神、心経宝塔、護摩堂裏。EDはずっと海。


第1話「男涙の大利根無情!抜荷街道の謎を追え!(後)」

 引き続いて抜け荷の陰謀は進行、邪魔な八州を消す刺客に使われる平手造酒だが、剣戟のさなか互いを認識。造酒は千葉道場の師範代、藤堂は次席の剣友なのだった。このあとは造酒を中心に話が進み、死と向き合っていた彼が生き直す決心をした矢先、飯岡と笹川の出入りの中で無念の死を遂げることとなる。
 ロケ地、造酒に酒をやめろと忠言の政吉、大覚寺護摩堂前。隠密の死体上がる汀、罧原堤下か。政吉に過去のことをちらっと聞く山崎、中ノ島橋下右岸河川敷。飯岡と笹川の大出入り、木津河原。造酒の墓、大沢池北岸・夜泊石のあたり。造酒が大事に持っていた師範代の木札を小川に流す藤堂、下鴨神社泉川。街道をゆく藤堂、木津堤
*郡奉行邸へ乗り込み白頭巾、逆さ屏風を倒して登場。ミキちゃん殺したやつらに私憤八割?の大立ち回り「きさまら人間じゃねぇ叩ぁっ斬る!」(←ホントに言う)。*政吉には「八州の旦那」とバレて「ついてゆきます」…。


第2話「狼たちの哀歌!疑惑の賞金首

 城代家老の不正に気付いた若者は証拠の書付を持って出奔、江戸の殿様に訴えようとはかるが、手回り窮地に。彼に百両の賞金を賭けて狼どもに狙わせる富商は愛する人の父、苦悩する恋人たちに藤堂は任せておけと白頭巾。
 ロケ地、河津の渡し、罧原堤下河原。新井が潜む山中の小屋、不明。山崎浪人が参る、青木の野末の塚も同所汀。
*義理人情に板ばさみの恋人たちの話に、賞金稼ぎで金を作り仕官を望む浪人の悲話も添えられる。*ラス立ち、一人残った大利根屋にお説教の藤堂、見逃すかと思ったら斬りかかって来たのでバッサリ返り討ち…影の八州の立ち回り、今のところ生存者皆無。福ちゃん、城代の部下で登場。


第3話「悲恋の行方!欺かれた八州廻り

 抗争の果て殴りこんで放火の博徒は風を食らって逃げ、青梅に潜伏。これを追う八州の柳田は、博徒とグルの陣屋元締にたばかられ無罪の若者を捕縛、その許婚者が柳田の逃げた情婦に酷似していたため悲劇は起こる。
 ロケ地、深谷から青梅への道で柳田が旅人を不審尋問し打擲、酵素ダートから河川敷。深谷から逃走の博徒が青梅付近の漁師を襲う、罧原堤下汀(後で夜に上陸も同じ)。恋人は取り調べ中死亡と柳田に嘘をつかれたおうめが入水、大覚寺放生池堤。見に来た柳田をなじる藤堂、五社明神前。おうめの墓、不明(どっかの勅使門みたいなのの脇)
*嘘情報を吹き込んだ元締を難詰し消される柳田、虫の息で藤堂に「この無念を」。なんか殺し屋と間違えてるっぽいが、藤堂のほうも「俺は影の八州」なんて名乗るし。*ラス立ち福ちゃん入り、陣屋の侍。襲われる漁師もセンセイ。


第4話「濡れ衣 母子流転の旅

 事件は、傘下に入らぬ良心的な仲買人を煙たく思った紙問屋の策謀。商売の旅に出た男を消そうとするも初手に失敗、次手は当地の代官を抱き込んで罪に落とし抹殺を図る。代官の言うまま男を捕え手柄を賞され出世も示唆され有頂天の若き手代、しかし藤堂らの無実申し立てに心は千々に乱れる。彼は瞽女の母を亡くした幼時、代官に拾われ大恩ある身なのだった。
 ロケ地、街道筋等不明個所多し。仲買人・弥助が代官所の人数に追われ逃げ込む村、酵素河川敷。捕まった弥助が藤堂の名を叫ぶのを聞き、一行を探してやって来る山崎浪人、茶店で事情を話すのは沢ノ池畔。藤堂を呼び出し弥助が自白したと告げる手代・多三郎、罧原堤下河原
*瞽女の母と旅する幼い多三郎のシーン、砂の器ふうに美しい景色が展開される。*弥助を狙う、武蔵屋に雇われた殺し屋に峰蘭太郎、こすっからい小悪党を好演。代官所の人数に福ちゃん、関所を固めて「まだ見当たりません」ときびきび報告したり、弥助を拷問したり(ささらで叩いたり火押し付けたり)、声がドス効いてる。


第5話「人情峠の遠い春

 舞台は三国街道金谷宿、出稼ぎの越後の男たち「椋鳥」が往還の道。その一人が、女郎に売った娘を身請けしようと図っての「強請り」が悲劇を呼ぶ。ネタは、山名主にうまい話を持ちかけて盗みを計画中の凶賊を江戸の奉公先で「見ていた」こと。
 ロケ地、身請けのタカを娘に問う椋鳥の弥平、桂川か。代官が山持ちの三国屋に用心棒を推挙の屋敷、萱葺民家不明。弥平が「武蔵屋」を装う凶盗・カマイタチの久造を強請る、大覚寺護摩堂前。事後、山崎浪人の賞金により解放された弥平の娘と友達が越後へ発つのを見送る道、大沢池堤
*悪代官に川合伸旺、材木商を装った凶盗に田口計とコテコテ。凶盗がお芝居で送り込む、実は一味の用心棒に福ちゃん。役名は無いが、直新影流の使い手設定。


第6話「鬼の首の弥藤次

 野州を荒らし回る凶盗を追う藤堂、下野黒沼城下へ。政吉はかつてイカサマが見つかり制裁を受けている際助けてくれた女と再会、しかし彼女は凶盗の引き込み役をやらされていた。
 ロケ地、街道筋や池辺、石神御番所の砂金場(時々出てくる砕石場、小滝あり)、ことごとく不明。
*砂金場近くの人の良さそうな茶店の親爺が山田吾一ゆえ、最初に話の筋がなんとなく判ってしまうのもなんだか。和気藹々の砂金場の人夫の一人にちらっと福ちゃん。


第7話「妻恋街道流れ旅

 「八州」の藤堂が狙撃されてはじまるお話、鳴沢には悪代官どころではない男がいた。そのワル、代官ではあるが正体は凶盗、盗んだ金を猟官運動に使い成り上がった無役の旗本愚連隊だった。その凶盗に女房を売り飛ばされた岡っ引が、三年越しの旅の果てようやく見つけるも人妻で涙をのんであきらめ、功徳と同名の女郎を身請けする哀話が縦糸となる。
 ロケ地、八州の藤堂が馬上撃たれる鳴子峠、谷山林道。落ちる谷は保津峡落合にスイッチ、スナイパーが始末される山道は落合崖上の道。鳴沢代官所、不明。彦蔵が谷川で藤堂の陣笠を拾う、保津峡落合河口。拾って持っていた笠をお地蔵さんにかける、山室堤道(堤内地の田んぼ脇、直後通りかかった政吉が「ダンナのじゃん」と持ってゆきエラい目に遭う)。スケッチ中の藤堂に助けられた礼を言いに来る彦蔵、沢ノ池か。藤堂が宿所にしている妙泉寺、普済寺(門の傍に立つ彦蔵、「女房」のおちかが土地の織元と仲良さげに赤子を抱いて来るのは本堂前、三人を見送るのは苔道の参道)。江戸で代官の身辺調査を終えたおりんが早馬を駆る、谷山林道と宿場町セットを交互に。彦蔵が代官とグルの二足草鞋に呼び出される宿場はずれの樫の木の下、大覚寺天神島。鳴沢で集めた金を持ってひと暴れしてトンズラの相談をぶつ代官と手下、鳥居本八幡宮本殿。白頭巾が送り状を留めるのは舞殿、石段付近で大立ち回り。街道筋の茶店で休む藤堂に声をかける彦蔵に身請けして貰った「女郎」のおちか、山室堤道田脇。
*女房「おちか」を探す彦蔵のくだり、遊里の通行人に福ちゃん。酔客の足どりがどこか斬られ役っぽくて傑作。


第8話「消えた八千両 悲しい女の夢芝居

 事件は高崎藩の御用金がらみ、城代を失脚させようと次席家老が悪徳商人と組んでの悪企み。しかし中身は山崎のダンナの純情炸裂の人情話。
御用金強奪の芝居に使われ虫けらのように消された浪人、看取った山崎哲之介は約束を果たすべく彼の女を捜すが名を騙る女に翻弄される。しかしそれは薄幸の女の哀しい嘘、哲之介を庇って凶弾に斃れた女を見て白頭巾発動。
 ロケ地、事件の真相を知った山崎が上州屋を呼び出す夜のやしろ、鳥居本八幡宮。舞殿まわりでドラマが展開。


第9話「おしめ十兵衛

 藤堂に医学書を届けようとした娘が、ちんぴらに襲われ殺される。怒りに燃える藤堂は犯人を突き止めるが、その父は旧知の剣友だった。
「おしめ十兵衛」と通り名のあるその男、赤川河岸の大物で汚い真似も仕出かし財を築くが、全て不肖の倅に残してやるため。通り名のいわれは、妻を亡くした十兵衛が赤子を背負いながら人足仕事をしていたことによる。夢を捨て妻の形見と育てた息子がろくでなしという、十兵衛の悲哀が泣かせる。
 ロケ地、赤川河岸、八幡堀明治橋付近に荷船をあしらい。赤川へ向かう藤堂とおりんが乗る船がゆく利根川、西の湖。船は太鼓橋をくぐり、その上を藤堂に本を届ける旅のちづると老僕がやってくる。ちづると老僕の塚、罧原堤か(映りこむ筈のシルエットが漣で見えず)。藤堂を消すため人数を手配してかかる十兵衛、早朝のラス立ち野原は酵素河川敷(川が深く掘れているさまが鮮明に確認できる)
*ラス立ち福ちゃん入り、赤川代官の家士でお揃いの青鉢巻。今日の白頭巾は、皆殺しのあと「送り状」を鴨居に留めてゆく、いつもと違うパターン…まさか最初にやるの忘れたとかではないよね。


第10話「身代り観音夫婦唄

 病の夫のため蕨宿で飯盛女をして健気に働く女、夫は病が死病と知ってそれと告げず別れに会いに来る。女房が勤める飯盛旅籠の主の正体が凶盗で、夫婦は血腥い事件に巻き込まれ危地に陥るが、危難を救ったのは夫が女房への思いを込めて彫った観音像だった。
凶盗は背後にいた大ワルの寺社方大検使に始末され、富籤の大金を手に入れうはうはのワルは白頭巾に乗り込まれてしまう。
 ロケ地、船着の茶店で谷中の富籤興行が大宮へゆく話をおりんから聞く藤堂、罧原堤か。おりんが富籤持って大宮へゆく山崎とばったり会う街道、大覚寺大沢池堤。飯盛宿の主が情婦に任せている宿場はずれの茶屋、中山邸通用門。凶盗の手下が潜む堂、大覚寺五社明神(裏手から)。寝っころがって富籤の札見てご満悦の山崎、五社明神舞殿。雇い主の凶行を目撃したおしのが隠れるお堂、大日堂。観音様に貰った命と静かに生活をはじめた夫婦を見たあと旅立つ藤堂、広沢池西岸(農地からの撮り、遠景に富士山合成)


第11話「女渡世人 涙をかくす三度笠

 恋しい人の出世のため身を退いた女と、許婚者を一途に慕う女と、二人の女の人生がクロスするお話。彼女らの「男」は同一人物、はじめ女たちをたばかっての不実と見えた行為は、代官就任直後悪者の手に落ちての不本意な交信途絶で、男の女房だった渡世人の女は身を挺して彼を救出し落命する。
 ロケ地、「許婚者」百合恵の回想、鳶山代官として発つ柏木甚三郎を見送る街道、大覚寺放生池堤(雪舞う景色、導入に屋形船係留の南岸が映る)。「甚左」の思い出を語る渡世人のお蝶、天神島朱橋(バックに祠)。代官に関する謎を語る山崎浪人と政吉、護摩堂縁先。代官所を訪ねたあと絶望して入水の百合恵、池畔船着(小)。お蝶の死に落ち込む山崎と政吉が座り込み、旅人姿の藤堂がしゃきしゃき歩く街道筋、山室堤道。代官と百合恵が参るお蝶の墓、大覚寺聖天堂前・心経宝塔が背景。
*くれないのお蝶に大沢逸美、小太刀を使っての立ち回りもキレイ。代官を監禁する大ワル一味の、親切面の織元にさりげなく白影さんがいる。


第12話「国定忠治 涙の八木節

 最終話は前シリーズと同じく、任侠の漢を助けて動くお話。天保の大飢饉で苦しむ民衆に施しを与える忠治だが、蔵米横流しの悪代官たちによりあらぬ罪を着せられ追われることに。関東巡検使なんてのが岩鼻代官所に乗り込んできて、藤堂に捕縛を命じできねば切腹と脅すが、こいつもワルの一味。藤堂は忠治を死なせるに忍びず、隠れ家が炎上という態をつくろい落としてやって、その夜白頭巾と化しワル皆殺し。
 ロケ地、飢饉イメージのひび割れた地面、広沢池か。山崎が忠治の手配書を見ていると里の女が破いていく神社、不明。近所の子を集め野博打の忠治の娘、神社?不明。ラスト、再び共に旅行く四人、木津堤と河原か。
*国定忠治に清水健太郎。


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