立花登青春手控え

立花登青春手控え

2016年、5〜7月 NHKBSプレミアム

音楽/羽岡佳
語り/篠田三郎

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第一回 「雨上がり」 2016.5.13

 牢屋敷の仕事を正式に押し付けられてしまった登、一人でつとめる初めての夜勤の日、さっそく難儀な急患に当たる。しかし診てやったその男は仮病、女に金を届けて欲しいと懇願されてしまう。登は、己の腕をつかんだ勝蔵の力の入りように、思いのたけを知るのだった。

金戒光明寺

ロケ地

  • 出羽・亀田の里、不明(谷底平野に広がる田地と里の俯瞰、近景は河畔の在所。いずれも加工されている)。母に見送られ出立する登のくだり、叔父について聞かされる縁先、ありものの民家か。また、門も同所と思われる(民家庭の「中門」?)。歩み出す里の道、民家南塀(西望の図、手前は「崩落個所」か)、南側石垣際に地蔵あしらい。旅ゆく登、雪嶺を背景にした街道、不明(前景は菜畑)、ロング。母の弁当を手に街道をゆく登の近景は大堰川堤、旅人等あしらい。お昼をつかう河原は大堰川河川敷(粗い礫の河原、釣り人あしらい)
  • 江戸へ着いた登、町を見渡して息をつく坂は金戒光明寺永運院下坂、善教院の南側に町を合成。このシーンは、以降カバーに使われている。
  • 勝蔵からの金を届けに行った登、帰り道にくぐる門は仁和寺中門。追っかけてきたおみつに気付き立ち止まるのは茶所前。おみつの「言い訳」を聞くシーンは参道のステップ。おみつの回想で出てくる、勝蔵にプロポーズされた場所は中門。
  • 流人船を見る町衆、中ノ島橋(見上げ)。勝蔵を含む流人たちが小船に乗せられる桟橋(原作では永代橋西の橋詰、ドラマの語りでは万年橋・征木稲荷の桟橋ともとれる)大覚寺大沢池船着(大)、池畔に柵あしらい、登と藤蔵が見送る。少し離れた土手(原作では永代橋の東のはずれ)で船を見送るおみつは、放生池堤。勝蔵の船からおみつのいる土手を望む図もある。また、放生池と放生池堤越しに船を望む図では、大沢池堤を途中で消して広い水面を作り、海に近い大川を演出してある。

立花登/溝端淳平 ちえ/平祐奈 松江/宮崎美子 平塚平志郎/マキタスポーツ 土橋桂順/正名僕蔵 新谷弥助/高畑裕太 直蔵/浪岡一喜 おみつ/水崎綾女 勝蔵/瀬川亮 万平/みのすけ 鴨井左仲/峰蘭太郎 あき/木下美咲 伊四郎/山中聡 市村半之丞/入江毅 みき/眞木めい おせん/園英子 園井/石志望 なお/音無美紀子 きよ/鷲尾真知子 藤吉/石黒賢 小牧玄庵/古谷一行

脚本/古田求
演出/山下智彦

原作/藤沢周平「春秋の檻 獄医立花登手控え」

※亀田の里、ロングの画で映っている橋は亀ノ甲橋と思われる。この後に出る、屈曲する川と里の図も付近か。


第二回 「善人長屋」 2016.5.20

 しつこく無実を訴える吉兵衛にほだされた登は、いろいろ聞いて回り、ついに藤吉親分が動く。しかし吉兵衛親子の暮らす「善人長屋」実は名ばかり、どころか吉兵衛本人のとんだ過去が明らかとなる。

上賀茂神社

ロケ地

  • 吉兵衛を逮捕した清助親分の回想、追い剥ぎに遭って吉兵衛が返り討ちにしたという大工の死体が取り片付けられる小名木川の河原、中ノ島橋下手右岸河川敷(セピア仕立て、堰堤の落水が映り込んでいる)
  • 吉兵衛含む「四人組」の強盗のことが知れ、よそへ避難させてある「吉兵衛の娘」おみよが危ないと走る登、新谷家の奉公人の老女の家(本所南割下水そばに住まう)へ向かう道は上賀茂神社ならの小川畔〜神事橋を渡る。
  • 長屋の気のいいおかみさんに手を引かれ戻ってゆくおみよ、上賀茂神社神事橋〜ならの小川畔(原作に割下水そばの道と書かれてある)。神事橋下の川中に、子と遊んでやる父親を配してある。
  • おみよが戻ってゆくのを見届けた登と新谷、駆けっくらの坂は金戒光明寺永運院下坂(駆け上がる)

立花登/溝端淳平 ちえ/平祐奈 松江/宮崎美子 平塚平志郎/マキタスポーツ 土橋桂順/正名僕蔵 新谷弥助/高畑裕太 直蔵/浪岡一喜 吉兵衛/河相我聞 おみよ/荒川ちか おもと/山本裕子 万平/みのすけ 鴨井左仲/峰蘭太郎 あき/木下美咲 清助/鷲生功 源六/荒谷清水 おぬい/星野美恵子 みき/眞木あい おせん/園英子 きよ/鷲尾真知子 藤吉/石黒賢 小牧玄庵/古谷一行

脚本/田村惠
演出/山下智彦

原作/藤沢周平「春秋の檻 獄医立花登手控え」


第三回 「女牢」 2016.5.27

 女牢に知った顔をみる登、それはかつて診た患者の女房。亭主の暴力にも耐え尽くしていた女、なにゆえと調べ始める登だが、悲しすぎる事情を知ることに。裁きは既に下っていて、してやれることは限られているのだった。

日吉大社

ロケ地

  • 猿屋町甚内橋、日吉大社大宮橋。回想シーン含め、季節のうつろいを表現してある。時次郎の治療のため通った際渡った橋、帰る登を、おしのはいつもこの橋まで見送りに出ていた次第。シジュウカラの囀りが入っているのは同録か。
  • おしのの「犯行」について藤吉に聞く登、奥石神社摂社(重ね鳥居)〜参道(拝殿望む図、橋向こうに遊ぶ子らを配してある)。原作設定、藤吉宅は八名川町、六間堀そば。
  • おしのが処刑されたあと、時次郎からおしのを買ったヒヒ爺・能登屋政右衛門をシメに行く登、店から連れ出して用心棒らもまとめて懲らす竹林は大覚寺竹林。その後篠突く雨に打たれ立ち尽くす水辺は遣水跡(ヤナギ傍〜大沢池畔・菊ヶ島前へ移動。大沢池堤に桜開花、水面にはマジ雨)。能登屋は、時次郎が勤めていた小梅の瓦屋近くにある薪炭商。

立花登/溝端淳平 ちえ/平祐奈 松江/宮崎美子 平塚平志郎/マキタスポーツ 土橋桂順/正名僕蔵 新谷弥助/高畑裕太 直蔵/浪岡一喜 万平/みのすけ 鴨井左仲/峰蘭太郎 園井/石志望 おしの/前田亜季 おたつ/明星真由美 お松/楠瀬アキ 時次郎/山根和馬 参吉/兼松若人 能登屋政右衛門/南条好輝 きよ/鷲尾真知子 藤吉/石黒賢 小牧玄庵/古谷一行

脚本/古田求
演出/服部大二

原作/藤沢周平「春秋の檻 獄医立花登手控え」


第四回 「返り花」 2016.6.3

 上役の陰謀で投獄され、牢内で毒殺されかけた夫のため、むかしの男を頼る御新造。しかしその男は上役を強請り、得た金で逃げようと持ちかけてくる。
後妻として懸命につとめてきた御新造だが、幸せだったかと問い、むきだしに愛を語る男の言葉が胸に響くのだった。

奥石神社

ロケ地

  • 小沼毒殺未遂の件を藤吉に相談する登、奥石神社参道、石橋たもと。境内で子らが遊んでいる。原作設定、藤吉宅は八名川町。
  • 登に頼まれ小沼家のことを調べてきた新谷、叔父の家を出て話を聞くやしろは吉田神社竹中稲荷本殿裏手(奥之院)摂社群。新谷が供え物をとって食うシーンがある。
  • 登和が井崎浪人に毒饅頭の入った箱を渡す町角、清凉寺本堂脇(東側)。散り残った梅を見て、井崎が「返り花だ」と呟く。
  • 吟味方改役・松波邸の庭、妙心寺衡梅院庭。生垣越しに、鐘楼と湯屋、その奥に三門が望まれる。井崎が強請りに来るシーン、松波は盆栽の剪定中。
  • 登和が井崎と会う舟宿(原作設定は出会茶屋、高橋に近い常磐町、窓外に小名木川)八幡堀。見張っている直蔵と登は明治橋下堀端、舟宿は対岸という趣向。
  • 松波を強請って金をとった井崎、追ってきた松波に斬られる夜道は走田神社参道。登と松波の立ち回りの際、摂社の重ね鳥居も映り込んでいる。原作設定、東両国の料理屋を出た井崎は、亀沢町の北にある榛の木馬場の土手下で追いつかれる。
  • 家から出てきた登和を呼び止め、松波が捕まったこと、小沼が釈放される見通しなこと、井崎が死んだことを告げる登、随心院長屋門前。藤吉と登が去ってゆくシーンには、参道の植込みも映っている。原作設定、小沼家は南本所。

立花登/溝端淳平 ちえ/平祐奈 松江/宮崎美子 平塚平志郎/マキタスポーツ 土橋桂順/正名僕蔵 新谷弥助/高畑裕太 直蔵/浪岡一喜 万平/みのすけ 登和/マイコ 井崎勝之進/比留間由哲 松波佐十郎/梨本謙次郎 甚助/水澤紳吾 千加/柴田杏花 きよ/鷲尾真知子 藤吉/石黒賢 小牧玄庵/古谷一行

脚本/古田求
演出/服部大二

原作/藤沢周平「春秋の檻 獄医立花登手控え」


第五回 「老賊」 2016.6.10

 病みついて、見込みのなさそうな老囚人に頼みごとをされる登、言われるまま男の娘と孫を捜しに行ってやる。しかし、不自然に転居を繰り返しているその娘は、自分に父などいないと言うのだった。
死期をさとった老賊の「真意」について、登の私見というかたちで、原作より一歩踏み込んだ見解を示してある。

大覚寺

ロケ地

  • 浅草阿部川町の長屋におちかの消息をたずねた帰り、尾行者の気配を感じる登のくだり、妙心寺大庫裏脇クランク〜路地(北から歩いてくる)
  • 西神田・雉子町の長屋から、元の阿部川町へ帰っていったおちかを見送ったあと、藤吉親分に捨蔵の真意について推理を述べる登、大覚寺放生池堤。放生池にも大沢池にも荷船を演出。

立花登/溝端淳平 ちえ/平祐奈 松江/宮崎美子 平塚平志郎/マキタスポーツ 土橋桂順/正名僕蔵 新谷弥助/高畑裕太 直蔵/浪岡一喜 万平/みのすけ 鴨井左仲/峰蘭太郎 あき/木下美咲 捨蔵/寺田農 守宮の助五郎/温水洋一 長右衛門/六平直政 おちか/野村佑香 とよ/ふせえり はな/円城寺あや きよ/鷲尾真知子 藤吉/石黒賢 小牧玄庵/古谷一行

脚本/小松政宏
演出/真鍋斎

原作/藤沢周平「風雪の檻 獄医立花登手控え」


第六回 「風の道」 2016.6.17

 本人が危惧したとおり、牢内で密殺されてしまう囚人。生前の彼から頼み込まれていた登は、狙われていた女房を救うが、胸が晴れることはないのであった。
ちえの御乱行を、叔母に頼まれて諫めるエピソードが入る。

日吉の馬場

ロケ地

  • 牢を出された辰五郎がゆく道、日吉の馬場北側の里坊石垣際の道、西望の図。設定は小伝馬町界隈か、役人と思しき侍や用足し中の奴等を通行人として配置。
  • 勤めに出る鶴吉の女房を襲う辰五郎、毘沙門堂勅使門下坂。おなかは薬医門下の道を東へ歩き、勅使門下で南下、石畳の坂をおりてゆく。原作設定では、鶴吉宅は「蔵前通りから西に入った元旅籠町裏の富坂町」、おなかの勤め先は浅草広小路の料理茶屋で、家のある路地から馬場脇の道へ出たところを襲われる、と書かれている。この風景がタイトルの「風の道」。

立花登/溝端淳平 ちえ/平祐奈 松江/宮崎美子 平塚平志郎/マキタスポーツ 土橋桂順/正名僕蔵 新谷弥助/高畑裕太 直蔵/浪岡一喜 万平/みのすけ 鴨井左仲/峰蘭太郎 あき/木下美咲 おなか/星野真理 鶴吉/林泰文 辰五郎/隈部洋平 為蔵/岡部たかし きよ/鷲尾真知子 藤吉/石黒賢 小牧玄庵/古谷一行

脚本/田村恵
演出/真鍋斎

原作/藤沢周平「春秋の檻 獄医立花登手控え」

※登は忙しいのでちえの素行調査を新谷に依頼。役者遊びしているところへ踏み込み連れ帰る際、ちえは登のみならずご友人も呼び捨て「新谷!」。
※叔父宅の費えの大半は、登の稼いだ金で賄われているもよう。


第七回 「落葉降る」 2016.6.24

 盗癖のやまぬ、どうしようもない親父に孝行を尽くす健気な娘。その女の身に降りかかった不幸には、仕掛けがあった。
おしんが刺した男を救命した「蘭方医」を登にしてあり、ラストの平助親爺とのやりとりに深みを加える。

善峯寺

ロケ地

  • おしんが勤める茶店・しのぶ茶屋、神光院蓮月庵を店に仕立て。本堂前の池の石橋を渡って登がやって来る。後段、おしんが事件を起こしたと聞いて駆け付ける登のくだりは夜間撮影、本堂が映り込む逆向きの画も出てくる。原作設定は「両国橋の南河岸に並ぶ水茶屋」。
  • 茶店を出ておしんと話す登、川端はもりやま芦刈園水路端。「土管橋」のたもとに町を仕立ててあり、二人が腰かける法面には小花、土手には露店、水路には船を演出。
  • 登の回想、おしんと清吉がデートしていた菜畑、不明。
  • 藤吉たちに、おしんが襲われたことを話す登、金戒光明寺。一行は参道坂をおりてくる。
  • 釈放された平助、送ってきた登に、清吉をなぜ助けたと食って掛かる坂は善峯寺阿弥陀堂下坂

立花登/溝端淳平 ちえ/平祐奈 松江/宮崎美子 平塚平志郎/マキタスポーツ 新谷弥助/高畑裕太 直蔵/浪岡一喜 万平/みのすけ 鴨井左仲/峰蘭太郎 あき/木下美咲 園井/石志望 おしん/大後寿々花 平助/徳井優 お島/中島ひろ子 おりき/西原亜希 溝口孫蔵/松澤一之 清吉/山口翔悟 銀平/丸川敬之 きよ/鷲尾真知子 藤吉/石黒賢 小牧玄庵/古谷一行

脚本/古田求
演出/前原康貴

原作/藤沢周平「春秋の檻 獄医立花登手控え」

※原作どおり、酔っぱらったちえを迎えに行く登のくだりや、他流試合のエピソードも入っている。
※清吉を手術したのは、おしんを打ち首から救いたかったからだと平助に向かって叫ぶ登、救えなかったひととは「女牢」のおしのか。


最終回 「牢破り」 2016.7.1

 ちえ、遂に痛い目を見るの巻。
もちろん救出に全力を尽くす登、大いに面目を施し、「呼び捨て」は終わり昇格かと思われたが、たちまち元に戻っているのだった。

桂川

ロケ地

  • ちえが新助と落ち合う茶店、仁和寺塔前石畳に設営。露店が両側に出て、賑わいを演出してある。
  • みきを訪ねた登、二人であきがしけこんでいる裏店へ行くルート、仁和寺経蔵下坂(坂下に小坊主がいて掃き掃除)。あきに新助のことを聞くシーンは九所明神。
  • 藤吉に全てを打ち明ける登、帰り道ちえを思い立ち尽くす川辺は罧原堰堤下汀(右岸側)

立花登/溝端淳平 ちえ/平祐奈 松江/宮崎美子 平塚平志郎/マキタスポーツ 土橋桂順/正名僕蔵 新谷弥助/高畑裕太 直蔵/浪岡一喜 万平/みのすけ あき/木下美咲 おせん/園英子 みき/眞木あい 留八/神尾佑 多十/上杉祥三 金蔵/松本実 芳次郎/橋爪遼 新助/大高雄一郎 いの/東山龍平 水野/池田勝志 きよ/鷲尾真知子 藤吉/石黒賢 小牧玄庵/古谷一行

脚本/古田求
演出/山下智彦

原作/藤沢周平「春秋の檻 獄医立花登手控え」

※芳次郎から話を聞く蕎麦屋で、声を荒げた芳次郎に驚く客に福ちゃん。登がみきを訪ねた際、店から出たみきにぶつかられた、店の前の棚の商品を見ていた種物屋の客も福ちゃん。
※監禁されているちえを助ける、荒れ寺のシーンは大捕物。捨て身でちえを救う登がかっこイイ。またこの間牢で多十と金蔵の摘発が行われていて、切ってあった格子を蹴破る金蔵のシーンを入れてある。また、泣きじゃくるちえに言葉をかける登に、お国訛りが出ているのも好感。


参考文献 藤沢周平著「獄医立花登手控え」四冊合本版 講談社

→ 立花登青春手控え2

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