河川用語解説  な行、は行

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軟水 水100cc中、カルシウム・マグネシウムが塩類として1mg含まれていると硬度は1°となる。硬度10°に達しないような水を工業上の軟水という。ふつうの川の水は軟水で、飲料水・洗濯用水・製紙・染色などに利用される。
早瀬 河床が急勾配となり水流が速い場所の謂。早瀬の下流では水流が静かな淵となることが多い。早瀬は滝と共に幼年期の特色で、川の縦断形が不規則であることを示す。
cf.早瀬では流れ速く水面波立つ・底質はほぼ浮石。平瀬では早瀬よりやや遅く水面には皺のような波が立つ。底質はほぼ沈石。
氾濫原 河川の氾濫・河道変化によってできた低平な土地。洪水時には川水に浸される。ふつう、砂礫・泥土が堆積。氾濫原が広く発達するのは壮年期以降の河川。その中に蛇行・自然堤防・後背湿地などの地形が発達。沖積平野も氾濫原に属する。
氷河地形
(氷食地形)
氷河の侵食作用により造られた地形。氷河に侵食されてのものと氷河により土砂・礫が運搬・堆積されてできたものとがある。
U字谷 谷氷河に侵食された河谷。ふつうの河谷断面はV字形であるがこれはU字形。U字谷に海水が浸入したものをフィヨルド(峡湾)という。
カール(圏谷) 山地の頂上近くにかかった氷河が岩盤を削り取った谷。谷頭は丸く急傾斜を成し谷底には平坦地が造られる。日本では中央高地の海抜2500m以上・北海道の500m以上の高地にみられる。
ホルン(尖峰) 谷氷河の侵食が山頂まで達すると鋸歯状の山陵が造られる。例;マッターホルン。
堆石(モーレーン) 谷氷河上には両側の山壁から岩屑が落下、また谷氷河自身も周りから岩屑を削り取る(側堆石)。側堆石はクレバスを通り下底に達し基盤を削り底堆石を成す。
フォガラ 中世に作られたサハラ特有の地下水道。近くの丘の含水砂層からオアシスまで数kmにわたり掘りぬいてあり、10〜30mごとに空気穴がある。自然の傾斜を利用し酷暑にも水が蒸発せず流れるよう工夫してある。サハラ全域では4,000kmにも及び現在も利用される。
複合扇状地 山麓に沿い各谷口に扇状地が発達、横に連合した地形。日本アルプス東麓は梓川・奈良井川・烏川・中房川などによる複合扇状地が発達、桑畑・雑木林に利用される。世界的にみると半乾燥地方の大急崖下に大規模な複合扇状地が発達。これは、断続的に降る豪雨で植物被覆が少ないため多くの岩屑を一度に運ぶが、山麓の乾燥地では砂利の中に川の水が浸透して急に運搬力を減ずるからである。
複断面 高水敷を有する川の断面形状。高水敷では流速が遅くなるのでこの断面形は洪水時に堤防を守るのに好都合。平常時には外部堤防いっぱいに水を流すと水位が浅くなりどの部分を流れるか不安定になるので低水路を設けて流路を安定させる。
浮石 川底の石が砂や泥に埋もれていない状態のこと。早瀬の石はこの状態になっている。
伏流水 地下を浸透して流れる水。扇状地や厚い砂礫層が堆積している河床をもつ河水は地下に浸透し伏流水となって流れる。石灰岩地域では水が石灰岩の割目を通って伏流水となって流れ再び地表に現れることも。火山堆積物の中にも伏流水が発達する。一般に地下水は極めて遅い速度ではあるが低い方に流動しており、伏流水とも考えられる。
淵は流れが緩やかで水深が深い所。水面は波立たず底質は主に砂質。その形態・成因によりM型・R型・S型・D型などに分類。
.S型の淵 河床性質・材質の軟らかい部分が削られてできた淵。滝壷などがこれに当る。ヤマメやイワナの棲息する上流部に多い。
R型の淵 大きな岩や橋桁の周囲が抉られてできた淵。河川形態型Aa-Bb〜Bb型の上部にかけて多く存在する。
M型の淵 流路の屈曲部(蛇行点)にできる淵。中〜上流域では流れの突き当たる側に岩盤のある事が多い。ふつう他の成因による淵より面積や水深が大きく、淵のうちで漁業上最重要なタイプ。
D型の淵 ダムや堰堤の上流側が掘られてできる淵。
分水界線 雨水がそれぞれ反対側に流れる線。ふつうは山脈の頂にあるので、その峰を分水嶺または分水界ともいう。孤立丘の場合は線でない。多くは川の流域の境になる。地形の状態との関係から、気候・人文事象に対照的差異を生じる場合が多い。例;ヒマラヤ山脈の南北。三国山脈の南北。上越山脈の東西。
平衡河川 川の水流の力が全部荷重の運搬に消耗され著しい堆積も行わない状態にある河川をいう。この時の川の縦断形曲線を平衡曲線という。その勾配は上流では急で下流では緩やか。平衡に達した河川は壮年期以降の河川。
平水量 河川の流量について、一年のうちに六ヶ月間これより下がらない水量のこと。水位によって表すことがあるが、その時は平水位という。
cf.渇水位(渇水量)は、一年のうち355日間これより下がらない水位(水量)。低水位(低水量)は、一年のうち275日間(九ヶ月)これより下がらない水位(水量)。洪水位(洪水量)は、数年に一回という程度の洪水時の水位(水量)。豊水量とは、一年のうち95日間これより下がらない水量をいい、その時期を豊水期という。
本水 地下水面と最初の不透水層との間にある地下水を自由水または自由地下水といい、これを宙水と本水に分ける。本水の流動は下底の不透水層の表面形態に支配される。

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