川を訪ねる旅     疏水の庭

對龍山荘

  園池  

 日本庭園に池はつきものである。古い日本の家は夏を旨として作られたので、庭に林泉を配し池辺に家屋を配することが多かった。
浄土庭園には宗教的意義から必ず蓮池が作られ、池の中には中国文化の影響で蓬莱山を模した中島が配される例が多い。

 ここ對龍山荘庭園にも大きな池が作られている。池には二系統の流れが注ぎ込んでいる。
池には母屋の北端から對龍台が迫り出して池に落ちる大滝と背後の水車小屋を眺めるという趣向になっている。

園池を庭北端の腰掛待合から見る
園池に迫り出す對龍台  右へ順にズームイン

 池にはおきまりの錦鯉が泳いでいるが、對龍台下の飛石まわりには種は特定できなかったがウグイのような小魚が無数に群れていた。飛石のまわりにはびっしりと卵も産み付けられていた。

對龍台下、池に注ぎ込む流れを横に見て進む

 對龍台下には南庭を流れてきた遣水が落差をつけたリズムのある小さな滝といった趣向で建物の下を涼しげに落ちてゆく。雄大な池を見つつ滝の音を聞くという凝った造りである。
汀には様々な植物が心利いたポジションに配されている。ここには縁先手水も置かれている。

借景 園池中央にある中島

 この日は紅葉にはいま少し早かったが、この庭が赤く彩られるとさぞ派手なことだろう。對龍台から望む園池の奥には楓が多く植栽されているからそれを狙ってのことと思う。個人的には新緑のほうがきれいだと思うが。

園池を腰掛待合の北から

■對龍山荘表紙 ■ 園池 ■大滝 ■南庭の流れ ■水車小屋 ■珍客

■ 疏水の庭表紙


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