青蓮寺川
別称 曽爾川
淀川3次支流 ・流入先 〜名張川木津川淀川 ☆淀川水系一級河川 訓:しょうれんじがわ

 奈良県宇陀郡および三重県名張市を流れる、名張川の支流。
奈良県宇陀郡御杖村南境の土屋原の請取峠付近に発する諸流を集め北流、奈良県宇陀郡御杖村西部・奈良県宇陀郡曽爾村中央部・三重県名張市南部の山峡を蛇行しながら流れ、名張市夏見で名張川左岸に注ぐ。
一級河川の起点は奈良県宇陀郡御杖村のタコラ川合流点。
平野に出る直前の名張市青蓮寺に青蓮寺ダムがあり、山峡に長大な青蓮寺湖を成す。
中流に峡谷を刻み、香落渓・奥香落渓(こおちだに・おくこうちだに)と称し景勝地となっている。

青蓮寺川支流
・笹及川 ・峯川 ・桃俣川西杉川西杉川南流) ・山粕川傍示川) ・コモ川 ・塩井川 ・横和川 ・太良路川 ・中村川 ・布引川 ・折戸川百々川

■ 源流 御杖村土屋原

山峡から出る川 谷底平野を開き流れ下る

 青蓮寺川の源は御杖村南境の請取峠付近の山々から来る。幾つもの枝流を集め南へ流れる川は次第に流れを太くし、小規模な谷底平野を開析する。
水量は豊かで、河床には大きめの岩が転がっている。護岸は古めのもので草に覆われ目立たない。
周囲の山では植林が盛ん。半ば雑木林の混じる山もあり、紅葉の時期には緑とのコントラストが美しい。
源流の谷には県道783号土屋原飯高線が通じる。南境の山の向こうは伊勢湾に注ぐ櫛田川の源流域で、ゆえにここは大分水界となる。

■ 上流 御杖村桃俣口

紅葉を映しこむ堰上の水 国道369号線

 昔の本伊勢街道にあたる国道369号に突き当たった青蓮寺川は向きを北西に転じる。このあと曽爾村へ入るが、それまでは道沿いにくねくねと蛇行し深い谷を刻む。川は旧道となる本伊勢街道沿いに流れ、集落も街道沿いに集中する。この付近では国道は村落を避けて開削された部分を通る。

■ 中流 (谷底平野) 曽爾村掛〜伊賀見

漆部(ぬるべ)橋から上流を見る
橋の西たもとには曽爾村役場がある
漆部橋東たもとから下流を見る
尖った山は鎧岳
新岳見橋から下流望 山は鎧岳
新岳見橋下の瀬
曽爾村葛 曽爾郵便局前を流れる「曽爾川」 左岸から見下ろし
吊橋を渡って東へ行くと、曽爾高原(写真奥の禿山部分)

 曽爾村南端の掛地区から川は向きを北東に転じ、曽爾村の中央を貫いて北流する。
このあたりでは「曽爾川」の称もあり、橋にもそう記されていることが多い。
兜岳・鎧岳・屏風岩などの室生火山群の特異な形状の山々が見下ろす、明るく開けた谷は青蓮寺川が開いた谷底平野で、流域中最も人の気配の濃い地域である。
谷底平野には棚田が作られ、各所で堰かれた水が配水される。林業が盛んで、製材所が散見される。
南端の掛地区で国道369号と別れ、川は81号名張曽爾線沿いに流れる。

■ 中流 (峡谷) 曽爾村落合〜名張市青蓮寺

曽爾村・小太郎岩前の奥香落渓 名張市・落合バス停前の香落渓

 曽爾村北端付近で川は大きく向きを北西に振り、峡谷に入る。室生火山群の作り出した柱状節理の奇岩怪石続く渓谷は奥香落渓、香落渓と称され、四季折々の景を愛でる人で賑わう観光地である。
処々に巌を露出させた山肌には植林杉と雑木が混在し、美しいコントラストを見せる。川床は巨石がごろごろする景勝だが、上に大集落を持つため水質はやや悪化の模様。

■ 中流 (ダム湖) 名張市青蓮寺

青蓮寺湖 橋は青蓮寺橋 ダム堤体

 香落渓が終わる頃、川はダムの影響で滞りはじめる。
昭和44年に作られた、この流域では古いダムで、湛水は青蓮寺湖と称されリゾート地ともなっている。
ダム湖は南北に細長い形状で、近年はバス釣りの姿が目立つ。

■ 下流 名張市春日丘〜夏見

名張市春日丘 名張市夏見 最後の橋・糸川橋

 ダムを出た川は北西流し、平地に出てすぐに名張川中流部左岸に注ぐ。
注ぎ先の名張川付近は開発めざましい市街地である。

青蓮寺湖・・・昭和44年に作られた観光・治水目的のダム湖で、アーチ型のダム。堤高82m、湛水量2720万トン。周囲はリゾート地。
香落渓・・・三重県名張市青蓮寺・青蓮寺湖の南にある香落橋から奈良県宇陀郡曽爾村落合付近までの青蓮寺川の渓谷をいう。室生火山群が造った柱状節理の奇岩が続く。岩には羅漢岩・屏風岩・鹿落岩などの名が付けられている。
奥香落渓・・・奈良県宇陀郡曽爾村落合の小太郎岩から曽爾村長野までの青蓮寺川の渓谷をいう。ここも柱状節理の奇岩が続き、特に小太郎岩は幅700m・高さ200mの絶壁でロッククライミングの練習場になっている。

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