時代劇拝見日記
2007年1月

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2007/1/31

■ 銭形平次 第346話「悪徳同心」1972.12.20フジ/東映

 押し借り強請り賭場荒らし、誰もが眉をひそめる悪徳同心の「実はね」情話。折しも起った押し込みに関与、と上司に疑われ遂に牢にぶち込まれ自裁を勧められるに至るが、平次は事態の推移を注意深く見ていた。
 ロケ地、上司の叱責を受け謹慎を食らった同心・伊吹半兵ヱが出てくる奉行所、大覚寺大門参道石橋。両替商・周防屋へ押し込んだ賊が潜む船小屋、下鴨神社泉川畔にセット。そこへ案内されてやって来る平次が渡る橋、泉川を渡り境外へ出る石橋。盗賊仲間を斬った浪人が「黒幕」に斬られる神社、大覚寺五社明神(足もとしか映らない黒幕は本殿の中、駆けつける平次は有栖川畔)。周防屋へ潜入させていた女の墓に参り詫びる半兵ヱ、化野念仏寺
*半兵ヱに小池朝雄、目つきも口元も力いっぱいの悪相で熱演。捜査のための悪行が祟ってのお役御免も甘んじて受け、女の墓で涙の懺悔のシーンでは「清々しい」はずなのに悪相が残ってて笑える。*平次と心を合わせ半兵ヱ旦那の始末を擬装する樋口さまもいい感じ。
2007/1/30

■ 銭形平次 第345話「残侠流転」1972.12.13フジ/東映

 13年前の捕物の際、若き平次を見込んで投降した侠客の哀話。つとめを終え八丈から戻った老侠は平次の世話で働きはじめるが、そこには20年前捨てた倅がいた。
 ロケ地、彦七を乗せた御赦免船が着く金杉橋の船番所、琵琶湖西岸・浮御堂境内(岸壁の手前に柵と同心詰所をあしらい、受人としてやって来た平次と話すくだりでは湖に張り出したお堂の向拝がちらっと映り込んでいて、汀には水草が密生)。彦七が勤めはじめた大富の棟梁の娘と大工の新吉がヤクザにからまれる橋、日吉大社走井橋(通りかかり騒ぎを見かける彦七は大宮橋)。大富の木場、不明。
*彦七に島田正吾、言わずと知れた新国劇の重鎮が演じる老侠は見事のひとこと、このお話では渋い役まわり。倅を庇って瀕死の彦七、元女房が息子に父であることを告げようとしたのを制し首を振る、その仕草に思わず「大島田ッ!」、もちろん殺陣も見もの。江戸っ子の棟梁を演じる高品格も良し、腕の筋肉がいかつくボクサー風味。島田正吾と相討ちになる用心棒の宮城幸生もいい味。*事件は寛永寺修復工事を食いものにしようとする悪党がらみ、狙われた棟梁の娘が彦七の倅といい仲という趣向、父と知らず彦七を気遣う青年が泣かせる。

■ 遠山の金さん 第3話 2007.1.30テレ朝/東映

 悪辣な両替商に踏みつけにされる、かよわき民に心を寄せるお奉行。無辜の死に怒りわななき金さんとして大暴れののち、悪を裁き哀れな女には粋なはからい。
 ロケ地、品川宿から足抜けした女郎が走る堀、大覚寺御殿川河床。別の人間になりおおせているその女を脅した岡っ引が殺されて見つかる水辺、天神島朱橋際の蓮池か。職場を変えた「おなみ」を捜し当て事情を聞く金さん、放生池堤。大和屋から救い出した又平を「おなみ」と会わせる祠、天神島
*おなみを騙る足抜け女郎を脅していた岡っ引に草薙良一、悪徳両替商は下條アトムで手下に成瀬正孝、お女郎は小田茜。
2007/1/29

■ 銭形平次 第344話「人情豆狸横丁」1972.12.6フジ/東映

 大坂者が寄って住む長屋で繰り広げられる泣き笑い人情劇。大橋架け替えがらみの汚い手管に巻き込まれ殺されたアニさんの仇を討ちにゆく遊び人、親分も「仕掛け」に潜んで同行。
 ロケ地、擬装心中が見つかる寺へ駆けつける平次、西壽寺石段。検分は本堂西側の龕の前・崖に羊歯がみっしり。大橋架け替えの普請場、流れ橋(橋桁は完全に落ちて河原に転がっている)。昼日中から釣りの棟梁に架橋工事にまつわる不正の噂を聞く平次、不明(池端、後ろはちょっと崖ぎみで汀に丸太組みの足場)。嗅ぎ回る平次を襲う用心棒のくだり、平次が降りてくる坂は西壽寺墓地のアプローチ、立ち回りは鐘楼脇〜石段。兄の遺骨を抱いて発つ喜三郎夫婦を見送る平次、北嵯峨農地・竹林際の道。
*博打狂いの喜ぃやんに山城新伍、悪党に消される天満屋主従にいとしこいし、聖天の大五郎は山岡徹也で用心棒は千葉敏郎、長屋の按摩に古川ロック。兄の仇討ちと勇ましく襷がけ、女房と涙の別れをして出てゆく喜三郎は棺桶を背負い出てゆく。これと途中で親分がばったり、おきまりの仕込みに。早桶背負っての夜道でも河内音頭、赤子のお守りも河内音頭、他でもよく見る過剰演出、長屋衆が捕り方に代わって大挙押しかけてくるからまたアレ。

■ 新・松平右近 第12話「無縁坂に消えた男」1983/4-9

 火事で二親を亡くし神田を出た源太が帰ってくるが、冷たい世間に揉まれた彼は前科持ち、町のダニのヤクザの構成員。しかし幼馴染の娘の父を殺せとの親分の命にきっぱり背き、男の意地を示して散ってゆく。
 ロケ地、神田神社(神田明神)上御霊神社(本殿まわりを中心に境内)。陰ながら町を守る旦那衆が協議する越中屋の縁先、不明(縁に池泉が迫る)。上司の命令で鹿島屋を別件逮捕する平四郎、神泉苑(法成橋、善女龍王社前に茶店あしらい)。源太の墓、永観堂墓地(背景に阿弥陀堂の破風と塔)
*源太は下塚誠、幼馴染の越中屋の娘は遠藤真理子。阿漕な口入屋は南原宏治で姐さんは白木万理、子分に唐沢民賢や小峰隆司と賑やか、つるむ与力は和崎俊哉。正義派の旦那衆も渋く、中心の越中屋が増田順司、あと二人は永田光男に北見唯一。ラス立ち福ちゃん入り、白木万理は南原宏治の手槍が滑ってぐっさり。音松の「犬」ぶりが妙に目立つ。
2007/1/28

■ 新・座頭市3 第7話「ゆびきりげんまん」1979.6.11勝プロ/フジ

藪田神社 やむなく斬った男の遺児を祖父母のもとに送り届け、十年後約束通りやって来た市は違う名を名乗る娘に会う。彼女は身を投げ出して、押し込みに殺された祖父母の仇を討とうとしていた。
 ロケ地、懐を狙った男を斬り、その遺言で男の娘を送り届ける市、朝靄の薄原は大堰川河川敷か。場面切り替わり十年後、その娘・おふくに会うため宮之越へ向かう市が巡礼女と道連れになる峠、保津峡落合崖道。巡礼女と桜粥を食す茶店、谷山林道か。黄葉を踏みしめ野道をゆく市、および幼女のおふくと遊ぶ市、藪田神社入口の銀杏の根方。おふくの祖父母を殺したヤクザを斬って姿を消した市を追っておふくが走る道、冒頭の朝靄の薄原と同所。
*おふくに大谷直子、峠で会った按摩を市と認識したときの眼、仇のもとへ入り込むための山出し娘の芝居も良し、正体を見破った市に諭される場面はとりわけ印象的。侍くずれのヤクザは清水紘治。*回想と現在がめまぐるしく交錯する、市とおふくの旅のシーンが美しい。峠の茶店の「桜粥」は小正月の小豆粥ではなく、塩漬けの桜を炊き込んだ一品で旨そう。「みやのこし」は宮之越?(中山道/信州)。

■ 新・座頭市3 第8話「大当たりめの一番」1979.6.18勝プロ/フジ

 掏られた財布を市に取り返して貰った男だが、所持金の額を喋っているのを悪党に聞かれ有り金残らず巻き上げられてしまう。しかしこの男、純朴さが過ぎて釣り込みに使われたお女郎に岡惚れ、天女扱いで食い下がる始末。ヤクザにボコられしおしおと故郷に帰ろうとした彼に、市から望外のプレゼントが二つやってくる。
 ロケ地、平助がちんぴらガキに財布を掏られる神社、梅宮大社(境内、楼門内外。富籤を売っているのは舞殿で、貼り紙に「本庄社」とある)。平助が市に待っていろと言われる牧西八幡、大内か(本庄宿のようなので「牧西」としたが、読みは違う)
*平助は草野大悟、惚れられるお女郎は波野久里子でヤクザは深江章喜。市が泊まる一文宿の騒がしい面々、貰った籤が千両富と知ってがたがた震えだす市も傑作の、コミカルなお話。
2007/1/27

■ 遠山の金さん 第55話「背信」1976.10.21NET/東映

 親の言うなりで好いた芸者を泣かす、優柔不断で頼りないことこの上ない富商の若旦那。彼にはしょっちゅう神隠しに遭うという奇癖があったが、それには思いもよらぬ秘密が隠されていた。
 ロケ地、辰巳芸者・沢千代が信心する愛染さま、赤山禅院本堂。秀駒と釣り船を出す金さん、広沢池(入水した沢千代を引き上げるのは東岸、早期発見で助かり)。若旦那が沢千代にやった櫛を狙ったチンピラが、金さんにシメられたあと消されて見つかる汀、広沢池東岸(追っかけてきた金さんは堤の並木)。青木さまが櫛の出所を確かめにゆく加賀藩上屋敷、大覚寺大門。惣吉の引き回しがゆく道、赤山禅院参道か(お参りの沢千代のうしろを通る趣向、別撮りを組み合わせ?)
*沢千代(おさわ)は岩井友美、若旦那の惣吉に大丸二郎(二ツ名は怪盗むささび)。

■ 必殺仕事人 III 第20話「厄払いしたかったのは主水」1983.2.25ABC/松竹

 横行する怪しの拝み屋を告発しようとした瓦版屋、敵の正体はかつて彼を裏切り罪に落とした仲間だった。彼が消されたあと息子は拝み屋を調べるが、悲しい事実を知った直後殺されてしまう。
 ロケ地、文三がタレコミと呼び出され殺される河原、中ノ島橋下河川敷。翌朝の死体検分は橋下手の河原。
*厄払い教団のヌシに藤木孝、グルの瓦版屋に住吉正博。仲間に裏切られ寄場送りになったうえ妻を盗られた文三に楠年明。*順ちゃん参加させて貰えず←ツナギの場で正義の瓦版作り提案してあきれられ無視され。

■ 必殺仕事人 III 第21話「赤ん坊を拾ったのは三味線屋おりく」1983.3.4ABC/松竹

 職人夫婦のささやかな幸福は、「羊の皮をかぶった化物みたいな娘」の横恋慕によりめちゃめちゃに。殺すためにさらわれ捨てられた赤子を拾い、一番弟子と認めていた女を手にかける、おりくではじまり終わる一話。
 ロケ地、女房「失踪」後、赤子を抱いて一人川端をゆく植木職人の吉造、罧原堤下河原
*吉原の大元締が猫かわいがりする娘に今出川西紀、どこか翳のある善人面、悪女ぶりもおりくの指弾を聞く迷惑顔もさすが。*廓に行ってみたくて参加をせがむ順ちゃん、不許可。
2007/1/26

■ 銭形平次 第343話「十手有情」1972.11.29フジ/東映

 無実の罪で囚われた男の身の証を立てようとする平次、しかしそれは世話になった同心の扱った事件で、ホンボシが上がればダンナは窮地に陥ること必至なのだった。
 ロケ地、囚われた太助の恋人・おせんが襲われ殺されかける夜の堀端、嵐山公園中州堀端(南岸、おせん川落ち)。太助の友人の植木職人に話を聞きに行く仕事場の庭、不明。平次が聞き込みに回る鎌倉河岸、嵐山公園中州堀端(昼間)
*同心との葛藤がお話の中心だが、事件の謎解き部分も土地乗っ取りのからくりや、身近に殺し屋がいたりと細かく作り込まれ、ラス立ちで二つの柱がきれいに合わさる佳品。*同心は山形勲、その娘に土田早苗。

■ 逃亡者おりん 第13話「伊賀・道悦の野望」2007.1.26TX/C.A.L

 追っ手との戦いで手傷を負ったおりんは伊賀の里へ、そこは連綿と続く忍びの里で、首領のお屋形はおりんの父や宇吉と懇意の、一本筋の通った老爺だった。
 ロケ地、おりんが倒れこみ伊賀忍者の左源太に保護される谷川、琴滝下か。伊賀の里の農地、北嵯峨農地。お屋形・藤森長門邸、民家長屋門。おりんを匿ってあるお堂へ急ぐ伊賀くノ一の蜻蛉、大覚寺五社明神裏手護摩堂(内部はセット、地下に隠し部屋がある設定)。田安宗武邸、大覚寺大門。里へ潜入した手鎖人の弁天を囲むおりんと伊賀忍者たち、大覚寺五社明神裏手。道悦とお屋形が対峙する山道、谷山林道頂上付近。西の結界までおりんを案内し、狼煙を見て大事出来を知った蜻蛉が引き返す谷川、琴滝下か。直後おりんを襲う手鎖人の多聞天、レオタードになって十文字槍と立ち回りは琴滝前。
*道悦の過去がほの見え、野望の真相がのぞくお話。伊賀の里に残る忍者を傘下に組み入れる企みはお屋形の捨て身によって阻まれるが、導火線長過ぎて道悦は仕留められず。お屋形は長門裕之。
2007/1/25

■ 銭形平次 第342話「しのび逢い」1972.11.22フジ/東映

 獄中で患う男を思う女房とその弟は無慈悲な岡っ引を憎悪、万七の十手を盗む挙に出るが、これが思わぬ濡れ衣から弟を救うことになるのも、平次のはからい。
*ロケなしセット撮り。女房に赤座美代子、亭主のいる浅草溜へ日参し番太に頼む合図も哀れ、平次に食ってかかる表情も巧者。*万七に因果を含めるくだりが大笑い、清吉まで一緒になってやり込めてるし。

■ 新はんなり菊太郎 第3話「凄い男」2007.1.25NHK

 理不尽なキャンセルに怒った奈良大工の棟梁は、井伊家を訴えると息まいて鯉屋にやって来る。裁定を待つあいだ、棟梁は困窮の果てにコソ泥を働いた青年と出会い、彼と家族の身の上に心が行ってしまうのだった。
 ロケ地、田村邸、妙心寺雑華院門。京イメージ、八坂の塔。菊さん発案の和解策でお寺の境内に建てられる孤児院、神護寺石段下に普請場あしらい(子らに囲まれ働く棟梁を眺める菊さんは石段中ほどにお座り)
*四角四面の頑固者の棟梁に伊吹吾郎、最悪だった菊さんの印象がほどけてゆき、自分も孤児だったと打ち明けた酒席で殺し文句を吐かれうるっと泣いちゃう、このとき揺する巨体がたまらなく可愛い。*孤児院の普請場のくだりでちらっと映る設計図、西岡氏のスケッチか。
2007/1/24

■ 銭形平次 第341話「男だけの詩」1972.11.15フジ/東映

 岡っ引殺しの凶賊と目された男の話、謎めいた展開のすえ涙の友情で決着する事件だが、当の男は命も危ぶまれる深傷で最後のほうまで眠ったままという、変わった作り。殺された岡っ引が捜査中に聞き取った男の名前が鍵となる。
*ロケなしセット撮り。卍組の片割れと目された男に前田吟、大半は寝姿だが目覚めたあとの僅かな尺で男の友情を熱く表現。愛憎の果て我が身を悔いる友人に東野孝彦。卍組構成員に西田良や国一太郎の顔が見え、岡っ引と共に殺されてしまう下ッ引は峰蘭太郎。
2007/1/23

■ 銭形平次 第340話「中之郷地獄部屋」1972.11.8フジ/東映

 むごい死に様を晒した男をみとった親分は、最期の言葉からとんだタコ部屋を探り当てるが手の出ぬところ。平次の歯噛みを知った、更生した元ヤクザの大工は、ここが恩の返しどころと身籠った女房を置いて死地に入る。
 ロケ地、医師・玄石に頼み一味の悪徳医者の腹を探って貰った帰り、平次と玄石が襲われる夜道、相国寺方丈塀際・南西角(後段、悪徳医者の道庵が殺されて見つかるのも同所)。平次が酔漢を装って押し入る勘定吟味役・石堂邸、門は相国寺大光明寺で、石堂に掛け合う玄関は林光院式台玄関。石堂が視察にやって来る中之郷、おためごかしの労役芝居の浜は琵琶湖西岸(2mはある砂山が盛り上がり、河口州と思われる。砂浜の背後にはみっしりと林、遠景には三上山のほか高島の岬も映り込む)。事後、安産のお守りを授かりに行く平次ファミリー、先に由松夫婦が来ているお宮さん、不明(曲折した参道石段)
*由松に黒部進、潜入時にムチ振るってる姿もお似合い、平次に助け起こされ笑う表情も良し。正義派の勘定吟味役は稲葉義男、平次との掛け合いが見もの。下賜米目当ての悪徳商人は永井秀明、つるむ勘定方役人は柳生博、強面の用心棒・五味竜太郎、悪徳医師・天王寺虎之助もいい味。

■ 遠山の金さん 第2話 2007.1.23テレ朝/東映

 凶賊の内緒話を聞いてしまい殺された大工の女房は、仇を討つべく密談が行われた料亭に仲居として入り込む。同じくそこへ潜入した金さんは、彼女の危機を救い罪を犯させぬよう立ち回る。
 ロケ地、お奉行の指示で怪しい向島の隠居を調べに行く松吉親分、船をやる船頭にところを尋ねる堤は大覚寺大沢池堤、隠居所は望雲亭(門と脇の草戸、内部はセット)。大工の女房・お涼が幼い息子に因果を含め別れる水辺、広沢池観音島(水少なし)
*お涼の危機に駆けつける金さんの破壊力が凄い。お白州、後ろで福ちゃんが警備している。
2007/1/22

■ 銭形平次 第339話「冥途の土産」1972.11.1フジ/東映

 散々家族を泣かせ不幸にした挙句盗みのかどで島流しになった男は、赦されたあと改心し額に汗して働くが、入墨者を引き受けてくれた恩人が殺されたことが堪忍ならず犯人を探す。しかし錠前破りの男を突き止め訪ねた家には、彼を恨む妹が女房として幸せに暮らしていた。
 ロケ地、清次郎の身代り申し出で逃がされた重吉が、女房を連れ江戸を出ようとしたところで仲間に囲まれる水辺、罧原堤下汀。清次郎の墓に額づく妹、不明。
*元盗賊の清次郎に天知茂、妹の亭主になっていた錠前破りに高橋長英。*タイトルは賊一味に刺され虫の息の清次郎の言葉、せめてもの贖罪に妹の亭主を救ったことが、彼のせいで苦しみの裡に逝った双親への「冥途の土産」。

■ 新・松平右近 第11話「命百両 闇の助け舟」1983/4-9

 町方の黒星続きの裏には逃がし屋、おらんの掏摸仲間だった男が巻き込まれ命を落とす哀話をからめる。
 ロケ地、町方に追われ船陰に隠れる清吉、罧原堤か木津か。清吉の回想、大雨で流された畑、酵素河川敷(川端に清吉の家あしらい)。逃がし屋が賊を連れて通ろうとする中川番所、流れ橋(堤を駕籠政が来て、番所は橋の端にあしらい。右近が橋の上で立ちはだかり大乱闘、飛び降りて橋下でもチャンバラ)。清吉の墓、黒谷か。
*足を洗うも天災に泣き、借金弁済のため江戸へ戻り掏摸をはたらく清吉に河原崎建三。逃がし屋の駕籠政は上野山功一、つるむ番所役の旗本に玉川伊佐男。凶賊は牧冬吉に平沢彰など。
2007/1/21

■ 新・座頭市3 第5話「ふたおもて蝶の道行」1979.5.21勝プロ/フジ

 寂しがりやの三河万才と道連れになる市、その男が岡惚れして構った女を里の間々田まで送ることになるが、市が看破したとおり女は訳ありだった。
 ロケ地、石段を登り詰めた市を襲う一団、木津堤法面の石段。こそ泥を働き村の衆に詰め寄られた猿之助が飛び降りて逃れる橋、流れ橋。このとき市は橋下にいる。溺れてなどおらず川から上がってきた猿之助が市に笑いかけるのは右岸際の汀と思われるが、妙に泥が堆積。子ら相手に万才を演じる猿之助、通りかかった美女を見て凍るのは藪田神社入口付近。男と落ち合う女の「実家」、不明(萱葺の母屋、市と猿之助が待っている「表」に庇)
*猿之助に川谷拓三、終始独特の「川谷節」で泣いたり怒ったり喚いたり自己完結したり。見捨てないでと市に縋るくだりがおかしくて哀切。美女は松尾嘉代、落籍された旦那を裏切るしたたか者を好演。これに旦那が差し向けた渡世人は峰岸徹、凄む態度もやられっぷりもいい。*ところの設定、女の目的地は間々田。追っ手を避け日光街道ではなく裏街道をゆくという会話が出てくる(話に出る表現は奥州街道)。

■ 新・座頭市3 第6話「糸ぐるま」1979.5.28勝プロ/フジ

 庄屋を抱き込んで村の衆を騙し、娘を叩き売った金をせしめるちんぴらヤクザは、市に懲らされて真人間に。しかし因果はめぐり元の子分に賞金首として突き出されるところへ市、紋切り型の口説を吐き、つるんだ役人ともども悪を斬る。
 ロケ地、女衒に金を貰った段で襲われる村人たち、丹波国分寺(塀越しのアングル、はさ木と河畔林が見えている)。つるんだ庄屋も殺しますます増上漫のちんぴら団が客を蹴散らして上がりこむ茶店、谷山林道か(一人逃げず床机に座る客は市)。市の挑発に乗り追いかけてきたちんぴらの首魁が片足を斬られる街道、大内辻堂手前の地道(仕儀を見て子分どもが踵を返すのは亀岡道)
*市に足を斬られ追分宿の風呂焚きになるチンピラに緒形拳、女房の酌婦に倍賞美津子。女はあの村で売られた女、二人が互いの何をどこまで知っているかは語られないが、市に救われ戻ってきた亭主との抱擁が泣かせる。

★訂正
「燃えよ剣」15話、山南の墓に参る藤堂平助のくだり
・誤 大谷祖廟
・正 佛光寺本廟/粟田神社参道
 現地確認のうえ訂正
*燈籠に「東山御本廟」とあったのと総門の金具が似ていたので誤認。よく考えればありえねー間違い、いくらEVとか後から付いてもあんな坂までなくならないし。

2007/1/20

■ 遠山の金さん 第54話「殺しを呼んだ千社札」1976.10.14NET/東映

 過去を秘めて生きる職人が抜け荷一味に悪事を強要されるが、健気に亭主の無事を祈る女房を案じた金さんとお京の働きで回避。禁制品の入札に使う小道具が千社札で、版木職人が狙われる次第。語呂合わせで長命庵の名前が使われたりする。
 ロケ地、裏取引の千社札が貼られる神社、吉田神社竹中稲荷本殿。職人を張り込むお京、子らに絵本を読んで聞かせる道端は大覚寺石仏前、怪しい男に連れて行かれる職人は放生池堤、悪事を強要されるのは天神島
*職人は山本紀彦、女房は鮎川いづみ、抜け荷の悪徳商人は神田隆で手代は中島正二。ラス立ち福ちゃん入り、用心棒のセンセイで恐竜プールに叩き込まれ。
2007/1/19

■ 逃亡者おりん 第12話「母子、涙の仇討ち」2007.1.19TX/C.A.L

琴滝脇のお不動さま おりんを狙う手鎖人が野盗を扇動し村を襲うパターンに、哀しい仇討ち話がからむ。自分を手当てしてくれた、村人の尊崇を集める医師が仇と知った青年は逸るが、母の様子がどうにも訝しいのだった。
 ロケ地、野盗に襲われる母子と行き合わせるおりん、大覚寺五社明神。手傷を負った青年と高熱を発した母が保護される村長の屋敷、民家門(内部はセット)。新之助の回想、祖父の四十九日を終えたその足で仇討ちの旅に発つ情景、不明(墓地が映ったあと和尚に挨拶をする母子が門越しに見える。塀は板塀)。仇を求め旅ゆく母子のひとこまに広沢池東岸(水の引いた汀)。辰砂の採れる茜山を眺める清庵、北嵯峨農地の田畔から山を望む(夕景、清庵がおりんに村から去るよう促す段は昼間、村に居着くと決めた新之助が村長の孫娘とともに母と「父」の墓に額づく段では夕景)。新之助の母・茜の回想、柴田家へ嫁す前「清庵」に連れて逃げてと迫った水辺、大覚寺大沢池畔。村を襲った野盗の前に立ちはだかったおりんが、集団と離れ手鎖人・十兵衛と対峙する竹林、鳥居本の林か。村を発ち旅ゆくおりんが佇む滝脇の不動の龕、琴滝
*清庵に高橋長英、茜(母)は平淑恵。村長は植田峻。*レオタードが出るほか、大ジャンプかまして手鎖ぐっさりの荒技が。
2007/1/18

■ 銭形平次 第338話「十年目の約束」1972.10.25フジ/東映

 八の幼馴染の娘が十年も待ち続けた男は、賊の一味と成り果て約束も忘れ果てていたが非情に徹しきれず、凶行をはたらく首領に逆らったことが救いとなる。
 ロケ地、八とお初と新八が再会を約した小椋神社、仰木の小椋神社(参道は坂で巨杉が生え、ランダムな石段を登った上に小祠が二基は若宮社か。このほか泉川に似た林の中の水景もある)。一味の潜む荒れ寺、龍潭寺(潜むお堂は庚申堂、ここを出入りする場面に山門や参道、参道脇の崖、鐘楼などが映り込む。参道脇には今はない萱葺きの建物が見られる)
*養家をしくじり盗っ人に堕ちた宮大工・新八に伊吹吾郎。

■ 新はんなり菊太郎 第2話「濡れ足袋の女」2007.1.18NHK

 雨宿りのほんのひととき菊太郎と話した女が、酷い死に様を遂げる。短い会話から女の無念を汲み取った菊さんの奔走で、彼女が何より心にかけていた娘が救われる。こんな事件に関わっているので、もちろんお信とは擦れ違ったまま・邪魔者も居座ったまま。
 ロケ地、大黒屋の内儀・志乃が殺されて見つかる堀川、中ノ島橋下手河原。お信が勤める伏見の料亭・美濃屋、錦水亭東屋前庭(池泉に橋が架かる)。お鈴の実父だった政吉がワル仲間に刺されて事切れる竹林、鳥居本か。
*志乃は池上季美子、お鈴は前田亜季。*「濡れ足袋」は雨宿りの志乃が脱いだもの、足袋を脱いだ?と関係を忖度されてしまう運び。志乃の手がかりの饅頭は麩饅頭か。
2007/1/17

■ 銭形平次 第337話「浮草の女」1972.10.18フジ/東映

金戒光明寺 己のために傷を負い、宮大工として駄目になった男に尽くす女の哀話。男が親方を殺したと思い罪を被り、男の嫌疑が晴れると会わずに姿を消す、安女郎にまで身を落とした柳橋芸者が涙もの、男の怪我が仕組まれた罠だったのがいっそう哀れ。
 ロケ地、宮大工棟梁が殺される前日、弥之助の復職を乞うため棟梁を待ち伏せたお千代、大名屋敷から帰りの棟梁が来る夜道は金戒光明寺東坂下(右写真)、お千代が潜むのは極楽橋たもとの灯籠。事件解決後、棟梁の墓に参る弥之助と棟梁の娘、化野念仏寺(墓は石仏群陣外の新墓の脇に卒塔婆あしらい、旅装のお千代が墓参の二人を遠見して泉下の棟梁に弥之助をお返ししましたと呼びかけるのは石仏群内陣)
*お千代に藤間紫、色気・情味たっぷりにお芝居を支配。弥之助は和崎俊哉、棟梁は浜村純。弥之助を妬んだ男に使嗾されたちんぴらヤクザに平沢彰と白川浩二郎。
2007/1/16

■ 遠山の金さん 第1話 2007.1.16テレ朝/東映

 存在感たっぷり・貫禄のマツケン金さん、初手のお話は不可解な死を遂げた勘定吟味役の一件。捜査対象の舟宿へ船頭で入る金さん、そこは事件を仕組んだ男が経営する悪の巣窟で、偽証を強要された哀しい女がいた。
 ロケ地、江戸城、姫路城天守。薬研堀の舟宿・たつみや、八幡掘新町浜。岡っ引の松吉が金さんを冷やかすシーンで他の堀端も。偽証のお女郎・おしのが参る心中相手の無縁塚、大覚寺五社明神裏手。墓参の帰り、おしのに勘定吟味役のことを聞く道、石仏群裏手〜大沢池畔(歩いて帰ると言うおしのは放生池堤石橋たもと、ここに船が舫ってある)。事件に関わった献残屋が金さんを短筒で脅し詰問する船は大沢池上、上陸は船着(小)。悪党に追われ金さんとともに堀に落ちたおしのが打ち上げられ目覚める汀、嵐峡か落合か。石川島送りのおしのが乗せられる船、大沢池か。
*おしのに若村麻由美、献残屋は木場勝己でけっこう荒っぽい悪党。黒幕の材木商は清水紘治、勘定吟味役は鷲生功。*歴代の金さんと比べるとおとなしめでイマふう、カーン等の派手な効果音もなく「やいやいやい」とか「おうおうおう」もないし、「できることなら人目に曝したくはない」なんて言ってるわりに長いこと片肌脱いでておかしい。斬りかかってきた奴を足蹴はアリ。

■ 銭形平次 第336話「平次対用心棒」1972.10.11フジ/東映

 事件は放蕩息子の衝動殺人。馬鹿息子を甘やかす両親が金にあかせて逃がす段で、切羽詰って幼い息子の治療費を求める浪人が出て、金を貰って逃避行をサポートするその「用心棒」との丁々発止がドラマとなる。
 ロケ地、八百万の芸妓たちが渡る橋、中ノ島橋(渡って店へ行くと逆上した馬鹿息子の殺しで阿鼻叫喚)。放蕩息子・金次郎を追う平次が屋形船がゆくのを見て逃避の手段に気付く川端、嵐峡(平次の背後に嵐亭)。嵐峡で船頭を脅し乗り込んだ金次郎と浪人・松永が船をおりる千住宿付近、罧原堤下汀。江戸へ三里の道標がある街道、若森廃橋たもと・松永が寝そべるのは本梅川堤法面の草叢。道を指示され勝手に行けと言われた金次郎が、離れた場所から松永に毒づくのは若森廃橋上。金次郎と別れた松永が子らに息子の面影を見る里、写真の民家塀際。金次郎が宿場で平次を見て駆け戻り松永に縋るのも同所、写真左端の塀の端っこへ逃げて入り、保津峡落合崖道へスイッチ(設定は秩父へ抜ける川越街道の峠)、このあとの追いつ追われつは落合巌頭や崖で(平次と松永が揉み合いのすえ落ちる崖は特定できず)。秩父代官所に助勢を求めに行った八が、金次郎の親の伝手で出張ったヤクザに囲まれる道、藪田神社入口付近。
*金次郎は島田順司、徹頭徹尾残忍な癖に甘ちゃんな放蕩息子を好演・稚気溢れる嫌味さは「沖田総司」が時折見せる冷酷な一面とも通じ妙味。松永浪人は水原弘、懊悩するしかめっ面がなかなかに良く、立ち回りも見どころ。秩父宿のヤクザは藤尾純。*ラスト、松永浪人の仕儀に考え込む親分に長いめの尺。
2007/1/15

■ 銭形平次 第335話「おしのが帰って来た」1972.10.4フジ/東映

 貧ゆえ手放した娘を二十年経って引き取る、今は大商いの呉服屋。傅かれての暮らしに馴染まぬ娘と、彼女のいない日々に沈む養親の情話に、とんだ毒婦と情夫の算段がからんでくる。
 ロケ地、お百度を踏むおしのを見て八のいう幸福を疑う平次、仁和寺金堂(平次らは参道石畳)。丸屋を斬った浪人が派手に遊ぶ料亭、嵐山公園料亭・錦。そこへ踏み込んだ平次から逃れる浪人を見失うのは中ノ島橋(橋上に親分、八が見回るのは橋下の背割、浪人は橋桁にしがみつきやり過ごす)。浪人の黒幕は三浦屋と告げた子の話を聞き沈むおしの、仁和寺鐘楼裏手。おしのが養親の家へ行くのに乗る渡船、広沢池畔。裏山で芋掘り中の坊(黒幕チクリの、おしのの養家での「弟」)を問いただす平次、御室霊場(お堂とお堂の間の坂道)。坊は嘘をついたのだと平次に話すおしの、広沢池東岸(船着き)。今度は万七に三浦屋黒幕とチクった帰りの坊が浪人に襲われる道、御室霊場坂道。おしのに諭され本当の事を告白する坊、御室霊場・結願の寺前放生池石橋上。
*おしのは松原智恵子、丸屋の後妻とつるむ情夫の浪人は宮口二朗(投げ銭も真っ二つの達人、黒紋付の着流しが凶悪さを強調)。
2007/1/14

■ 新・座頭市3 第3話「市の耳に子守唄」1979.5.7勝プロ/フジ

 市に道連れをせがむ女の身辺は物騒、盗っ人の亭主に命を狙われる彼女は身重。生まれてくる子のため甲斐甲斐しく立ち回る市だが、産声を共に喜ぶはずの女は世を去ってしまう。
 ロケ地、押し込みの男女を捕えるべく張られる検問、大内辻堂前。検問をやり過ごし再び市の前に現れる女、大内・亀岡道。産婆宅、萱葺民家と周辺。
*女は大信田礼子、市を逃がしてくれる牢名主は岸田森で、牢内には森章二も。*産褥の枕頭に貼られた護符に浦安鬼子母神の記述。

■ 新・座頭市3 第4話「あした斬る」1979.5.14勝プロ/フジ

 市と関わる奇妙な人々の話。いいとこの令嬢みたいな首吊り未遂の幼女、ハッタリ親分に子供じみた手下という取り合わせのヤクザ、そしてユニーク極まりないのが凄腕の脱藩浪人。市を狙うヤクザをハメる浪人の話が主で、各登場人物の個性が融通無碍に描かれる。
 ロケ地、渓流沿いの温泉宿、日吉山荘か。釣りの市、幼女をタテにとられ浪人と対決の市、大堰川河川敷。
*凄腕浪人に郷ひろみ、ポニーテール長め。ヤクザの手下で一人だけまともに使えそうな男に本田博太郎、野の花を足蹴にする下っ端にムッとするあたり独特の表情。幼女は飯島洋美、これが最も謎めいた存在。

■ 新・松平右近 第10話「罠にはまった夫婦花」1983/4-9

 料亭の女将の悲話、先代に見出され若旦那と夫婦となるも、博打狂いの亭主に泣かされる日々。悪党にハメられた亭主はどん底に落ちて改心し夫婦の絆は戻るが、ワルの凶刃が彼女に振り下ろされる。
 ロケ地、イカサマ博打でハメられた大工夫婦が心中、検分は広沢池東岸。悪党の手先となることを強要された女将が、被害者を見て落ち込み佇む祠、永観堂弁天社。右近の助力申し出を断り駆け去る女将、放生池流出口の楓橋
*女将は本阿弥周子、亭主は内田喜郎、いかさま博打主宰の両替商は小林勝彦、屋敷を賭場に提供しさらなる悪行を示唆する旗本に睦五朗、用心棒は五味龍太郎。
2007/1/13

■ 遠山の金さん 第53話「一両だけの青春」1976.10.7NET/東映

 仲間を江戸一番の医者に診せようと、佐倉から出てきた若者たちに世間は冷たい。また、彼らが従事させられていた仕事はヤバい代物で、藩の役人が始末にかかる。余命幾許もない若者を手にかけた者どもには、金さんの鉄槌。タイトルは、ゲンが永年の働きで貰った虎の子の小判一枚。
 ロケ地、佐倉から出てきたゲンたちが夜営する川端、罧原堤下河原。佐倉藩邸(堀田邸)大覚寺大門。お奉行と青木さまが語らう屋形船、桂川。上方へ発つおすみが乗る船も同所で、お奉行は擦れ違う船に。
*ゲン(元三)は火野正平、永年の火薬調合で塵肺を患う。彼を気遣う仲間は鶴間エリを筆頭に娘三人、正ちゃんを中心に青春ドラマを繰り広げる。佐倉の留守居役は高城淳一、ゲンを斬る手下に宮口二郎。*今回でおすみ退場、名目は大坂町奉行所からのオファー、向こうで婿をとり亡父の名跡を継ぐ話。ゲンたちに関わるかたちで次の密偵・お京(水沢アキ)が登場。*ED「すきま風」に、立ち回りのBGMにも。

■ 必殺仕事人 III 第19話「にせ物に踊らされたのはせんとりつ」1983.2.18ABC/松竹

 金のため一度だけ節義を曲げ作った模造品は、悪党の手で古陶に仕立てられ世に出回る。事実を知りねじ込んだ陶工は消され、父の死に怒った息子が殴り込んで同じ運命に。盗った簪の金を瀕死の体で届けに来た青年の心を汲み、秀はそれを頼み料として置く。
*ロケなしセット撮り、順ちゃん参加せず・理由は湯冷めするから。

■ 必殺仕事人V激闘編 第25話「主水、紫陽花の下に金を隠す」1986.5.30ABC/松竹

 不正に気付いた金座役人だが報告を上げた上司もグル、スキャンダルを仕立てられたうえ消される。巻き添えも悲惨な事件は、義妹が苦界に身を沈めて作った金で闇の会に。
 ロケ地、若い娘の身投げに人だかり、保津峡落合落下岩(検分は落合汀)。平岡に対する企みを聞いてしまい消された踊り子が川に投げ込まれる橋、中ノ島橋(検分は橋下手・中州護岸法面)
*金座の上司は西沢利明、同僚のワルは田中弘史。

■ 必殺仕事人V激闘編 第26話「主水、殺しに遅刻する」1986.6.6ABC/松竹

 代官と結託した悪徳商人に蹂躙される下総・浦安の漁村、直訴も察知され網元たちは殺されてしまうが、一人逃れた青年は訴状を持って母のいる江戸へ向かう。青年を拾う政、青年の母と語らう壱が描かれる。
 ロケ地、浦安の浜、琵琶湖西岸松原(遠景映り込みは高島の岬と対岸の沖ノ島等)。浦安で逃げた女郎を壱が引き上げ、死体が検分される浜は広沢池東岸。朝次が江戸へ向かう道、大堰川河川敷か。
*悪徳商人は牧冬吉、代官は岩尾正隆で、強面のあんちゃんは広瀬義宣。
2007/1/12

■ 逃亡者おりん 第11話「裏切りに哭いた愛」2007.1.12TX/C.A.L

 おりんを渡船に乗せてくれた慈悲深いお嬢様は、領民を思う首席家老の娘。桑名藩では、その善玉のご家老が次席家老の悪行を暴こうとしていたが、悪党の陰謀凄まじく却って悪者にされてしまう。もちろんおりんを追う手鎖人も登場、道悦はきちんと当地のワルいのを把握し手下を差し向けてくる。
 ロケ地、渡船の出る熱田・宮宿の渡し場、海上をゆく船、桑名の港も琵琶湖西岸(船着きは水制を利用か。その脇の砂浜や松原も使われ、船からは沖ノ島や八幡山が遠望される)。秦野屋押し込みにより封鎖される街道は谷山か酵素か。首席家老の腹心・筧が襲われる桑名城下の路地、妙心寺大庫裏脇路地。おりんが秦野屋で当て落とした五兵衛を監禁する小屋、酵素民家セット(五兵衛から次席家老の不正の証拠を託される)。桑名を逃れた筧が休む峠の茶店、谷山林道頂上付近(おりん現れ「成敗」)。桑名を出たおりんが行く浜辺、琵琶湖西岸松原
*善人のご家老もお嬢様も獅子身中の虫に騙されている話、奈津の臨終に立ち会い無念を託されたおりんが恨みを晴らしてやるあたり、どのタイプの時代劇でもハマりそうなルーティンの一話。追っ手も定型で襲ってくるが、今回のは男女とも技がちょっとオソマツかも。*首席家老宅に閉門申し渡しに目付が出張るくだり、福ちゃん登場。あとでおりんに斬られる。

■ 銭形平次 第334話「女房の証言」1972.9.27フジ/東映

 因業金貸しの婆さんが殺される事件、いつも通り闇雲に検挙の万七と違い怜悧に物事を見通す平次が描かれ、どうでも亭主を救いたい女房の情話をからめる。身内の証言は無効なことがモチーフ。
*ロケなしセット撮り。
2007/1/11

■ 燃えよ剣 第26話「新選組副長 土方歳三」1970.4-9NET/東映

 「軍神」は勝ち続けるものの他は総崩れ、益体もない軍議が開かれるが、最早無意味と列席しても黙す土方。総攻撃前夜、懐かしい仲間が夢に現れ、土方は伝蔵が守り抜いてくれた誠の旗を身に着けて単騎官軍の陣地へ。

ロケ地
・五稜郭イメージ、園部城址(書割と組み合わせ)と大阪城極楽橋。本営は太秦映画村・映画文化館
・二俣陣地、饗庭か(荒れた丘陵に幼松。22話の甲陽鎮撫隊の戦いも同所と思われる。単騎吶喊の土方が馬を駆る道や、伝蔵が戦場を振り返るシーンが湖西っぽい)
*ほとんど「戦死」の伝蔵が思いきり泣かせるほか、亡霊のくだりがちょっとメルヘン調なのも結束節でなかなか。*栄国橋で土方を誰何する将校は汐路章だったり、町に唐突にアイヌの人いたり。

■ 銭形平次 第333話「猫撫で地蔵」1972.9.20フジ/東映

 あたかも化け猫が喉を噛み破ったかのような変死体が続々、しかも現場は薄気味わるい場所という事件。町衆の揣摩臆測も呼ぶが、いつもの如く全く怪異を信じない平次は、人の心の襞に迫ってゆく。
 ロケ地、猟奇な死体が出る猫撫で地蔵、龍潭寺参道脇の崖。件の黒猫が出没する怪しの尼が棲む谷中の古松庵、不明(仕舞人や眠狂四郎円月殺法でも出た、向き合う狭間が見える門・ここでは門に至る参道や門から見返りのアングルも)
*夕心尼に北林早苗。

■ 新はんなり菊太郎 第1話「三年ぶりの京」2007.1.11NHK

 三年ぶりに戻るものの、いの一番に顔を出さなかったためお信に会って貰えない菊太郎は、そのまま父が関わった事件になだれ込み。お話は、家のため身を挺した公家の姫ィさまと、彼女を慕う青侍が曲折を経て結ばれる情話。
 ロケ地、京へ向かう菊太郎が釣りの親爺に道を聞く橋、流れ橋。京へ入った菊太郎が走りこむ門、金戒光明寺三門。市場をひやかしていておじゃると若侍のトラブルに際会するのは仁和寺観音堂前。彼らに突っ転ばされた老婆をおぶって送ってゆく菊太郎、金戒光明寺参道石段。田村邸、妙心寺雑華院門。父が「浮気」の、蔦重の女と関係ありげな若侍を尾行する菊太郎、仁和寺疎林(北東塀際)。その料理屋の女・妙が屋敷を出る回想シーン、公家屋敷の門は三井寺宝泉院。妙は恩人の娘と語る父とゆく菊太郎、大覚寺大沢池北辺水路際。
*去年の11月に黒谷で内藤剛志が婆さんおぶってたのはコレだったのか→撮影風景(俳優さん入ってません)。
2007/1/10

■ 燃えよ剣 第25話「シノビリカ」1970.4-9NET/東映

 鮮やかに松前城を陥し、戦場にいた藩主の正室には紳士的な態度を示し、兵士たちのみならず榎本にも大いに感心される土方だが、京を去ってのちの彼には「余分」な日々。そして官軍の攻撃が迫る日、追憶の彼方から愛しいひとがやって来る。

ロケ地
・五稜郭俯瞰は書割か(海と近すぎ)。五稜郭イメージ、入口の橋に大坂城極楽橋、櫓越しの外観に園部城址(中に洋館があった設定か、門越しに通常は避けて使われる園部高校校舎の屋根が映し込まれている。但し校舎は建替え前の旧校舎)
・松前城、攻略する大手門は大坂城青屋門で、門内から天守を望む画も。残兵と戦闘の「裏山の林」は不明。
・斎藤一に離脱を命じたあと、本営を出て月を眺め「シノビリカ」の句を詠む土方、太秦映画村・映画文化館
・お雪と会う鴻池函館築島支店の新館、太秦の旧徳力彦之助邸(外観イメージで、内部はセット)。本営へ戻る土方が馬を駆る道、不明(山道に灯籠が並ぶ)
*斎藤一とのやりとりは「血風録」とほぼ同じで、鉄拳や誠の旗もアリ。*新選組の記録を残すという裏通り、箱館へ行くという伝蔵、土方の噂をする二人はパラソルを弄んでいたり葉巻を吸っていたり。*お雪さんと会うくだり、装飾物がメロドラマ。

■ 銭形平次 第332話「万七恋文騒動」1972.9.13フジ/東映

 平次がオーバードーズで死にかけた女を拾ったことから始まる事件。麻薬密売組織を追うも上の空の、恋に夢中の万七親分が意中の女から貰った文が、悪党の運の尽き。
 ロケ地、茶屋女のお浪を迎えて開かれる伝法院での風流会、不明(庭には池の中島に渡された石橋と方形の祠、橋は反った石橋・御室霊場等に似るもあまり京にはない様態)。風流会メンバーでお浪にしつこく言い寄っていた湯屋の主人が殺されて見つかる日本堤、不明(池堤際の草むら、万七が清吉に手柄を譲るとお浪の文をねぶねぶのシーンでは堤際に碑)。お浪に貰った文の指定場所・浜町河岸へ出かけて刺客に遭う万七、嵐峡船着き(危機に駆けつけた平次の背後に嵐亭の生垣)
*売人の元締だった幇間に多々良純、短筒を使う凶悪なワルだが親分の投銭が目にぐっさり。お浪は有吉ひとみ、恋人で罪に落とされかかる青年は清川新吾、お浪に嫌われ馬鹿をみる「売り子」は中田浩二。*万七がお浪に貰って有頂天になる問題の文、恋しい人を待ち合わせ場所に誘う文に見えるのか一体それがの色気の無い文面は「承知 明十六日 戌の下刻 浜町河岸で」、花札の二十坊主ぶった切った「割符」入ってるのがいっそう爆笑もの。
2007/1/9

■ 燃えよ剣 第24話「北へ」1970.4-9NET/東映

 脱走軍の拠点となりつつあった仙台だが、執政が代わった途端旧幕府勢は追われる。蝦夷に独立国をと夢を語る榎本武揚に従い、土方は軍艦で北へ。

ロケ地
・江戸城イメージ、姫路城天守(東京と改まった町を語るくだり)
・仙台・青葉城、彦根城。外濠越しの天守、大手橋、天秤櫓下(土方が談笑しながら行く)、いろは松と濠越しに佐和口多門櫓などが使われている。土方の「本陣」は楽々園玄関(原作設定は城下・国分町の「外人屋」)
・斎藤一が試衛館時代の土方の逸話を隊士らに語るくだり、八王子宿で甲源一刀流とやりあった宿場はずれの浅川の橋、導入の高所からのイメージは曽我谷川の穴太橋・土方の地図にあった「明神の森」は走田神社社叢。橋下に斎藤、橋たもとの竹藪に原田らを忍ばせて、橋の上に屯する甲源一刀流の人数に土方が斬り込む橋は犬飼川の下河原橋。両橋とも架け替え以前の木橋。
・宿の女将を使って遠藤文七郎が刺客を差し向ける夜の神社、北野天満宮参道脇。
*新執政・遠藤は藤岡重慶、あのとき斬っておくべきだったと、つらっと物騒な口をきく土方の顔を眺める榎本以下がおかしい。*八王子の喧嘩、原作の「分倍河原」を翻案か。劇中はっきり「浅川の橋」と言っているので、ドラマの設定は分倍橋ではない模様。

■ 銭形平次 第331話「雷が殺した女」1972.9.6フジ/東映

 左前の回漕問屋が起死回生を期した金が狙われ、使いに出た主の姉は横死。この殺しを落雷によるものと擬装する一味だが、陰謀の首魁のもとに夜な夜な「雷で死んだ女」の亡霊が立ち現れ、平次親分が出張ることとなる。
 ロケ地、遠州屋主人の姉が使い先からの帰り襲われる神社境内、大覚寺五社明神。遠州屋姉弟の墓がある谷中清源寺で初七日に泣いていた娘のことを小坊主に聞き込む八、金戒光明寺本堂脇の仏像前。
*縊れて死んだ遠州屋の若旦那と祝言予定だった娘に江夏夕子、兄の遠州屋出入りの鳶に亀石征一郎(恩人の仇を討とうとする「善」側だが、態度はけっこう凶悪)。悪徳商人は潮万太郎で番頭は鮎川浩、用心棒に小林勝彦。
2007/1/8

■ 燃えよ剣 第23話「沖田総司」1970.4-9NET/東映

 病いよいよ篤い沖田が暮らす離れを、懐かしい人が訪れ、去ってゆく。官軍は遂に江戸入り、彰義隊は破れ、土方は脱走軍に身を寄せ北関東に勇名を馳せる。

ロケ地
・沖田が療養の日を過ごす千駄ヶ谷の植木屋、走田神社社叢裏手にのぞく社務所の萱葺き屋根を見立てる。ここを訪れ帰る姉・おみつや土方が往来する橋は穴太橋、406号西条風の口線の橋前後も使われる。橋は木橋、道は地道。官軍の巡察隊も通る。
・江戸郊外・市川宿に集結した脱走軍の本営が置かれる寺院、随心院薬医門(イメージ)。軍議を終え出てくる土方、民家長屋門。新選組の生き残り達と宇都宮城を奪ると気勢を上げる本営際の塀、民家塀際。宇都宮城に吶喊する土方のくだりは、集団戦闘イメージと重ねた手法で、砲撃を受ける天守は大坂城に似る。
・京を思い出す沖田の回想、大原女がゆく町は上賀茂・社家町。お宮さんへ参詣に来る室町の商家の娘と話す茶店は八坂神社西門前の二軒茶屋(暖簾そのまま)、舞妓はんや遊ぶ子らの情景は祇園さんの拝殿や西楼門。
*裏通りと伝蔵は沖田を診て気遣うほか、情勢を語る役割を振られている。予感があったのか早暁植木屋の離れにやって来て「事実」を見たあと、沈痛な面持ちで肩を落とす裏通りの止め絵でお話が締めくくられる。「その前夜」沖田に会いにやって来た土方、泣き入らず淡々とした二人が視る者の袖をしぼらせるが、敵うようよの江戸に派手な陣羽織着て馬を駆るのはアブない歳さん。

■ 銭形平次 第330話「沈黙の訴え」1972.8.30フジ/東映

 大盗だった父が凶賊に脅され遭う難儀、進行する盗みを止めて欲しくて、娘は町方の目を引く突飛なアクシデントを演出する。地道な捜査と怜悧な推測で事態を把握した平次は、娘の意を汲んで動く。
 ロケ地、新助がくらやみの猪之に殺される夜の神社、木島神社本殿前。騙されて留久にお経を上げにやって来た和尚の寺、不明(事情聴取のくだり)。「もぐらの平助」が遠島になったあと、お参りの娘・おさわに声を掛け励ます平次ファミリー、石座神社各所。
*質屋・留久の主で正体は往年の大盗の久兵ヱに加藤嘉、凶盗・くらやみの猪之は田口計で凶悪な山伏姿なんかもある。おさわは菊容子。
2007/1/7

■ 白虎隊 第二部 2007.1.7テレ朝

 圧倒的な装備の差に戦況は悪化の一途を辿り、容保は苦衷のすえ白虎隊を実戦に投入。初陣は若殿のお供、少年たちはお出かけ気分ではしゃぐが、やがて悲惨な運命が訪れる。ほんの僅かな別れ道が、生きたいと願っていた者を死なしめ、死ぬ事を叩き込まれていた者を生かす皮肉、降伏後「泣血氈」を掴みしめた峰治は語り継ぐことを誓う。

ロケ地
・日新館、復元された会津藩校日新館
・引き続き八重子らに砲術を習う峰治たち、酵素河川敷・木の前。
・国境での戦闘、日光口不明、白河口はセット。鶴ヶ城、本物の天守。殿の閲兵で激励を受ける白虎隊、二条城二の丸広場。
・板垣退助ら官軍参謀が軍議の神社、大覚寺五社明神。母成峠の戦闘、谷山林道頂上付近と向いの杣道で応酬。
・白虎隊出陣の回文が各家庭に伝えられるくだり、峰治が儀三郎の家へ走る道は妙心寺海福院前、儀三郎が次の家へ走る道、妙心寺海福院前で遠景にお城合成。尚走る坂は金戒光明寺長安院下坂。雄次の家、金戒光明寺永雲院(門を走り出て忘れ物と母に止められ/出陣してゆく道は永雲院下坂)。集合場所へ行く峰治を呼び止め、儀三郎へとお守りを託す小夜子、妙心寺大庫裏脇路地
・城内の風景や、出陣する白虎隊を見送る隊士の母たち、彦根城か。
・戸ノ口原で待機ののち、薩摩兵との戦闘や城へ戻る野道、一部酵素と思われるが不明。戸ノ口堰洞穴へ辿り着く儀三郎の属する一団、菩提滝・滝上から見下ろし(洞窟はセット)。はぐれた峰治が又八を拾い、犬の導きで辿り着く庄三の家、酵素民家セット。庄三の家を出て又八と別れる道、酵素ダート

■ 新・座頭市3 第1話「今日も行くひとり旅」1979.4.16勝プロ/フジ

 助けてやったのに懐中を狙う男に刺されかけ、反射的に斬ってしまう市。その男の女房と弟は市を仇としつこく付け狙うが、悉く失敗するうえヤクザの魔手から市に救われる。
 ロケ地、雨宿りの市、萱葺民家(イカサマ博打の御宿の佐吉を追うヤクザがなだれ込み、市が介入)。懐中を狙った佐吉を斬ってしまう河原、大堰川河川敷。街道で市を呼び止める佐吉の女房・おせん、大堰川堤(背後に河畔林と堤外地にある畑地、佐吉殺しの件を迫るおせんは畑地)。おせんが市を殺すため浪人を雇うくだり、不明(お堂か祠か)。市を懐柔にかかり船で行こうと誘うおせん、大堰川汀(にわか雨に遭い市が濡れながらおせんを庇うシーンはセット)。おせんの家、萱葺民家。佐吉の墓に参ったあと去る市、不明。
*おせんに浅丘ルリ子、妙な早口が利いている。結婚を餌に彼女に振り回される佐吉の弟は江藤潤で、おせんをモノにと狙う悪辣な親分は菅貫。

■ 新・座頭市3 第2話「冬の花火」1979.4.23勝プロ/フジ

 声の大きい花火師と知り合う市、招かれた家には耳の遠い娘。七色の大輪を咲かせると懸命の花火師を助け、かつ目と耳と違いはあるものの同じ境遇の娘を励まし鍛える話があって、市を狙う渡世人がところのヤクザと共に乗り込んでくる荒事、花火師を脅迫して市を爆殺する企みは潰え、出来上がった花火がぽぉんと屋根を突き破って上がる。
 ロケ地、花火試射の火が移り燃える葦原、不明(市が葦を仕込みで薙ぎ払い助かり)。花火師の娘が内職を届け手間賃を貰って出てくる門、民家門。花火師の家、酵素河川敷にセット。
*花火師は財津一郎、持ち前の諧謔が市と絶妙のからみ。父の花火で耳をやられた娘は中村七枝子、音の無い世界に住む彼女と市の触れ合いは心に響く名演。ヤクザは井上昭文で、姑息風味満点・最高の狂言回し。

■ 新・松平右近 第9話「涙に消えた母の影」1983/4-9

 おらんが拾って保護した、母を求めて江戸へやって来た坊の話。消息の知れぬ手妻使い芸人の母は、坊の大怪我を治療するのに要った大金のため、凶賊の手下と成り果てていた。
 ロケ地、小屋の聞き込みで作った女の似顔を持って浜町あたりを聞きまわる右近、婆さんに聞く一シーンは二尊院九頭竜弁天(浜町弁天社)。女に迫る右近を始末しようと出る一味、二尊院墓地。坊の母であるとことを頑として認めない女を呼び出し、坊と会わせる右近、金戒光明寺鎧掛けの松(経蔵や方丈の塀、禅堂など映り込み/おらんが坊を連れてやって来るのは参道石段・三門を背負って)。女が一味に呼び出され始末される蔵、二尊院墓地(漆喰壁がボロボロに剥落)
*母は范文雀、彼女の器用さに目をつけ錠前破りに追い使う凶賊の首領は亀石征一郎、身分は旗本。手下に阿波地大輔。母のいた小屋の座頭は夢路いとし、坊を預かっていた和尚は中村錦司。
2007/1/6

■ 必殺仕事人V激闘編 第23話「組紐屋の竜、襲われる」1986.5.16ABC/松竹

 竜を父の仇と狙う仕事人の娘、夫に復讐を止められ竜を闇の会にかけるが、加代が猶予を願い出ての調査結果を知り嘆きを見ることに。
 ロケ地、竜がお志津と卯之吉に襲われ刺される蓮華寺境内、妙顕寺本堂前〜回廊周辺。重傷を負った竜が隠れ住む小屋、下鴨神社糺の森池跡に小屋セット。卯之吉がお志津の父殺しの真犯人に気付き和泉やを問い詰め消される野原、広沢池西岸・柳の大木の下。竜が和泉屋を呼び出し決戦の蓮華寺境内も先と同じ妙顕寺、本堂前をゆく和泉屋〜仕掛けは回廊で(この際、回廊の奥に「慶中大菩薩」の鳥居がはっきりと確認できる。従って回廊は三菩薩堂と尊神堂の間に渡されていたものということになり、映っている天然木の形を生かした回廊が今は無いことが明らかに)
*和泉屋は有川浩、お志津は黒田福美、卯之吉は阿木五郎、与七(和泉屋の手下)に下元年世。

■ 必殺仕事人V激闘編 第24話「主水、上方の元締と決闘する」1986.5.23ABC/松竹

 闇の会乗っ取りを企む、上方の元締一派が大暴れのお話。元締の娘と知らず出会い睦む壱、襲撃を政の裏切りと誤解し一時齟齬を来す竜、当の元締とは古馴染みの主水など、見どころがたくさん。
 ロケ地、俄か雨に遭い雨宿りの壱とお景、大覚寺放生池堤(降られた人々が行き交う)護摩堂(壱がお景に迫る)。二人が衣を乾かす河原、罧原堤下河原(後段のデートでも出る。右岸左岸ともに使用か)。転がり込んできた仕事人の屍を埋める政と竜、鳥居本八幡宮広場。ツナギの凧が絡まった鳥居で拉致されかける加代、大覚寺五社明神。駆けつけた政が上方の仕事人とやり合うのは御殿川河床、加代が騒ぎ立て巫女さんや神官がやって来る橋は勅使門橋
*上方の仕事人の元締は北村英三、娘は沢田和美。

■ 白虎隊 第一部 2007.1.6テレ朝

 駅前でヘタれていて祖母に怒られる、白虎隊士の血を引くイマドキのお子たちを前振りにはじまる作り。「母」は「現代」と正反対の猛母、息子をいざという時立派に御役に立つ会津武士にと願い、後顧に愁いを持たぬよう情けを排し接する厳めしさ。少年たちが什の教えを守り過ごすさまと、緊迫する情勢が重ねて描かれる。

ロケ地
・藩校・日新館へ初めて上がる峰治がゆく御城下の道、子供たちが唱和する什の教えを漏れ聞くのは妙心寺海福院前路地・南望。それを唱和しつつ歩みだす場面は同じ海福院前・北望で遠景にお城を合成。鶴ヶ城天守は本物、藩校は復元された会津藩校日新館。迷子を見捨てておけず遅刻を決心する道は妙心寺大庫裏脇路地・黄鐘調鐘脇。
・会津藩江戸屋敷、大覚寺大門
・容保公が守護職に任ぜられ京へ向かう街道、流れ橋上。
・砲術の授業を覗く峰治たち、不明(幼松の生えた野原・火器使用)
・峰治らが砲術指南を受けに行ってご婦人方と出くわす野原、酵素河川敷・木の前。
・黒谷会津本陣、金戒光明寺三門内側に警護の兵あしらい。
・8・18の政変で堺町御門に押し寄せる長州勢、随心院薬医門前に「御門」あしらい。西郷隆盛の背後に大玄関の向唐門が見える。
・守護職拝命を断るよう進言し退けられた家老・西郷頼母が釣りをする会津の湖畔、沢ノ池東岸汀・遠景に雪嶺合成。
・薩摩が京を追われた長州と密かに手を結ぶ情勢下、本陣の階に佇み物思う容保、不明(お堂の縁先に池泉)
・鳥羽伏見の戦い、大堰川河川敷、流れ橋と下の河原を併用。
・雪中の飯森山に母のための薬草を採りに行き岩場を滑落する峰治、保津峡落合落下岩に雪あしらい(合成かCGか不明)
・進軍する官軍、不明(山道/畔道)。会津藩兵が堡塁を築くのは黒谷本堂前か。
・整列し日向内記の訓示を聞く白虎隊士たち、二条城二の丸広場。
*峻厳な会津藩家中の暮らし向き、薩長の卑劣さの描写、ともにけっこう過剰な演出で、長州の世良の扱いが端的。
2007/1/5

■ 燃えよ剣 第22話「流離の日」1970.4-9NET/東映

 甲陽鎮撫隊壊滅後、原田・永倉と袂を分かち流山に布陣する近藤たち。官軍に包囲され戦が迫るが、近藤は狩り集めた若者たちの家族の嘆きを聞いてしまう。

ロケ地
・甲陽鎮撫隊の戦闘シーン、幼松の植わった荒地、不明。
・下総流山の「大久保大和」宿館となる酒造家の屋敷、芦浦観音寺(門のほか内部も使用)
・伝蔵が流山にやって来るも官軍が封鎖している街道、不明。
・近藤が官軍に出頭する野道、追った土方が近藤の名を叫ぶ丘、瑞穂造成地に似るも確認できず。
*近藤の別れの言葉はほぼ原作通り。「ついに、泣いた」とある土方、栗塚氏の涙は身も世もあらぬ風情の「泣き」。近藤が去ったあとを追い名を呼ばわるのは「血風録」と同じ。

■ 銭形平次 第329話「大井川の拾い子」1972.8.23フジ/東映

 使い込み番頭と一味の奸計に落ち、両替商後家殺しの犯人にされかける男。底抜けにお人よしの掏摸が、お話を回し解決の鍵も握る。
*ロケなしセット撮り。掏摸は名コメディアン・茶川一郎。

■ 逃亡者おりん 第10話「初恋は刃に散った」2007.1.5TX/C.A.L

 熱を発し弱るおりん、追っ手のなかに修行仲間だった二人の男女。おりんに恋していた男は、彼女が逃亡者となった経緯を知り組織を裏切り、その男を慕う女は彼の遺言に従い組織を離脱する。
 ロケ地、おりんが幼女・お菊と出会う海浜、竹野浜。追っ手から逃れお菊と隠れる漁師小屋、琵琶湖西岸・舞子浜に小屋あしらい。幻魔が当地のアジトにする寺、大覚寺聖天堂。お菊の両親に保護されるおりん、家は舞子浜にセット、座敷から湖を望む趣向・湖面越しに沖ノ島等対岸が映り込む(汀と松原で立ち回り)。おりんの話を聞き悩む才蔵が乙音と話すアジトの寺の境内、愛宕念仏寺本堂前・石仏群脇。才蔵が仲間を裏切りおりんを庇って潜む林、神護寺か(おりんの口を塞ぎ身を潜める場面、背後に映り込む朱玉垣が和気公廟所に似る)。才蔵の塚で乙音と別れたおりんがゆく浜、竹野浜(遠景の岬は犬ヶ岬)
*才蔵と乙音が属する組のおかしらは佐川満男、奇ッ怪なキャラクターを好演。

■ 必殺仕事人 III 第18話「月の船を待っていたのは秀」1983.2.11ABC/松竹

 酷い親方のもとで日を過ごす角兵衛獅子の娘は、苦しみから解放してくれる「月の船」を幻視する。哀れな現実逃避の夢想は、仲間の少年たちを巻き込み神々しい祈りの場を形成するが、欲をかいた大人たちの食い物にされ悲劇となる。
 ロケ地、「見せ物」が見物の怒りを買い町方が出る騒ぎのあと、香具師らが子らを乗せて連れ去る苫船、広沢池東岸か。
*子らにシンパシーを抱き「行事」に参加する秀、仕事人「潜り技隠し黄金止め」と似通う設定なれど、秀の青さを描いたそれと異なり詩的な仕上がりで、政の「黄金の血」にも通じる。冷血の親方は山本昌平。
2007/1/4

■ 燃えよ剣 第21話「波の入り日」1970.4-9NET/東映

 潰走のさなか一人またひとり斃れゆく隊士たち、やっと辿り着いた大坂城には将軍の姿無く、再戦の機会は失われる。その大坂でお雪を見た歳三は、照れながらも悪びれず、女がいると皆に打ち明ける。

ロケ地
・落武者狩りで討たれる隊士、伏見・宇治川派流酒蔵前堀端。船着き場へ急ぐ隊士たち、川堤か(高い堤、際に民家)
大坂城、極楽橋から天守。近藤が療養中の大坂城代屋敷、大覚寺明智門。大坂城内の描写は一部姫路城はの門下坂なども使う。
・城下の堀端でお雪を見かける土方、彦根城濠端・埋木舎前。「夕陽ヶ丘の一室」はセット、崖際まで海が寄せているように見える。
*新選組の旗のもとで死にたいと願う山崎の臨終に、戦場で拾った誠の旗を持ってくるのは伝蔵で泣かせる。皆を逃がすため命を張った河合の亡骸に敬意を示す薩摩の将校も泣かせる。

■ 銭形平次 第328話「小りんざんげ」1972.8.16フジ/東映

 父浪人の死の経緯から十手持ちを憎む、安女郎の哀話。彼女が匿ってやった盗っ人は極悪人、そのため前途ある下ッ引が横死する事態に。そして再び現れた賊の手にかかる女、平次は虫の息の女の最後の望みを聞き届ける。
 ロケ地、下ッ引の鶴吉が飛脚姿の賊に返り討ちに遭う川端、明神川か。岡場所の女として死にたくないと願った小りんの願いを聞き、亡骸を抱いて町をゆく平次、豊国廟参道石段、参道鳥居。
*小りんは弓恵子、ご浪人の娘だった彼女と平次は古馴染み。昔売れっ子だった彼女の浮世絵が押入れから出てきて、半ばのろけ臭い夫婦のやり取りが伏線に。

■ 明智光秀 神に愛されなかった男 2007.1.3CX/映像京都

 光秀と秀吉の関係に新味の創作を入れ、戦なき世の実現のため信長に尽くすも疲れ齟齬を来し、かつ前途に重大な疑問を抱いた光秀が主殺しに至る経緯を描く。

ロケ地
・永禄11年、上洛した織田軍がゆく市場、下鴨神社馬場(騎馬の信長の背後に河合社塀)
・義昭の宿館・清水寺、舞台と本堂。
・織田軍の宿館(光秀が書物の座敷)、大覚寺か亀山御坊本徳寺か(秀吉の抜け駆けが詮議される段、座敷の花頭窓がそれっぽい)
・勝家に抜け駆け先陣を切る秀吉、仁和寺参道・中門前。
・抜け駆けの件で嫌味を言った光秀が秀吉に泣かれ懐かれる「廊下」、東福寺通天橋
・河原で試射の光秀のもとへやってくる妻子、大堰川河原
・土産を手におねのもとへ帰る秀吉、美山町民家
・朝倉攻めの金ヶ崎城、石垣と坂は上野城か。天守は丸岡城。退き陣の光秀が立ち止まり引き返す街道、不明。
・琵琶湖岸・今浜に陣を張る織田軍、琵琶湖東岸(叡山は合成)
・叡山攻め、大原口から崖を攀じ登る勝家は湖南アルプスか。三井寺に集結した主力軍に采配を振るう光秀、粟生光明寺阿弥陀堂。たばかられ今浜で砲声を聞く秀吉、琵琶湖岸
・近江坂本城、湖岸に合成。天守は福知山城(冒頭の秀吉軍包囲シーンもここと思われる)。叡山攻めを非難する民衆が詰めかける城門は彦根城天秤櫓。領地の畑を視察する光秀、山室か。船着き視察は琵琶湖岸
・安土城天守、信長の館
・祝宴で光秀の言葉尻をとらえ打擲する信長、大覚寺宸殿(白州に能舞台セット)
・秀吉の援軍に行く信長の京の宿・本能寺、随心院薬医門
・光秀謀反を聞く魚津に布陣中の勝家、天神川大堰堤上河原
・中国大返し、装備を捨て行軍する秀吉軍、大堰川堤
・ED、旅ゆく光秀夫婦、丹後か。

仕掛人藤枝梅安の写真、焼田橋に差替
2007/1/3

■ 忠臣蔵 瑤泉院の陰謀 第二部「激突!吉保VS内蔵助」2007.1.2TX

 赤穂浅野家の始末は粛々と進むが瑤泉院は柳沢に接触、公儀の非を鳴らす。そして柳沢と大石の面談成り、互いに腹を探りあうなか吉良邸討ち入りが示唆される。

ロケ地
・藩士総登城の赤穂城、彦根城濠端〜天秤櫓〜太鼓門櫓。
・江戸城イメージ、姫路城天守
・内匠頭百ヶ日法要に馳せ参じる旧臣たち、粟生光明寺参道石段
・柳沢邸・六義園、二条城清流園
・大石に会いに山科へ赴く瑤泉院、木津堤流れ橋琵琶湖西岸河口州(富士合成)。山科の大石寓居、直指庵(門、道場、境内)。大石が江戸と赤穂の同士の例え話をするくだりの紅葉と塔、真如堂三重塔
・泉岳寺の参り瑤泉院と会う大石、粟生光明寺阿弥陀堂。帰る大石は参道石段
・側室として甲府宰相のもとへ上がる喜世の駕籠がゆく道、大覚寺参道石橋。綱豊邸、大門〜式台玄関〜宸殿廊下。
・豊岡の実家へ帰るりくを見送る大石、谷山林道切り通し。
・上野介が防備について指示を出す本所松坂町の吉良邸の庭、建仁寺久昌院
・山科を出て江戸へ赴く大石一行、琵琶湖西岸河口州に富士合成。

■ 忠臣蔵 瑤泉院の陰謀 第三部「吉良邸討ち入り!」2007.1.2TX

 赤穂浪士は吉良邸に討ち入り、本懐を遂げる。義士悉く切腹ののち、連座した遺児たちの赦免に奔走する瑤泉院を主体に裏面史の後日談。

ロケ地
・吉良邸近くのアジトに武器を運び込む川端、八幡掘堀端。
・大石以下の義士がお預けとなる細川家、随心院薬医門
・切腹して果てた義士たちの早桶が泉岳寺へ搬送される夜道、大覚寺護摩堂裏手。
・配流の吉良義周の駕籠がゆく信濃路の峠、谷山林道切り通し。
・遠流の義士の遺児たちが船に乗せられる川端、八幡堀堀端。駆けつけてきっと御赦免がと叫ぶ瑤泉院、明治橋
・次期将軍として西の丸入りの甲府綱お豊、二条城本丸櫓門
・桂昌院の葬儀が執り行われる増上寺、本物の大殿(イメージショット)
・綱豊の正室に会いにゆく瑤泉院、南禅僧堂坂
・六義園、二条城清流園
2007/1/2

■ 必殺仕事人 III 第17話「花嫁探しをしたのは勇次」1983.2.4ABC/松竹

 昨夜祝言したはずの嫁が消え、起きたら傍らにお女郎が寝ているという仕儀に騒ぐ青年。彼の申し立ては悉く否定され、居合わせた勇次はきっとヤバいと忠告するが、青年も相手の娘も死に追いやられる裏には、富商乗っ取りの悪謀がとぐろを巻いていた。
 ロケ地、上州屋の祝言の花嫁披露で騒ぎ殺された伍作の墓、北嵯峨農地の小丘・田地越しに広沢池が遠望される。
*謎めいた展開で始まるものの、仕事に掛ける段はルーティン。順ちゃん殺しに参加。

■ 忠臣蔵 瑤泉院の陰謀 第一部「刃傷・松の廊下」2007.1.2TX

 正徳二年の春、忠臣蔵の浄瑠璃を見る瑤泉院と家宣側室・左京の方の偲び語りで秘史を匂わせてはじまる作り。芝居見物後、泉岳寺に詣でた瑤泉院は虚空に夫の声を聞く。
回想は元禄八年の春に飛び、江戸と国許を行き来する暮らしのなか、内匠頭の性質が描写される。そして仰せつかる勅使接待の儀、阿久利の懸命なサポートも実を結ばず内匠頭は暴発、慌しく切腹の沙汰が下る。誰にも寝耳に水の喪失感漂うなか、阿久利は落飾・国許は突然の悲報にただ戸惑う。

ロケ地
・芝居見物後瑤泉院が参る泉岳寺の墓所、不明(境内林か/遠景に塀)
・内匠頭が蛙を嬲り殺す築地鉄砲州の浅野家上屋敷の庭、白沙村荘夕佳門付近。柳沢邸に犬の死骸を投げ込んだ水戸老公の噂を阿久利に話し当世の軟弱を批判する内匠頭のくだり、夕佳門前〜池泉の橋〜倚翠亭。
・家臣らの剣術試合を見る内匠頭、金戒光明寺方丈縁先と前庭(自ら安兵衛と立会い負けるや組み打ちで挑む/この段では癇性なるも笑い話)
・参勤交代で国許へ出立する内匠頭を見送る阿久利、随心院大玄関。内匠頭の行列がゆく街道、大堰川堤(千代川付近と推定)。このあと、内匠頭疱瘡を患うも快癒を知らせる早馬が走る街道も大堰川堤。大石内蔵助を伴い出府の街道も同所の堤法面で富士山を合成、上屋敷の玄関も随心院で変わらず。
・江戸城、姫路城天守(以降もイメージに頻出、アングルは様々)
・浅野家上屋敷門、大覚寺明智門
・勅使接待費用で悩む内匠頭を案じた阿久利が父に相談に赴く道、南禅僧堂坂
・心労から発作を起こし庭で倒れる内匠頭、白沙村荘池畔。
・阿久利の独断の裏金が返されたあと、再びそれを持って吉良邸に赴く片岡源五右衛門が通る路地、妙心寺大通院裏路地(お犬様を連れた奴を避けやり過ごす)。発作から回復した内匠頭が出仕の道も同所、道を塞ぐ奴と犬に激怒し駕籠から出ていきり立つ。
・内匠頭の家来が刃傷の報を聞く登城口、大覚寺明智陣屋前。
・田村右京太夫邸へ向かう戒められた内匠頭を乗せた駕籠、妙心寺大庫裏脇路地
・内匠頭の棺が泉岳寺へ向かう夜道、大覚寺護摩堂裏。
・落飾した阿久利の駕籠が実家へ向かう夜道、南禅僧堂坂。その夜阿久利が見る夢・幼い頃の内匠頭とままごとの庭、白沙村荘池泉・切石橋上に緋毛氈。
・赤穂への早駕籠が走る街道、琵琶湖西岸河口州(近江白浜か)・遠景に富士山合成。早がゆく夜の赤穂の海辺、舞子浜。早が走る赤穂城濠端、彦根城濠端・埋木舎前(埋木舎を映さず西望)。大石邸、埋木舎。二番駕籠が庄屋門に着いたと呼ばわる声の響く月明の赤穂城、彦根城天秤櫓(橋脚をナメて隅櫓)。登城する重臣たち、彦根城天秤櫓太鼓門櫓
*鮒侍と面罵などはもちろん無く、畳替えの出費に怒る内匠頭に詫び費用は吉良家が持つと発言、暴発に至る直接の契機は同役の伊達を呼んでの吉良のひそひそ会話←第一部で出る外形的事実。
2007/1/1

■ 千利休 本覺坊遺文  熊井啓監督作品 1989.10.7東宝

 洛北の山中に庵する半ば世捨て人の利休の弟子と、死に遅れた戦国武将の有楽斎は、哀惜の日々に利休の死の真相を追い求める。
閑居にて日々心の中の師に接し日々を送る本覚坊、彼が語る言葉をよすがとして利休に迫ろうとした有楽斎は、死に際し茶人としてのプライドを頑なに護った利休の最期をトレスして果てる。

ロケ地
・冒頭タイトルバックの石庭は龍安寺石庭(雪景)
・茶道具屋・大徳屋に伴われ建仁寺正伝院に成った有楽斎の茶室を訪ねる本覚坊、境内をゆく二人は妙心寺法堂の東から仏殿・三門を南望した図。
真如堂に紅葉を愛でに赴く本覚坊、塔と紅葉を映したあと、東陽坊に呼び止められるのは本堂前。
・合戦に赴く武将に茶を点てる利休、陣幕が張られた濠端の向うの天守は松本城
・洛中から庵に帰るさ、河辺に佇みその川の末を思い、堺に追放される師匠の姿を重ねる本覚坊、清滝河原か。京を追放された利休の船が下る淀川、木曽川日本ライン
・九州へ流罪が決まった古渓を送る茶会を開く聚楽屋敷、金閣の総門に似るが不明。
・太閤の意に添わず壮絶な立ち腹を切る山上宗二、鎌倉・妙本寺本堂前。
・利休忌に際し師の墓に参る本覚坊がゆく大徳寺境内、大徳寺三門脇路地・北望。有楽斎と種々を語り合う縁先は大徳寺大仙院。本覚坊の回想、古田織部正の伏見屋敷を訪ねる描写、大覚寺明智陣屋前の蔵脇・南望。


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