第1話 「人情裏長屋」 1973.10.4
辻斬りが頻発し疑われる松村のダンナだが、屋台を壊され怪我をした爺さまのため一稼ぎしてきて、それがまた疑惑を呼んだり娘を泣かせたり。
ロケ地
・辻斬りが出る鎌倉河岸、広沢池東岸。
・重助爺さんが蕎麦をタダ食いされたうえ乱暴される折笠道場、随心院長屋門。
・信兵衛さんを疑いつけてくる以三親分、上賀茂神社ならの小川畔〜藤木社前付近社家町〜社家町東端付近。たまりかねた信兵衛が踵を返し、もと来た道を戻りならの小川畔でお説教+以三の愚痴垂れ。
*折笠道場の主は植木等、門弟に五味竜太郎。*視聴した映像にはサブタイトルなし、時代劇専門チャンネルのサイトに出ていたものを採用しました。
第2話 「さむらいの子」 1973.10.11
向いに越してきた浪人は、松村うじを見込み子を捨てて退転。己に降りかかった難儀より子を思い憤る信兵衛さんだが、騙り浪人との出会いを経て坊の拒食の訳を覚る。
ロケ地
・向いに越してきた浪人の店賃を都合しに信兵衛が「商い」に行く道、大覚寺大沢池畔。
・営業後、道場を出てくる信兵衛、大覚寺明智門。
・子を捨てた沖石を求め渡し場を見張る信兵衛、広沢池東岸。
・田波浪人に乗せられサクラをつとめるくだり、最初のは今宮神社東門、後の一幕は本殿前。
・田波の行為を責めた帰り、父に恥辱を与えた仇と倅に斬りかかられる信兵衛、上賀茂神社ならの小川(川中で逃げ回り「参った」)。
*沖石主殿は村井国夫。田波浪人は財津一郎で「ひっじょぉーに」「ちょぉーだい」も出て、ベソかいて斬りかかる倅は加賀爪清和。今回の道場主は西村晃、ヘボなお笑い立ち回りのほか口癖の「アレー、アレー」が大笑いの達者ぶりが必見。
第3話 「大当り千両長屋」 1973.10.18
富籤をめぐる泣き笑いに、たちの悪い大藩の家老が米の横流しでとっ捕まるであろう大捕物の「前段」をからめて描く。庶民の敵なうえ女の敵ときては、信兵衛さんも辛辣。
ロケ地
・行くと先に取手呉兵衛が出ていて追い返される道場、金戒光明寺瑞泉院。
・子らを遊ばせていると、こふねが来て丸源を辞めた妹を案じるお堂、金戒光明寺経蔵。
・ニセ呉兵衛のお帰りを見る道場、相国寺大光明寺。つけると逃げるチェイスの経路は鐘楼まわり、弁天社や宗旦稲荷も映り裏手で偽物が観念。
*ニセ呉兵衛の浪人は宍戸錠、おきみをいやらしく口説く舟さまは成瀬昌彦、陰富も扱う金貸し婆は桜むつ子。
第4話 「かあちゃん頑張れ」 1973.10.25
名作掌編「かあちゃん」を十六店の話に仕立ててあり、先生の役回りは勇吉の心底見定めと「不足分」の補充のほか、将来に向け背を押したり。勇吉がお勝を母と呼ぶシーンがちょっと弱いものの、巧者のツボを押さえた演技が見事にはまり感動を呼ぶ。
ロケ地
・勇吉がおさんに好きなタイプを聞かれ、一品多い弁当の具の話が出る川端、広沢池東岸に茶店や船着き、漁の船をあしらい(夕景)。
・大道芸の殴られ屋から金をせしめる信兵衛、今宮神社境内(設定は神田明神)。
*かあちゃんは市原悦子、泥棒に来た勇吉は寺田農、おさんは梶三和子。殴られ屋は遠藤辰雄、一家が貯めた金を与える対象の牢帰りは古川ロック。*おぶんの妄想はおさんへの嫉妬から、派手な衣装の信兵衛さんと花道を去る芝居仕立て。
第5話 「奇妙な仇討ち」 1973.11.1
上意討ちを仰せつかるも手も出せぬ腰抜け侍、仇の人体も見てきた「仇討ち反対派」の信兵衛さんは、血を見ぬ方向へ持ってゆく。前後を、先生を弱虫呼ばわりされてむくれる鶴坊の情話で締める。
ロケ地
・弱虫浪人の子と苛められる鶴坊、小幡神社境内(舞殿脇、脇参道←土蔵映り込み/道向こうに目隠し塀あしらい)。
・道場破りに行くくだりの玄関、不明(式台玄関)。
・金銀コンビが覗く、六兵ヱさんが放り込まれた道場、民家長屋門。
・仁藤昂軒の道場、不明(長屋門、入ってすぐに仕切り塀)。
・遂に昂軒を討ちにゆく六兵ヱさんのくだり、相国寺境内。出稽古先を出てくる昂軒は林光院門、六兵ヱと後に続く長屋衆がゆく武家屋敷街は光源院前路地、昂軒と出会い挑むのは鐘楼前、見ている長屋衆や信兵衛さんは弁天社。人殺しと呼ばわりつつ逃げる六兵ヱのシーンはセットにスイッチ。
・拗ねて打擲したことを謝りにきた鶴坊を凧揚げに連れてゆく信兵衛さん、金戒光明寺本堂前と石段。
*六兵ヱは河原崎長一郎、気の強い妹は赤座美代子。昂軒は葉山良二。*「わからん」難病に罹った鶴坊のため道場破りに行くとブラックリスト入りの取手うじが大笑い。
第6話 「危うし!鼠小僧」 1973.11.8
義賊が出て小判を撒いてゆくもんだから、長屋衆は浮かれ騒ぎ、捕まえようとする以三を迫害する。結局信兵衛さんのはからいで義賊は消え、長屋衆も夢から覚めるが、用いられるのはスーパーロジック。
ロケ地
・言い寄る男の品定めをこふねに頼まれるくだり、神泉苑法成橋と善女龍王社。「誤解」を解くのも同所で夜間撮影。
*商家の手代を装いこふねに言い寄る鼠小僧は高城丈二。
第7話 「大砲がやって来た!」 1973.11.15
十六店へ、奇妙な男が越してくる。財を傾け新しい動力の船を作り続けるその男に、これまた妙な経緯で同居人ができ彼に尽くすが、娘は偶然やって来たのではなかった。
ロケ地
・万太郎が船を浮かべる川、広沢池東岸。船は池の真ん中あたりまで漕ぎ出してゆくシーンもあり、入水や何かで登場人物は頻繁にじゃぶじゃぶ水浴び。
・おすえと出てゆく信兵衛さんを見たおぶんの妄想、旅ゆく信兵衛さんとおひさが山賊に襲われるどこかのお堂、大覚寺護摩堂。信兵衛さんにしなだれかかるおひさを想像して怒り爆発。
*万太郎は長門裕之、おひさは菊容子。本名のほうのおひさに言い寄る馬鹿息子は住吉正博、彼の父で万太郎の店の財を横領していた元番頭は中村錦司。馬鹿息子が通う道場の師範代は黒部進。映画村日本橋に大砲を引いて通る万太郎を誰何する岡っ引は出水憲司。*大砲ははじめ動力に使おうとして失敗・爆発して放棄、のち鶴坊の竹トンボを見て「ユリイカ」で外輪船を作製、動力は人力。信兵衛さんとこふねの会話では水中翼船の絵が出る。*こふね姐さんは万太郎の事情を全部調べ上げてきて、目安箱に訴え悪人を退治。
第8話 「二十三人の裸侍」 1973.11.22
降格を恨む側用人のたくらみで連れ出された姫様が、信兵衛さんに預けられ長屋は大騒動。東海道まで出張って悪党を退治してきた先生だが、一日をフイにされ怒り心頭の長屋衆に貰った金を吐き出して大宴会を張る。その席に自由な生活に魅かれた姫が忍んで来るが、叶わぬ夢なのだった。
ロケ地
・信兵衛さんの部屋に女の匂いを嗅ぎ取ったおぶんの妄想に出てくる茶店まわり、大覚寺大沢池堤。
・姫の一大事を知らせに藩邸に駆け入る信兵衛さん、大覚寺大門。
・姫を連れ出し東海道をゆく側用人一行、沖島町山道(沖ノ島が覗く)。信兵衛さんが追いついてチャンバラは琵琶湖東岸汀。
・姫様が来た真意を話すこふね、広沢池東岸(船着)。
*側用人は亀石征一郎、彼が藩を陥れる話を持ち込む先の大目付は谷口完。姫様は鳥居恵子、信兵衛さんとともに事にあたる次席家老は外山高士で悪人要素皆無のいい人。信兵衛さんが道場破りに行った先での「先客」の田舎者兄弟は小田部通麿と三上右京。*タイトルは、信兵衛さんに追いつかれ帯パラリをやられる侍たち。襷掛けで駆ける高橋英樹は高田馬場へ向かう安兵衛にも見える。
第9話 「九年目の浮気」 1973.11.29
がちゃがちゃ女房の尻にしかれる、屁のような男に色めいた雲行き。一生一度の機会と囃す男たちに乗せられ舞い上がる乙吉だが、信兵衛さんのはからいで最後は「恋女房」としっとり地固まる。
ロケ地
・烏啼く夕景の橋、流れ橋(コンクリート脚部シルエット)。
・乙吉の毎日の帰り道にして、昔日におまさと逢瀬を重ねた川べり、上賀茂神社ならの小川畔(信兵衛の示唆で亭主を待っていたおまさの蛇の目が流れてゆくのが印象的)。
・乙吉の「浮気相手」を訪なう信兵衛をつけたおぶんの妄想で出る石橋、不明(橋たもとに大木、橋向こうに石鳥居がのぞき手前には七段ほどの石段。見返りの信兵衛さんの背後に何やら建物があり鉄製みたいな欄干が見えて、橋はしっかり「谷」に架かっているっぽい。持っているデータひっくり返してみたが該当なし。西教寺廟所前や知恩院納骨堂前や永観堂弁天社前や黒谷極楽橋にどこか似ている)。
・先生がこふね姐さんと金のやりくりを話すくだりの船着、広沢池東岸。
*乙吉夫婦と同郷の「相手」は亀井光代。道場破りに出向くもあまりの浅ましさに辟易しやっつけてきてしまう道場主は富田仲次郎、そこの勘定方は山口幸生、稼ぎに来ていた「乙吉と事を構えた」酒乱浪人は上田忠好。
第10話 「居候が恋をした」 1973.12.6
信兵衛さんが釣りで知り合った元侍の絵師は、気晴らしに連れて行かれた先で売れっ子芸者と相惚れになり、彼女によって大仕事の画想も得る。しかし芸者に岡惚れして無茶を言う御大身の若様は、絵師に襖絵を注文したお屋敷の家老の倅だった。
ロケ地
・信兵衛さんが絵師の栄さんと知り合う釣り場、大覚寺大沢池水門(木製)際の池端。鶴坊とここへやって来る道は大沢池堤。
・おふみの扇を見て栄さんが思いつく風景、右手に竹林・遠くに霞がかかった丘・真ん中に小川という注文で皆してゆく世田谷村等々力あたりの野、酵素河川敷(川辺に花あしらい)。ここへゆく道、金銀コンビが音を上げて信兵衛さんが仕方なく駕籠をおりるのは北嵯峨農地竹林際。
・そこでの悶着に尾鰭がついて信兵衛さんの情けない噂が立ち、気まずくて長屋にいられず外にいる先生のところへやって来るこふね、上賀茂神社ならの小川畔。
・取手うじが道場破りにゆく樋口道場(若様の取り巻き連の道場)、大覚寺明智門。口上を述べる玄関は式台玄関。
*栄さんは山本学、芸者は中村英子。若様は中村孝雄、道場主は楠本健二。
第11話 「立ち退き大作戦」 1973.12.13
十六店に隠された大泥棒の隠し金、欲をかいた家主が独り占めをはかり店立てを食わせるから大騒ぎ。おきみちゃんにいいところを見せたい銀太が舞い上がり、長屋衆を巻き込んでとんだシュプレヒコールの波。見つかった金を分配してのどんちゃん騒ぎには、信兵衛さんがちゃんと冷や水を浴びせておしまい。
ロケ地
・おぶんの妄想に出てくる鯉に餌をやる庭、不明(池泉の前に茶亭)。
・調子に乗り我を忘れる長屋衆を見て信兵衛さんに相談に来るおぶん、広沢池東岸(船着あしらい)。事後、皆が浅ましいとボヤくおぶんは東岸汀。
*家主は金子信雄、葵小僧の手下の「畳職人」は人見明、家主に雇われて取手うじに乗り込まれてしまう道場主は高木均。*時代を映してか、家主のもとに押しかける長屋衆は「反対」「死守」などとスローガンを大書した鉢巻をしめ、懐かしのジグザグデモなどもやらかす。
第12話 「金太の嫁さん」 1973.12.20
金太主役回、相棒を慮って結婚を隠していたり、正体が大店の次男坊だったり。先生のはたらきで三月の間十六店で幸せに暮らす金太夫婦だが、どうしようもない経緯で別れ別れに。結局戻ってきた金太に、信兵衛さんは酒を勧めて夜通しつきあってやるのだった。
ロケ地
・おぶんを呼び出し新所帯の費えを尋ねる信兵衛さん、広沢池東岸(船着脇の茶店)。
・異母兄が金太を訪ねてきたあと、雨の川端に佇むおはんに声をかける信兵衛さん、広沢池東岸汀(真上からのアングルあり)。
・江戸を離れるおはん、船がゆくのは広沢池。奥州路の道標がある竹林はわらびの里か。このあと流れ橋の夕景シルエット、旅人あしらい。
*おはんは真山知子。金太の異母兄は鮎川浩、母は村田知栄子。今回の道場主は神田隆。
第13話 「はきだめの鶴坊」 1973.12.27
道場破りで負け損ね落ち込む信兵衛さんは稼業を変えようとするが、金太の与太で広まった鶴坊ご落胤ネタに振り回された挙句、結局道場破りの日々に戻る。
ロケ地
・取手うじが手もとを誤りご師範の面を傷つけてしまう道場、京都御苑管理事務所北門(長屋門右手の塀に極端に寄った絵で、東望。看板は入口左手の内側に)。
・金銀コンビが鶴坊いじめに遭遇する町角、京都御苑管理事務所塀際(東門続きの塀沿いを来て北東角を西に曲がり、子らを叱りつけるのは長屋門左手の腰板塀前、入口は映さず)。
*道場主は小池朝雄、取手うじによって面目を失い夜逃げするも実は借金逃れの言い訳で、馴染の芸者にやらせている酒肆を隠れ家にしていたり。瓦版の版元は嵯峨善兵でごうつくばり、ライターの薀蓄男は高原駿雄。
第14話 「迷刀関の孫八」 1974.1.3
年越しがそれぞれに危うい長屋衆、重助爺さんの思い付きで皆してかかる晦日蕎麦売りは「以三の事情」で頓挫しかかるが、丸源の火掻き棒の出自が知れて、万事OKのめでたい新年を迎える。
ロケ地
・凧揚げの橋、流れ橋(コンクリート橋脚部分)上。
*神君の拝領刀を探していた北町奉行は有島一郎、晦日もやっていて取手うじに来られてしまう道場主は多々良純(但し礼金は手形)。
第15話 「泣くな又平」 1974.1.10
思い込みの激しい渡り中間に見込まれてしまう信兵衛さん、殿様扱いに閉口したのと、「奉公」のため女と別れる気配に堪らず追い出しにかかる。仕官が決まった芝居でなんとかご退去を願うも、大騒ぎのあと長屋に戻れるか案ずるセンセイ、しかしまるっきり杞憂。
ロケ地
・又平の手前稼ぎにも出られず暇を持て余した信兵衛さんが釣りに行く水辺、大覚寺大沢池水門そば。
・稼ぎにゆくため又平をまく信兵衛さん、やっと一人になれたと背伸びする路地は相国寺大光明寺南路地。道場への道を曲がるのは方丈南西角塀際、行き先の道場は大光明寺なのだが、その角から又平が出てきて御先触れと中に入られてしまいパァに。
・仕官芝居が成功したあと、なお長屋を出て行かない又平を女のもとへ帰すべく金を作りに道場破りに出向く反町道場、相国寺瑞春院(門、式台玄関)。
*又平は谷啓、彼の女は新橋耐子。道場主の反町は今井健二、いつもの悪相のままお笑い要員に。弟子に上野山功一や阿波地大輔。*又平の大真面目な奉公ぶりが傑作、殿様呼ばわりだけでなく裏長屋は木挽町のお屋敷だし、丸源へ入る先触れに「殿の御成りィ」。これに合わせてか、おぶんの妄想も白井権八で谷啓が幡随院長兵衛。
第16話 「大騒ぎ芝居見物」 1974.1.17
十六店に越してきた、翳のある母娘。素性は次第に漏れつらい目も見るが、最後はどっと芝居見物に繰り出す長屋衆に混じり、あかるい笑顔に。
ロケ地
・母娘の素性を先生に告白する以三、上賀茂神社神事橋〜ならの小川畔。
・十六店への道を聞く幸助、神事橋を渡り河畔で鶴坊を遊ばせていた先生に声をかける。この場面で、頻出のこの川が長屋近く設定と知れる。
・賭け試合に行く雲中道場、相国寺長得院。入ってすぐの石畳が印象的。
・おしのの代理で幸助に金を渡しにゆく先生、赤山禅院。参道で金を渡すと逃げられ、石段をのぼって拝殿前へ。とっ捕まえて懲らしめるのは本殿裏手朱玉垣際。
*母は高田敏江、娘は川島育恵、見返らなかった恋人は小野川公三郎。亭主が島抜けネタでおしのから金を騙し取ろうとする幸助は近藤宏。雲中師範は安部徹、四角い強面でカマすギャグが見もの。元長屋住民の、やっと台詞を貰った女形は砂塚秀夫。*芝居総見ネタで出るおぶんの妄想はやはり芝居で「お軽勘平」、お軽は女形の亀さんでおぶんは着ぐるみ犬で出て蹴られ。思い詰めた娘を「止める」先生の言い草が堀に河童とか間抜けだがペーソスたっぷり。
第17話 「やきいもや」 1974.1.25
道楽が過ぎて勘当された富商の若旦那が十六店に。ぼんぼんぶりは初めだけ、すぐに尾羽打ち枯らし残飯を漁りかけるところ先生の指導で更生し精勤、やがて真の恋も拾うのだった。
ロケ地
・吉原帰りの若旦那と長屋衆、上賀茂神社神事橋〜ならの小川畔(楼主が現れ二十両のかかりを請求)。
・道場破りに行く宝蔵院流江戸出張所、相国寺林光院(門前に立つ先生の背後に、大通院の大屋根がきれいに決まる)。
・営業中の若旦那が、身投げ寸前のおしずたちを助ける日本堤、松尾橋下手の堤か(植生と堤高から推測)。
・おしずに求婚する若旦那、赤山禅院参道脇林間(屋台は参道に、ラブシーンを目撃し目を蔽うおぶんの足もとに石垣の末端)。
*若旦那は津川雅彦、大旦那は美川陽一郎、おしずは梶三和子。槍の師範は山本麟一、内田吐夢監督の「宮本武蔵
般若坂の決斗」で錦兄ィにやられる宝蔵院僧も山本麟一だったし、受付なんかもパロってて笑える。
第18話 「おぶん可愛や孫娘」 1974.1.31
孫娘の将来を思い、出て行かせるため一芝居打つ重助爺さん。しかし信兵衛さんの言うとおり、既に運命が結ばれていた祖父と孫は呼び合ってしまうのだった。
ロケ地
・実の両親のもとへ「帰る」件について信兵衛さんに話すおぶん、広沢池東岸(水少なし、漁具や船あしらい、二人が話す茶店もあしらい)。
・おぶんが井筒屋へ入ってからの時間経過を語る文の背景、流れ橋夕景。
・ラストの夕陽イメージ(朝日かも)、琵琶湖か。
*おぶんの父は堺左千夫、デン助に似ててなかなかハマる。道場主は桑山正一、来ていた同業者に国一太郎や有川正治に玉生司郎。寒鮒売りは広瀬義宣。*爺さんのため山ほど保存食を作るおぶんも切ないが、デン助がチワワみたいな顔をプルプルさせて泣くのは可愛くも涙もの。
第19話 「乞食はつらいよ」 1974.2.7
山周の掌編「よじょう」を信兵衛さんワールドに展開したお話、父の死に際してのあまりな態度であらためて義絶された次男坊は、面当てがましくお薦さんとなるが、世間はそれを仇討ち志願ととるのだった。
ロケ地
・釣り帰りの信兵衛さんが岩太に声をかける川端、広沢池東岸(水少なし、漁具等あしらい)。
・岩太の父の水野出羽守料理方が剣聖に不意打ちを掛けるくだり、相国寺方丈裏庭から縁先に上がり座敷に入って潜み、廊下をやって来た桃井に斬りかかり。
・岩太が乞食小屋を構える京橋端、中ノ島橋たもと。剣聖の往来や長屋衆の見物には橋上が使われ、事後乞食小屋を片付け燃やす役人は汀で。
・桃井道場、相国寺大光明寺(門から中仕切望)。
*料理人志望なのを悉く父に邪魔されグレていた岩太に山田吾一、複雑な人格にうってつけの配役で、必殺で演じた軒を貸したら母屋を奪るアレを思い出した(父の料理方と二役)。原作では宮本武蔵の剣聖は大友柳太朗、さすがの風格をコミカルに処理して絶妙。
第20話 「石になった道場主」 1974.2.14
信兵衛さんに打ち負かされ落ち込む父を見た息子は、汚濁を雪ごうとしてムキになるが、修行先で手をつけた女が腹ボテで現れて形無し。否定したり邪慳にしたりのあまりの態度に、珍しく信兵衛さんの鉄拳がお見舞いされたりするが、玉のような男の子がオギャアで全ての懸案は氷解する。
ロケ地
・神田錦町の飯能道場、京都御苑管理事務所長屋門(開口部のアップ)。達人の道場主に手加減できず勝ってしまった信兵衛さんが、作法通り看板を渡されてしまいボヤきながら帰る段では長屋門左手の塀際、そおっと木の陰に置き捨てようとして植木職人に忘れ物と手渡されてしまう段では北東角の塀際、途方に暮れて持って帰る段では長屋門西側の塀際を東望で。
・信兵衛さんの人相書を見た金銀コンビが知らせにゆく飯能道場の玄関、相国寺林光院式台玄関。ここは信兵衛さんが妊婦を連れて訪れる段でも出てくる。
・不実な男は諦めろと妊婦に因果を含めた信兵衛さんが落ち込んでいると、こふねが来て女の勘を述べる橋、神泉苑法成橋。ラスト、先生の心情を察し預かっていた看板を持ってくるこふねも同所、信兵衛さんは池の小橋を渡って去り、こふねは善女竜王社にお祈り。
*飯能道場の師範は島田正吾、大島田の大真面目なお笑いが圧巻。倅は石山律雄で妊婦は八木孝子。*人相書の応酬や、倅の偽名が勝手呉兵衛だったりとお遊びたっぷり。
第21話 「追って沙汰する」 1974.2.21
お忍びで丸源へやって来た殿様はたいそうご満悦、おきみを奉公に上げろと言ったりこふねを気にいったりと騒ぎを起こす。間に入って話をややこしくするご家来衆だが、「取手うじ」のセンセが出てって解決。
ロケ地
・消えた殿様をさがす用人たち、上賀茂神社ならの小川、神事橋。河畔の祠に殿様が隠れたり、信兵衛さんが子らを遊ばせ「斬られ役」をしていたり、こふね姐さんが相談に来たり、妹の話をブチ壊したあと橋の欄干に腰掛けて泣き笑いなど、多数登場。
・丸井家の師範が信兵衛さんに斬りかかる小川べり、下鴨神社泉川畔(ハイジャンプ決めて対岸へ飛び移って逃走)〜土手(松尾橋下手堤か/重助爺さんが屋台を出していてセンセを下の船に匿い)。
*殿様はハナ肇、用人は太宰久雄、師範は小松方正。こふねが妹の婿がねに期していた棒手振りの兄ちゃんは大丸二郎。
第22話 「ちちんぷいぷい」 1974.2.28
こふねの朋輩芸者・おしんが若侍に求婚され、本人ばかりでなく長屋じゅうで大喜び。しかし親族会議から戻ってきた侍は、勘当が解かれ許婚者と内祝言を挙げてきたことを悪びれもせず報告にくる。皆が何を怒っているか理解できぬ侍、信兵衛さんはそこをこそ怒る。
ロケ地
・こふねやおしんが信兵衛さんと話す川端、広沢池東岸(茶店や漁具あしらい、夕景も)。
・夕暮れイメージに流れ橋。
*勝手な若侍は長谷川明男、おしんは浜美枝。*道場破りでは主と称する女に出てこられてしまい照れ照れ信兵衛さん、うっかり負かしてしまって泣かすが、師範代にとっては福と転じたため「仲人代」を貰って帰る。
第23話 「意地豆腐」 1974.3.7
新婚ほやほやで家付き娘の女房に逃げられた男、しかし恩ある主夫婦を親と立てて商いに精励。そんな彼を見守る信兵衛さんは、女房についた悪い虫を懲らしめ夫婦が元の鞘に戻るよう動く。面白がって男の噂に花を咲かせていた長屋衆は、試作品のげろマズ豆腐をしこたま食わされ、恐怖のどん底に陥るのだった。
*ロケなしセット撮り。豆腐屋は松山省二、女房は緑魔子。御家人崩れの色悪は中田博久、手下に西田良など。*凄まじくマズくて恐怖を呼ぶ「蒲鉾豆腐」だが、質感も相当に怪しい。
第24話 「片想い未練橋」 1974.3.14
意図をもって以三に近づく美女、しかし皆が嘲笑う汚れ仕事をこなす姿を見てホロリ、情人のための諜報活動を悔いる。こふねと事を述懐し男女の機微を語る信兵衛さんだが、もちろんこちらが深間に発展することはない。
ロケ地
・物騒な人集めのため他流試合歓迎を掲げる沢井道場、大覚寺明智門。道場破りの帰り、包まれた金の多寡を見る信兵衛さんは上賀茂神社神事橋たもと。
・以三が仰せつかった御用金運搬ルートの整備、北嵯峨農地竹林際。
*以三から御用金運搬ルートを聞きだすべく十六店に越してくる美人の端唄師匠は稲垣光穂子、彼女の情夫で御用金を狙う道場主は御木本伸介。
第25話 「妻と呼びたい」 1974.3.21
こふねの馴染の若様は市井に暮らすことを夢見るが、若様どころではなく殿様のご落胤で後を継がねばならぬ身と知り侍を捨てることは断念。それでもこふねを妻とすることは最後の夢と譲らず、正室を迎えても形だけ・妻はこふねだけと信兵衛さんにとりなしを頼むが、先生は「違う」とフォルテ。見も知らぬお姫様の運命も気遣う信兵衛の大きさに、こふねは泣く。
ロケ地
・おきみを呼び出し話を聞く若様、上賀茂神社神事橋たもと(ここの設定が「神社」と知れる)。信兵衛さんに土下座しこふねを譲ってと懇願するのも同所。
・若様のためこふねの請け代を作りにゆく栗原道場、相国寺大光明寺門(門は看板付近しか映らず、背景の方丈塀から判断)。若様に金を渡す帰り道は大光明寺南路地、塀をナメて西望のアングル。
・こふねが信兵衛に行っていいのかと迫る林、赤山禅院参道脇林間(妄想の果て追ってきたおぶんが「目撃」、こふねが行ったあと出てきて泣き笑いで甘える)。
・若様を襲う「反対派」のくだり、社殿の前を通りかかり軽くお祈りの若様は赤山禅院本殿、イカ集団に囲まれるのは雲母不動堂前。
・信兵衛さんの嘘は自分への想いと誤認し有頂天のこふねが駆けてくる道、赤山禅院参道。
*若様は栗塚旭、堅物ぶりや剣は立つあたりが適材。おぶんの妄想では、武蔵のセンセと佐々木小次郎で対決。道場主は藤岡重慶、師範代は五味竜太郎でギャグ要員。
25〜50話 表紙
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