1990/1月〜3月 TX/松竹
キャスト
おえん/山本陽子
おさと/林美里
おしま/入江若葉
おけい/長谷川稀世
村木鉄平/中山仁
浜蔵/黒田隆哉
又之助/宅麻伸
新五郎/山城新伍
第1話 女涙の初恋始末
振り袖新造を傷物にした馬鹿息子どものケジメをつけにゆくおえん、しかし勘当済みと言い逃れる親。その富商は、むかしおえんを見返った男にしておさとの父なのだった。彼もおえんも消しにかかった御納戸組頭との戦いが、当代の喜の字屋の裏稼業のはじまりとなる。
ロケ地
- 取立て帰りの又之助が、天城屋から帰りのおえんと行きあわせ話しながらゆく夜の橋、中ノ島橋。馬鹿息子どもがおえんに刃を突きつけて脅すのは橋下(簡単に撃退され)。
- 天城屋が御納戸組頭を呼び出し、息子たちのことを相談する屋形船、広沢池か。
ゲスト 原田大二郎/松本竜介/西村和彦/佐久間哲
第2話 吉原恋模様 身請け話に泣く女
おえんに言い寄る回船問屋が実はトンデモという趣向、悲劇になりかけていた恋人たちを救った始末が女としてあまり愉快ではないおえんは、くさくさと女友達に愚痴る。
ロケ地
- 取立て先の聞き込み結果を報告する又之助、松尾大社舞殿脇。
- 沈船の秘密を知る船頭を捜し釣り人に聞き込みの又之助、大覚寺放生池畔(放生池堤にも釣り人あしらい)。その船頭をつかまえ聞き込んだ帰り刺客に襲われるのは五社明神。
- 言い寄っていた悪党の回船問屋に啖呵を切って出てきたおえんが拉致される夜道、大覚寺有栖川畔。翌朝、又之助が落ちていた簪を発見。
ゲスト 福田豊土/石山雄大/桂川京子/下元年世/邦保
第3話 爪の代金 五十両
花魁の嘘に怒って払わぬ野暮天と見えた男だが、それを口実に踏み倒しを企むしたたか者。おえんの友人が巻き込まれるハプニングは、気詰まりな日々を過ごす女が一皮むけるきっかけとなる。
ロケ地
- 取立てで立ち回りの又之助、見ていた新之助が出てきてもう馬屋稼業はやめろと忠告する市中、大覚寺天神島。
- 木曽屋(材木商)へ取り立てに赴くおえん、通り過ぎる「木場」は「材木置場」、映り込みは蔵のみ。
- しつこくつけ回す浜蔵に怒る木曽屋、大覚寺有栖川(浜蔵は河床、木曽屋は河畔)。
- おえんと間違えられ屋形船に連れ込まれるおちか、広沢池(東岸から船を見る。設定は大川)。
- おちかを連れ戻しに行くおえん、大覚寺放生池堤〜護摩堂。
ゲスト 大塚良重/原口剛/牧冬吉/水上保弘/多賀勝/日高久
第4話 かまいたちの牙
客の腹の古傷は親の仇たるしるし、花魁の父を騙して死なせたパクリ屋は、おえんの父が珍しく取りはぐれた因縁の相手でもあった。
ロケ地
- 昔の事情を知る元町方に話を聞くおえん、老爺が釣り中の川端は大覚寺放生池堤。背景に護摩堂映り込み。
- 「かまいたち」の佐原屋を追って駕籠で八王子へ向かう道、不明(切り通し?)。後段、酔って寝たままの村木のダンナが無断で運ばれてくるのも同所。
- 悪党と組んで人別をごまかしていた寺(だいほうじと発音される)、神光院中興堂。導入は内陣から、小坊主が佐原屋から金を持ってくる段で扉が開いて外が見え、次いでカメラ切り替わり外から見たアングルに。立ち回りは本堂脇で、蔵の大きく映り込む。
- 自由の身になった花魁が母を伴い田舎へ向かう道、嵐山自転車道。全ておえんのお蔭と来し方を振り返る。
ゲスト 藤岡重慶/丸山真穂/荻原郁三/溝田繁/北見唯一
第5話 情が仇の暗闇始末
女を騙し金を毟る色悪だが、彼もまた悪党に騙され多額の金を無駄に積み上げていた。しがらみに加え女の涙を見るに忍びず介入するおえんだが、恋しい人を亡くして泣く女を見て心は沈む。
ロケ地
- おえんが千太郎を呼び止め、花魁が貢いだ分の取り立てを宣言する夜道、北野天満宮摂社前。
- おえんが山吹屋の手下に襲われる夜道、西明寺参道石段。崖落ちして糸でぶら下がっているところを村木に助けられる運び、同録か・渓流の音が響いている。
- 元立花亭の番頭・亀吉に山吹屋が立花亭を乗っ取ったと聞くおえん、広沢池西岸湿地。設定は浅草溜、殺された千太郎と亀吉が喧嘩で刺し違えたふうに偽装されて見つかるのも同所。
- おえんに要求された、花魁の分の金を返しに来る山吹屋、北野天満宮本殿裏手。ここで立ち回り。
ゲスト 清水健太郎/丸山秀美/玉生司朗/えがわあつこ/鳴尾よね子/阿波地大輔
第6話 江戸の黒い霧 けじめつけさせて貰います
油の値を操り肥え太る油問屋、恋しい亭主を贄にされ己が身も汚された女の涙が、おえんに決着を迫る。
ロケ地
- 山崎屋番頭の土左ヱ門が上がる川端、罧原堤下河原。新婚の女房・おふみが駆けつけるのを長回しで。
- 十年前、酷似した状況で死んだ同じく山崎屋番頭の未亡人に聞き込みをする船宿、嵐山公園・錦(行灯の名は「錦」のまま)。話を聞く川辺は嵐峡汀。
- おふみに話を聞いたおえんが襲われる帰りの夜道、相国寺鐘楼脇・宗丹稲荷前。
- 新五郎を訪ねてきた性悪の岡っ引が山崎屋から手を引けと脅しつける神社、吉田神社竹中稲荷本殿前〜参道重ね鳥居下。
- 山崎屋が油を隠匿していた蔵、北野天満宮境内・祠裏の蔵。
- 体で客の接待をせよと山崎屋に強要されたおふみが物思う水辺、罧原堤下汀(同所での亭主との回想入り)。
- 待ち伏せを承知でおえんたちが行く夜の林、下鴨神社参道。襲撃者は瀬見の小川河床に潜み、参道は馬場側から見上げの趣向。立ち回りは河床(涸れ)で、騒ぎをよそに歩み続けるおえんは紅葉橋を渡ってゆく。物陰で戦いを見ている岡っ引に仕掛ける新五郎は河合社脇。
- 山崎屋別宅へ接待を受けに入ってゆく役人、中山邸通用門。
ゲスト 石山律雄/中田博久/内田勝正/柳綾稀子
第7話 女郎ぐもの罠
一見儚げで殊勝だが、内実は真っ黒でしたたかな悪女と対決するおえん。遊女あがりの毒婦は、馬屋の手口を恐れていた。
ロケ地
- お参りのおえんをつけ回す花むら屋の主、北野天満宮本殿脇(参拝の神社は摂社か)。
- 天神屋へ再度取り立てに行った帰り、襲われ委任状入りの財布を盗られるおえん、大覚寺五社明神〜放生池堤(大沢池に水無し)。
- おえんの隠れ家(おしまの向島別宅)へ新五郎の連絡を届けに行くおさと、連れている犬が嗅ぎつけて印籠を見つける川端は広沢池西岸湿地(水無し)。別宅イメージに北東岸の萱葺。天神屋太兵衛殺害の回想シーンは西岸湿地で夜。
- おえんをハメた目明しと天神屋の女将が密会する屋形船、嵐峡船着(目明しは浜蔵らに拉致/中の毒婦はおえんがシメる)。
ゲスト 田島令子/片桐竜次/高峰圭二
第8話 恋飛脚 走る
新婚の飛脚に降りかかる災難、純な若者たちが泣くのをおえんは黙って見ておれず介入。喜の字屋メンバーはもちろんのこと、村木のダンナも粋なはからいで駆け込みを助けてやる。
ロケ地
- 飛脚の太吉が待ち構えていた浪人に当て落とされ金と文を盗られる小川べり、上賀茂神社ならの小川畔。浪人が盗った文を掏摸にやられるのは北神饌所裏手。
- 太吉の女房の回想、病の父の願いを叶えてやるため桜を求めて南へ走る太吉、大堰川堤(そう高くない土手に孤立木←ロングショット/バストショットになった際画面隅っこに竹林の先っちょがチラリ←千代川あたりの堤内地の竹林と推測)。
- 掏摸が殺されているのを見つけてしまう太吉、上賀茂神社渉渓園(この殺しの罪も着せられてしまう)。
- 太吉に店を通さずの金運びを頼んだ番頭が出入りする駒込の賭場、不明(軒瓦を出した萱葺、庭側からの撮影/他作品でも登場)。
ゲスト 久保田篤/森口瑤子/徳田興人/松本竜介/石倉英彦/下元年世/小峰隆司
第9話 吉原悲話 露の情け
話を作って花魁の水揚げ代を踏み倒す男に、きついお灸をすえるおえん。グルの不良青年の更正も期してのことだが、泥を被る娘たちに胸は痛むのだった。タイトルはおえんが心情を託す都々逸の一節。
ロケ地
- 花魁の「男」の話をする村木とおえん、大覚寺放生池堤。中間報告に来た浜蔵の話を聞く茶店は大沢池北西畔にあしらい。
- 花魁の情夫を演じた男(勘当中のどら息子)が妹に小遣いを貰う橋、中ノ島橋。
- 踏み倒し男の娘をさらい、「情夫」の妹を彼の寮に差し向けたあと、気が咎めると落ち込むおえん、大覚寺天神島(又之助が仕掛け完了報告の場面)。
- 豊前屋の寮(深川黒江町)、中山邸通用門。豊前屋に手篭めにされかかった妹に詫びる兄は参道。
ゲスト ひかる一平/藤代美奈子/石浜朗/池田純子
第10話 おけさは遥か恋の唄
又さんの過去が仄見える哀話。最後に一目会うことも叶わなかった夫婦だが、それゆえ常より強固な紐帯だったとおえんは述懐する。
ロケ地
- 又さんの回想に出てくる寺泊の荒海、間人か。幼時→青年期と変化。
- 取り立て先の植木屋・加納屋、不明(軒瓦を出した萱葺、庭側からの撮影。頻出のアレ。庭石が転がり、様々な植木が植わった「庭」も出てくる。北嵯峨あたりの造園業者の敷地か。8話の賭場と同じ)。
- おえんに急報するため吉原へ走る浜蔵、大覚寺放生池堤。羅生門河岸の遊女として死んだ女房の遺骨を抱いて故郷へ帰る亭主を見送る又之助も同所。放生池には水が湛えられているが、大沢池に水無し。
ゲスト 小林昭二/岩間さおり/勇しずか/大木聡/山本弘
第11話 取り立て無用におじゃりまする
おじゃるモノ、無体をはたらく御勅使たちを懲らすお決まりの筋立て。被害者の、恋人の太夫を殺された青年の家が高家という設定で、そこの殿様とおえんのからみもある。この御高家、いたって気さくなお人柄なのがご愛嬌で味。
ロケ地
- 花魁の大怪我を見て逆上・大納言一行に斬りかかろうとした若侍を送ってゆくおえん、高家肝煎の青年の父・由良右京之介が出て応対する玄関は建仁寺久昌院式台玄関。
- 御勅使一行が滞在する伝奏屋敷、随心院薬医門。接待役の由良が大納言に苦言を呈す座敷は建仁寺方丈座敷(勅使門映り込み)。
- 取り立てのトラブルでチンピラに囲まれているところへ通りかかりおえんを助ける由良、建仁寺三門。その後おえんに簪を買い与える縁日は上御霊神社楼門〜本殿裏手。
- 町を逍遥する御勅使一行の前に現れ、証文を突きつけるおえん、二尊院紅葉の馬場。
- 花魁の死後、思い詰め伝奏屋敷に斬り込む青年、門は随心院薬医門(夜)で、返り討ちに遭う庭は相国寺大光明寺石庭。父の右京之介が息子の異変に気付き外へ飛び出し走る夜道は建仁寺参道石畳(三門の北側)。
- 由良家断絶と聞き駆けつけるおえん、建仁寺境内路地(西側)〜久昌院門(竹矢来あしらい)〜久昌院前庭(警備の侍に止められるが許され由良と会う。楽しかったと笑って切腹の座に向かう右京之介は方丈前縁を歩み去る)。
- おえんの呼び出し状を見て懲らしめてやると怒る大納言、座敷は相国寺大光明寺方丈座敷。
- 大納言たちを成敗する夜の林、随心院裏手林(土塀映り込み)。
- 右京之介に貰った簪を川に流すおえん、上賀茂神社ならの小川(神事橋下手水場)。
ゲスト 橋本功/草薙良一/うえだ峻/畠山久/鈴川法子
第12話 過去から来た女 スペシャル拡大枠
悪辣で高慢な医者が取り立ての相手、一方おさとに恋人ができるが身分違いの町名主の倅で、おえんとの間に齟齬を来す。そして馬屋を蔑む町名主にはなにやら秘密の過去、彼を強請りにかかる怪しの芸者には悪党の手が伸びてゆく。
必殺ふうテーマ鳴り響く出陣、片袖脱いで般若の刺青を披露する新さんなど、派手な演出の最終回。上方へ行っていたおしまの旦那も帰りおさとの祝言に出席。
ロケ地
- おさとが町名主の一人息子とデートの市中、北野天満宮本殿脇〜裏手(摂社の南に露店をあしらい縁日を演出、後段では無人)。
- 医師・田倉道庵邸、中山邸通用門(大きな看板あしらい)。
- 往診に赴く道庵の前に出て証文を広げ、居合わせた町衆に大声で所行を述べ立てる又之助、大覚寺五社明神。
- 丁子屋に掛け合うも手ひどくはねつけられたあと、おさとにこの恋はあきらめるよう諭すおえん、広沢池東岸(池底部分、水少なし)。
- 掛川藩上屋敷、大覚寺大門。道庵が殿様を診る座敷は建仁寺久昌院方丈座敷(大刈込がのぞく)。
- たばかられ呼び出され当て落とされたおえん、早桶に詰められ大八ごと川に投げ落とされる夜の橋は流れ橋(危機一髪で脱出)。
- 丁子屋を強請り大金を要求した帰りの小菊が遊ぶ子らを眺め物思う川辺、罧原堤下桂川中州。
- 丁子屋が金を持ってゆく約束の場所、粟生光明寺石段上部。後段、道庵に斬りかかり返り討ちに遭うのも同所で、この際主を捜しに出た男衆が走りこむのに踊り場が見下ろしのアングルで映し出される。
- 丁子屋に変わったことはないか女将に問い一肌脱ぐと申し出るおえん、粟生光明寺山門(鐘の音演出、寺設定か)。
- 丁子屋の過去を調べにゆく又之助のくだり、陸奥之国盛岡とテロップの入る山道、谷山林道切り通しに旅人をあしらい遠望。地蔵や旅人をあしらった寄った絵のほうは不明(山裾の田畔)。大里村で村人に道を聞く橋は摩気橋、村役の家は橋たもとの民家(内部、萱葺の母屋の前)。
ゲスト 井川比佐志/竹井みどり/田中浩二/佐藤晟也/木村栄/浦野眞彦/亀井賢二/平井靖/西沢利明/南田洋子/桂ざこば
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