1995/4-6、TX/松竹 第三シリーズ
キャスト
おえん/山本陽子
又之助/尾美としのり
浜蔵/丹野由之
おさよ/中山玲
新五郎/山城新伍
村木鉄平/中山仁
おしま/入江若葉
おかつ/芦川よしみ
第1話 「たった十日の花嫁」 スペシャル拡大枠
将軍家の姫を押し付けられる予定の大名の若様が、結婚前にたってと望んだのは町場での新婚生活疑似体験。お相手には吉原の花魁が抜擢され、おえんは頼まれて世話を見ることに。しかし若様の御家では後継をめぐりキナ臭い動きが進行中、睦まじく暮らす若い二人に魔手。とてつもない不祥事に楼主から捻じ込まれる始末の喜の字屋だが、おえんが筋を曲げることはなく、外道を捨て置かず勝手な逃避も許さない。そして御伽噺のような恋の成就は語り草となり、喜の字屋の名は騰がるばかりなのだった。
ロケ地
- 鳥取池田家中屋敷、随心院薬医門(クレーンショット)。
- 鉄屋の松田屋(店は小伝馬町)の荷揚げ場、八幡掘新町浜(神田堀か)。踏み倒し分を取り立てに行った帰りのおえんを取り囲む若旦那とゴロツキ、八幡堀堀端。立ち回りは大覚寺大沢池畔にスイッチ、新五郎が出て馬鹿者どもをシメる。
- 花魁と若様が夫婦ごっこをして過ごす下谷田圃の扇屋の寮、走田神社社務所。前の農地も効果的に使われる。ここから帰るおえんとおさよが渡る橋、西の湖園地の太鼓橋(幼女を連れた女衒とすれ違い)。
- 若様の駕籠をつけてくる弟ぎみ擁立派の藩士たち、妙心寺大通院裏路地。ラウンド塀を曲がったところで側役の爺さまにやり込められる。
- 若様の動向を御側室に報告する藩士、建仁寺久昌院方丈縁先。
- 新五郎に捻じ込まれ勘当された若旦那が、弟ぎみ擁立派の藩士と父のやり取りを盗み聞く路地、八幡掘裏路地。
- 若様たちを外に連れ出すくだり、船を借りる川千鳥は大覚寺大沢池に舟着き仕立て(店の中から舟着きを眺める絵、導入は映画村セット)。おえんが棹を操って渡る大川は大沢池。二人を遊ばせる縁日は心経宝塔前に露店あしらい。
- 若様と花魁が「無理心中」で町方が駆けつけてくるシーン、走田神社社務所まわりは演出ではない本物の濃霧に包まれている。
- 決戦を前におさよを目黒在へ避難させるくだり、又之助が送ってゆく道は上賀茂神社ならの小川畔。
- 閉門中の側役・岩田伝十郎宅へ入り込むおえん、門は妙心寺蟠桃院。竹矢来あしらい、小間物売りに化けたおえんが店を広げる道端は南のクランクをうまく使う。
- 取り立てを買って出たお小夜をさらい始末しようとする松田屋、奥年寄の駕籠が待つ門は南禅寺三門。
- 花里釈放に動かず勝手に国へ帰った若様を連れ戻しに中山道を行く新五郎たち、嵐山自転車道〜みろくの里(倉賀野宿)。
- 切り放ち後失踪した花里を捜しにくおえんと女衒、乙浜道はみろくの里、海はマジ海と思われる。花里がいた鯛ノ浦も本物の海(瀬戸内か)。
- 二組の早駕籠が江戸へ戻る道、不明。みろくの里セットを挿み、海浜や野道山道、見覚えなし。
ゲスト 草g剛/緒川たまき/松居一代/山下規介/逢坂じゅん/崎津隆介/吾羽七朗/久米明/長門裕之
第2話 「乳房千両」
仕組まれた罠に落ちる男の話はよくある筋立て、悲劇に終る花魁との純愛が見どころ。タイトルは最初の罠の花魁の値吊り上げの手立てに使う錦絵、洗い髪の花魁の乳房を誇張←男どもに大ウケ、小手毬花魁のもとに錦絵片手に押しかけて大騒ぎ。
ロケ地
- 楼主の依頼を受けたおえんが越前屋に声をかける町角、北野天満宮本殿裏手(吉原外設定、「赤い要素」映さず)。話を聞く茶店は柊野堰堤落差工下にしつらえ。
- 但馬屋の寮、中山邸門。仕置の際は参道も使用。
- 乳房を誇張して描いた絵師が消される道、不明(小柴垣、路傍に大石)。
- 小手毬の墓、不明(奥に集合墓)。
ゲスト 三ツ木清隆/岩本千春/大林丈史/住吉正博/真田健一郎
第3話 「吉原水鏡、涙のおいらん道中」
妓楼乗っ取り事件に、廓の女たちの哀歓をからめた話。苦労続きで装う習いも持たぬお針子を庇い見守ってきたおえんは、彼女の命を散らした者どもを一人として許さない。水鏡は遊女への制裁、男たちがその酷さに妙な興味を示す場面も。
ロケ地
- 友人たちと茶店でお団子のおえん、大覚寺大沢池畔にあしらい。ここでお針子・お吉の身の上話が出る。
- 帳場から金を盗ったことを告白するお吉、上賀茂神社ならの小川畔。後段、礼を言うお吉に簪を与えるシーンも出る。河畔にぼんぼりあしらい、周囲の木々は美しく紅葉。
ゲスト 高橋貴代子/神崎恵/服部妙子/灰地順/川崎あかね
第4話 「女郎になった妻」
ある日登楼った安店で、行方不明の女房を見る男。夫婦が別れ別れで行き違いの裏には、横から大金を掠めとった親切面の番頭がいた。
晴れて大門を出てゆく妓を見て涙ぐむおえんがいい味。
ロケ地
- 吉次郎が屯する護国寺裏の溜まり場に乗り込むおえん、外で話を聞くのは車折神社参道石畳。
- 吉次郎の回想、女房と腹の子を気遣いながらゆく街道、嵐山自転車道。
- 吉次郎の女房を売り飛ばした地回りと、女房を世話すると言った番頭が密会する料亭、中山邸通用門。
- 吉次郎を襲う地回り、上賀茂神社ならの小川畔(川に入っての立ち回りあり)。
- おえんが芝居で元の店に突き出した吉次郎を蔵から連れ出し、謀殺しようとする番頭、夜道は大覚寺心経宝塔前〜五社明神。心経宝塔はライトアップされている。
- 大門を出てくる女房を迎えに来る吉次郎、大覚寺護摩堂裏手。大門の柱越しに見る図、撮影所セットと組み合わせ(柱のみ大覚寺へ持ち込みの模様)。大沢池の水面と対岸の堤映り込み、日本堤設定と思われる。
ゲスト 田中隆三/村上聡美/森下哲夫/西山辰夫/広瀬義宣/松田明
第5話 「女の恨み取り立てます」
男に負担をかけたくなくて年季明けを待ち祝言、そして妻としても精一杯尽くしたいじらしい女が、蛇のように執念深い外道の罠に落ちる。看取ったおえんは、健気な元花魁の命の代金を取り立てにゆく。
ロケ地
- 玉菊花魁に袖にされたと恨む放蕩者の若旦那が取り巻きと屯する寮、法然院山門。
- お菊の墓、不明(苔むした古い墓石あり、周囲は林)。
ゲスト 未来貴子/堀内正美/伊庭剛/井上茂/勝村淳/下元年世/日高久
第6話 「忘八地獄」
開き直りも甚だしい新興の妓楼の主は、邪魔な喜の字屋を罠にはめようとするが悪の栄えたためし無し。よりにもよって気のいい又さんを道具に使った奴輩に、きつい闇裁きが下される。
ロケ地
- 又之助が目撃する羽目になる亡き遊女の投げ込み、西方寺小谷墓地(池越し)。
- 娘を売ったばかりの親爺が襲われる竹林、北嵯峨か。
- 川千鳥の座敷外に見える川面、嵐山か。
- 罠にはめる意図で又之助に発注を入れる京屋の番頭、吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居下。
ゲスト 成瀬正孝/小松みゆき/片桐秀次/南条弘二
第7話 「小蝶哀しや吉原夢見鳥」
役目を帯びた男と遊女の恋は悲劇に終る。健気な忍ぶ恋を、我欲のために踏みにじった大元の留守居役はおえんに成敗される。
ロケ地
- 檜垣屋を襲った木場人足について聞き込む浜蔵、「材木置場」(蔵の前に丸太)。
- 檜垣屋に話を聞いた帰りのおえんを待っていた浜蔵、今宮神社合祀摂社前。又之助が稲荷社角から駆けてくる。
- 信濃・戸倉藩留守居役が滞在している寮、直指庵山門。
ゲスト ひがし由貴/黒瀧光司/佐藤京一/柳原久仁夫/西園寺章雄/多賀勝一/山口朱美
第8話 「悪党裁く吉原人形」
数多の女を泣かせた悪党は、一筋縄でいかぬ凄腕。女は買うものでないと嘯く色悪を、吉原に誘い込んで始末。踏み躙られてなお男を恋う女たちが哀切。
ロケ地
- 京屋の娘・美奈が物思いに沈む逢引の橋、中ノ島橋。橋下手の石積護岸と並木(紅葉)も使われ、最終的には色悪に投げ落とされドボン。橋たもとに茶店の床机あしらい。初めに美奈を見かける村木のダンナは下の川原、釣り帰り。
- 一之進が舟遊びのところへ漕ぎ寄せ証文持って乗り込むおえん、大沢池か。
- 美奈が療養の日を送る京屋の寮、中山邸通用門。帰り道のおえんは参道、樹々は紅葉・雨を演出。
- 寮を出てきた美奈に声をかけるおえん、大覚寺石仏越し護摩堂前。入水ではなく投げ落とされたと告白するのは天神島朱橋。ここも樹々は紅葉。
- 船宿を出た一之進をつける浜蔵、気付かれて元結を切られ凄まれるのは大覚寺五社明神祠脇の木の根方。
- 吉原で始末した一之進が捨てられる水辺、嵐峡汀か(静水域、楓の枝水に向かって張り出し)。
ゲスト 松永麗子/川原和久/浦野眞彦/武井二三/大木晤郎
第9話 「吉原色里忍び恋」
大店の主が悪者の甘言に乗り破産・娘が身売りはよくある話、そのお嬢様を慕う手代にスポットを当てた情話。お嬢様との別れの盃を至宝と崇める青年は、お嬢様が好いた男を悪党と知りつつ恋のために命を捨てる。
ロケ地
- お嬢様が苦界に身を沈め作った金を借主へ届けにゆく手代、仁和寺参道。荒くれが出て金を奪うのは仁和寺観音堂、新五郎が出て金を取り返すのは大覚寺五社明神。
- お嬢様の父を破産に導いた相場師の屋敷、大覚寺明智門。
- おえんが手代に事情を聞くのは大覚寺天神島。
- 相場師宅を見張る又之助、大覚寺御殿川畔(対岸に明智門)。
- お嬢様の許婚者の茶問屋主の回想、池田家茶道指南に池田家御用承りのための工作中に金を渡した茶室、白紗村荘倚翠亭。
- 手代がお嬢様の許婚者だった若旦那に会うくだり、中山邸参道、門。茶室も同所か。
- 池田家茶頭を狙う手代のくだり、茶頭が和尚に辞去の挨拶の池田家菩提寺・東禅寺の山門は南禅寺三門、仕掛ける坂は僧堂坂。殺ったあと「若旦那」に消されるのは上賀茂神社奈良社。ここへおえんが駆けつける際渡る橋は上賀茂神社神事橋。
ゲスト 頭師佳孝/立川三貴/森恵/真壁晋吾/高峰圭二/楠年明/勝野賢三
第10話 「仇討取り立てます」
好いた女のため武士を捨てようとしいた矢先に仇に出会ってしまい、しかも戦いの流れ弾が当たって死んだ妓はよりにもよってその女の妹。裏にもうひとつ複雑な事情があり、そのことでも己を許せなかった男は自ら死を選ぶ。
ロケ地
- 新五郎が川千鳥に紹介するため遠山浪人と待ち合わせの茶店、大覚寺心経宝塔前にあしらい。ここで「仇が通りかかる」。
- 「仇討ち」が展開される神社(山谷堀と言っているから待乳山聖天宮設定か)、石清水八幡宮楼門前。
- 遠山の出身藩・播州加茂藩江戸屋敷、相国寺大光明寺門。
- 遠山浪人に馬屋証文を見せるおえん、大覚寺天神島朱橋。
- 死んだはずの仇と仕組まれて鉢合わせさせられたあと、今後を協議する遠山と「一味」、吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居。仇討ち芝居を持ちかけられた回想シーンも同所。
- 事後、湯河原へ療養に向かう旅姿の八重、嵐山自転車道。
ゲスト 塩谷瞬/伊東美由紀/伊東達広/玉生司朗
第11話 「羅生門河岸の女」
女郎の子を世話すると称し養育料をせしめたうえ、子を掏摸に仕立て稼がせる極悪人。こやつらを成敗する話を縦糸に、切見世女郎の悲哀を織り込んだ佳品。絵沢萌子が出ていることだけでも必見。
ロケ地
- 弟分に菓子を持ってきてやる娘掏摸、今宮神社高倉下。脇の坂を親子連れが通り過ぎる。
- 掏摸の元締から弟分を連れて逃げ出した娘掏摸が追っ手に捕まるところを助ける新五郎、粟生光明寺。坂をおりてくる新五郎を門越しに映し、門脇で娘掏摸が待たせていた弟分に食べ物を持ってくるのを見る運び。追っ手に捕まるのは石段を駆け上がって頂上、ここで新五郎介入。山門が映る際看板も映り、「光明寺」まではっきり読める。娘掏摸に事情を聞く茶店は、踊り場にしつらえ。
- 二人を保護しおえんを呼び出す喜の字屋菩提寺も粟生光明寺、おえんが入ってくる門は内側から見下ろしのシルエット。二人を待たせてあるお堂は阿弥陀堂、内部も使用。ふたりを助けた場所と同所設定かどうかは不明。
ゲスト 絵沢萌子/小野武彦/堀江奈々/小袖京子/中蔦優文/亀井賢二
第12話 「悪女おえんが取り立てます」
相手はむかしおえんといきさつのあった男、濡れ場寸前のねっとりと濃いやり取りが描かれる。闇の深さも見せて、おえんは付き馬屋の仕事を遂行する。
ロケ地
- 旗本・片桐右京邸へ腰元として入り込んでいた高砂楼の娘が露見し追われ逃げ、斬られて落ちる東橋、中ノ島橋。娘が助けを求めた町方や岡っ引も斬られる。
- 片桐一行をつける浜蔵、妙心寺大通院裏路地。クランク曲がったところで強面の用心棒に斬りつけられ。
- 儲け話を演出して一味をハメる寺、妙顕寺。山門を入ってゆくおえん、上がるお堂は三菩薩堂で廊下を伝い北側から中へ(この際カメラ北西から、尊神堂との間にあった反った渡廊がはっきり映っている)。和尚を恐喝の場面では堂内も使用(北側の戸が開いていて、方丈の建物が映りこんでいる。つけてきた用心棒が立ち聞きしているさまが、格子戸にシルエット)。おえんがお堂を出てくるシーンは本堂廊下(東側)にスイッチ、おえんさん大丈夫かなと案じる和尚が新五郎と並んで立つ回廊は本堂・方丈間の回廊。
- 浜蔵の湯治と称し旅立つおえん、嵐山自転車道。片桐と落ち合う温泉イメージの川は清滝か。
- 片桐が勝手に金持ち出しと揉めるくだり、片桐邸に妙心寺海福院前路地(南望、塔頭への出入り描かれず)。
ゲスト 深水三章/遠藤征慈/幸田宗丸
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