河川用語解説 あ行
泉 | 地下水が地表に湧き出しているところをいい、この地下水を湧水という。泉の位置は地下水面の位置や地形、岩石の種類などにより決まる。泉水の成分により鉱泉と単純泉に、水温により温泉と冷泉、湧出形態により不断泉と間欠泉に分ける。泉は扇状地の扇端や台地の崖端などに線状に配列するほか、富士山麓に顕著な溶岩と堆積層との関係、また秋吉台のように石灰岩の割目との関係でも湧出。 |
井戸 | ふつう、自由地下水を汲み上げるために地下に掘った深穴。古代には泉や川に飲料水を求めたが、次第に技術が進むと、任意の場所に井戸を掘るようになった。井戸にはふつうの掘り井戸と管を刺した管井戸があり、また、浅井戸と深井戸がある。浅井戸には局部的不透水層による宙水がある。他に、被圧地下水を採る掘り抜き井戸がある(このとき圧力が大きいと水が地表まで噴出し、自噴井となる)。 宙水…井戸の水面のうち広い範囲の物とは別に、狭い範囲で浅い水面を持つ地下水。小範囲に粘土等の不透水層がある場合に生じる。地下水面が深い時には宙水を利用することもあるが、晴天が続くと涸れやすい。 掘り抜き井戸…鑿井・鑽井とも。水を通しやすい透水層と通しにくい不透水層が交互に重なっていると、透水層の傾斜に沿って地下水が流れる。この被圧地下水を汲み上げるのに深い井戸を掘る、これが掘り抜き井戸で、この方法だと水に乏しい砂漠でも地質構造と降雨域の関係から良質の水を求めうる。豪・中央部砂漠域の牧羊地帯は掘り抜き井戸が多いことで有名。 上総掘り…上総国君津郡で江戸初期に発明された井戸掘りの技術。やぐらを組みひご巻き車を支え、やぐらの上ではね木を固定し、それに巻いたひごの先端に鉄管と鑿をつけて地中を深く掘り抜くと、この地方の地層は清澄・鋸山山地から単斜構造のため水が自噴する。 まいまい井戸…地下水が深い地域では地面を擂り鉢状に掘り下げ、斜面に螺旋形の道をつけて底に井戸を掘り飲料水を求めた。この井戸は全体の形がカタツムリの殻に似るのでまいまい井戸という。また、七曲り井戸・掘兼井戸とも称する。武蔵野台地西部は地下水が深いので井戸掘り技術が乏しかった時代にはまいまい井戸が掘られた。遺跡も多く、掘兼の地名も残る。 |
延長川 | 河口が海のほうに延び、流路を延長した川。土地の隆起または海面の下降により、以前の海底が陸上に現れ海岸平野ができると、元流れていた川は流路を延長し新しい海岸線で海に注ぐようになる。一般に、新しく付け替った海岸平野の傾斜方向に、海岸線にほぼ直角の流路をもつ必従河川となる。 |
堰堤 | 川の水を堰き止めるために川の流路を横断して建設した構築物のこと。堰堤には水力発電や貯水用のダム・砂防ダムなど目的により種々のものがある。堰堤の付近には所々に水門を設け水量調節をすることが多い。 |
横谷 おうこく |
山脈を横断し流れる谷。ふつう山脈の隆起よりも河水の下刻作用が大きい場合や、山脈を横断する断層線に沿って生ずる。谷は狭く、谷壁は急斜面で、集落は少ない。吉野川中流部の大歩危小歩危は吉野川が四国山地を横断する横谷の部分にあたる。球磨川・江の川・熊野川・庄川などの上流にも横谷が発達。 |
横断工作物 | 堰・床固め工など、河川流路を横断し設置される工作物。魚などの自由な移動の妨げになるとして問題になる場合も。 |