布留川というのは「ふるがわ」と訓み、大和川の支流のひとつで、支流も含めてほぼ天理市を流れている。
上流部にはダムを持ち、著名な滝もあり、流域には石上神宮と天理教本部といういにしえと現代の大きな宗教施設を持つなど、みどころの多い川である。
サイト「大和川」作成のため、この川の名前のついている支流を全て回ってきた。一個の市くらい何のことも無いとタカをくくっていたが、山深いところから田園地帯までの強行軍となり意外とキツかった。
それにしても、大和盆地の暑さは格別のもの。
西名阪を東へ走り、奈良へ向かう。天理東で高速を降り天理市東部の山裾に出る。天理市豊井町の天理教施設群が立ち並ぶ丘に登り、布留川北々流の流路を確かめて布留交差点から旧国道25号に入り、布留川沿いの谷を遡る。谷あいの棚田には水が張られ、苗が植え出されている。何の気なしに毎年眺めている風景だが、果たしていつまであるのか判らないと思うと忸怩たるものがある。作業にあたっている人たちが私の親よりはるかに高齢の方ばかりなのだから、二十年後には従事者はいなくなってしまいかねない。
天理市豊井町の棚田 | 天理市豊井町 布留川上流部 |
川は国道の南側に谷を刻んで流れてゆく。道を挟んで北側には細いながらきれいな水を豊かに流す用水路が走っている。これが布留川北々流で、豊井町東部の貯水場の下あたりで布留川本流より分かたれる。分岐点は草深い谷あいにあり、石造りの舳先には木の枝で作った素朴な標が結われており、かたわらには「用水一番札 三島区」と書かれた木札が立てられていた。昔から人の生活に深く結びついていた川であることがうかがえる。
布留川北々流分岐 | 分岐後の布留川(左)と北々流(右) |
この後布留川は更に旧国道25号沿いに山里を流れ、天理ダムに至る。ダム下では「桃尾の滝」を懸ける小流を合わせる。次項、桃尾の滝。
撮影日 2001.6.10
・布留川を全部見る(本稿) ・桃尾の滝 ・天理ダム ・天理教本部周辺 ・田園地帯