飛鳥川  上流 栢森を出る


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栢森 明日香村栢森(かやのもり)地区の北では、山峡に開けた谷を刻む。
水は谷底平野の真ん中を大曲がりしながら流れる。
川の両側には田地が広がる。

栢森 谷底平野をゆく流れ

 この区間には堰堤が多く作られるが、まだ湛水域はつくらず堰上は浅瀬となる。
この付近の汀には希少植物のミズアオイが植えられ、土地の人々が大事に守っておられる。
富栄養化した水でも生えるホテイアオイと違い、ミズアオイは清らかな流れにのみ育つ水草で、水葱(なぎ)として万葉にも詠われた花。
また付近には山野草も多く、春先には道端でイタドリを折っている人を見かける。

栢森 女綱が掛けられる谷

 開けた谷は、栢森の北端・稲淵との境で再び狭隘部となる。
下流から来れば栢森への入口となるここには、悪疫除けの勧請縄が掛かっている。
現在、飛鳥川には二つの勧請縄が掛けられているが、栢森のそれは女綱。縄の真ん中にシンボルが付けられる。

栢森、稲淵境付近の流れ

 女綱を過ぎ稲淵へ向かう流れは、岩盤を穿つ荒瀬となる。
滝や淵が連続し、見事な渓谷美を見せる。

川上神社 神奈橋

 栢森と稲淵の境付近には飛鳥川上座宇須多伎比売神社が鎮座する。
「宇須」や「伎」は水に関係のある古語で、飛鳥川上流を守護する水神である。
またこの付近は遠つ世、旱天の際皇極女帝(宝皇女)が雨乞いをなされた地でもある。
これに先立ち蘇我氏が僧らに読ませた経典も効無く、帝みずから「南淵の河上」で祈られたところ一天俄かにかき曇り降雨を見たという。
 神社を過ぎると、神奈橋が架かる。ここからは山地を出てゆく。
橋の向こうに見える山の際に、稲淵の集落がある。


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