上流部 ( 水谷川 )
吉城川は三笠山(若草山)と春日山(御蓋山)の境の谷から下る。
ここは上代に氷室があったと伝わる。
源流域一帯は春日山原始林で、何度か人手は入っているものの、手つかずの自然林として千年の時を過ごしてきたところ。この上流部は、水谷川(みずやがわ)とも称される。
左は月日の磐付近にある案内図
若草山頂への道と谷がわかれる付近 |
最源流部では、絶えだえの水が谷を下る。
靴のまま入っても踝までは水が来ないほどの浅川で、岩は苔むしている。
巌の下の小さな淵 | 春日大社のほうへ水を分かつ |
細流との落合 | 少し水量を増した谷 |
瀬と淵が連続する傾斜のきつい谷 | |
一枚岩を穿つ流れ | 巌上を段瀑となって落ちる |
左右の山からくる谷水をあつめ、水量は徐々に増してゆく。
ときに巌を穿ち、ときに堰かれ、ときに小滝の連なる渓流となって流下する。
このあたりでは鹿の姿もまばらで、熊でも出そうな雰囲気。
倒木 | 氷柱 |
春日山原生林 | 谷に張り出す蔓 |
源流の森である春日山原始林は、早い時期に神域として樹木の伐採が禁じられたところ。
現在も倒木がそのまま谷に倒れこんでいたり、奇怪な形の藤蔓や葛の根が谷を覆うさまが見られる。
林床には落ち葉がみっしりと積もり、降水を柔らかに受け止める。
しぶきのかかる部分では、冬季には着氷も観察できる。
河畔の茶店 | 最初に見える家並み |
川と同じ名の茶店が見えるあたりに来ると、鹿の姿も多くなる。
河畔の道を北に行くと東大寺、南に行くと春日大社の神域となる。
谷口の橋 | 橋下の淵 |
観光バスが春日大社のほうへ回頭してゆく道隈に架かる橋あたりが、谷口となる。
川は深い谷を刻み、県公会堂のほうへも水を分ける。
上写真の北のピークは、支流である白蛇川との分水嶺になる。