北区小野〜中川
北区小野・宮ノ上町 渡竜橋から 左上流、右下流望 |
小野に入ると、蛇行が激しくなる。山も迫り、谷は深くなってゆく。
山には整然と北山杉が育ち、川沿いにも植林杉が見えだす。
河床には大きな転石が見られる。
渡竜橋は禅刹・竜沢寺への参詣道。
北区小野中町 上左/R162の橋から上流望、上右は下流望 下左/橋下の川面 下右/周山街道をゆくトラック |
小野郷の中心部では、国道162号・周山街道と出会う。この街道は、この先高雄までずっと川に沿う。
このあたりでは、見下ろすような谷と里川然とした浅河原の両方が見られる。
北区中川 杉坂口 上左/旧道の橋から上流望、上右は下流望・橋は31号の橋 下段/橋下の淵 |
小野の里を過ぎると、しばらく道と川しかない狭隘部が続く。
川は山中を激しく蛇行し、諸谷を入れつつ中川の里に向かう。
上写真は支流のひとつ・杉谷川の落合付近。
川は深い谷を刻み、瀬と淵を繰り返して流下する。
岸には杉だけでなく様々な樹種から成る河畔林が沿う。
北区中川中山 里の北 |
周山街道を走っていると、中川の里は見られない。
杉坂口から少し下ると、幹線はすぐに右京区に抜ける長大な中川トンネルに導かれる。
トンネルは中川の里をきれいにパスする形になっている。定期バスはもちろん里の方を走る。
里へ入る手前では大規模な堰堤が幾つか見られる。
北区中川北山 中川の中心集落 |
中川の水景で特徴的なのは、材木加工の工場前に幾本も架けられた一本橋。
昔は橋脚のある普通の橋だったことが、河床に残る土台で判る。
その礎石に当たって逆巻く平時の流れを見ても、増水時の勢いが想像できる。
合理的な鉄の橋も、上が木なのでよく風景に溶け込んでいる。
中川の里は川端康成の小説「古都」において、洛中の商家の娘が双子の妹と出会う舞台となった。
小説には里の情景が活写されている。
・参考文献 川端康成著「古都」 新潮文庫