川を訪ねる旅

伏見 川と水と酒と

−  酒と水のまち  −

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 宇治川派流沿いを遡る。流れの両脇に遊歩道がつけられ、川に面した家の方が植えられたのだろうプランターに色とりどりの花が咲いている。時たま不法占拠と思われる生活用品がどん、と置いてあったりするのも楽しい。

弁天橋 十石船

 進むうち、十石船が二艘もやっているのが見えてくる。それぞれ秀吉号・龍馬号と名付けられた船は伏見港公園とここ大倉記念館裏手を往復するもので、最近企画されたものである。残念ながら冬場はお休み。
船が係留されている近くの橋の欄干には楽器の琵琶がレリーフされている。橋の名を弁天橋といい、たもとには長建寺という寺がある。馬関の赤間神宮に似た門構えのエキゾチックな寺は弁天様を祀る。
水にゆかり深いサラスバティー女神が宇治川派流のそばに祀られているのも興味深い。

長建寺 山門 閼伽水
長建寺境内 月桂冠大倉記念館 派流岸から

 ここ長建寺には平成伏見七名水のひとつ、閼伽水(あかみず)が湧く。やわらかくまろい美味しい軟水であった。
境内から寺門を振り返ると、学問と音楽の女神に相応しく紅葉で紅く染まった風景が美しかった。
 寺を出て宇治川派流の対岸を見ると、月桂冠大倉記念館の裏手が見える。ちょうどここが昭和40年代初期に撮られたマニアックなオムニバス時代劇シリーズ「剣」第30話「夏すぎて」でも映っていたが、当時とほとんど変わっていない。

大倉記念館前の通り 月桂冠大倉記念館

 来た道を少し戻り、弁天橋を渡って上油掛町へ通じる酒蔵の並ぶ通りを北へゆき、月桂冠大倉記念館へ。僅かな見学料が要るが、記念品にと純米酒のミニボトルをくれる。持ち出しにならないかと思ってしまう。相方はだらしなく相好を崩していたが。

さかみず 中庭にあるほうのさかみず

 ここ大倉記念館にも平成伏見の七名水のひとつ、「さかみず」がある。井はふたつあって、味が違ったのには驚いた。建物の向こうとこちら、いくらも離れていないところなのに。
ひとつはやや中硬、という感じのすっきりした切れ味の鋭い味わい、ひとつはさきほど長建寺でいただいた閼伽水と似たやわらかいまるみのある味だった。
 記念館内部では酒造りの工程が展示されているほか、工場の推移やレッテル・販促小物の陳列もありなかなか面白かった。お土産に酒饅頭を買って帰った(旨)。

大倉記念館

撮影日 2001.12.2

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