上流部 御所市重阪
内谷地区を出た曽我川は、JR和歌山線をくぐって重阪(へいさか)地区に入り、県道120号五條高取線沿いに流れ出す。
鉄橋をくぐってくる川は、源流部より幾分幅を広げて水量も増しているが、まだまだ浅い。
川相は三面張り。
*左写真は和歌山線をくぐる曽我川(重阪地区南端)
重阪地区南部 県道沿い 上流望 | 浅い川と水生植物 |
県道沿いに流れる曽我川は、狭い谷底平野をひらく。
この川沿いの道こそ、かつての巨勢道(こせじ)で、大和と紀州往還の街道であった。
巨勢道には、「こゆ巨勢道」「磯巨勢道」などという接頭辞がよく冠される。
さざれ波 磯巨勢道なる能登瀬川 音の清けさ 激つ瀬ごとに (万葉集巻3-314)
*能登瀬川は曽我川異称
重阪地区では、まだ細流の曽我川に重阪川が流入する。
古文献にある重阪川は、今の重阪川を指すのではなく、曽我川上流部の古称とされる。
川沿いには小集落があり、古い作りのものも目立つ。
大和路の風景を象徴する柿もそこここに見られる、長閑な里である。
*左写真は重阪川流入点の曽我川
重阪地区北部 道沿いの川 左上流、右下流望 | |
堰堤 | 堰堤上の砂河原 |
重阪も北部になると、道沿いの川もずいぶん幅を広げる。
処々に堰が設けられ、水は田畑に配水されてゆく。
全水を堰くところでは、滝のような水音を立てて流下する。
堰上は砂で埋まり、流送土砂の多さを実感させる。