中流部 吉野口〜御所市・高取町境
御所市奉膳 左上流、右下流望 |
新田川、薬水川を入れて川幅を広げた曽我川は、少し広い谷へ出てくる。
水泥古墳のある奉膳(ぶんぜ)あたりでは、両岸の戸数もいちだんと増える。
河畔には疎らに様々な木が植えられている。大きな藪椿もあり、万葉に詠われた巨勢(こせ)の野を偲ばせる。
巨勢山のつらつら椿つらつらに 見つつ偲はな 巨勢の春野を (万葉集巻1-54)
御所市古瀬 吉野口橋から 左上流、右下流望 |
上写真を撮った橋から西へ行くと、JR和歌山線と近鉄吉野線がスイッチする吉野口の駅に出る。
明治期に通じた南和鉄道(現JR)につなぐ形で、大正期に吉野軽便鉄道(現近鉄)が開通し、吉野口は古来交通の便が悪かった吉野への入口として栄えた。
大和からは吉野へ物資が、吉野からは木材が積み出されてきた。
吉野へのスイッチは、軽便鉄道が大軌(現近鉄)に移行したことで柏原神宮前駅に移され鉄道貨物も役を終えたが、今も吉野口駅前には名物の柿の葉寿司を駅弁として製造する店が残っている(柳屋)。
よく砂を流す河床に藻が棚引き、岸辺には草が繁茂する。両岸は家々の背割となる。
御所市戸毛 葛駅西方 上流望 | 川面 |
近鉄吉野線葛駅付近から、曽我川は御所市と高取町の境を成して流れてゆく。
薬水地区から沿ってきた二つの鉄道は、ここで橿原へ御所へと別れゆく。
JRのほうは、掖上駅まで川沿いを走る。
葛駅の近くでは、吉野川分水路が西幹線と東幹線に分岐している。
御所市戸毛・高取町丹生谷境 右岸堤から下流望 |
御所と高取の境を成すあたりは、丘陵地帯を縫って北東流してゆく。
大規模な堰が作られるようになり、湛水区間も出現する。
御所市戸毛には、奈良県営水道の基幹的施設・御所浄水場がある。
御所市今住・高取町市尾境 上流望 | 桜並木越しの曽我川 |
御所市今住あたりでは、竹林から成る河畔林が沿うようになる。
まだ川堤はさほど高くなく、竹林の対岸には見事な桜並木が連なり、枝を水面に伸ばしている。
御所市今住 下流望 | 砂河原 |
上写真左の奥に見える施設は、高取町の浄水場。
このあたりの曽我川は、激しく砂を流し、広い砂河原が見られるようになる。
また、上写真付近で北東流をやめ、向きを北に振る。