第一シリーズ、1970年TBS/東映
キャスト
大岡忠相/加藤剛 榊原伊織/竹脇無我 将軍吉宗/山口崇 雪絵/宇都宮雅代 大岡妙/加藤治子 加代/武原英子 千春/土田早苗 神山左門/天知茂 伊三郎/中村竹弥 政吉/里見浩太朗 村上源次郎/大坂志郎 すっとびの辰/高橋元太郎 大岡忠高/片岡千恵蔵
ナレーション/芥川隆行
第1話 1970.3.16
新将軍・吉宗の抜擢を受け、大岡忠相が町奉行となる、起こりの話。
伊勢山田奉行の任に就いていた忠相は、神域で魚を獲る狼藉者を捕え、正体を知りつつ手ひどくやり込めるが、その「狂人」はのちに征夷大将軍となる男だった。
ロケ地
- 八代将軍が差し向けた早馬が駆ける山田の街道筋、不明(谷地田脇の地道、行く手に池あり)。
- 将軍の召還を受け山田を発つ忠相、ひとり行くと伊織が待っていて声をかける街道、不明(谷地田脇の道、路傍に瓦屋根付きの小屋ある例のアレ。池端の道もこの続きと思われる。また、先に早馬が走ったのも同所かと推測)。
- 忠相と伊織が、ごろつき侍にからまれて難儀する伊三郎と加代父子を助ける茶店、不明(田畔の地道、棚田か)。
- 品川宿の火事で焼け出された被災者に炊き出しを行う千春、智積院密厳堂境内・井戸まわり。彼女から飯を貰う、忠相とはぐれた伊織、密厳堂前。
- 大岡邸、東福寺一華院。魚屋の勘太と大岡忠高が馬鹿なやりとりをしている門前へ、焼け焦げ忠相が現れるという寸法で、忠相の背後には月下門の狭間越しに経蔵の屋根が見えている。
- 千春が伊織を案内してゆく道、金戒光明寺瑞泉院前路地(伊織の背後に、阿弥陀堂が映り込んでいる)。永運院下坂で村上のダンナがこそ泥を取り調べ中で、この路地から辰が伊織たちの前に飛び出してくる。
- 忠相に登城の沙汰が来てお城へ赴くという早暁、庭に出ている忠相に伊織が話しかけるシーン、不明(低い刈り込みのある庭、高台にあるっぽい感じ。建物の屋根は二層)。屋敷を出て騎乗する忠相、東福寺一華院門前(北望の図、大機院参道坂が映り込む)。
脚本/池上金男、稲垣俊 監督/山内鉄也
第2話 「町火消誕生」 1970.3.23
町方による消防組織結成を期し、重職方にはかる忠相だが、神山与力が斬った放火犯がよりにもよって定火消支配の甥で、話はこじれる。配下の努力により証拠はあがり、名奉行は「高度な政治的取引」を行い、晴れて町火消が産声をあげる。
ロケ地
- 小普請人足(藤岡重慶)の死体が見つかる深川櫓下の掘割、白川巽橋下河床。
- 聞き込みにまわる源さん、途中で辰に声をかける町角、今宮神社石橋。
- 情婦宅に転がり込んでいたガエンの与六、紋入りの法被を大っぴらに干されてしまい源さんに見つかるくだり、祇園界隈。女の家から巽橋が見える設定で、橋上を源さんがうろつき、法被を見つける次第。逃げ出した与六が、辰を見て隠れるのは辰巳大明神の玉垣脇。
脚本/稲垣俊 監督/山内鉄也
第3話 「謎の父子鶴」 1970.3.30
お奉行がなりを変えて「市中徘徊」をはじめるが、さっそく白刃の雨嵐。これは懸案の事件の解決につながり、表に出てはマズい御落胤の件なども、粋な采配で決着する。
ロケ地
- 忠高の帰り道、辻斬りに遭遇する町角は梅宮大社。和泉屋が斬られるのは神苑門、忠高と政吉が気付いて駆けつけるのは東参道(門前の橋や、参道脇の蔵が映り込む)。
- お忍び、着流しで出る忠相、伊三郎のところの弥助がつけてゆくがまかれる町角、永観堂。歌碑付近の溢水口の石橋、放生池に架かる橋が使われる。設定は相生橋たもと。
- ごろつき浪人に難儀する娘を助ける忠相、金戒光明寺。永運院下坂を下りきったところで悲鳴を聞き、浪人らと斬り結ぶのは本堂脇〜墓地。設定は妙法寺。
- 娘を拉致した浪人たちのアジトを見つける源さんたち、主犯格の外出を尾行するくだり、永観堂弁天社前〜中門(播州三日月藩上屋敷)。
- 事後、ボヤく源さんと釣りの忠高、ここへ忠相もやって来て釣りはじめる土手、大覚寺大沢池堤。
脚本/津田幸夫 監督/田坂勝彦
※拉致される娘は鮎川いづみ、御落胤設定で騒動は金がらみなるも、本人はきっぱりと市井に暮らすことを選ぶ。
※はじめてのおしのびは、源さんの目を避けて伊三郎宅でお着替え。
第4話 「慕情の人」 1970.4.6
年寄りの冷や水が、嫁取り話に発展。双方の父の思惑は合致し、するする進むかに見えた縁談だが拗れて、ドラマを面白くする。
ロケ地
- 辰をお供に花見に出かける忠高、花見の名所イメージに御室桜越し仁和寺塔。ならず者が無体をはたらくのに遭遇、意見して諍いとなるシーンは大覚寺天神島(朱橋を渡り、祠脇に)。忠高が若侍三人を相手に苦戦のところ、伊織に助けを求めに走る辰、嵐峡(伊織と千春は船からおりる)。
- 雪絵が掏摸に遭い、開き直られ難儀する上野の町角、仁和寺茶所前。お忍び姿の忠相に助けられ逃れるも足を止め、恩人の名を知るため供の太平を遣わす町角、仁和寺鐘楼脇、御影堂前。太平は水掛不動の方へ行く。
- 掏摸を連行し諭したあと放してやる忠相、仁和寺観音堂前。雪絵に惚れたかと指摘され、鼻白む表情が可愛い。
脚本/稲垣俊 監督/山内鉄也
※雪絵の養父は大番頭、与太侍に刀を落とされた忠高の危機に、己が刀を提供。以後、忠高が気鋭の町奉行の父と知り、この状況を利用し雪絵の縁談をまとめようとする。
第5話 「血の直訴状」 1970.4.13
吉宗の指示で、直訴侍を罪に問わなかった忠相。この一件はあとをひき、紆余曲折を経て目安箱設置という偉業につながる。その過程で、亡き人に似たあの女性と、やっと会える忠相なのであった。
ロケ地
- お忍びで狩りに出る吉宗、ここへ直訴の若侍が出る野、不明(飛火野に似た、起伏ある地形)。
- 雪絵を乗せた駕籠舁きが殺され、検分が行われる浅草御蔵前の暗がり、広隆寺東塀際(夜)。
- 父の墓に参る、勝之進と姉の冬、不明(浄土宗?の墓地、立地は丘の上か、草深くちょっと荒れた感じ)。
- 旅に出ると称し、和尚に別れの挨拶をする勝之進、不明(どこかのお堂の縁先、神光院中興堂に似る)。その帰り、刺客に遭う道は中山邸参道。寺の設定は小梅村の長命寺。
- 忠相と源さんが雪絵の到着を待って焦れる、大岡邸の庭、阪口青龍苑。池の切石橋で忠相と雪絵のツーショット、錦鯉も登場。
- 目安箱が設置され町衆で賑わう評定所門前、京都御所管理事務所長屋門。忠相と雪絵、伊織と千春の四人は東へ去る。
脚本/稲垣俊 監督/内出好吉
※雪絵が乗った駕籠に、勝之進が血書の直訴状を置き忘れた次第。そのことで駕籠舁きを斬ったのは勝之進、のち金山奉行が送った刺客に襲われ、神山に助けられるも敢無く落命。悪徳商人の妾となっていた彼の姉は、父の仇を討つも毒を盛られていてアウト。
第6話 「三葉葵の謎」 1970.4.20
辻斬りが頻発するが、犯人は豪華な衣装を身にまとい、あろうことか紋は三つ葉葵。正体は公方と噂が広がるが、真の狙いはそこにあった。
ロケ地
- 葵紋の辻斬りを追った源さんたちが、あからさまに怪しい夜釣りの浪人を再び見る川端、不明(屋形船が舫った池端?から石碑あって続きにお堂、大覚寺っぽいが、なんか違う)。
- 怪しの浪人・伝内をつける辰、入ってゆく田原屋別邸は中山邸通用門。辰の背後に「門」が映り込んでいるほか、付近の塀際も使われている模様。
- 頭巾を被り夜道に出る忠相、田原屋差し回しの刺客に囲まれるくだりは相国寺大通院南塀際〜鐘楼前。チャンバラの途中で捕り方が出て、逃げた首領格に源さんが足を斬られるのは大光明寺南路地。
- 事後、忠相を労い礼を述べる吉宗、彦根城玄宮園龍臥橋上。ここに「伝内」が庭箒持って控えていて、正体が知れる運び。
脚本/津田幸夫 監督/山内鉄也
※大友柳太郎がキャスティングされていることから、悪者でないことが丸わかりな伝内さん。かたや「ええもん」を演ってるのを見た記憶がない伊吹聡太郎が、田原屋の雇う浪人の束ねできっぱり悪く、この二人の対決は重厚で見もの。
※武藤英司演じる田原屋は、尾張御用の商人で、正体は尾州浪人。欲と道連れで吉宗暗殺に暗躍する。
第7話 「濡れぎぬ」 1970.4.27
忠高が釣りあげ助けた土左衛門は、えらく訳あり。悲観して拗ねる前科者の青年を、皆して信じ庇ってやる「メンバー」の奔走が実る。
ロケ地
- 巳之吉の回想、材木の代金を持ってゆく途中殴られ昏倒した橋、中ノ島橋(夜)。気がつくと、簪も入った胴巻ごとなくなり。
- 門前を通る花売りを呼び止める忠高、東福寺一華院前。巳之吉があちこちを修理している庭は同所か不明、辰と忠高が話す際に縁側なども出る。
- 大岡邸から姿を消した巳之吉、辰を見て隠れる町角は京都御所拾翠亭南塀際(溝端)と門前。
- 北の同心と行き合わせ嫌味を言われる辰、京都御所高倉橋上。
- 巳之吉がおるいを呼び出し会う鳴子神社、今宮神社稲荷社。源太らに見つかり捕まりかけるが、政吉が高倉脇坂から現れ介入。その後逃げる二人は楼門で追っ手をまく。逃げおおせたあと、巳之吉を諭し出頭を勧める政吉、京都御所厳島神社境内(鳥居、池端。高倉橋側面が映り込む)。
- 簪を買い取らせようとしたゴロツキが源太に刺されてドボンの常念橋、渡月小橋。
- 巳之吉に会いに船宿へ入ったおるいを目撃、源太に注進する乾分のシーン、中ノ島橋上手左岸・堰堤脇(橋は映らず)。
脚本/津田幸夫 監督/田坂勝彦
※巳之吉を憎み妬む兄貴分が、ならず者を使って陥れる運び←棟梁の娘をめぐる恋の鞘当て。
第8話 「千春の危機」 1970.5.4
仏の源さんでも、島送りにした者からは恨まれる。お礼参りで千春がさらわれ、父として苦衷の判断を強いられるが、お奉行と意を通じた伊織の働きでことなきを得る。
ロケ地
- おしげが辰に接触し、駒吉のヒントを置いてゆく橋、宇治公園橘橋(旧態、欄干が低い)。あとで源さんと伊織もやって来る段では、おしげが橋たもと河川敷に現れ、降りていった源さんと橋下で対峙の運び・アングルは橋上から。その後おしげは源さんを乗せて船で下流側へ去ってゆく。
- おしげが源さんを船から下ろし、要求を突きつける川端、不明(水辺に茅葺?の建物あり。土手や水辺の様子は広沢池に似る)。
- おしげが千春を監禁し、駒吉を誘導する深川八幡、赤山禅院。参道と入口の石段、本殿が使われる。室内シーンはセット撮り。
脚本/稲垣俊 監督/山内鉄也
※おしげは、駒吉とともに島送りになった男の女房。亭主も子も亡くしている。
※おしげと駒吉は、お奉行の温情により所払い。
第9話 「鬼面夜叉」 1970.5.11
火付け強盗で世間を震撼させる凶賊が跋扈、非番の忠相も乗り出すことに。しかし捜査は難航、ばかりか、伊織の提言で作った自警団に被害者が出る始末。やがて地道な努力が実り、一味を誘き出すに至る。
ロケ地
- 逃げる鬼面党が、白イカ忠相に道を塞がれドボンの橋、中ノ島橋。
- 伊織が夜警団設立を提案する役宅の庭、阪口青龍苑切石橋たもと。
- 踊りの師匠が御籤を結ぶ神社、大原野神社。忠相の草履の鼻緒をすげてやる茶店は二の鳥居前にしつらえ。このあと、聞き込み中の源さんと辰がやって来て休む茶店も同所、二人は本殿前石畳から鳥居をくぐりやって来て、茶店から御籤を取る怪しの浪人を目撃。
- 伊三郎らが見回る夜道、広隆寺東塀際。
- 師匠に揺さぶりをかける忠相、二人が話す町角は宇治川派流畔、月桂冠の酒蔵が見えている。
脚本/津田幸夫 監督/内出好吉
※頭目の師匠は処刑された政治犯の遺児、密告者への意趣返しと、幕府への怨念が犯行動機。
※北町奉行の嫌味があんまりヒドいので、途中まで黒幕に違いないと思ってました。
第10話 「裁かれる者は…」 1970.5.18
赤貧にあえぎつつ姑の看病をしてきた、健気な寡婦。死に損ないを「助けた」彼女は裁きにかけられるが、忠相は悩んだすえ事の本質を先送りにする。
三方一両損の逸話も入れて、テーマを強めてある。
ロケ地
- 菊の裁きを前にして、忠相を散歩に誘う雪絵、大覚寺大沢池堤。もちろん話題は菊の処遇について、雪絵は町での評判も話す。
脚本/加藤泰 監督/山内鉄也
※菊が陥った状況は、細かい設定を抜きにすると、鴎外の「高瀬舟」と同じ。
※菊の無実を訴える人々を遮り、当の本人は親殺しとして裁かれることを希う。それはお上に対して投げかけた必死の「異議申し立て」であり、大谷直子演じる菊は、忠相の人情裁きを納得していないきつい視線を放つ。
第11話 「呑舟先生はどこだ」 1970.5.25
養生所開設に至るまでの、苦労話。忠相とともに施薬院設立に邁進する伊織は、施設の柱となる人材に師を推すが、その先生は一筋縄ではいかぬ傑物なのだった。
ロケ地
- 金持ちの子を診て大金をふんだくった呑舟先生、駕籠で帰る戻り道は下鴨神社河合社西塀脇。むじなの京太郎が駕籠を持って行かせる窪地は池跡、中で寝ていた先生に引っ越せと脅迫。
- 典医・林良邸、不明。セットかも。
- 京太郎に呑舟先生脅迫を依頼する医者、宝塔寺墓地。奥に多宝塔が見える。
脚本/稲垣俊 内出好吉
※呑舟先生は志村喬、最初「施薬院」の名が気に食わずごねる。雪絵の父や典医が旧友だったりする。
※チンピラの夏八木勲は、改心して養生所の飯炊きになるが、喀血は治ったのか。
第12話 「すっとび辰の片思い」 1970.6.1
辰の恋煩いが、もたもたしていたカップルをまとめる契機となる。当の辰の恋は実らず終わり、次のお目当てに「すっ飛んで」ゆく。
ロケ地
- 辰の告白を聞いた帰り、雪絵にプロポーズする忠相、夜道は中山邸参道。二人は通用門付近を南へ歩いていて、ぼんぼりや祭礼の幟があしらわれている。
- 釣りに事寄せて辰のこと等御前に相談する源さん、大覚寺大沢池堤法面。
- 家へ戻り、雪絵に求婚したことを母に告げる忠相、不明(低い刈込のある庭、立地は丘の上っぽい)。後段、和解した忠高と作左が将棋を打つくだりでは、その庭を望む縁先が出てくる。
- 辰が娘恋しさにうろつく、深川・木場の染物屋裏手の堀端、御土居脇天神川の橋と河畔。店の裏はセット、辰がドボンの川は別撮り。辰が引き上げられたところへたまたまやって来る源さんと御前は、衣笠小へ抜ける路地の方から現れる←「マンションの塀」が映っている。右岸河畔には干し場をあしらってあり、そこで作業をしていた職人が、連日来る辰に怒りをぶちまける←この職人、罪を犯し更生中・忠相と源さんのはからいで染物屋に勤めている次第。
脚本/稲垣俊 監督/内出好吉
※恋しい娘の住む店の裏をうろついていてさんざんな目に遭う辰、彼を慰めるため喜楽で宴を張る御前と源さんだが、板前が鯖にあたって不在のところ御前が腕をふるい、やっぱりあたる運び。これでもう死ぬ騒ぎ→心残りなので、作左を枕頭に呼び寄せ後を頼んでしまう。
第13話 「恐怖の影」 1970.6.8
たんまり貯め込んでいた按摩が殺され、現場に政吉が居合わせる。忠相の一計で、政吉は犯人の顔をはっきり見たと触れて歩かせ解決をはかるが、相手はとんだ曲者で「目撃者」を消しにかるのだった。
ロケ地
- 髪結い床で「政吉目撃情報」を言い触らす辰、怪しい動きをした男を追ってゆくも見失う町角、辰巳大明神脇白川畔。諦めて踵を返すと源さんに出くわす橋は白川巽橋。
- 政吉を狙って丸太が落とされる木場、「材木置場」。ついていた伊織の背後に青い山なみがちらり。
脚本/津田幸夫 監督/山内鉄也
※岡っ引きは深江章喜、共犯者は宮口二郎。二人とも凶悪でコワい。
第14話 「地獄の使者」 1970.6.15
阿片密売組織を追う話、放った隠密回りも悉く消され捜査は難航。左門の潜入、源さんの狸芝居、お奉行の説得など、いろんな方向から組織を追い詰めてゆく。
ロケ地
- 一味のアジトがある川端、宇治か桂の河原か(河原は砂がち、対岸の高堤上には並木)。
脚本/宮川一郎 監督/内出好吉
※忠相の説得は、一味の青年の父になされる。病の床にあるその父は、かつて冤罪で捕えられ拷問を受けそれがもとで不幸に落ち、お上を恨み口を閉ざしていた。
第15話 「折鶴殺人事件」 1970.6.22
商家の主が殺され、亡骸には悉く折鶴が付けられているという事件が続発。犯人の目星はすぐつくが、仇討ちを思い詰めている女の心は強く、そして哀しいのだった。
ロケ地
- 松原屋が殺された事件を語りつつ町をゆく辰と政吉、今宮神社門前〜一和前。政吉が出入りの万屋と行き会い、立ち話のあと一和でお団子。立ち去った万屋は東門を入ってゆくが、そのあとを怪しの男(見せ物小屋の呼び込み)がつけてゆく。
- 万屋が住吉屋と待ち合わせの屋形船、大覚寺大沢池船着(小)に係留。船は勝手に出てゆき、船上で二人は殺されるが、検分は元の船着で。
- 忠相を騙った呼び出しを受け道を急ぐ雪絵、一味に拉致されてしまう坂は金戒光明寺長安院下坂。
- 最後のターゲット・大津屋で捕り方から逃げた太夫、忠相に回りこまれてしまうのは「材木置場」。
脚本/津田幸夫 監督/山内鉄也
※太夫は投げ刃を得意とする女傑、弓恵子が演じる。連続殺人の被害者たちは、長崎で太夫の父親を殺した者ども。
第16話 「義賊木鼠小僧」 1970.6.29
いっときは民衆に英雄視される義賊だが、というおきまりの一話。憎からず思う娘に盗金を拒否された挙句、とんだ災難に遭わせかけ、心乱れた盗っ人は凡ミスを犯し遂にお縄となる。
裁きを言い渡す忠相、目が潤んでいるのが泣かせる。
ロケ地
- 大名屋敷を狙う木鼠小僧、侵入経路や逃走経路に、随心院長屋門や拝観口付近に薬医門まわり、永観堂御影堂や図書館。小間物屋の佐七が追走中の源さんたちに出くわすのは相国寺弁天社前。
- 雪絵と市中をゆく忠相、子らが木鼠ごっこをして遊ぶ道は今宮神社東参道。転んだ子を助け起こし見てやる茶店は一和(ここで行商中の佐七と遭遇)。向かいのかざりやには薬屋の暖簾があしらわれている。
- 忠相に苦言を呈されたその夜も出る木鼠、お屋敷は随心院境内、永観堂回廊や千佛洞。
- 佐七が小間物商として出入りする尾張の上屋敷、随心院薬医門。
- 佐七が忠相に出くわす雨宿りの軒先、上賀茂神社校倉。
- 兄の借金を立て替えてやったあと、佐七がおみよと話す神社、松尾大社境内(拝殿付近、背景に奉納の酒樽が見えている)。
- 尾張屋敷へ侵入するも些細なミスから露見、逃げおおせたあと慌てて着替える佐七、相国寺鐘楼脇。またしても源さんと遭遇、怪しまれる。
- 尾張屋敷から盗ってきた小判をおみよ宅へ投げ込む佐七だが、盗金は嬉しくないと言われてしまう町角、松尾大社本殿付近。
- 源さんを訪ねようとしたおみよ、門口で兄につかまり連れ去られ、水茶屋勤めを強要されたり、義賊の小判を持って行かれてしまうシーン、松尾大社。亀の水場、桂川用水の石橋、楼門続きの塀にある通用口など使われる。
- 訪ねてきた伊織に、四面楚歌と嘆く忠相、役宅庭は阪口青龍苑池泉切石橋上。後段(木鼠処刑後)、二組のカップルで述懐のシーンもある。
- 行商中水辺で休んでいて、木鼠小僧が捕まったという人足の噂話を聞く佐七、宇治公園中州(水路側)。
脚本/津田幸夫 監督/佐々木康
※佐七は川崎敬三、おみよは北川美佳。
第17話 「幽霊小町」 1970.7.6
さる商家に、亡きあるじの幽霊が出るともっぱらの噂。ばかりか、跡取り娘は気触れ。二つの事象に作為を見る忠相、後妻の素性を洗いはじめる。
ロケ地
- 田原屋へ聞き込みに行った帰り、幇間の友八に呼び止められる辰、御香宮本殿前(女将は後妻で、気触れの娘は座敷牢に入れられていると耳打ちされる)。後段、腕に傷を負った友八を見るシーンにも登場。
- 事後、亡父のため灯篭を流す「娘たち」、嵐峡か。
脚本/津田幸夫 監督/田坂勝彦
※気触れ娘は岩井友見、狂態とキリリ顔の落差もキレイ。
※娘を診察にゆく伊織について入る忠相、笑える変装。
第18話 「復讐の十手」 1970.7.13
賊に殺された父の仇を討つため鬼と化した同心、父の友に裏切られ道を踏み外した青年。忠相の采配は、交錯する二人の運命の糸を解き、愛する女との明日に導いてやるのだった。
ロケ地
- 中山新八郎(南の臨時見回り同心)が拷問していて、忠相が釈放させた男が土左衛門で見つかる川端、桂川か(罧原堤下や松尾橋下手の土手に似る)。
- 新八郎がおこうと会う神社、北野天満宮本殿裏手。
- 六之助がお昼をつかう木場、「材木置場」。蔵ふうの建物や山並みが映り込む。源さんがやって来てともに弁当を広げ、就職の話などする。
- 事後、おこうとデートの新八郎が、六之助とお梶夫婦と邂逅の稲荷、北野天満宮本殿裏手西側の摂社前。
脚本/加藤泰 監督/山内鉄也
※新八郎は杉良太郎、六之助は川地民夫。
第19話 「悪魔の人形使い 前篇」 1970.7.20
千日参りにつきあった伊織、急病人が出たので診てやるが、これがもとであとあとエラいことに巻き込まれる。前編は、伊織が医療過誤の疑いで入牢させられる時点まで。
ロケ地
- 浅草の雑踏、清凉寺か(バンクフィルム?)。
- 伊織に薬を貰って帰る佐吉、帰り道でチンピラに脅され薬を取り替えられてしまう林、下鴨神社河合社裏手。
脚本/稲垣俊 監督/内出好吉
※伊織が診てやったのは大店のあるじ、その一人娘と手代が恋仲で、悪者が利用する寸法。有川有紀と川口恒が演じる。
第20話 「悪魔の人形使い 後篇」 1970.7.27
忠相たちは北町に接触するが、けんもほろろ。窮した挙句伊織の博打に賭け、皆して懸命に動き真実は明らかとなる。事をこじらせた優男に、忠相は容赦ない言葉を浴びせるのだった。
ロケ地
- 忠相の文を携え北町に赴く源さん、門前払いを食う玄関は大覚寺式台玄関。
- 伊織の係りである北町与力を待ち伏せる忠相と源さん、潜む植え込みは随心院梅林脇。与力が歩いてくるシーンは薬医門前から拝観口にかけての塀際。
脚本/稲垣俊 監督/内出好吉
※北町は意固地になってただけで、真相解明に立ち会わされた与力は誤りを認める。忠相に嫌味言われてるケド。
第21話 「父なればこそ」 1970.8.3
忠相の結婚のため、御役に就くことを渋々ながら決心する忠高。しかし、入庁することになった勘定方には、どうにも我慢ならぬ腐れた役人が巣食っているのだった。
ロケ地
- おしのに会いに、雪絵を伴って行く忠相、往路の背景に来る甍、粟生光明寺本堂の大屋根(石段等、足元は映らず)。
- 接待の席に侍るため出かけるおしの、駕籠が渡る橋は中ノ島橋。
- 忠高が勘定方を招いて振舞い接待をする席、不明(青蓮院の内庭みたいな感じの、お堂の前庭)。
- 接待の席が断罪の場に化けてお開きになったあと、一行の帰り道、大覚寺天神島朱橋。作左が忠相に結婚を急かし、子をもうけて跡取りに寄越せと迫る。
脚本/加藤泰 監督/山内鉄也
※勘定方の腐れ外道は神田隆、つるむ悪徳商人は加賀邦男。おしのは外道が妾にと狙っている女で、元大岡家の女中。忠高を慕っていて、ために暇をとった設定、今は料理屋の女将。
第22話 「黒い罠」 1970.8.10
女湯の刀架けから消えたのは新八郎の大刀、果たして賊の凶行に使われてしまう。その裏には、欲と色を道連れの、黒い意思が隠されていた。
ロケ地
- 町人に身をやつし、失せた刀を捜す新八郎、疲れて休むところ、盗難に関係したと思われる女を見るくだり、今宮神社。腰をおろす茶店は門前茶屋・一和の店先に出された床机、女が情夫ついちゃつきながら通るのは東門前、その後逃げてまかれるのは東門を入って稲荷社前。
- 松井田町の用事から戻った辰が旅装のまま入る奉行所の門、大覚寺明智門。門番と立ち話(小峰さん)。
- 女を知っていそうなチンピラを見つけ追う町角、中ノ島橋上〜大覚寺大沢池(屋形船に乗り込み/夜鷹の苫船設定)。女の情夫の居場所を聞き出し。
- 女の情夫を締め上げていると、黒幕の火盗同心と一味が現れ大立ち回りの寺、神光院。庵、本堂前石橋、蔵の前、本堂脇、中興堂前、宝筐印塔など各所が使われる。
脚本/葉村彰子 監督/山内鉄也
第23話 「越前の結婚」 1970.8.17
親爺たちの喧嘩で、また遠のくと思われた忠相と雪絵の祝言は、トンデモな騒動を奇貨として、一気にゴールイン。困った親爺たちには、上様から心憎いお仕置きも降ってくるのだった。
ロケ地
- 作左を訪ねてきた忠高と雪絵がばったり会う路地、相国寺大光明寺南路地。
- 作左と喧嘩して怒って帰宅する忠高、東福寺一華院。
- 御狩場、糺の森か。狩りの帰り立ち寄った寺で雪絵を見初めるくだり、不明(寺の縁先、奥に回廊も見える)。
- 作左に雪絵お持ち帰りのことを聞き、肩を落とし戻る忠高と源さん、相国寺か。
- 雪絵がお城へ連れて行かれ一夜明け、親爺たちが案じてやってくる南町奉行所、大覚寺明智門。中から忠相が出て制し、一人騎馬で参道を去る。
脚本/稲垣俊 監督/山内鉄也
第24話 「蛇の目傘の女」 1970.8.24
容疑者を殺したとして、神山与力が窮地に陥るが、裏には昔の事件あり。道具に使われた女は、左門の人となりを知るにおよび惑い懊悩、遂には危険を犯し証拠ゲットに動いてくれるのだった。
もちろん、お奉行や源さんたちの尽力もあり、ヤバい橋渡ったり、期限ぎりぎりだったりと気をもたせてお話を盛りたてる。
ロケ地
- 左門を襲った刺客が残した刀の出所をさぐる段、その刀を盗まれた旗本の屋敷は相国寺林光院。聞き込みに行った左門を主が式台玄関で応対、帰りに門をくぐるシーンもある。玄関前には、今は無い太い木が生えている。
- 入水しようとしたおみのを止める左門、罧原堤下河原か。左門が世話した荒物屋近く設定。
脚本/宮川一郎 監督/内出好吉
※おみのは大原麗子、牢内で毒殺された賊の一味が兄、左門が殺したと吹き込まれている次第。
第25話 「纏女房」 1970.8.31
い組に若夫婦が誕生する、めでたい一話。カップル成立の後押しは、町の嫌われ者の押す横車だった。
ロケ地
- 普請場へ弁当を持ってきたお加代、政吉とお参りに行き願掛けの弥生神社、御香宮神社本殿前。帰り道、朱鞘組とガエンにからまれるシーンは参道石段下にしつらえた茶店、逃れた二人は参道を南へ去る。後段、政吉が呼び出されるくだりでは、つていきた源さんたちと離れるシーンに本殿裏手、朱鞘組に小突き回され殺されかかるのは摂社前。
- たばかられて呼び出されたお加代が連れ込まれる屋形船、大覚寺大沢池南西端に係留。
- 度重なる嫌がらせに心痛めた政吉が物思いに沈む橋、北野天満宮御土居に架かる小橋。お加代が加わった場面もあり。
脚本/津田幸夫 監督/内出好吉
※朱鞘組の首領は小林勝彦、お加代に一目惚れして横恋慕。忠相は、目付を現場へ伴い、旗本の悪行を目撃させる役回り。
第26話 「疑惑の顔」 1970.9.7
伊織が化粧の工夫に手を貸してやった役者が、人殺しの疑いをかけられたまま不審死を遂げる。裏にはお決まりの妬み、そして哀しい恋の事情があった。
ロケ地
- 人気役者・松之助に付文をしていた娘が扼殺されて見つかる椙森神社、下鴨神社河合社裏手。戻り道、事件について話す源さんと辰は河合社塀際。
- 忠相を役宅に訪ね、松之助のことを話す伊織、阪口青龍苑池泉端。後段にも登場、忠相が切石橋上で鯉に餌をやっている。
- 事後、松之助の墓に参る伊織と千春、金戒光明寺墓地。松之助と曰くあった武家の妻女が落飾した姿とすれ違う、帰り道の石段は参道石段。
脚本/葉村彰子 監督/内出好吉
※亡霊を演じて評判をとる松之助は河原崎長一郎、恋人だった女は北城真記子。
第27話 「天一坊事件」 1970.9.14
世に名高い御落胤事件、一味の正体を知ったうえでオブザーバーとなる伊賀亮。彼の狙いは、名奉行・大岡越前守との対決だった。
ロケ地
- 伊賀亮が知る辺の和尚を訪ねると、御落胤騒ぎが起きている美濃・谷汲山常楽院、不明(檜皮葺きの門、前にランダムな石段)。
- 御落胤とその一味に大喝をくれる伊賀亮、その後当の本人たちが刺客となって伊賀亮を襲う雨の夜道、大覚寺五社明神。
- 天一坊一行がゆく東海道、山道(林道か)〜松並木(琵琶湖畔か)。
- 御落胤の証拠調べが行われる老中・伊豆守邸、大覚寺大門。
- 天一坊の再吟味を願い出て閉門を食らう忠相、竹矢来がなされた役宅の門、大覚寺明智門。
- 謹慎の身ながら単身馬を駆る忠相、野道は北嵯峨か。夜中開門を呼ばわる水戸家の門、東本願寺内事門。
- 伊織と源さんの乗った早駕籠が走る海辺、間人か。
脚本/加藤泰 監督/工藤栄一
第28話 「天一坊事件 後篇」 1970.9.21
幕閣ばかりか吉宗の不興を買い、頼みの伊織たちは帰らず窮する忠相。しかし悪事の報いは当事者に返り、哀れな犠牲者は忠相に逆転を果たさせるのだった。
ロケ地
- 紀州入りし、御落胤の母のことを調べる伊織たち、里人にものを聞く野辺は北嵯峨農地(竹林際、ゴロ石が映っている)。
- 天一坊が侍女にした女を始末する天膳たち、広沢池東岸か(夜の葦原、夜釣りの忠高が通りかかり、瀕死の女を保護)。
- 証人を連れて戻る伊織たち、早駕籠が走る谷川沿いの道は清滝、担ぎ手交代の街道は鳥居本参道(鳥居そば)。このあと、対面の儀が行われている「役宅」の大覚寺明智門前へ。
- 一人逃れた伊賀亮、妻の仇を討ちに大橋浪人が現れる林は下鴨神社糺の森。ここへ駆けつけるため馬を駆る忠相、北嵯峨か(その後馬場へ)。
- 事後、残された大橋浪人の遺児を抱いて町へ出る千春、中ノ島橋上(ここへ至る前、橋上手右岸側の護岸を走る)。
脚本/加藤泰 監督/工藤栄一
※伊賀亮は山形勲、天一坊は太田博之で山口崇に似ていて笑える。常楽院の和尚は金井大、天一坊を拾った浪人は天津敏、連れの侍は江見俊太郎。大橋浪人は舟橋元、妻女は木村俊恵。
★放送日時について、DVDBOXに付いていた冊子「復刻版あらすじ帖」を参照させていただきました。
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